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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2002年02月19日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長

記者からの質問に答える形で、(1)日米首脳会談、(2)デフレ対策、(3)日米財界人会議、(4)為替、(5)公的資金注入問題、(6)国債格付け等について出席者から発言があった。

Q:今回のブッシュ米大統領の来日と日米首脳会談の成果について伺いたい。

小林:ブッシュ米大統領の来日と日米首脳会談は成功であったと思う。代表幹事コメントとしても出したが、大統領が(今回)最初に日本を訪問されたことは、米国が日米関係を重視していることを示しており評価してよい。経済問題の具体的な中味については、すでにオニール財務長官やダム財務副長官訪日の際や、先般の(ニューヨークでの)ダボス会議前に竹中経済財政担当大臣が話されていると思うので、大統領から小泉総理にさらに念を押すことはなかったのではないか。ただ、米国の景気が今年後半には良くなると言われており、それに牽引されてアジアも良くなり欧州もまあまあとされる中で、日本だけ景気の悪化が続いており、大統領が「小泉総理の政策実施にかける意志を信じる」と強くはっきりと言われたことは日本に念を押す意味もあり、それだけ責任も重くなったが、日本側にとっては大きな得点であったと思う。

先日の大統領の年頭教書を受け、アフガン後の世界の行方が世界中の関心事となっており、日本にとっても大きな関心事である。このことについて、両首脳の間で具体的にどのような話があったかは分らないが、テロ撲滅に向けた米国のスタンスを同盟国として日本が共有していくと言っていることはそのとおりだと思う。ただ、アフガン後の具体的な展開によっては日本の対応も変わり、自主的に判断していくことになるだろう。9月11日以降の日本の特措法等の対応については、大統領から感謝の言葉があった。また、朝鮮半島問題は、総理が首脳会談の後で、「悪の枢軸」については米国の決意の表明であり、具体的対応についての大統領の考えは非常に慎重であると話されていたが、我々としてもそう信じるしかないし、そうあって欲しいと思う。今回の日米首脳会談は両首脳の関係も和やかで成功であったと言える。

Q:経済面では米国側から求められたデフレ対策が一番大きな問題となると思うが、具体的にどのような手を打つべきか。

小林:デフレ対策については、経済財政諮問会議で不良債権処理をはじめ5つの対応策を進めていくとのことだが、基本的には不良債権処理の迅速化が重要である。金融システム危機の恐れが現出しつつあり、政府や民間金融機関に対してきちんと条件をつけながら、公的資金投入等の断固とした処置をとる必要がある。また、預金保険法についても、現状のままでは強制注入ができるかどうかについて議論があるので、こうした目に見えるところをきちんと整備していかなければいけない。同友会の考えは、例えばインフレ・ターゲット論はあまり効果もなく、場合によっては害も大きいと思うし、金融緩和についてもマネタリー・ベースは非常に増えているが、マネー・サプライは増えず銀行から先にマネーが出て行かない。これも不良債権の大きな存在が邪魔になっている。一層の金融緩和のために日銀が何でも買い入れていいのではないかという議論についても、その必要はなくむしろ害の方が大きいと思っている。

大統領は、総理が断固として構造改革を進めることを支持し、構造改革を実行していくことを信じると言われ、総理は日本政府の経済対策について説明した。こうした日本の政策に対して大統領が全面的に評価するというコメントや国会演説があっても、今日の午前中の市場は残念ながら下がっており、前向きには評価されていない。デフレ対策について、また構造改革と不良債権問題を断固進めることについて、市場はまだ目に見えるものが出ていないと評価しているのではないか。我々は、2月15日発表の代表幹事見解で示した内容を実行することが、目に見える形で不良債権処理を進めるという不退転の覚悟を示すことになり、結果的にデフレ対策にもつながると考えている。

