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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2001年12月18日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長

冒頭、「2001年12月(第59回)景気定点観測アンケート調査結果」について、水口弘一副代表幹事・専務理事から報告の後、記者の質問に答える形で、(1)特殊法人整理合理化計画、(2)円安の進展、(3)日本取締役協会の発足、(4)銀行株の動向と公的資金投入の是非、(5)セーフガードの発動、(6)今年の回顧等について出席者から発言があった。

Q:本日、政府が特殊法人改革で整理合理化計画を決め、明日の臨時閣議で正式決定という運びになったが、これについての評価、感想を伺いたい。

小林:私は第三次行革審で特殊法人問題に取り組んだ経験もあり、経緯を見ていても、小泉総理、石原行革担当大臣が批判を受けている面もあるにせよ、なかなか良くやったと評価していいと思う。政府系金融機関等の問題について実際の見直しを経済財政諮問会議でやるということ、また政策決定プロセスが政府主導に移っていくという傾向がはっきりしたことも含めて、なかなかの成果だったと評価していいと思う。

Q:政府系金融機関の結論が先送りになったという評価もあるが、経済財政諮問会議で(見直しを)やるから問題無いということか。

小林:道路公団関連もそうだが、小泉総理の政治的な現実性を加味する手腕はなかなかのものと思って感心している。先送りが決ったと喜んでいる人達もいるが、経済財政諮問会議でやることを決めた。「今まで見直しさえも問題だったので、見直しをするということだけでも大進歩じゃないか」と総理が言われるとおりだと思う。きちんとした見直しがされることを期待している。

Q:円安が急激に進展しており、今日も128円台をつけているが、この円安に対して危機意識をお持ちか。

小林:今の円安は急激というべきなのか。円安を仕掛けずに、結果としての緩やかな円安はむしろ歓迎すべきだし、許容すべき範囲の円安だと思う。株価についても、通信株や銀行株等不調なところもあるが、円安絡みで高値をつけているところもある。この(円安)傾向そのものは、予想されている範囲のことだと思う。130円を突破して(円安が)どんどん進展するかどうかについては、少し見なければ分からないが、むしろ好ましい成果を生んでいる。従って、これ以上、更に円安を促進するようなアクションは今の段階では必要無いと思う。

Q:先日、オリックスの宮内義彦会長が「日本取締役協会」を立ち上げた。会の主旨や理想は理解できるが、一部に「第二同友会」との見方もある。どのように受け止めているか。また小林代表幹事に参加の要請はあったのか。

小林:“第一同友会”が頼りにならないから第二を作るということでは問題だが、第二だろうと第三だろうと「~同友会」と呼ばれること自体は同友会のPRに繋がるので大変結構と思う。冗談はさておき、元来コーポレート・ガバナンスの問題を宮内さん、生田さん、若杉先生等は考えておられる。その一方で監査役協会があり、監査役機能を強化することによりガバナンスの成果を高めていこうという考え方がある。同友会は、監査役機能を強化するだけでは本来のガバナンス機能は強化されないと考えている。米国のように社外重役を中心とした監査委員会のあり方でガバナンスを強化すべきという見方があって、宮内さんはじめ同友会にはそういう考え方をする人も少なくない。宮内さんは、日本企業は取締役会と株主の関係をもう少しはっきりするべきだ、株主のために取締役会があるということを明確に認識して、それに徹する形でガバナンスが進まなければいけないと言われている。それに基本的に同調し、コーポレート・ガバナンスについて関心が非常に高い方々が、今度の協会の立ち上げに参加されたのだと思う。主旨は非常に結構と思う。株主だけのためと言いきってしまうのがいいかどうかは別にして、日本企業のガバナンスにおいて取締役会の機能が弱いのは事実であり、監査役協会や日本取締役協会、もちろん同友会が打ち出していくガバナンスについての強化策等を踏まえ、結果的に日本企業の競争力が強化されれば大いに結構と思う。

誘われたかどうかについては、参加しろという話はなかったが、申込書は来ている。最初は公開企業だけと思っていたが、公開企業か大規模企業と書いてあるので、(富士ゼロックスが)大規模企業に入るかどうかは別として、(参加)資格はあるのかもしれない。コーポレート・ガバナンスが少しでも先に進むということについて、今度の協会設立はかなりインパクトがあるし、効果も期待できるのではないかと思う。

