ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2001年09月04日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長

記者からの質問に答える形で、(1)株価の低迷、(2)補正予算、(3)特殊法人改革、(4)小泉改革の見通し、(5)不良債権処理、(6)雇用対策等について出席者から発言があった。

Q.東証平均株価が、連日バブル以降の最安値を更新しているが、株価の下げ要因をどう分析しているか。また、一万円割れの可能性をどう見ているか。

小林:いくつか代表的な要因があると思う。一つは、米国のIT企業の業績が非常に悪く、株価も悪い。また、日本のIT企業も大型の雇用縮小など、業績について米国絡みで非常に見通しが暗くはっきりしていない。これが圧倒的に大きな要因だと思う。

もう一つは、市場が小泉政策の見通しについて、もう少し早く進むことを要求し始めた、あるいは計画の中身について具体性が見えてこないということもあるのではないかと思う。

ここ数年、世界経済を大きく引っ張ってきIT産業が大きく崩れて、日本、米国だけではなく、アジアやヨーロッパも含めて世界的に影響を及ぼしている。その結果、日本の主要な企業の業績が非常に大きな影響を受けている。雇用問題についても、数社から一万人を超える削減の発表があり、内容について説明があったようだが、報道で見出しに踊った数字だけを見て一気に数十万の失業者が出るのではないか、というムードも影響したと思う。

平均株価一万円割れの可能性はあると思うが、どんどん転げ落ちるように下がっていくとは思っていない。今日の後場の動き、週明けの米国市場の状況も注意して見なければいけない。今日もヒューレット・パッカードがコンパックを買収するというニュースがあったが、それが(市場に)プラスに効くのか、あるいはIT産業をリードしていた最優良企業でさえ一緒にならなければどうにもならないのか、と受け止めるのかにもよる。また、一緒になったからといってプラスの効果が出るかどうかも、注目する必要がある。

水口:相場がどうなるかは誰にも分からない。ただ、一般的なストラテジストの予測より大幅にマーケット心理が悪化しているのは事実だ。米国および日本のIT関連が悪いということは、私も含めて織り込んできた。(企業業績も)来年3月期は悪い、再来年3月期にはいくらか良くなるという予測が一般的だった。従って、業績面では織り込み済みだが、外国人機関投資家から直接、間接に聞こえてくるのは、構造改革の行方がはっきりしないということだ。特に不良債権問題について、柳沢大臣が欧米を回って説明した際、「3年後にはきちんと整理し、7年後には半減して正常化する」という文脈で言ったことで、7年という数字が一人歩きしてしまった結果、「そんなにかかるのか」「待っていられない」という反応を生んでしまった。組み入れ比率の高い先端産業が大きく下がったということもあるが、下げるだけ下げて早く底入れして欲しいというのがマーケット関係者の大方の心理だ。「平均株価10,000円」とか「TOPIX1000」というのは心理的な抵抗線であることは間違い無いが、それを切ったからといって、あるいは失業率が5%になったからといって、周章狼狽して日本経済が沈没するということは全く無い。失業率だって、もっと悪くなる可能性もあるが、構造改革のためのプロセスとして冷静に対応することが必要だ。

昨日、日立やヤフーといった新旧の代表銘柄がストップ安を付けたが、それはマーケットが底に近づいた証拠ではないかと経験から感じている。ただ、行き過ぎた分が訂正されるとは思うが、V字型回復に繋がることは無いだろう。今、業界の中で唯一元気なのが自動車だけで、他は皆良くないが、こういう時が底ではないか、と思う。

Q.景気に絡んで補正の議論が出てきており、代表幹事は雇用のセーフティネット関連であれば補正も辞さないと発言されているが、景気の先行きも含めて補正の議論について具体的な見解を伺いたい。

小林:株価の状況は、ある程度経済の先行きを読んでいるのだと思う。今週末に出てくる2001/4-6月期のGDPの予想もぱっとしない。一部の分析によれば、生活必需品や必需サービスは実質価格が下がっていることのメリットがあって、中身として減っているわけではない。非常に面白いのは選択的支出、例えば趣味品などはむしろ伸びているという数字が出ているので、本当に景気が悪くなっているかどうかについては慎重に判断する必要がある。しかし、少なくとも表に出てくる数字、例えば鉱工業生産指数その他を見れば、先行き厳しい状況は続くと思う。雇用問題も楽観は許さない。

