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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2001年06月19日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長

冒頭、2001年度(第16回)経済同友会夏季セミナーについて水口弘一副代表幹事・専務理事より説明の後、記者からの質問に答える形で、(1)日本のセーフガードに対する中国の報復措置、(2)日米外相会談、(3)小泉内閣の今後、等について出席者から発言があった。

Q.昨日、中国の国営新華社通信が、日本政府が暫定発動したネギや椎茸に関するセーフガードに対する報復措置として、中国政府が日本の自動車、携帯電話、エアコンに特別関税をかけると発表したが、これについてどのように考えるか?

小林:中国が実際に報復措置を行うかどうか、行われた場合どう対応すべきかも含めて、今は静観すべきだと思う。元々日本がセーフガードを発動したとき、特定の業界がリスクを取って中国に出て行き、日本に輸出している産品について発動するのはおかしいという議論もあり、こういうことが起きることはある程度予想されたことだ。経済的規模も大きく、先進国の立場にある日本がセーフガードを発動することについては慎重であるべきだ、という見方は従来から強かった。今後、何らかの形で交渉が行われるだろうし、セーフガード自体も暫定的なものであり、官房長官も事実を確認したうえで対処するという発表をしているのだから、私からそれ以上コメントはできない。

しかし、本来自由貿易について先鞭をつけ、良い例を残していかなければいけない日本と、これからWTOに加盟する中国の立場を考えれば、セーフガードの発動について、今後の交渉の中でも、日本がその流れに逆行しているという証左が残らないようにしていくことが大切だと思う。

Q.中国は市場が大きくない製品を狙ってきたという見方もあり、また日本でも一部の特定産品についてセーフガードが発動された。政治の思惑でルールが曲げられてしまったという思いはあるか?

小林:あるといえばある。しかし、例えば米国のスーパー301条の問題等、この種の問題においては、程度の問題は別として、特定業界との関係等、政治の思惑は常にあるわけだから、それ自体ゼロになることはあり得ない。日本と中国との関係において相対的に先進なのは日本の方だから、とるべき態度は自ずから決まってくると思うが、政治的な思惑が全くゼロというのは、日本、米国、もちろん中国でもあり得ない。今回のケースでは、政治の思惑が少し大きかったとは思うが、特筆すべきレベルではないと思う。

Q.日本は、中国に対して発動したセーフガードを今すぐ取り下げるべきと考えるか?

小林:そうは思わない。元々セーフガードを発動した時点で、国内でも色々な議論があったのだし、必ずしも(セーフガードを)全く発動すべきではなかったとは思わない。それなりに無法なことをしているわけでもない。客観情勢から言えば、適当な時期に何らかの形で実質的に取り下げることは、方向として考えてもよいと思うが、今即座にという話ではない。

水口:この問題に関連して、FTA(自由貿易協定)の問題に国としてどう臨むのかという点について考える必要がある。これまで日本は、WTOを中心としたマルチラテラルな枠組で(通商・貿易問題を)考えてきたが、世界の大勢はWTOの補完と言いつつ、バイラテラル中心で動いてきている。日本に関して言えば、シンガポールとのFTAは実現するだろう。その他、韓国・カナダ・メキシコ・チリなどが(相手国の候補に)挙がって来ているが、一部の農業問題がその桎梏になって来る(と見られている)。もしそれを避けて通ることができないならば、サービス分野の自由化に止める等、方法は色々あると思う。FTAの問題は、小泉政権として、真剣かつ前向きに取り組むべきテーマであると思うが、「骨太の方針」にはあまり出てこないように思う。

Q.田中外務大臣が日米外相会談に臨み、ミサイル構想については理解を示したということだが、外相と外務官僚の間がぎくしゃくしているという問題も含めて、今の日本の外交について、どのように見ているか?

小林:日米外相会談については報道でしか見聞していないが、日米の外交関係については正常化された、ノーマルな状態にあることが再確認されたといってもいいのではないか。ミサイル問題について米国の立場に理解を示すし、京都議定書についても米国の立場は理解するが賛成ではない、また、サンフランシスコ講和条約締結50周年を踏まえ、日米関係について受益と負担の関係を見直す等、今まで田中さんが言われたと報道されている表現に比べれば柔らかいかもしれないが、それなりに問題は問題として指摘したと思う。パウエル国務長官その他との会談はきわめて円満に行われ、急遽行われたブッシュ大統領との会談も含めて、結果としては良かったのではないか。これから本当の外交が始まると思う。

Q.外相と外務官僚のぎくしゃくとした関係がいつまでも続くのは好ましくないと思うが、どのような決着の方法が望ましいか?