水口:興銀の故・中村金夫さんを中心にコーポレート・ガバナンス研究会が以前からあり、代表幹事、宮内さん、私も中心メンバーで色々なことをやってきた。当初、共同議長は早稲田の奥島総長だったが、その後、メルシャンの鈴木さん、宮内さんが務めた。最近、最終報告書がまとまり、英文にして外国にも送るようだ。そのメンバーが恐らく中心になったのだろう。今度の会社法改正試案では、社外取締役の設置は強硬規定では無く自主的にということになっているが、我々の一部では強硬規定にするかどうは別として、社外取締役に重要な機能を持たせるべきだという意見があり、私も同感だ。実際に生田さんの商船三井も社外取締役を置いているし、(今回の協会のメンバーの中にも)そういう会社が多いようだ。代表幹事が言われたように、同友会とは少し違うメンバーがコーポレート・ガバナンスを実践する場との理解をしている。私はCEOでは無いので入会はしない。

Q:銀行株が、建設も含めて(株安と)連動するような形で売られているが、年末、年度内に公的資金再注入の議論が再燃すると思うか。またその可否についてはどうか。

小林:まず株価の状況については、かつての長銀、日債銀の頃のように、空売りがある、ない、という話も伝わっており、何が直接的に株価を左右しているかについては判断しかねる。基本的には日本の金融、銀行の状況についてマーケットが極めて重大な関心を示しているということだと思う。何とかしなければいけないという意見と、まだそういう状況ではないという政府要人の発言にかかわらず、公金投入も含めて姿勢をはっきりすべきではないか、という話は以前から出ている。(公金投入について)年内に話は再燃すると思うが、決定が年内にされるかどうかについては判断しかねる。年内か年明け早々かどうかは別として、金融システムについて断固たる姿勢を出した方がいいと思っている。まさに非常に微妙なところ、クリティカルなところにきているのではないかと思う。

Q:特殊法人改革を良しと評価される内容について伺いたい。

小林:具体的なリストも出ているが、非常に難しいところを乗りきったと思う。結果がうまくいくかどうかは別として、住宅金融公庫などは一般論からすればニードもあるし、低利融資を民間ができるのかという疑問がある中で、総理は民間ができることは思い切ってやっていこうということで押し切った。実体としてきちんとしていかなければいけない問題は残るが、かなり思い切ってやられたと思う。道路関係も、第三者機関等を通じて凍結も含めて見直しをするということだが、高速道路等について作ったけれど使われないという状況があることを多くの人が知っているわけで、分かりやすいところで改革の方向を打ち出したというところは評価していいと思う。道路公団で腰折れしたという人もいるが、それは酷評に過ぎると思うし、実質的に改革の実を上げたと評価していいのではないか。

Q:先ほど円安に関してプラス評価的な発言があったが、日本国債に対する信認が薄らいでいるとか、キャピタル・フライトが起こりかねない状況になってきたという声もあるが、それについてはどうお考えか。

小林:円安が今程度か、今後どんどん(進展して)いくのか、ということだと思う。金融緩和というよりも円安効果を狙って外債を買うべきだという声もあるが、今の状況で十分に(円安が)進んでおり、具体的な仕掛けを講じて更に円安を進めることは、現段階では必要ないと思う。今の質問の指摘も十分視野に入れて検討すべきだと思う。

水口:日本経済のファンダメンタルズに即応したレートになってきていると理解している。これ以上、悪くなったらキャピタル・フライト等の問題が起こるので、金融システムの安定が年末から1-3月期にかけての最大の重要問題だと思う。それ以上は、正確なデータを持っていないので無責任なことは言えない。

Q:政府が今週中に、中国に対する農産物についてのセーフガードを正式に発動するかどうについて決定を下すようだが、経済界としてセーフガードの発動を支持するかどうか伺いたい。

