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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2002年09月03日(水)13:00~
出席者 小林陽太郎代表幹事
渡辺正太郎副代表幹事・専務理事・広報委員会委員長
福井俊彦副代表幹事

冒頭、小林代表幹事より東京電力社長・南直哉氏の副代表幹事辞任(9/3付け)について、福井副代表幹事より意見書「金融システムの信認確立に向けて、改めて政府の決断を求める」について、それぞれ説明があり、その後、記者の質問に答える形で、(1)一連の企業不祥事、(2)副代表幹事の辞任と後任、(3)生田副代表幹事の郵政公社総裁就任、(4)株価のバブル崩壊後最安値更新、(5)意見書について出席者から発言があった。

Q:相次ぐ企業不祥事に対する感想と再発防止策について

小林:非常に残念であると同時に他人事ではないというのが第一印象だ。それぞれについて中身や時間的な経過もまちまちだが、どうしたら無くなるのかということについては、これをやれば全てのケースに効果があるという案は持ち合わせていない。法律違反は当然として、良いことも悪いことも、計画を上回ったことも下回ったことも、全てのことが事実通りに即刻オープンになる体制を敷くということが究極の解決策だと思う。自らの行動や、地道ではあるが現場へ足を運ぶことによって、トップ自身が組織を律するという実体を示していくことが第一だと思う。

例えばIBMのように社員間でもルール違反があればすぐに報告するということを社内に奨励するとか、協力して問題を見つけ合い、見つかった問題については勿論是正するが、意図的ではない、悪意に基づかない問題であれば罰則の対象にしないなど、色々と方法はあると思う。目指すところは全てをオープンにし、オープンになった事実はトップがきちんと受け止めるというカルチャーを作っていくことに尽きると思う。

一方でコンプライアンスや透明度、パフォーマンスをあるレベル以上に保つことについて、コーポレート・ガバナンスということが議論されており、最近発生している不祥事については、ガバナンスが効いていないからそうなったのではないかという意見がある。しかし、最近我が国で議論されているコーポレート・ガバナンスは、取締役会、監査役会といった組織の上部における仕組みについてであり、いくつかの不祥事では、そこに至るまでに事実がわからなかった、分かったときには遅すぎたということが非常に多い。従って、特にコンプライアンスの問題については、取締役会や監査役会に上がってくる以前に、組織のすみずみにわたって問題を早めに嗅ぎ付けて対策が取れる仕組み、しかも各社のカルチャーにぴったり合っていて「ここまでやらなければいけないのか」というくらい厳しい仕組みを作らなければいけないのではないか。社内の監査機能や取締役会におけるガバナンスの機能がその仕組みの機能の有無を絶えずチェックするということが、問題の発生を未然に防ぐ、あるいは発生したとしても非常に早い時点で察知して小さい問題に抑えるということに繋がると思う。

渡辺:東京電力の問題でも、トップの責任に急速に焦点が当たってしまった。だからこそ、今代表幹事が言われたような組織を作ることが、トップマネジメント自らも守ることになるという認識が経営陣には必要だと思う。最近不祥事が発生している企業は官との接点が深いので、官との対応の仕方も新しい時代に合ったあり方を考える必要がある。つまり新しい官のガバナンス、新しい民間企業のガバナンスを確立すべき時代が来ているのではないか。官と民の間があまりにも曖昧で内部取引的にならない関係を作ることが、お互いの責任を果たすことに繋がるのではないか。

Q:企業不祥事に対するトップの責任の取り方について

小林:それぞれの企業の固有の経営者自身の判断によると思う。起きたことの責任を取ってすぐ辞めるケース、またある程度の見通しが立つまでやることが責任の取り方としてあり、どこが(辞めなければいけない線として)アウトでどこがセーフとは決めにくい。同友会がルールを持って、ルールに反しているかどうかを判断を下すことは難しいし、下すべきことではないのではないか。

Q:内部告発について

小林:内部告発という言葉の響きはたいへんネガティブに聞こえるが、個人攻撃ではなく「実際にこういうことがあり、事実はこうだが、上部に報告されていない」ということ、事実が事実として認められるような空気、それを良しとする空気を組織の中に作っていかなければならない。組織が大きくなると、フォーマルな手段だけですべての事実を把握することは難しくなるので、内部告発そのものは是とするが、その中で個人に対する非難と善意に基づくものがきちんと区別されないといけないと思う。

