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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2001年10月16日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長

記者の質問に答える形で、(1)景気見通し、(2)補正予算関連、(3)連結納税と付加税、(4)金融再生改正法案等について出席者から発言があった。

Q.テロに対する報復が行われ、その後、ニューヨーク株式も日経平均も以前の水準まで戻したが、炭そ菌の事件が発生して再び経済に悪影響を与える可能性が出てきた。米国では、湾岸戦争時よりも消費の落ち込みがひどいという見方もあり、自動車産業など日本経済に対する影響もかなり大きいと思う。為替は比較的落ち着いているが、株や景気の見通しはどうか?

小林:結論から言えば、少なくとも質問のような状況において、急に良くなる、徐々に良くなるという見通しは無いと思う。しかし、アフガンに対する爆撃や地上攻撃がどうなっていくか、炭そ菌も含めたテロによる不安感が、どの程度、現実の経済にインパクトを与えるかというのは、もう少し慎重に判断したほうがよい。もちろん航空産業、観光、ホテル業界等は明らかに短期的には大きな影響を受けている。しかし、先日米国のブルッキングス研究所のアマコスト所長も含めた何名かと情報交換を行ったが、基本的には米国の生産拠点が攻撃されたのではなく、主として心理的な要因であり、あまり過度に悲観的になることも無いし、少し様子を見るべきということに尽きた。米国経済全体としては、今年から来年にかけて、少なくとも来年前半には良くならないという見方で一致しているので、来年一杯はかなり厳しい状態という前提で考えていいのではないか。ということは、日本経済も今年は少しプラス、来年はゼロかマイナスといった感触である。今の段階で極端に不安感が広がって、消費活動等に非常に大きな影響を与えると決めつけることはない。

一方でリスク・マネジメントも非常に慎重になってきており、会社によってはケース・バイ・ケースで不急のものは出張等を自粛している。先週末に渡米した折、ニューヨークに着いた時に空爆が始まったが、米国ではそれほど大きな影響があるという感じでもない。米国民も心中の不安もテロ発生当時はあったし、その後も広がりつつあるが、どうやって正常の状態を保つかということを懸命に努力している。日米財界人会議も延期になり、こういうときこそ実施するべきではないかという意見もあるが、もし、何かあればこういう状況の時に出て行くとはなにごとかといわれる非常に難しいところだ。株価等についても成熟した反応をしているというか、パニックを起こしてはいない。個人的には力づけられているし、従って慎重ではあるが縮こまる必要は無いし、ケース・バイ・ケースでリスク・マネジメントも活かしてやっていくことになると思う。

水口:前回の記者会見でお話ししたことと基本的には変わっていないが、米国では「今年はサンタクロースが来ない」という言葉が流行っているように、心理的な問題がある。野村総研のエコノミスト、アナリストの分析を聞いている限りでは、日本経済について来年前半までは悪いけれど、その後は、特に企業業績の点で見通しはついてくるという感じがしている。従来より半年遅れと考えている。ただし、(テロの問題が)化学兵器(の使用)等で妙な形で大きくなってくれば別だが、パウエル国務長官を中心とした米国の良識派はそうはならないという見通しを持っている。強気の代表が野村総研で、弱気の代表がドイツ証券といわれているが、私は前者の意見に賛成で、キャッシュ・リッチの会社が借り入れを返すのではなく、自社株買いをしてはっきりと姿勢を示すということがあれば、相当変わると見ている。(株を)買っていくチャンスだ。これから二~三年のうちに一割下がるというのと、五割上がるということを考えると、日本経済に自信を持つ限りは上がるほうに賭けるべきだ、と思っている。

Q.小泉総理が国会答弁で、就任時と経済状況が変わって(国債発行)30兆円にはこだわらないと発言したと思ったら、昨日は雇用中心に補正予算一兆円で30兆円を堅持という考えを出したようだ。第一次補正予算には作業も間に合わないということで、第二次補正予算が検討されると思うが、改めて、補正予算についての見解を伺いたい。

