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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2002年05月21日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
渡辺正太郎副代表幹事・専務理事・広報委員会委員長

記者からの質問に答える形で、(1)同友会の税制についての考え方、(2)京都議定書の衆院通過、(3)個人情報保護法案、(4)新団体(経団連と日経連の統合)の発足、(5)今井敬・経団連会長の評価、について出席者から発言があった。

Q:経済財政諮問会議の税の問題が山場を迎えているが、経済同友会として景気に有効な税制について何か考えはあるのか。

小林:経済同友会の税制全般についての考え方は、5月24日にはきちんとご案内したい。基本的なポイントは、当面の景気を含めて日本経済を元気にすることが主眼である。一方で構造改革が進展し、企業倒産が減らず失業が増えることもある。一般の人から見て、経済の元気をつけることが単純な企業向けの優遇税制であったり、個人の犠牲や一部の増税によって行われないようにすることが、政治的な配慮から必要であると思う。

これらを踏まえた上で、基本的な考え方は減税先行である。単年度の税収中立、ではなく、基本的に歳出削減を財源捻出の手段とすることが優先される。これは社会的な合意を得ることからも非常に重要である。税収の安定については中期で見る。歳出削減の中身について、公共事業の縮減や長期計画の見直し・廃止が中心になるが、もう少し具体的に詰めたいと思う。 個別の税制については、国際的なバランスを考えて法人減税が非常に重要である。現在の実効税率(40.87%)を思いきって35%程度まで下げることが必要である。欧米のみならず、東南アジアとの競争を視野に入れて、事業基盤整備の一環として必要であると考える。

こうした法人減税が個人にどういう影響を与えるのか。基本的には減税による企業活力の発揮は、雇用・所得・設備投資に好影響を与え、資本市場の株価回復にも好影響をもたらすと考える。

法人税を下げるだけでなく、基本的に租税特別措置をすべて白紙に戻して、真に必要なものだけ改めて講じ、課税ベースを広げる。また応益性の観点から、全ての法人が社会のコストを負担する体制を構築する。個人でも「薄く広く」といっているが、これを法人でも行って、赤字法人課税を強化する。具体的には法人住民税の均等割を倍増する。こういった内容をこの24日に正式に発表したいと思う。

Q:赤字法人課税については外形標準課税も視野に入るのか。

小林:基本的にはそれを含めて考えている。外形標準課税について、赤字法人の数が多いということも含め、応益性を視野に入れて考えるべきだと主張してきている。形はどうなるかわからないが、基本的にはその方向を視野に入れて考えたい。

Q:京都議定書が今日、衆院を通過する見通しだが、それについてコメントを頂きたい。

小林:基本的には京都議定書の通過は歓迎すべきだと思う。米国やカナダなど幾つかの国で、京都議定書を批准して、そのまま受け入れるということは経済の国際競争力の点で非常に問題だ、という指摘は出ているし、日本でもそうした観点(での批判)が出ているが、環境問題そのものについて、単に日本が会議のホスト国であったということだけでなく、経済界としても前向きに受け止めて、環境対応を柱にした経済の運営をきちんと進めていくことが重要だ。

元々米国が議定書に参加しないということが非常に大きな波紋を投げかけて、それについては賛否両論あるが、私としては、京都議定書から脱退するという米国のブッシュ政権の姿勢は、米国の一国中心主義が昨年9月11日の直後は変わったように見えたかもしれないが、やはり変わっていないのだという世界の見方を裏付けている、あるいは一体となっていると思う。もちろん、米国は議定書から脱却するけれども、環境問題について米国独自の、具体的な、より合理的な方法を出してくると言っているので、全く救いが無いとは言わないが。

日本における議定書の衆院本会議の通過というのが、更に米国を前向きに引き寄せるということについてプラスになるだろうと思っている。日本も思いきって脱退すべきだ、というかなり勇敢な発言も一方ではあるが、私はそれは生産的だとは思わない。

Q:歓迎するというのはどういう意味か。

小林:好ましいということだ。

Q:個人情報保護法案の審議が国会で始まったが、メディアに対する罰則規定があってメディア規制法という見方があるがどう考えるか。

小林:私は、技術的な意味ではなく大きく2つの問題があると思う。まず、基本的にはメディアの取材規制、報道規制につながるような法律は好ましくない。完全に抜け穴を防ぐということができるかどうかは分からないが、当事者が代わった場合に、解釈の仕方によって(法律の運用について)かなり危険がありうるのではないかと大方が予想しうるような法案とか条項を、そのまま通すべきではないと思っている。いま、読売新聞から修正案が出て、それに対しても色々な意見が出ているが、そういうことを含めて、悪用、乱用ができないように議論を尽くし、できるだけそれに対する歯止めをしていくことが必要だと思う。