Q:今回の会談では大統領から厳しい注文は出なかったが、日米財界人会議では米国経済界からかなり厳しい声が出ていたようだ。その点をどう考えるか。

小林:今回、私は国内の予定と重なり出席できなかったが、報道からそうしたトーンであったことは理解できる。先日のダボス会議でも基本的には同じで、海外からの見方として、聖域なき構造改革、痛みを覚悟した構造改革について、まったくぶれない小泉総理が登場し期待していたのに、本当に構造改革が進んでいるのが見えないということがある。また、構造改革を進めれば短期的には景気が悪くなり失業率も急速に上昇することは、どこの国の例を見ても共通であるのに、日本ではそれを非難する声が挙がっている。このようなことからも、日本が今どのような状況判断をして、何をやろうとしているのかが海外からは見えないのだと思う。

日本の構造改革が、米国や他の国々が経験してきたことと同じように進んでいくと判断できる目に見える材料がほしいとの意見もある。その一つが不良債権処理や借入先の処理であるが、これに対する日本の態度が、断固とした構造改革と言いながら鈍ってきているように見える。そうなると、構造改革のテンポやそれを進める総理の決意に陰りが見えてきたのではないかという疑念が発生する。大統領の訪日を受け、総理は支持率が低下しても断固として構造改革を進めることを説明したが、この点が日米財界人会議で、決意は良いとして具体的なアクションを見せて欲しいということになったのではないか。

Q:(米国自動車業界の)ビッグ3が、円が安すぎるのではないかと大統領にぶつけたが、今度の会談では話題にならなかったと伝えられている。今程度の円安は容認と考えているか?

小林:現地生産も含めて日本車のシェアが上がって、ビッグ3が下がっているので、発言は驚くに当たらない。そういう中で、今の状況が円安に過ぎるというよりは、日本ではデフレ対策の一環として、もっと金融をじゃぶじゃぶにして円安にすべきということも言われている。(しかし一方で)オニール財務長官が来日されたときも、これ以上の円安や円安に頼った外需刺激による景気対策は認められないと言っている。日米首脳会談で、円安、為替レートの話しが出たかは知らないし、報じられてもいないが、今程度の(為替)レンジは米国としては許容範囲だと思う。

水口:公式には、為替レートは市場が決めることという発言がなされている。

Q:金融システムの危機は目前と認識されているとのことだが、ある一定の条件のもとで直ぐにでも公的資金を注入し、目に見える形で改革を進めるべきということか。公的資金の注入は特別検査を待って判断するのか。特別検査は3月いっぱいかかるということだが、一方で金融庁は4月から問題のない体制にすると言っているのだから、注入するのであれば3月までにと思うが、時期的にはどう考えているか?

小林:常識的には特別検査の結果を待つことだと思うが、金融不安が出てきた時には預金保険法102条の発動で間髪を入れずに注入することができるし、これまでの総理の発言からもそうした対応をとることははっきりしている。しかし、預金保険法で問題なのは、強制注入は金融機関が申し出なければ資本注入できないと解釈されていることである。その点については、金融機関からの申し出がなくても、必要があれば公的資金の注入ができるよう法律改正も含めて考えていく必要がある。金融危機対応スキームの見直しとともに、法律改正も含めて今国会中に議論して欲しい。この問題については、現在は閣内の意見が一致しているようだが、いざと言う時に対応できるような環境を整えておくべきである。民間は経営責任や透明度の問題も含めてやるべきことを進めていくべきである。その辺のコンディショナリティは非常に重要なことだ。

Q:大手行の場合は追加で(貸倒)引当金を積み増しても自己資本比率は10%以上保てると金融担当大臣も言っているが、大手行以外の金融機関についてはどうか?

水口:一部公表の計算はBIS規準であり実質的な自己資本比率はもっと低い。あるシンクタンクでは4%と言っているし、野村総研ではトピックス1000で1.1%という数字を公表している。したがって、今回の措置は抜本的かつ最終的なものとすべきであり、金融システム信認確立への不退転の決意を明確に表明すべきである。具体的な時期や法律改正という問題については、銀行界からディスクロージャーが無く、金融庁も最後の特別検査をしてからということなので、その結果をみてからの判断とならざるをえない。しかし、コンディショナリティについてはきつく提言している。タイミングについては、実態が分らないので、当事者(金融庁及び金融界)にボールを投げたとしか言えない。実態が把握できないし、我々が責任をとれることではない。海外からは臆測の意見が出て、国内からも多くの研究所から異なる見解がでているので、その辺(実態)をはっきりさせるべきである。

Q:速水日銀総裁は米国基準を使えば5%程度、金融庁はBIS規準で良いと言い、平行線を辿っているが。

水口:そうした議論は止めて、政府が一体となって、政策としてきっちりやって欲しいということを強く要求している。

Q:預金保険法を改正すべきということが前提にあり、必要があればいつでも注入にできるようにしておくということか?