小林:午前中、小泉総理と塩川財務大臣が話されており、塩川大臣は第二次補正予算には触れていないが、二兆円と言われているようだ。確かに状況が大きく変わったというのは事実だ。これ位の範囲で、しかし中身についてはこれまでも言われているとおり、雇用関係や遅れているITの分野等従来型とは違うところで行う。また、当面の経済で、構造改革は必要だが本当はどうなるのかという不安感に対する心理的なプラス効果やセーフティネットも含めて、本来は次年度の予算に入れなければならないが、補正で少しカバーするということは必要と思う。具体的な中身を見てみなければ分からないし、従来から同友会は基本的に補正予算には反対の姿勢だが、今の状態であれば、これ位の範囲であれば実施しても構わないと思う。

Q.小泉総理は、国債発行額を今年度30兆円に抑制する、本来は来年度だったのを前倒しで行うということを公約的に出したわけだが、状況的に難しいと言って30兆円を超えるかもしれないという話しがあるかと思うと、堅持すると言ったり、二次補正予算があれば、また30兆円を超えると言ったり、ふらついている。靖国参拝問題もそうだと思うが、言っていることとやっていることが違うと、姿勢を問われかねないという気がするが?

小林:非常に悩ましい問題とは思うが、30兆円を超えたからどうとか、もう少し柔軟性を持って語ったらどうかという前に、具体的に何をするから超えるのか超えないのか、という議論をきちんとすべきだ。今の段階で、枠を守ることに頑なでフレキシブルではないという種類の話しをするのはどうか。総理の立場からすれば、最後にぎりぎりのところで超えざるを得ないのであれば、中身としては超えざるを得ないので理解して欲しいと言えばいいと思う。まだそこまで来ていないし、(靖国参拝を)15日から13日に変更したのだから、この(財政)問題でもありうるのではないか、という話しは慎んだほうがいいと思う。ぎりぎりまで筋を通さなければならないが、状況が変わって必要なことをやって、少しそれが変わる場合にもどうしても筋を変えないというのとは違うし、小泉総理の今の態度は、前者のあり方を懸命に守ろうとしているのだと思う。我々もそれが必要なことだと思うし、安易に曲げるべきではないと思う。

水口:私も補正予算反対論の筆頭であるが、重要なのは原理原則として、ディスクロージャーとアカウンタビリティだと思う。質的に何に重点をおいてやるかということだし、説明責任だと思うので、30兆円を超える超えないということで、小泉政策に全面的に反対か賛成かという短絡的な考え方をしてはいけないと思う。個人的には、セーフティネット等雇用政策を中心にやる、同時に構造改革も並行的にやっていくということにしないと説明責任が果たせないと思う。金額自体も、それからビタ一文云々ということではなく、状況に応じて考えなければいけない。

Q.本日、政府税調が連結納税について正式に考え方をまとめたものが発表になるが、改めて連結納税制度について、産業界は何年間も実現に向けて努力してきたわけだがどうお考えか?また、不景気のため税収が減ると言われており、その穴埋めのために付加税その他色々な対応策も両論併記されているが、それについても伺いたい。

小林:連結納税については、連結決算を前提としており、企業が進展しているグローバリゼーションやスタンダードに対応しなければいけないということもあるし、企業戦略の変更に従って柔軟に体制を整えていくという点でいえば、懸案だったものが実現したということ、納税制度もそれに対応したということで評価している。両論併記の中身を読んでいないが、まさにこういう景気の状況のもとで、連結でやるとそうでない場合に比べて税収が減る、時限であるかどうかは別として、それをカバーしなければいけないという話しが出ている。政府の立場からすればそうしたい気持ちは分かるが、連結納税制度がスタートすれば、税収減少という状況はある程度予想できたと思うし、(穴埋め策のような)エキストラのことはするべきではない。折角スタートした連結納税制度をきちんと本来のベースでスタートさせることが必要だと思う。ここで穴埋め策のようなことをすれば、連結に対する企業の姿勢を鈍らせるというところまで行くかどうかは分からないが、すっきりスタートしたほうがいいと思う。

