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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2001年03月06日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長

冒頭、水口副代表幹事・専務理事・広報委員長から、2001年3月景気定点観測アンケート中間集計報告の概要について説明があった後、記者の質問に応える形で、(1)景気判断と対策、(2)森内閣、(3)副代表幹事の新任候補者、(4)証券市場活性化策、(5)為替レート等について、出席者から発言があった。

Q:景気の現状をどう見ているか。

小林:景気の現状判断は前回と基本的に変わっていない。景気は決して良くないが、メチャクチャ悪くなっているとも思わない。今回の定点観測で示された会員の見方は、各々の企業における実績を通じて感じる部分と日本経済全体のムードに影響される部分の両方が絡み合っているが、ムードとして良くないことははっきりしている。重要な理由として、不良債権問題が経済活動の邪魔をしていることが挙げられている。また、構造改革が進んでいないこと、政治の見通しが不透明であること、既存システムが邪魔をしている等も高いウエイトで挙げられていた。したがって、景気対策としては、株価対策や土地対策等も効果があり歓迎すべきと思うが、基本的には構造改革を進めることについての見通しをつけないと、国内はもとより、特に海外における日本経済の見方がスッキリしない。このスッキリしないことが、株価を上向きにしない基本的理由である。

Q:最近の株価下落についてネット取引増大の影響はあるのか。

水口:過去の例を見れば分かるように、中長期的にみると株式市場の動向を決めるのはファンダメンタルズである。しかし、一時的なオーバーシュートは、需給関係、エクイティ・ボンド、先物、裁定取引に関連する種々のテクニカルな問題によると言われているが、テクニカルな問題での一時的変動はかならず修正される。個人的には、現在の株価は少し下げ過ぎであると考えている。先週から亀井自民党政調会長が述べているように、マーケットにとって本当にサプライズ(驚き)となる抜本的対策が具体性とタイムスケジュールをもって示されれば、市場のムードが変わる可能性は残っている。

Q:ネット取引増大の、株価への影響はあるのか。

水口:充分あるし、現在はそうかもしれない。

Q:現在とるべき経済対策、その一つとして出ているデノミネーションについてどう考えるか。

小林:デノミについてはニュートラルの考えで、現在の情勢ではかならずしも良いとは思はない。急に景気対策としてデノミをやることは得策であるとは思はない。経済対策の内、株価対策については確かに税制上、欧米諸国のキャピタル・ゲイン課税と比較すると改善の余地はある。また、土地対策についても、土地取引がより動くように税制上の改善の余地もあるようだ。亀井政調会長が株や土地について対策を検討され、市場がそれによってプラスの方向に動くことは結構なことであると思う。ただ、大切なことは、これまで当座、当座の景気対策をやり、短期的にはそれなりの効果を上げたが、対策の効果が長続しなかったのは、構造改革が今一つ進展していないからで、構造改革が最大の問題である。セーフティ・ネットについても、金融機関を対象としたセーフティーネットよりも、不良債権処理にともなって発生する雇用の問題に焦点を当てて考える必要がある。したがって、構造改革、セーフティーネット等を、パッケージとして出す必要がある。景気対策しかやならいと、これまでの繰り返しとなってしまう。

Q:日銀が昨年8月にゼロ金利を解除したことの当否についてどう考えるか。

小林:昨年8月に日銀がゼロ金利を解除したことは、今でも誤りであったとは思っていない。日銀の政策について議論があるのは、その後の経済状況の中で、金融緩和の程度が足りなかったのではないかとの理由があるからであろう。今後、ゼロ金利に戻すという話もあるようだが、先述のように、金融政策もトータルなパッケージとして考えていかないと、短期的な効果に終ってしまう恐れがある。

水口:先述のデノミについて、私は基本的にデノミ論者であるが、以前、デノミを主張した当時と現在では環境が違っている。デノミの前提には、政治、経済、為替の安定が必要であるので、現在の優先順位は、まず、経済をしっかりさせることである。それには、パッケージとして政策を出すことが大切で、特にシンボリックには株式市場活性化策をしっかりすることである。米国や最近ドイツが導入したように、個人投資家の資金が株式市場に入るような税制に抜本的に改正することが最大の問題である。ところが、新聞紙上でみると、政府与党の中でも証券関連税制について意見が一致しないようで、これが具合を悪くしている。米国の場合、株価上昇の追い風もあったが、優遇税制もあって、個人金融資産の一割が移動し、更にその内の半分が株式市場に移動した。これを日本の経済規模に合わせると、おおざっぱには70兆円程が株式市場に移動する計算となる。先般出された株価対策では税制が先送りされたことが致命的欠陥である。税制こそが即効性のある対策である。