小林:今回の件については、経済界と言っていいかどうか分からないが、発動することについては否定的だと思うし、経団連も基本的に同じポジションだと思う。特に暫定的に発動した後の中国の反応、それ自体がルール違反ではないかという議論もあるが、WTO加盟前のことであったし、実際に受けている影響は政治的なものは別として純経済的に見れば余りにもバランスが取れないという指摘もある。その後中国側も歩み寄りを見せていて、当面の問題としてどのように納まるかは分からないが、基本的には正式に発動することについては芳しくないと思っている。それによって受けるメリットは、国内政治的なものはあるにしても、十分に大きくないと思っている。セーフガードの問題については、米国が鉄鋼について、日本に対してセーフガードを発動するという話が現実化している。また、中長期的には、WTOに加盟した後、中国が経済行動、特に知的所有権について、果たしてルールに忠実になるかどうか、あれだけ大きな経済だから実際にそれが徹底されるには時間がかかるのではないかという意見もある。中国が豊富に持っている非常に良質で低賃金の労働力を考えたときに、空洞化の問題と同時に如何に競争に対応するか、今の賃金格差を全て元の切上げでカバーするわけにはいかない。自由貿易、市場開放を謳っている日本としては、セーフガードの発動については慎重でなければならないし、なるべく避けたいという意見もある。しかし、ある条件のもとではセーフガードを発動してもよいことになっているわけだから、今後のことも視野に入れて、セーフガード発動の可否について色々と考えなければならないと思う。欧米でも原則はあくまで自由貿易であり、保護貿易はしないと言いながら、現実には時限的に、ある一定の条件の下で、国内の政治的な状況も踏まえながら、やらざるを得ない形になるケースは今までいくらでもあった。外から見たときに、ある一定条件の下で時限でやっている、という形で日本の政策が信頼を受けるのか、「やはり日本はやったのか」という否定的な評価を受けるのか、この辺は日本の政治、外交、国際経済のあり方について、改めて信頼性を打ち出していくことが必要だと思う。今回のセーフガードの問題は、要所要所に座るトップの方々の政治力、政策力も含めて将来に向けた非常に大きな問題を提起していると思う。

水口:一般論として、経団連、同友会がセーフガード発動をやめるべきだという正式な文書を出したことはないが、小林代表幹事も私も含めて多くのメンバーが加入している民間の経営者の団体として、「自由貿易協議会」というのがある。ここでは政府に対して、総理以下閣僚に対して、FTAを中心に自由貿易体制を促進していく、それを阻害するような行動はすべきではない、ということを強く提言として意見書を出している。中国をどうするかということが別個の問題としてあるが、10年間経済成長を続けてきて13億の人口がありながら、いまだに米国のGDPの10分の1という状況を素直に見て、一部に空洞化論・脅威論もあり、現在のセーフガードがどういう位置付けになるかという問題もあるが、共存共栄という姿勢を持つべきだ。

会見の終わりに

小林:今年は本当に色々なことがあった。嫌なことも沢山あったが、最後に敬宮愛子内親王ご誕生という明るいニュースで締め括れたのは非常に良かった。経済は、年明けに向けて、あるいは明けてから直後に正念場を迎えると思う。聞いたことがあるなと思われるかもしれないが、「政府提案の構造改革計画を支援する。改革の先送りはできない。本年こそ改革元年だ。改革のスピードを加速しよう。改革は例外無しに進めよう。痛みを越えて、乗り越えた先に新たな展望...」これは97年の同友会の年頭見解だ。同友会は個別の企業、産業ではなく、全体の立場で行動して、個別の既得権擁護には与しない。今でもそのつもりでいるが、かつて言ったことが果たしてどの程度実現してきているのか。今年の初めには、「構造改革が順調に進んでいる証拠ではないのか」という小泉総理の発言より少し間接的でもって回った言い方だと思うが、「失業率の高まりは必要な構造改革の一過程として受け止める覚悟が必要だ」と打ち出した。10年前から実際に構造改革を何もやっていないわけではなく、進めてきているが、確かにテンポが遅かった。それが、小泉内閣になって、凝縮して、市場から要求されて速いスピードになった。今年日本にとっての最大のニュースは小泉内閣が誕生したことだし、総理に対する国民の支持率が意外と言ってもいいほど高く、長く続いているということは大きなニュースだ。総理の改革に対する国民の支持はかなり中身の濃いものだと思っている。それだけに、この難しい時期に総理がくじけないで、この方向を更に進めていくことが、日本にとって必要だ。海外についても、構造改革が頓挫するとかスローダウンするというメッセージが日本から出れば、たちどころに次の格下げに繋がるというのは目に見えている。来年の(同友会の)年頭見解はこれからだが、5年続けて言ってきたことを、そのまま持っていけばいいではないかという感じがしないでもないが、2002年に相応しい形で、更に総理をサポートしていく効果的なメッセージが出るようにしていきたい。

水口:96年から99年まで(年頭見解作成に)直接携わってきたが、97年には「痛みを越えて、乗り越えた先に新たな展望が拓ける」ということで、年号を変えたら(今でも通じる)同じようなメッセージだ。98年の年頭見解の時は金融問題が大騒ぎになっていて、年末に何が起こるか分からないということで、1月3日の夜に当時の牛尾代表幹事と慌てて届けたという思い出がある。今年はそのような事態にならずに済みそうだ。

以上

(文責:事務局)


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