一方でメディアについては、既に自主規制その他の動きが出ているわけで、それについては好ましいことだと思う。個人情報、あるいは人権の問題を含めて、もちろん使う側、読む側、見る側にも責任があるが、報道の仕方が過度に流れれば、それに対する反動として、ある程度の拡大解釈があっても法律を制定しないといけない、という動きが出てくることはありうるので、これをきっかけにして、いい意味で自制の効いた報道というのはどういうことか、まさに自主規制、あるいは常識や良識の再確立を通じて、個人情報の保護について、メディアもわれわれも、お互いを厳しく監視していく必要があるのではないか。政府が出てきて法律を通さなければだめだ、というのはミニマムであるべきだと思うし、拡大解釈(の可能性が)が、少なくともいまの段階では大きいというのが、メディアばかりでは無く、多くの人たちの意見だから、政府は謙虚に耳を傾けて、なるべく(抜け)穴を無くしていくことが政府の責任ではないかと思う。

Q:法案の成案には反対だということか。

小林:いまのままでは、そうだ。

Q:修正案だったらいいということか。

小林:修正案の中身次第によると思う。

Q:5月28日に日経連と経団連が統合して新しい経済団体ができるが、改めて新団体に対する期待を聞かせて欲しい。

小林:経団連も日経連も、あるいは同友会も50数年前は根が一緒だったが、それぞれの目的に応じて別れた。新しい団体が生まれることについては、一つには日経連が生まれた事情が全く無くなったとは言わないまでも、新しい団体において対処できるようになった。もう一つは、世の中に色々な意味で合理化、リストラの動きがある中で、経済界としてもそれに前向きに向かい合う必要があるということ。グローバリゼーション、情報化の問題等について、改めて日本の企業・経済界が世界に通用するビジネスモデルを求められているし、社会との関係で、将来に向けて、どのように(企業・経済界の)信頼性を担保していくのかという大きな問題について、新団体が従来の経団連、日経連がやっていたことについて、より効果的にメッセージを出し、傘下の企業や団体の行動に対して、より効果的な意味を持つことができるように、奥田新会長の指導力に個人的にも大いに期待しているし、世の中の期待も大きいと思う。

二つの団体が一緒になるに際して、具体的にどのようにリストラ、合理化が行われるのか、新しい団体が自主的に決めていくことだと思うので、この点にも多いに注目したい。

Q:新団体の発足に関連して、今井経団連会長が今週お別れ会見を行うが、今井経団連会長への評価を聞かせて欲しい。

小林:今井さんが豊田さんの後を受けて経団連会長になられ、私も同友会でご一緒したが、(強い)意志を持ち、また大変勉強家なので非常に広範に目を配られながら、表現に問題があるかもしれないが、日本の基幹産業の競争力を、いかに将来に向って担保していくかについて極めて積極的にバランスの取れたポジションを、あまりぶれずに取り続けてこられた。京都議定書に関するポジションの取り方でもそうだと思う。経団連会長として極めて大きな成果を挙げられたと思うし、大きな敬意を払いたい。

話しは変わるが、経済同友会と似たような性格の団体が世界にはいくつかあり、毎年会議をやっている。今年はニューヨークでCED(経済開発委員会)がホストとなって会議を行った。CEDは1942年に設立され、メンバーは300人くらいいる。同友会と性格がよく似ているが、違う点は経営者以外に大学関係者、特に大きな大学の学長、総長などを正式メンバーにしている。会議では色々な議論が行われたが、やはりエンロン事件の波及はその後各所に起きており、今日の新聞でも、アーンスト・アンド・ヤングがSECから訴えられたという報道があった。

米国では二つのことが議論されていると思う。一つは、コーポレートガバナンスに関連した監査のあり方についてである。もう一つは、企業のトップとして、どのような資質を考えなければならないかという問題である。どのようなトップを選ぶかについての取締役会の責任が問われている。日本でも成果を挙げられないトップをいつでもクビにできる権限を取締役会に持たせるという話があるが、その前にどのようなトップを据えるか、トップの資質の問題が今、米国で問われている。コーポレートガバナンスが狭い技術論を超えて、かなり広い範囲で議論され始めているという印象を強く受けた。日本でも、こうした問題はさらに詰めていかなくてはならないと思っている。

以上

(文責:事務局)


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