ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2001年07月03日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長

冒頭、水口弘一副代表幹事・専務理事より、本日午前中、都内のホテルで開催した塩川正十郎財務大臣はじめ財務省幹部と経済同友会幹部との懇談会の概要について説明があり、その後、記者からの質問に応える形で、(1)景気の現状と今後の対応、(2)構造改革とセーフティーネット、(3)日米首脳会談等について出席者から発言があった。

Q.昨日、日銀短観が発表されたが、本日の塩川財務大臣との懇談会で、景気認識についても議論があったのか。

水口:景気自体は議論にならなかったが、同友会側からは、(改革の)痛みを乗り越えて等、「痛み、痛み」と言い過ぎるのではないか、トンネルの先はこうなるのだと明るい展望も示すべきではないかとの意見が出された。また、大臣からは、昨日、大阪で開催されたシンポジウムでも述べられたようだが、四半期ベースは別として年度を通してマイナス成長とすることはしないとのご発言があった。

小林:昨日の日銀短観も含めて景況感が引き続きマイナスとなっているものの、財務省側は、間接的表現ながら景気の現状について、非常に悪くなったとは見ていないとの認識を示した。我々もそのような判断をしており、当面はマイナスであるが先行きは少し明るい展望もあるとのことで、ここは様子を見ていくべきである。決して楽観する情勢ではないが、どんどん悪くなるとの景況判断をする必要はないと思う。

Q.昨日の講演の中で、代表幹事は、構造改革を進めていく上で「安心感の裏打ち」を強調されたが、「安心感の裏打ち」とはどういうことなのか?

小林:代表幹事として講演したわけではないが、まず、経済同友会の「21世紀宣言」における「市場の進化」の考え方を紹介するものだったが、その前段として小泉内閣の評価をした。その中で小泉内閣の構造改革について触れ、英米等の過去に大きな構造改革に成功した国と根本的に違うのは、日本にはまだ経済的に余裕があることだと述べた。乱暴な言い方かもしれないが、サッチャー英首相(当時)にしろ、レーガン米大統領(当時)にしろ、国の財政状況が大幅な赤字の時に登場し、痛みが伴っても反対できない状況の中で大改革を行った。これに比べて日本の現状は、確かに国の財政は大きな赤字であるが、個人の資産等も考慮すればまだ黒字の中での改革であり、それ故の困難も伴う。そこで、まず最初に安心感を確保することが重要であり、安心感の裏付けは、一つはセーフティネットであり、同友会にもセーフティネットの内容については種々の意見があるが、講演では、当面の失業者に対する失業保険等の他、新しい職業にチャレンジするための職業再訓練、新しい産業等の重要性について述べた。あまり安心感と言うと、モラルハザードを引き起こすとの批判もあるが、むしろ、安心感を基盤にして前向きに進んでいこうという人が多いのではないかと述べた。

同時に、中長期的には、医療保険等社会保障制度の改革について目処がつけば、構造改革に伴う痛みがでてきても、そのまま放り出されることは無いとの意味での安心感を国民に与えることができると思う。現在の日本には、かつての欧米に見られたような恐怖感は明らかに無いわけで、そのような恐怖感が生じるくらい経済が悪化するまで待てとの議論は暴論である。小泉内閣においても、構造改革を進めるに際して、安心感とそのための社会保障制度等の整備を行いつつあるが、是非、もっと明確に打ち出して頂きたい。セーフティネット自体の必要性については皆異論はないが、そのウエイトの置き方について、あまりセーフティネットを強調すると、経済構造をダイナミックに変えていくことにマイナスだと懸念する人が、同友会の中を含めている。

Q.昨日の講演の中で、小泉総理とブッシュ米大統領との会談について、政策的な中身については疑念があるようなことを言われていたが、それは何故か?