小林:公定歩合引き下げの際も申し上げたが、市場にはカネが足りないのではなく、かなりあるがそれが先に流れないことが問題である。したがって、公定歩合引き下げを、不良債権の直接償却を含めて全体のリストラを進めるためのひとつのきっかけとして活用すべきで、今後の金融緩和もこうした視点で行うべきである。また、米国については、神の手とまで言われたグリーンスパン連銀議長までもが公定歩合引き下げが遅すぎた、少なすぎた等と言われているが、基本的には、米国経済は構造的バブルを抱え込んだために、単純な金融政策では効果があがらないということなのであろう。米国と比較すると日本の場合は、はるかに病が重く選択余地も少ないので、金融政策にプレッシャーをかけて期待しすぎるのは間違いであると考える。

Q:ゼロ金利には反対ということか。

小林:反対ではないが、効果があまり見えないので、ゼロ金利政策に戻す必要はないと思う。

Q:昨年8月のゼロ金利解除は誤りではなかったのか。

小林:誤りとは思っていない。もともとゼロ金利は異常なことである。我々は7月に解除があってもおかしくないと思っていたが、それが8月に延びたのは、色々な政治的な理由があったからであろう。また、実際、8月に解除したことは結構だと申し上げた。もし、ゼロ金利を維持していたら日本経済はこんなに悪くならかったかというと、そんなことは全くない。

Q:最終的に日本のファンダメンタルズが良くなるためには、構造改革が必要だということか?

小林:そうだ。本当に良くなるには時間がかかるが、構造改革をするという意思が投資家に見えるかどうかが、特に海外の投資家に対して非常に重要なメッセージだと思う。

Q:景気定点観測でも、景気が踊り場に来ているのは明らかで、政府は来年度に補正予算を組むことは避けられないと思うが、どうか?

小林:避けられない見通しの方が強いだろう。元々、同友会は、補正予算を予定したような予算の組み方はおかしい、と言ってきた。この基本的な考え方は変わっていないが、仮に補正予算を組むのであれば、特に雇用を対象としたセーフティネットの強化などのために組むべきだ。しかし、これは補正予算の議論が出てからコメントしたい。

Q:つまり、公共事業に補正予算を使うべきではないということか?

水口:来年度予算がまだ正式に成立していないときに、補正予算の話しをするのは先走った議論だと思う。

Q:時が経てば、補正予算の要求は強まると思うが?

水口:本来やるべきではない、という考え方だ。

Q:本予算執行の前倒しはすべきではないのか?

水口:それは予算の運用の話しなので、前倒しは結構だ。

Q:結構というのは、望ましい、必要ということか?

水口:それは技術的な問題なので、政府部内で検討すべきことだ。

Q:昨日、森内閣不信任案が否決されたが、依然として森総理退陣論が根強いが、どう考えるか。

小林:予算案は通過したが、実際に執行するための関連諸法案の通過はこれからで、関連諸法案の通過を期待している。現在のような空気を受けて森総理ご自身と自民党がこれからどう考えるかという問題である。

Q:不信任案を否決しながら、連立与党の中で森総理退陣論が出ることをどう考えるか。

小林:森内閣の支持率が継続して下がり、しかも、一桁の非常に低い水準になっていることを多くの人が重く見ていることが背景にある。マスメディアが煽りたてて不必要に低くしているとの見方もあるようだが、やはり世論の動きを見極めての論議であると思う。また、不信任案否決は、現在やらなければならないことが片付くまでは仕事が終っていないことの意思表明で、その先のことについては皆さん色々な意見を持っているのだと思う。

Q:森総理退陣論についてどう考えるか。もし、小林代表幹事が不信任案に投票するとしたら、どうしたか?

小林:今の仕事が片付くまでは、森さんにやっていただくしかないと考える。もし昨日、不信任案について投票をすることになっていたならば、賛成はしなかった。その理由は、現在、森内閣に片付けて頂く仕事が残っているからである。片付く前に辞めて頂くのは困る。

Q:仕事が片付くまでは、森さんで我慢するということか。

小林:我慢するとまでは言っていない。森総理の下で現在の内閣が機能しており、森さんであることで内閣機能を著しく損なっているとは思わない。今の仕事についてはきちんとやって頂きたいと思っており、前回の記者会見と同様の立場である。

Q:そうすると森内閣はいつまで続けるべきと考えるか。

小林:最低、今の仕事を片付けてからで、その先のことは、森さんご自身、自民党、与党の方々がよくお考えになることだと思う。

Q:福井俊彦富士通総研理事長をはじめとした新任の副代表幹事候補の人選について考えを伺いたい。

小林:福井さんは、日銀出身で現在富士通総研理事長を務め、経済同友会の活動を積極的に行われてきた。特に、この一年は、21世紀宣言の柱となった委員会である経済社会思想を考える委員会(委員長:南直哉副代表幹事)の副委員長として非常に重要な役割を果たされてきた。また、渡邉正太郎さん、福間年勝さんも、同友会活動に継続的に高いレベルで参加され、リーダーシップを発揮されてきたので、代表幹事を支え、助けていただきたいということでお願いした。

Q:日銀から民間に行って、同友会の首脳になるというのは、速水日銀総裁と同じパターンだと思うが、福井さんは日銀総裁の候補だと思うか?

