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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2001年02月20日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長
三國陽夫金融・資本市場委員会委員長

冒頭、三國陽夫金融・資本市場委員会委員長より、本日発表のPDFリンク 「金融制度改革に関する企業経営者意識調査アンケート結果」について説明した後、記者からの質問に答える形で、(1)アンケート結果、(2)森総理の進退、(3)経済と物価の状況等について出席者から発言があった。

Q:アンケート結果についての三國委員長自身の評価はどうか。また、この結果をどのように活用するのか。

三國:今後、不良債権処理の問題が現実の課題となる可能性が高いと理解しており、委員会の場で更に議論していきたい。ビッグバン、金融制度改革が、とにかく動き始めたこと、そしてかなり進んできていることに対しては評価している。ただ、改革がある段階を超えてくると痛みを伴ない、急にブレーキがかかり始めることがあるためそこをどうやるかであるが、今後、こうした改革を一層進めていく必要はあると考えている。小林:アンケート結果については、委員会だけでなく理事会や幹事会でも議論している。 不良債権問題を飛び越して日本経済を良くする道はない。直接償却の話も出てきているが、不良債権問題に取り組むとすれば、それに伴なって借り手の問題などをどうするかについても、具体的に検討していかなければならない。金融・資本市場委員会を超えて非常に重要な問題だと考えている。

水口:経済審議会で取り上げた6分野の構造改革の中で大きく動いたのは、金融ビッグバンであった。今まではまずまず進んできたが、これからが本当にやるべき時だということで、このアンケート結果については、回答者は正当な主張をしていると思う。私自身、いよいよこれからが本番だと考えている。

Q:業種別にみて、金融業と金融業以外の回答結果の主だった違いはどこか。

三國:「これまでの金融制度改革で評価できるもの」(5頁)をみると、全体では"新規参入・相互参入の促進"が"会計基準・監査の見直し"を上回っているが、金融業を除くと、回答数が逆転する。ユーザーの立場から"会計基準・監査の見直し"に対する関心の高さが伺われる。

「わが国金融・資本市場に残された課題」(8頁)をみると、全体では回答数5位の"金融危機再燃対応"と2位の"税制"との間に大きな差があるが、製造業の意識をみると、"金融危機再燃対応"が"税制"並にまで高まっている。金融業以外の回答をみると、"規制緩和・自由化"と"会計基準・ディスクロージャー等"が拮抗する。"会計基準・ディスクロージャー等"に対するユーザーの関心の高さが伺われる。ただ、数字がどれだけ有効かという問題はあると思う。

また、12頁以降に、回答者個々のコメントを業種別に掲載しているので、ご参照いただきたい。

Q:「不良債権処理の完了」がわが国金融業の大きな課題ということは、不良債権がまだかなり残っているという認識が示されたということか。

三國:そのとおりである。不良債権が残っているがゆえに銀行が貸出を伸ばせず、デフレ傾向が強まり、また、不良債権が増えてくるという"ビシャス・サイクル(悪循環)"が起っているという懸念が回答者の意識にあるのではないか。

Q:不良債権処理の時期的な目途についてはどうか。

三國:アンケートでは特に聞かなかったが、委員会ではいろいろヒアリングをしたので、具体的には今後検討を重ねていきたい。

Q:森総理に対する退陣論が高まっているが、代表幹事はどうお考えか。

小林:退陣論は世論だけでなく、与党、足元の自民党にもそう受け取れる動きが見られ、森総理にとっては非常に厳しい状況だと思う。ただ、当面は、年度内に予算を成立させ、再就職促進関連一括法案など重要法案を成立させることで、国内外で心配の種となっている日本経済の足元をきちんとすることが最重要課題である。

森総理は先に向かって意欲を燃やしておられると思うが、日本が経済に限らず先行き透明感をきちんと持ち直すことが非常に大切ということは、以前から言われているとおりである。その視点から森総理が退陣すべきなのか、退陣した場合どうするのかということは、当面の課題が片付いた段階で即刻検討されなければならない。

いまの世論も一つの指針になるとは思うが、個人的には、仮に森総理が退陣した場合、自民党の中で代わりの人がいるのかいないのか、あるいは誰なのか、自民党以外に誰かいるのかという話はあるが、今まで見えている限りでは、野党の中に、多くの人から「この人なら」あるいは「こういう考え方ならば」という人がいるようには思えない。

今後の見通しということでは、不良債権処理など難しい問題を含めて、日本の構造改革を勇気を持ってきちんと進めていき、それに伴なう痛みについても、堂々と「こういう対策をとる」といったことが信頼を持って受け取られるリーダーが必要になってきている。自民党そのものが抜本的な改革を含めて次のリーダーを出していくことが、今の段階では一番あり得るし好ましい。これについては、国民の判断も含め、実際の当事者が続投か交替かを決めることになるのだと思う。今の時点では、森体制のもとで少なくとも年度内に予算を通し、構造改革を進めていく中で最大の課題であるセーフティネットの整備に関連する法案や、IT関連法案を成立させることが大切ではないか。世論もこうしたことの足を引っ張らないような形で、いろいろな議論がなされることが好ましい。

Q:直接償却の推進に伴ない、企業の破綻、株価の下落が考えられるがどう思われるか。

小林:全て直接償却ということではなく、間接償却に加えて直接償却を行うということだが、その場合、借り手企業の整理・破綻が考えられる。ただ、破綻そのものが株価を下げるとは思わない。日本企業の中に、(市場から)どうしても退出をせざるを得ない企業があることは分っているわけで、問題は、そうしたことを長いこと放置しておきながら結果的に不良債権が膨れ上がり、あるいは借り手側も、なかなか(市場から)退出していかない。こうした事態そのものが株価を下げている一番大きな原因である。