小林:発表されたコミュニケや報道によれば、京都議定書やミサイル防衛の問題について、小泉総理は米国のポジションに理解を示したということであるし、沖縄の問題、特に最近の事件についてブッシュ大統領が遺憾の意を表明されたとのことである。しかし、前段の二つの問題についてはもう少し突っ込んだ議論があったかと思ったが、それが報道には表れていなかった。最後のプレス発表の時に、総理が「予想していたよりもよかった」と英語で言われた。そう言われれば、「どの程度のことを予想していたのか」と聞くのが普通と思うが、ブッシュ大統領はそうされなかったし、「もともと大したことはないのだから、それはそうでしょう」という皮肉な言い方もされなかった。特に小泉総理が外交辞令として言われたとは思えないので、実際にはかなり議論があったのではないか。その部分が聞けなかったのは残念だと、昨日は申し上げた。

京都議定書については、昨日のブレア英首相との会談を見ても、もちろん米国の参加を最後まで諦めないというのは常識的な線だ思うし、ぎりぎりまで諦めるべきではないと思う。しかし、フランスのシラク大統領との会談では、かなりトーンが違う可能性は十分にあると思う。この前のヘイグでの会談の直後に我々はヨーロッパにいたが、そのときも、シラク大統領がかなりはっきり米国に対する批判、米国が足を引っ張っているという表現をされていたので、小泉総理が米国を最後まで諦めないということについて、どの辺りまでフランスと歩調を合わせられるか、総理の力量が注目されるところだと思う。総理は、英仏のスタンスに興味がある、参考になるという表現をされているが、実際にシラク大統領と一対一で会談されれば、米国のポジションについて具体的にどうするか、かなり突っ込んだ議論が出てくるのではないかと考えている。

Q.セーフティネットを更に具体化すると言われたが、どこまでの手当てが必要かにもよるが、財政措置、例えば補正予算の中でセーフティネット具体化の財源を用意する必要があるか。

小林:どこまでのセーフティネットが必要かということを先に決めるべきだと思う。現在セーフティネットが全く用意されていないわけではなく、かなり用意されつつある。補正予算の点から言うと、昨日も自民党の山崎幹事長が話されているが、秋(九月)以降に、仮に補正予算が必要という議論になれば、そのかなりの部分を、セーフティネットも含めて従来型の公共投資ではない部分に使うべきだと考えている。まだ今は補正予算を議論する段階ではなく、あえて必要かどうかと問われれば、必ずしも必要としないと思う。仮に補正予算を通すということになれば、中身についてはセーフティネットを厚くすべきだと考える。

Q.瞬間的にはゼロ成長やマイナス成長になっても、通年ではマイナス成長にしないという政府の方針について、そこまでコミットしてしまうと、何か痛みが出た時に改革を中断したり、壊したりするようなことが考えられると思うが、この方針について代表幹事、同友会の見解は?

小林:同友会としてのポジションはまだ無いし、また財務省から今朝そのような話が出たときに、特に同友会側からコメントもしなかった。個人的には四半期や2四半期くらいはマイナスであっても、一年を通じてゼロ以上にする、あるいはゼロにしないというコミットが足を縛る危険はかなりあると思う。表現としては難しいが、今までのトーンからすれば、必ずしも一年間を通じてゼロにはしない、ゼロ以上にするということを、あえて言われなくても良かったのではないかと思っている。

水口:この前の竹中レポート、あるいは九月頃に出るというシミュレーションや民間シンクタンクの情報を見ても、通年でマイナス成長にはまずならないという強い確信を持っている。政府の内部でもそういう考え方が強いということではないか。それよりも、マイナスになったら困るといって補正予算を組んだり、(新規国債の発行)30兆円という枠が崩れる、改革断行が崩壊するということに対する危機感が強いので、そうしないための決意表明だろうと理解している。

Q.政府、財政諮問会議の中には、改革を進めるためには、一段の量的緩和、金融緩和政策を求める声が内外に強いと思うが、その点についてどう考えるか?

小林:経済同友会としても、私個人としても、一段の量的緩和が必要とは思っていない。しかし、今朝の財務省との話しの中にも出たし、報道もされているが、多少リスクはあってもNew Moneyが新しい投資対象に移るようなことを考える必要があるのではないか。New Moneyの意味には、新たに金を必要とするという部分と、現在あるのに使われていない部分の両方があるが、それに絡んで一段の量的緩和が必要とは思わない。小泉総理は否定されているようだが、量的緩和を進めることによって円安効果が期待できるのであれば、米国やアジア、特に中国との関係はあるが、輸出を量的に伸ばすだけではなく、利益の点で貢献するという可能性も残っている。しかし、総理は意図的に円安を創り出すつもりは全く無いと言われているようだから、目下のところそういうポリシーのオプションは無いと思う。また今、それを発動する必要があるのか、そのための量的緩和が必要かどうかという点については、私はそういう時期では無いと思う。

以上

(文責:事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。