Q:南副代表幹事の辞任あるいは生田副代表幹事の郵政公社総裁就任等を受けた副代表幹事の後任について

小林:生田さんが郵政公社の総裁に就任することについては、日本人として、企業人として、素晴らしい人事だと思う。しかし生田さんの就任は正式には来年の4月とはいえ、総裁としての仕事に今からかなり時間を取られるだろうから、同友会という観点で考えれば極めて有力な人材を失うようなものだ。ここは割りきって同友会そのものの活動も国の為にやっているわけだから、同友会の有力な人材が、厳しい状況の中で国のためにお役に立てるということで諸手を挙げて喜びたい。

後任については、専務理事、他の副代表幹事と相談しながら、同友会には我田引水になるかもしれないが若手も含めて多士済済なので近々に空席を早く埋められるように努力していきたい。具体的な固有名詞は決まっていないが、なるべく早く決めていきたいと思う。

Q:生田副代表幹事からは副代表幹事退任の申し出はあったのか。

小林:申し出はない。4月1日以降は公社総裁としての職務にコミットされると思うし、国民もそれを期待していると思うので、(副代表幹事との兼務は)難しいと思う。それまではできるかぎり同友会の仕事もやっていくと生田副代表幹事から伺っているが、総裁の辞令が出ており、時間の制約はあると思う。4月前にどうなるかについては、生田副代表幹事と話はしていない。南副代表幹事の後任については、南副代表幹事が退任しても定款上の最低人数を下回らないので、急ぎ決めるということはないが、あまり時間を置かずに新しい副代表幹事を選任したい。

Q:(意見書では郵貯の大幅縮小、廃止を提言しているが)生田副代表幹事に対する期待について

小林:同友会は「郵政三事業の在り方について考える懇談会」が出した3つの案の中の郵貯・簡保を廃止しての完全民営化を支持しているが、今後どのような形になっていくかは、公社総裁としての生田副代表幹事が何が可能で何が不可能なのか是々非々をはっきりさせて取り組んでいく能力に期待している。小泉総理もそれを見込んで、引き受けていただいたのではないかと思う。個々の中味については、公社そのものの活性化を踏まえ、その先をどうするかを楽しみにしている。

(ペーパーでは)金融システムの信認確立に向けてはペイオフの問題だけでなく、郵貯の問題、政府系金融機関の問題にも対処していかなければ、全体の効果にはつながらないという点を強調している。この点でも生田副代表幹事への期待は大きい。

Q:株価のバブル崩壊後最安値更新、株価対策とその是非について

小林:世界経済の当面の不透明さを反映している。米国経済の見通しが年初とは異なってきている。当面、日本の景気は米国の景気、それの影響を受けるアジアの景気の関係で、株価も含めて一進一退の状況が続くのではないか。日本自身として米国に頼る分を少なくしてどうやっていったらいいかを考えると、民間企業そのものが先に向かって活性化を進めていかなければならない。金融機関がリスクをとらなくなっていることも経済を内向きにして閉塞感を増していることにつながるので、少しでも風穴を開けていくことが従来以上にますます必要になってきている。経済同友会の景気定点観測も大筋景気は横ばいという回答だが、その中をみると3ヵ月前は横ばいを中心に明るい方が多かったが、集計中の今回調査では暗い方が多くなっている。景気については、最近の不祥事の問題もムードとしては株式市場等についてもマイナス効果になっているのではないか。残念だが、ここしばらくはぱっとしない状況が続くだろう。株価対策をいま、特別にしなければいけないとは思わない。資本市場活性化のいくつか対策をきちんと仕上げて実施していくこと、それ以外に特別なことをやる必要はないし、やったとしても効果があるとも思わない。

福井:最近の市場について、市場のプロは市場の流動性が下がっているという言い方をしている。買い手が様子見姿勢で出来高が非常に少なくなっている。買い手が様子見姿勢で何をみているかというと、企業価値の創造に向けた日本企業の次ぎのステップは何かを基本的に見ており、政府の施策については、政府が自ら設定したターゲット、ペイオフ解禁、長期的税制政策のあり方、政府系金融機関の整理の問題、郵貯についての問題など、これからの日本経済の創造能力について決め手となるような関門がいくつか設定されていて、これからそれがどうなのか、時間的距離をおかないでそこを見極めたいという気持ちが強いのではないか。したがって、市況対策を期待しているわけではない。本筋のことをどれだけやるかを見ているのではないか。