小林:そのとおりである。

Q:法律改正を求め、また法律改正を前提とすることであれば、時期的には短期的なものを考えていないということになるが。

小林:法律改正となればある程度時間がかかる。今の緊急事態を前提にすれば、できれば今国会中に議論して欲しい。しかし、本当に必要性が高まれば、今書かれている(現行法の)ままでも、実際には要請をしなければ破綻状況になることが分っているので、逆にいえば要請せざるをえないはずである。本当の意味で、実際に強制する必要が出るということはありえないし、仮にそのための法整備が少し遅れたら何もできないかと言えば、そんなことはないと思う。非常に形式論的に解釈すると、何も言ってこないのにどうしたらよいかと周囲がいらいらしても仕方ないので、要請がなくても注入できるよう法律を整えておけばよいということである。

水口:預金保険法102条で規定されている発動条件は「措置が講ぜられなければ、国又は当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると判断される時」ということなので、解釈が非常に幅広いという問題がある。今のままでもできるという話もあるし、厳密にいえば改正しなければならないという話もあるので、この点は政府内で意見を統一してきっちりやって欲しいというのが我々の主張である。

小林:日米財界人会議、ダボス会議など海外から共通して出てくる言葉は“政治的意思”である。それは、法を無視してどうこうするということではないが、法の解釈についても勇気をもって政治的判断をし、やるべきことはやるという意思が、今までのところは日本側に希薄だという判断をする向きが残念ながら多い。それが(国債の)レイティングやいろいろと報道されている海外からの日本に対する厳しい評価に現れている。今回の首脳会談の中で、ブッシュ大統領および随行者の方々が、小泉総理の言葉を通して日本の“政治的意思”の強さを感じとって帰られたことを希望する。また、それだけに終わらず、きちんとした体制を整備することを望む。

Q:国債の格付け引き下げについて、格付け機関が自身の意見で格付けすると思うが、代表幹事から見て、日本の現状とのギャップはどれくらいあると考えているか。

小林:(同レベルの格付けの他国と比較して)少し下がり過ぎだと思う。格付け機関によれば、国債の格付け基準は、(財政)赤字を返済する政治的な意思があるかないかという定性的な判断と、その金額がどれ位でGDP対比が何パーセントかという定量的な判断とで行うとのことだ。その結果、意思も弱く返済額が非常に大きければレイティングも下がり、先に向かってもネガティブになる。日本の財政赤字が巨額ということについては議論の余地が無い。問題は政治的な意思がどうかということだが、歯がゆいというか今やろうとしていることが前向きに捉えられていない。一つには構造改革について支持率が下がる前でさえも厳しい感じがあったのに、支持率が下がって尚更厳しくなったという解釈もできる。政府、民間がこうした問題に断固対処していく姿勢がある、そのための具体的なアクションが取られつつあるという材料を出すにはどうしたらよいか。その一つが、不良債権処理に断固として対処することであり、少なくとも最低条件としてそれをクリアしないと他の話しが耳に入らない。今のようなレベルに格付けされていることは面白くないが、政治的にどうかという判断について聞かれれば、それくらい厳しく評価されても仕方ないと思う。