水口:全く同感である。早くから企業業績の判断は連結決算をベースにすると決っている。投資家、マーケット、株価も連結決算ベースで見る。そういうときに納税だけ連結ではないというのは本来おかしな話しだ。エレクトロニクスが悪い、銀行が悪い、従って法人税が八千億円も少ないといって、臨時的に代わりのものを取りたいという発想を打破しなけらばならない。損して得を取るということもあるわけだから、将来はプラスになるということだと思う。証券税制の時に、第一次案として出てきたものは、税収が減るというトーンが非常に強かったので、これではおかしい、もっと前向きに貯蓄優遇から投資優遇に変えるべきという意見が随分出て、それから変わっていった。最後は政治の賢明な決断が必要だと思う。

Q.税が減るのは財政的に困るということで、連結付加税等の穴埋め策が出ているが、特に連結付加税についてはどうお考えか?

小林:先ほど申し上げたとおり反対だ。国の立場に立てば、足りないところを何とか補いたいと考えることは分かるが、水口さんも言われたとおり、新しい制度がスタートするのだから、立場を越えて本来の姿でスタートさせることが必要で、足りないところは歳出カットその他で帳尻を合わせるといえば教科書的に聞こえるが、今必要なのはそういうことだ。

Q.昨日、自民党が、RCC(整理回収機構)が不良債権を時価で買い取り3年程度で処理することや、新たに企業再生業務も加えるという金融再生法改正の素案をまとめた。RCCが企業に融資すべきかどうかといった点も含め如何お考えか?

小林:米国の経験なども参考にしながら、RCCを活用して不良債権問題の処理をスピードアップすることは重要なことである。その際、大切なことは、個々の金融機関のコーポレート・ガバナンスの問題である。どこまでをRCCに売却するかといった判断は、個別の銀行がしなければならない。それをどの程度厳しくやっていくかがキーになってくる。RCCを活かしていくことについて具体的に進めることは必要だし、海外から見ても、そういう具体的ステップがどの程度まで進むかということが、こういう厳しい状況の中で、日本市場について、売り・買いの分かれ目になってくるのではないか。

Q.3年という期限をどう考えるか?

小林:米国の経験などを聞いてみても、きちんと時限は決めることは必要であり、一つの目処としては良いのではないか。

水口:集中処理期間ということで3年は妥当な線と思う。5年では長過ぎる。現在、民間企業の経営計画で5年計画はどこも作らないし、長くても3年しかあり得ない。ただ、ここへ来て、「コーポレート・ガバナンスで債権者・債務者の自己責任で処理すべき」という意見に対し、「それでは進まないから、かなり強権的にやるような仕組みにしないと駄目だ」、更には一部の極論として、「産業再生委員会」を作れというような声も出ている。しかし、私はやはり当事者がきちんとコーポレート・ガバナンスでやっていくべきであると思う。

Q.RCCの機能拡充のためには財源的裏付けが要る。一部不良債権の放棄や融資も行うとなると、かなり巨額な公的資金を投入しなければならなくなるのではないか?

水口:既に民間シンクタンクがそういう試算も行っているようであるが、そういう点をもう少しはっきりさせた方が良いと思う。「大変だ、大変だ」と言うばかりで、これまでずっと先延ばしで来ている訳であるから、はっきりすべき時期に来たと思う。

小林:私的処理についてはルールができた訳であるから、それはやった上で、RCCに対しても、具体的な額や資金調達方法は別にして、ある程度のパブリックな資金を注入することは、RCCの機能を活かすためには必要ではないかと思う。もちろん「先に金額ありき」ではなく、具体的にどの程度のものが対象になるのか等をきちんと先に明確にすべきであるが、何も(公的資金)無しに(不良債権問題の解決が)できるという感じはしない。

以上

(文責:事務局)


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