その上で、また来年度予算の概算要求が出揃ったことも絡めて、補正については、山崎自民党幹事長も、公共事業の予備費も使っておらず、やる可能性はあるかもしれないが、今は具体的に論ずる時期ではない、と言われているが、我々も補正予算は、今は必要無いと考えている。ただし、日本経済が悪くなることは覚悟していたとは言いながら、失業率など今まで経験してきたことの無い水域に入ってきたことは事実であり、社会に及ぼす心理的影響を無視すべきでは無いと思う。厳しいのだから仕方ない、というだけでは済まない問題である。

構造改革を進めていく上で厳しい状況が更に厳しくなるということは見えているのだから、先日我々が発表した通り、個人に重点を置いたセーフティネットをきちんと張って、雇用のミスマッチを解消し、流動性を増すことが非常に重要であり、構造改革を進める上で必要かつプラスであると思っている。それが中心の補正予算であれば、是とするつもりでいる。今、補正を検討する時期に来ているのであれば(私はその時期では無いと思っているが)、もう少し中身を吟味する必要がある。セーフティネット以外にどういうものが議論されるか分からないが、それぞれについてメリット、デメリットを検証すべきだ。一般的な意味での景気浮揚効果という点では、せいぜい底割れになることを少しでも下支えできるかどうか程度であり、かなりの金額を使わなければ、短期的にも効果を生むのは難しいと思うので、あまり期待をしない方がいい。また、日本が置かれている今の財政状況で、そのようなことができないことは目に見えている。狙いがかなりはっきりしていない限り、景気浮揚に視点を置いた、しかも従来型の補正は厳に慎むべきだと思う。

Q.構造改革絡みで、特殊法人改革について昨日各省庁から提出されたものを見ると、ほとんどゼロ回答に近い対応だが、各省庁の出方についての感想を聞かせてほしい。

小林:元来、廃止か民営化かという二つのチョイスしかないという小泉総理の指示で動いているわけだから、大部分が存続を前提として、民営化は検討するというものもあるが、「廃止はノー」というのは、大体予想された範囲の反応だと思う。これから具体的にどうしていくかということだが、一般論で言えば、特殊法人、認可法人については、本来作った目的に既に沿わなくなった、あるいは目的そのものが無くなっているというものが沢山あるといって間違いない。中には看板を替えて存続しているものもあるが、民営化しないで、今のまま存続する必要性が必ずしもはっきりしていないものもある。従って、廃止、ないしは民営化でカバーできるものがかなりあるというのは、総理が言われている通りだと思う。予想された通りとは言え、本来の線に沿って、今後、更に整理が進み、その過程において各法人の実態が透明度を増して、公にされ、国民が判断できるようオープンなものにすることが重要だ。民営化、市場原理の中で賄えるのか、そうではない部分もあるのではないかという議論に対して、全て民営化で賄えると言いきってしまうのは乱暴だと思う。しかし、民営化、マーケット・ニーズに立つ、という主旨において、例えば金利その他をマーケット・レートに合わせるということになれば、税制その他の面も合わせてやっていかないと、辻褄が合わない、論理的に筋が通らない点はあると思う。

しかし、大部分は民営化できるのではないかという厳しい線でやっていかないと、長年にわたって大きく進まなかった特殊法人の問題は解決できない、という総理の決意は固いと思うし、その決意については、我々も全面的に支持をしていきたいと思っている。

水口:私は、公企業会計部会の部会長として、6月18日に、一部の新聞、雑誌に、また、9月末には77の特殊法人等の会計を民間企業として行った場合のバランスシート、それをもとにした行政コスト計算書を出して欲しい、という意見を発表した。法的な強制力は無いが、民間の会計基準ディスクロージャーも法的強制力は無いものの上場している以上は出す。そういう意味では、全てが間違い無く出してくると思う。その際、四つの類型で分けた。一つ目は事業をしているところで、その代表として日本道路公団には公認会計士立会いのもとで試作品を作った。二つ目は投資をしているところで、代表的なのは日本石油公団。三つ目は公的金融をしているところで、代表的なのは農林漁業金融公庫。最後に研究開発をしているところで、宇宙開発事業団。この四つの類型に従って、全て出して欲しいというお願いをしている。政治的な意思を全く無しに、客観的な数字を出す。その上で、民営化できるか、できないか、官でやなれければいけないのか、という問題が出てくると思う。作業の数値的裏づけとしては非常に重要と考えている。

Q.自民党の一部からインフレ・ターゲット論が出ているが、これをどう思うか?