むしろ、企業の整理が行われること自体は、雇用・失業へ配慮し、新しい事業を起こしたり、転職に伴なうミスマッチを解消することを目に見えるように進めていけば、場合によっては、株売りの材料から買いの材料に転じても少しもおかしくないと思う。まさに、構造改革が進む途中の痛みのプロセスが出てきていると解釈するか、先の見通しがないままに企業の破綻が起きているのか、受け取り方は両方あるが、当然、前者のシナリオに乗るように進めていかなければならない。この難しいプロセスをリードしていくことが、これからのリーダーに求められている。これはアンケート結果にも表れている。

Q:3Kとか5Kとか森総理を巡って色々材料があるが、それらは総理を続けるのに相応しくないと思うか?それとも、必ずしも失政には当たらないと考えるか?

小林:失政ではないが、結果的にリーダーシップを遂行するには非常に難しい状況を作り出してしまっている。総理ご自身は、個々の色々な世評についてご不満もあろうし、フェアでないと考えておられると思うが、それがリーダーの辛いところであり、個々については説明しうるものも、全体としては結果的にリーダーシップの効果を失うような難しい状況になっている。

Q:森総理についてはリーダーシップを維持するのは難しい、次のリーダーとして野党には人材が見出せない、と言われたが、リーダー像というのは、どういう条件を備えた人で、もしいるならどういう人がいいと思うか?

小林:見えないと言ったのは、野党の皆さんが、私がやったら、我が党がやったらこうやります、という本気の話をするところまで来ていないし、聞かせてもらっていないということだ。

日本の当面の課題や不良債権処理も含めて、今後厳しい構造改革を先に進めて行けば、かなりの企業の退出を必要とすることは間違いないし、その結果出てくる失業問題に関しては、セーフティネットを思い切って強くしていったほうがいい。こうしたことに加えて、今国会に提出されている色々な法案も含めて、十年くらいのシナリオをきちんと書いて、それを政府、企業に対して色々な努力を要求する、ということについて、あの人なら、あの人を中心とするグループなら信頼できると思わせる信頼感を持たせる人がいいと思う。政策の面では、ある程度プロとしての能力も必要だし、政策を作れるブレーンも必要だ。

具体的にどういう人というイメージは無いが、日本に人材が全くいないということはありえないので、自民党からでも、野党からでもそういう人が出てきて欲しい。森総理ご自身も、そうあろうと努力されたと思うが、総理を囲む客観的な状況としては、力を発揮するには難しいところに来ていると思う。

Q:先日のG7でも参加各国の総裁から指摘されていたが、日本のデフレ景気が、デフレ・スパイラルに繋がる可能性が高いと見ているか?また、日銀が更なる政策を打ち出す要因があるかどうか?今は0.25%の無担保コール・レートを維持しているが、ゼロ金利に戻すことは効果があるか?

小林:私個人もまた多くの同友会会員もそう思っていると思うが、最初の点については、デフレ・スパイラルの危険はゼロとは言えないが、直近に迫っているとは思っていない。

その状況を踏まえて、一段の金融緩和については必要無いと思っている。やはり不良債権の問題も含めて、構造的な問題にきちんと取り組むのが一番重要なメッセージであり、借り手も不良債務を抱えて動きが取れない状態になっていること自体が、基本的にはデフレの状況を作り出している非常に重要な問題になっている。一時的に(金融を)緩和したり、一種の調整インフレ的なやり方そのものが、抜本的な対策になるとは思っていない。根本的なところに手をつけることが、一番重要だと考える。

水口:物価指数を仔細に検討すれば分かるが、大きく下がっているのは生産性の上がっている非常に技術革新の進んでいるもの、それから輸入品である。それを称して日銀は良い物価下落というのかもしれないが、一般的なオールド・エコノミーのものはほとんど下がっていない状況である。今は構造改革のプロセスにあるということであり、インフレ・ターゲットというのは、政策手段としてはありうるが、現実にどうするかということではない。

金融もロンバート型貸出を新たに創設したが、一つの意思表示にはなってきたと考えている。G7も、あるいは我々が二月初旬にお会いしたオニール米国財務長官も、必要なのは構造改革であり、日本が自ら取り組んで欲しい、というのが最大のメッセージである。その点で、従来同友会が主張してきたことと方向性は一致していると思う。

Q:先日ある財務官が、物価が下がれば企業が抱えている債務は膨らんでいくので、今の段階で良い物価下落とは言えないと答えていたが、それについてどう考えるか?

水口:財務省や経済企画庁は昨年から物価下落は悪いと言っていた。日銀は良い物価下落だと言っている。感情論、印象論を抜きにして、双方できちんと論争すればいいと思っている。はっきりとした経済分析のうえで、しかも過去における経済の歴史の中で、本当に物価下落は経済の成長にとってプラスであったか、マイナスであったかも含めて、民間は民間でそれぞれ主張しているが、国民的な議論をきっちりとしていくべきだ。同友会でもさらにしっかりと議論したいと思っている。

小林:インフレになれば将来に向けて部分的に債務が帳消しになり、その裏返しでデフレになれば段々債務が大きくなるという意見があるが、健全なノーマルな企業の債務が、今程度のデフレで多少増えるのは、少しも問題ではない。抜本的には、不良かつ過剰な債務を抱えているということが問題であり、デフレが大変なのではなく、根本的なところをきちんと整理しなければならない。それを放置している限り、少しくらいインフレになったからと言って、一年や二年で消えるわけではない。抜本的な処理が伸ばし伸ばしになっていることが最大の問題ということをきちんと認識すべきと思う。

以上

(文責:事務局)


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