水口:91~2年には、米国の方々と会議をするたびに「双子の赤字をなくして欲しい」と要求し、彼らは声も無かったが、今は全く逆になった。その当時でも、米国は財政赤字を無くしていくという強固な意思を持ってやっていたが、日本は小泉内閣になってやっとその意思が出てきた。国債問題に30年近く従事している立場から言えば、(日本国債の格付けは)トリプルAマイナス、いくら低くてもダブルAプラスは当然だと思う。結局は弁済能力の問題であり日本の国力は十分ある。その点で言えばR&Iの格付けは非常に高く評価しており、彼らには国内および国際的に信任を得るような説明をして欲しいと強く要求している。(現状とのギャップについては)感情的な苦情ではなく世界のマーケットがそう見ているということが重要だ。外国人は日本国債を20兆円持っており、この動向は馬鹿にできない。今後の国債管理政策について政府内部でも色々検討されているが、重要な時期に来ている。特に(イメージと現実の)ギャップをどう埋めていくかということが重要である。今度のデフレ対策も景気対策の名前を変えただけだという批判もあるし、5項目の中でも「選択と集中」で、構造改革の下支えとなるようなデフレ対策を実施していくことが重要だ。野村総研のストラテジストの意見を聞いても日経平均一万円内外のところは政府の「やるのだ」という意思で持つが、ある時期からは具体的な物が出てこないと持たない。循環的にはミクロで非常にいい数字が間違い無く出てくる。来年の3月期は猛烈な増収増益率になるという数字も出ている。

Q:(「金融システムの信認確立への政府の決断を求める」との)ペーパーは、官邸に持参したのか?

小林:秘書官に電話をして届けた。

Q:今井経団連会長から予防的に(公的資金を)注入すべきという意見も出ているが、経済四団体で団結して小泉総理に要請するという考えはあるか

小林:今は考えていないが、日米首脳会談が終わったばかりということもあり、ダボスの結果もお話したいと思うし、(それぞれの意見を)フォローする意味でも機会を作れればやりたいと思う。小泉総理の政策実現の意思をブッシュ米大統領はあれだけサポートした。別の言い方をすれば、これをやってもらわなければ困るということだと思うが、そのような意味を含めたとしても、総理を信じる、あなたに賭けているということだと思うし、我々も強く言いたいと思う。日本も思い切って総理に預けているという姿勢を強く出してもいいのではないか。ダボス会議で、マハティール氏のセッションの司会役を仰せつかったこともあり、その前に懇談したが、その中で、小泉総理に対して、日本に対して、どう感じているかを聞いたところ、「大改革には時間がかかる。今、小泉総理に必要なのは時間だ」ということだった。マハティール氏もマレーシアの改革には時間がかかったし、間接的には総理に対してせっかちに、日本の国民もメディアも自民党の政治家も求め過ぎていると言っているように思えた。我々としても、その点は大いに考えなければいけないし、前向きにやるべきこと、プラスになるようなことにはどんどん注文を付けていくべきだと思う。失業率が上がったから、規制緩和・撤廃、構造改革も何も進んでいないではないか、といった足の引っ張り合いは止めて、どうやってサポートしていくかを強く出すべきだと思う。その一環として、ご質問のような機会をなるべく早く作りたいと思う。

Q:公的資金の投入の規模についてはある程度の金額は想定しているか。金融危機特別会計が15兆円あるが、それで足りないという人もいるし、それでいいという人もいるが。

小林:今は金額については触れていない。

水口:我々には分からない。しっかりやって欲しいといっている。

Q:一兆円、二兆円程度では、目立った効果があるとは思えないが。

水口:そういう議論はしたくないし、分からない。要はどの範囲までやるかということだ。当然国有化ということもあるし、だから(見解にも)コンディショナリティについて相当厳しく書いている。

Q:山崎拓政調会長が、整理回収機構(RCC)の関連で、簿価買取と言われているが、これについてはどう思われるか?

小林:問題外である。

Q:それは何故か?

小林:時価というのは売り手と買い手の交渉事で決ることだ。これだけ簿価と時価との差が出ている中で、元々、RCCの議論が起きたときから、簿価は話しにならないということで進んでいたと思うし、それが当然だと思う。吐き出しやすくするために簿価という考えはあるのかも知れないし、後で再度マーケットに出して商売になるという判断をして簿価で買うところがあるならばいいが、基本的にはそのようなところは無いのではないか。

以上

(文責:事務局)


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