小林:候補は色々いると思うが、一般論として、候補の一人なのだろう。

Q:副代表幹事候補の三人は、それぞれ金融、企業財務、国際企業会計が専門だが、代表幹事二期目に向けて、副代表幹事の布陣をそういう方向にシフトしたということか?

小林:必ずしも特定の専門分野を重視して、それに優れた方々に的を絞ってお願いしたということではないが、国際性は重要な要素の一つだと思っている。候補者は、基本的な、骨太のところで、経済の問題についても、金融財政の問題についても、世界経済の問題についても、きちんと考え、その上で、特に我々企業経営の立場についての考え方をきちんとしていくことに、貢献して頂ける方ということで、必ずしも特定のスキルに注目したわけではない。

Q:福井さんには、どういう役割を期待するか?

小林:必ずしも特定の役割を云々することはないが、南委員会の副委員長として、「市場の進化」という考え方をまとめるうえで、非常に重要な役割を果たしていただいたと思っている。基本的な問題について、是々非々をはっきりさせ、自分と違う意見についても十分に耳を傾けて、大きなあるべき方向に全体を引っ張っていくという意味での福井さんの指導力は非常に大切な役割だと思っている。しかも金融の分野のエキスパートであることは論を待たない。何度か海外にもご一緒したが、日本の経済の現状について、これから何が大切かについて、福井さんが持論を述べられるときの理路整然さ、筋が通っていて、考え方がはっきりしていることについて、日ごろから非常に敬服している。同友会の今後の運営に、必ずいい影響を与えると思っている。

Q:就任を要請する際に、かつての接待汚職事件は気にならなかったか?

小林:全く気にならない。

Q:もう禊を終えたということか?

小林:そのことは、私自身は考えなかった。

Q:個人投資家を証券市場に呼び戻すことしか政策としては無いと思うが、証券市場に個人投資家を呼び戻すための具体的な提案はあるか?

小林:キャピタルゲインは株価が上がらないことには得られない。株価は何で上がるかといえば、スペキュレーションの部分もあるが、基本的にはファンダメンタルズがよくならなければ上がるはずがない。日本の株価に反映される経済のファンダメンタルズが良くならなければならないし、それに対する手が打たれなければ、キャピタルゲインに対する優遇税制はやるにこしたことはないが、本質的な答えにはならないと思う。

水口:自民党の相澤委員会に同友会として出した考え方、あるいは、経団連や証券業協会などの提案を見ると、キャピタル・ゲイン・タックス(1.05%)を恒久措置にするとか、個人の配当二重課税の撤廃、キャピタルロスの通算を次年度以降まで持ち越すなど、世界各国の個人、法人に対する税制のあり方を参考に、早く実施するということだ。年金も401kにしろ、我々が提唱したESOPにしろ、法人、個人の拠出金は全て免税措置になるので、それらをはっきりしていけば、全部の株とは言わないが、長期国債を持っているよりも、株式を持っているほうが利回り的にも有利な状況になっているので、個人資金が流入する絶好のチャンスになると思う。

もう一つは、日本人の投資家は元本が確実であるという思考が非常に強いが、郵貯や銀行預金が安心かというと、国債金利がものすごく上がるということになれば安全とは言えない。短期国債やコマーシャルペーパーを主体とする、アメリカ的なMMFが受け皿としてあるということも非常に重要だ。そういう総合的な証券市場の問題を考えていくことが重要だ。

小林:長期保有株式については、アメリカ、イギリスでは優遇税制があって、しかもアメリカでは2006年から下げようという話もあるが日本にはない。キャピタル・ゲインの非課税枠は、アメリカはないようだが、イギリスやドイツでは年間の譲渡益のある範囲までは非課税。他の所得との損益通算は、アメリカも、ドイツも一部やっている。どの程度効果があるかの判断は難しいと思うが、このうちの幾つかは、既に議論されていることだ。

Q:最近の円安をどう思うか?

小林:以前も申し上げたが、120円ちょっと位までの幅はありうると思うし、120円台に入っても必ずしも驚くべきことではない。意図的に円安を作り出すことがいいとは思っていないが、為替も、本来はファンダメンタルズを反映するはずなので、今は、かなり日本のファンダメンタルズを反映しているところがあると思う。現状の問題や先行きの不透明さが、円安に振れている一つの原因ではないか。

以上

(文責:事務局)


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