渡邉:税論議がずいぶん煮詰まってきているが、株価、株式市場に対する対策は、法人税率の引き下げが非常に効く。同友会は5%の引き下げを提言しており、株価収益率からみれば、仮に全部利益にはねかえるとすれば、理論上は20倍以上の株価になっていいわけであるし、自社株買いを進めるのに一番いい時期であり、企業の資本構造の改善を積極化すべき時にあるのではないか。

Q:(日商はそのまま実施すると中小企業に対する貸しはがしが起きるという理由でペイオフ解禁反対の立場だが)貸しはがしに対する考えについて。

小林:一般論という前提だが、日本経済がいろいろな手段を持って進もうとしている方向は日本経済をいかにより効率化していくかに尽きる。現実にはいろいろな産業にオーバープレゼンスがあることは客観的にみんなが認めていることであり、その中の非常に多くの企業が中小企業という範疇に入ることもみんな認めている。中小企業の中には元気な企業がたくさんあることは確かだが、いま日本経済が苦しいけれどもやっていかなくてはならないことは、あきらかに問題だというところについては、生き残りの策を無条件に提示するのではなく、ある程度条件をつけて、それができなければ規模の拡大を図る、転業する、廃業する、といったことができるようにしていくことであり、それができないと日本経済の活性化は進まない。大切なことは、技術力があっても金融的、財政的余裕がない個々の中小企業について、ここをつなげば十分活路が開ける、という見通しを金融機関がきちんとしていくということが本来の責任である。そういうリスクテイクをした際、そのこと自体が金融機関のマイナスにならないようなことを一方の仕組みで担保していかないといけない。日本の経済を活性化しよう、その中ではある程度の痛みは覚悟しなければならない。その痛みの中にはいくつかの企業が退場を迫られることはやむをえない、しかしその際、企業としては退場しても働く人についてはセーフティーネットを準備し、新しい雇用機会を準備することで活性化が進むようにしていかなければならない。4月1日をふまえて、いろいろなものを延期していこうとすると、大きな歩みがスローダウンしてしまう。施策の実施を先に延ばせば延ばすほど、日本経済の活性化が遠のいてしまう。ペイオフの解禁を延期すると、表面的に貸しはがしが減るとかなくなることはあるかもしれないが、大きな姿としてみたとき、中小企業に限らず、本来退出しなければいけない企業がそのまま残って、経済そのものの不効率が温存される可能性、起きるモラルハザードのリスクの方が大きいのではないか。その一方で元気になる中小企業に対しては金融面、雇用面でも、具体的な対策を取れる余地はあると思う。

Q:意見書を出すに当っての同友会としての危機感や公的資金の強制注入の可能性について

福井:世の中の危機感と我々の主張が合えば、政府としても取り上げやすいと思う。しかし、いたずらに危機感を煽るつもりはないし実態に即した危機感を前提とした主張だ。実態認識については、過去10年以上この問題に苦しみ続けている中、マーケットの眼力も研ぎ澄まされ、問題の所在はわかっていると推察している。従って、本気で国民を挙げて構造改革を進めていくのであれば、不良債権問題の処理、企業の整理・再生は構造改革のある段階を示しているので、これを進めることは、構造改革のステップを次の段階に進めることになる。我々のねらいは、先ほど申し上げたが、経済の新陳代謝メカニズムや金融機関のリスクテイク能力を取り戻すことにある。構造改革をさらに進めるためにも、ここで止まっていては真の前進はないという危機感を持っている。

ここでは、公的資金の注入を強制でやるかどうかについては触れていない。また同友会内でも強制注入すべきかどうかの議論を詰めてはいないが、同友会メンバーの意向を踏まえたうえで私の個人的な意見を言えば、強制注入は必ずしも適当ではないと思う。この段階まできて、将来を見据えた上で、政府が金融機関に最後の選択として資本注入の受け入れを迫ることは有りうる。以後は集中治療室から退院してもらうと明確に宣言することで選択眼を厳しく持つことができる、という思想を背景にしていると思う。

経営者の責任をどのように明かにするかについては、経営者自らが行なってきたことと世の中からの評価とを併せて考えることが基本だが、将来のコーポレートガバナンスの姿については、強く変革の推進をしたい。将来に向ってリスクにチャレンジして新しいビジネスモデルを築くに当って、それに相応しくない経営陣がいるのであれば、その刷新は提言したい。しかし、過去の問題については、個別の金融機関の経営の中味を洗い出したわけではないので、触れていない。

以上

(文責:事務局)


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