小林:どのような決着の方法がいいかは分からないが、両者の関係がぎくしゃくしたままで外交がうまくいくはずがない。外務大臣の責任で、事務方も含めた外務省の機能がフルに稼動することを妨げない形で、誰が見ても公正な決定が行われることが好ましいと思う。歴代次官の処分等、個々の問題についてはコメントする立場にないが、機密費の問題についての国民の不愉快な感情は否定できない。この問題については、今までの処分が十分であったかどうか、もう少しきちんとした処分があってもいいのではと、一般的には思われているのではないか。その辺りの国民の空気、一般国民の目線を、小泉総理は大切にしていると思う。それが小泉内閣の姿勢だと国民も受け止めているわけだから、ポピュリズムということではなく、その印象を大切にしたうえでの決着の方法を外務大臣も総理も考えておられると思う。

Q.先週末から、各地でのタウンミーティングが開始され、構造改革、特に公共事業見直しに向けた環境整備が進められているように思うが、道路特定財源の問題を含む公共事業の見直しについて、どのような見解をお持ちか。また、見直すとすれば、どのような方向性が望ましいとお考えか?

小林:道路特定財源の一般財源化の問題や、地方交付税の問題については、経済同友会としても以前から同じような方向性で提言している。地方の問題は非常に難しいと思うが、まず、地方自身が健全財政を実施していく上での自主性を高めていくことが大切である。また、総額として、公共投資にある程度のシーリングが決められた以上、実態として、これまでに比べて地方は厳しくなるという点について、はっきりと方向を示していったほうがよい。具体的な中身については地方の言い分を尊重する必要があるが、費用対効果の面で厳しい査定を行い、必要なものはきちんと実行しつつ、トータルのパイの中で判断しなければならない。今のところ、「地方の切り捨てか」との反対が各地から出てきているようだが、一般論ベースでは話にならず、それぞれの地方で何が必要なのか、費用対効果の面で十分にまかないきれるかどうか、という議論が出てくることが必要だと思う。既にそのような兆しも見られると思う。

Q.昨年の参議院選挙の際、一票の較差の問題に対して訴訟を起こすという議論があったが、今回の参議院選挙への対処はどう考えているか?

小林:一票の較差の問題を今のまま放置してよいとは思っていない。昨年の夏季セミナーの際には、(この問題に対して)具体的なアクションを起こす必要があり、その中には訴訟も含まれるという議論を行ったし、現在もそのように考えている。今回の夏季セミナーの議題に(この問題が)含まれていることもあり、政治委員会を含めて、具体的にどのようなアクションの幅があるのか、もう一度議論する予定になっている。最初から今度の参議院選挙の段階で訴訟を起すと結論づけせず、それ以外の方法も議論して、必要に応じて夏季セミナーの前でも発表するつもりである。遅くとも、夏季セミナーではどういうことを考えているのかはっきりと示したい。

小泉総理の印象について

小林:先日、小泉総理を囲む経済人の集まりがあった。総理自身が何を問題と考えておられるかという点や、経済人側のコメントへの反応等から見るに、経済人として当然と思っていたことに対しても、国民と同じ視点で改めて質問をされるなど、総理の姿勢は我々にとって厳しいものであるが、日本の現状において、非常に重要な目線をもった総理が誕生した、という印象を持った。国民の側では小泉総理を持ち上げるような動きがあり、これがいつまで持続するかという疑問もあるだろうが、総理が所謂ポピュリズムに流れているということはないと思う。総理ご自身としては、非常に重要な姿勢をとっておられると思う。

Q.それは「国民の側に立つ姿勢」ということか? 一方で、アイドル的な人気先行現象や、景気対策を行っていないことへの懸念もあると思うが。

小林:アイドル化現象については、総理ご自身がある種の危惧を抱いておられ、早く落ちつくべきところに落ちついてほしいとお考えだと思う。多少熱狂的であることは認めるとしても、日本のこれからのあり方や政治の問題と無関係な理由による人気ではなく、小泉総理なら何かやってくれるだろうという期待感が本物であるから、と見てよいのではないか。総理ご自身も、支持が50%、反対が30%、その他が20%ぐらいに落ちつくのが一番よいと言われていた。いずれそのような方向に向かうだろう。

政策面については、経済財政諮問会議による「骨太の方針」が示されており、財政健全化等、いくつかの具体的な取り組みについては、先行きのビジョンが年内にも出てくるとのことだ。ここ2~3年は低成長でいかなければならないというメッセージそのものが、はっきりと構造改革を打ち出し、推し進めていくというメッセージの走りだと思う。早く具体的な政策を示してほしい面はあるが、これまでのところ、小泉総理は非常によくやっておられると思う。先日、2001年1~3月期のGDPが発表されたが、その数字も踏まえ、小泉内閣の姿勢をさらに具体的かつ明確に打ち出していく時期に来ていると思う。

以上

(文責:事務局)


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