小林:個人的には、今以上に金融緩和をすることのメリットは感じないし、インフレ・ターゲット論、調整インフレ論は厳に慎むべきと思っている。一方、昨今の状況を踏まえ、何でもやれることはやったらいいのではないかという空気が出てきていることは承知している。少数ではあるが、同友会の中にもそのような考えを持っている人がいないわけではない。しかし、先日開催した諮問委員会では、インフレ・ターゲット論、調整インフレ論は厳に慎むべきとの意見で占められた。

水口:私も同感である。しかし、現実的な政策論として、インフレ・ターゲット論は既に消えているのではないか。まだ消えていないとすれば、消えるべきである。

Q.不良債権処理について、柳沢金融担当大臣が2004年にはリーズナブルな水準に落ち着くと発言しているが、この不良債権処理のスピード感をどう考えるか?

小林:最初、柳沢大臣は7年後には不良債権を半減すると言われたが、ご指摘の通り、その中味は4年位で処理をし、その後は調整期間として徐々に減らして7年で半減させるということであった。「7年」と言ったことがマーケットにネガティブな印象を与えたのだろう。2004年までに処理をするというスピード感はリーズナブルではないか。

水口:骨太の方針で言った通り、12兆円は2003年までに片付けるということである。ただ、第2分類の中でも危ないところまで含めてなら7年ということを大臣は言われた。大臣は舌足らずであったことを心配され、海外にも説明をしているところである。

Q.株安の一つの要因は小泉改革の進展が遅いと市場が見ているため、という話があったが、小泉内閣が改革をさらに加速させる余裕はどのくらいあると思うか?

小林:構造改革を推進しようとする小泉総理の姿勢は変わっていない。構造改革や不良債権処理がデフレ効果を生み、社会にマイナスのインパクトが出てくると、政治家にとっては短期的な意味で景気をよくしなければならないということになり、景気がよくならないと構造改革ができない、という議論が出てくるのはご存知の通りである。しかし世論調査等を見ると、厳しいけれども構造改革をやらないといけない、と多くの国民が考えている。これは多くの国民が、日本経済が置かれている状況をよく分かっているということだと思う。国民の支持は強いと思っていい。この支持を背景に総理は構造改革を進めていくだろう。

ただ、その進め方については工夫が必要である。構造改革を具体的に進めていく上で、与党が結束を強め、セーフティーネットの構築を急ぐとともに、年金、医療、介護について、先行きの見通しを出すことが必要である。経済同友会としてもこれまでの提言を踏まえ、具体的なポイントを示していきたい。

水口:予算で30兆円という大きな割合を占める医療や、証券市場活性化の問題については、今月中にポイントをまとめて、提言あるいは政策のバックアップを行っていきたい。また、規制改革は重要であるばかりでなく、推進にコストがかからないので、具体的な問題を詰めて総合規制改革会議をサポートしていきたい。

Q.昨晩、小泉総理を囲む会に参加されたと思うが、総理とどのような話をされたか?

小林:東芝や日立など電機メーカーの雇用問題について話が出たので、2万人近くが一斉に離職するわけではないという様に、その実体を出席者の何人かが説明した。また、河野副代表幹事が雇用の一般情勢について説明した。河野さんは、求人広告件数は増えており、必要とされている職種で人不足が発生しているミスマッチの状態が明らかになっているという説明をされた。総理からは、「私の下ではすぐに景気は良くならないことを覚悟して下さい」との(改革断行への)決意表明があった。

Q.代表幹事は、雇用不安が社会不安に結びつくのではないかという懸念は持っておられないか?

小林:現在の状況がそのまま社会不安に結びつくとは思わないが、日本経済が未曾有の状況に入ってきており、この状況がそのまま放置されていいとは思っていない。二つの面で慎重な配慮が必要である。まずミクロの面、企業経営の側面では、(経営者が)雇用の安定に向けての努力だけでなく、社員の再教育にまで責任を負っていこうという姿勢を示すことだ。マクロの面では、セーフティーネット等を含め、政府が十分に問題に目配りをしているという状況が(国民に)見えていることが必要である。現在の状況が、社会不安に結びつく直前の状況にあるとは思っていない。

Q.雇用対策の発表など政府の情報発信が遅いような気がするが、同友会として緊急提言などをしていく用意はあるか?

水口:各方面の意見を聞きながら、政府の対策に怠りがないように同友会としても継続的に提言をしていきたい。我々自身がきちんとしたアクション、配慮をし続けていることが世間一般によく見えていることが大切だと考えている。

以上

(文責:事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。