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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2000年12月19日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長

冒頭、水口弘一副代表幹事・専務理事より、2000年12月(第55回)景気定点観測アンケート調査結果のポイントを報告した後、記者からの質問に答える形で、(1)ブッシュ米新政権の感想、(2)経済界・企業の選挙との関わり、(3)株価低迷の要因、(4)来年度のGDP成長率見通し等について出席者から発言があった。

Q:米国大統領選挙が終わり主要閣僚の顔ぶれが決まりつつある。非白人やマイノリティーなど保守色を払拭する傾向もあるが、その顔ぶれを見てブッシュ政権に対する感想は?

小林:パウエル氏とライス氏以外は具体的に決まっていないが、パウエル氏は96年の大統領候補に出るかどうかと言われた人で、(単なる)軍人を超えて米国で広い支持基盤を持っており、非常に順当なチョイスだと思う。外交は素人ではないかと言われているが、ブッシュ新大統領を支えてきたアドバイザリー・グループ(ライス氏やシュルツ氏)との関係もあり、外交についてもしっかりした考え方と物の見方で国務長官を務めると思う。

また、ライス氏はロシアの専門家で、私もスタンフォード大やシュルツ氏との関係もあり親しくしているが、非常にシャープであり、あの地位(国家安全保障担当大統領補佐官)に就いて、今後どう手腕を発揮するか興味がある。ただし、日本を含めたアジアについては彼女の力は未知数で、これからというところもあるが、パウエル氏とライス氏には、ある意味での新しさを期待させるものがあると思う。同時に、ブッシュ大統領は、レーガン元大統領のように人を上手に使うところが特徴であり、テキサスでは民主党にも呼びかけたという面があり、今度の新政権にもそういう点で大いに期待しており、また、他の要職にどういう人達が加わるのか期待をもって見ている。

Q:今回の選挙は競り合いだったこともあり、政権基盤の弱さを指摘するむきもあるが、これについて見解は?

小林:そうとは思えない。確かにポピュラー・ボートの獲得数ではゴア氏が勝ったが、一方で、これだけ米国の景気が良く、しかも現職の副大統領でありながら、接戦でしか勝てなかったというのは、ブッシュ氏が(獲得数が)少なかったというより逆にゴア氏の方が少なかったという見方をする人の方が多いように思う。また、今回の選挙では、かなり(両党の)政策も近く、幅広い政策論争をしていたので、(票が)かなり割れるということは予想されていたのではないか。割れ方も白人の男性票はブッシュ氏で、女性やマイノリティーは民主党(ゴア氏)ということが特徴的に出たようだが、今後も支持基盤の弱さや共和・民主両党間の亀裂が続くということは無いと思う。日本における総理という座に対する尊敬の念の低さや、意図的にそれを軽々しく扱うようなことに比べると、米国における大統領府に対する尊敬の念というのは羨ましい。それは、米国の一つの特徴であり、民主党支持者の全てではないが、決まった以上はブッシュ新大統領をサポートしてまとまると思う。それが米国の大変に特徴ある強さだと思う。

Q:来年予定されている参議院選挙に近藤剛氏(伊藤忠商事常任顧問)が、経済界推薦で出馬するとの見込みだが、この件に関してどのような見解をお持ちか。また、同友会として支持をしてゆくつもりか?

小林:近藤氏は経済同友会で外交・安全保障委員会委員長を務める有力メンバーであるし、個人的に以前からよく存じあげている方でもある。近藤氏のような方が政治に打って出ることは非常に好ましいし、個人として大いに応援したいと思っている。他にも多くの人が近藤氏をサポートすることは間違いないと思うが、その方法については自ずから節度があるだろう。具体的にどこまでが節度ある範囲かということは、これからきちんとしていく必要があるだろうが、私は近藤氏が非常に好きであるし、是非がんばって頂きたいと思っているので、応援することについて迷いはない。ただ、例えば経済同友会代表幹事の名前でメンバーに支援を呼びかけるようなことはどうかと思っている。

Q:従来「企業ぐるみ選挙」といえば、有力企業が管理職以上を党員にし、金を集めて選挙資金にするという形が考えられるが、富士ゼロックスとしてそういう方法をとるつもりはあるか?

小林:企業を挙げてというつもりはない。どうするかは個々の社員の判断である。

Q:仮に、経済同友会代表幹事として近藤氏の推薦書等に名を連ねるという話があっても、それは受けないということか?

小林:近藤氏を応援しているので、個人として、あるいは富士ゼロックス会長として推薦人に名を連ねることに全く異存はない。しかし、財界代表としてであればどうかと思うので、経済同友会代表幹事という肩書が公的なイメージを与えかねないのなら、それはしないだろう。

Q:奥田日経連会長は「オール財界で」推薦する、今井経団連会長は「経済界をあげて」応援すると言われた。このような方法は、ここ数年の政治の流れに照らして旧態依然過ぎると思うのだが、政治と企業、経済団体の関係について、どのような見解をお持ちか?

小林:今井氏にしても奥田氏にしても、ご発言は表現の問題であって、それぞれ経団連・日経連で実際に行動に移す時に、(会員を)縛るようなことはされないだろう。近藤氏のような立派な経歴と知見を持った方が経済界から政治に出ていくのはとても心強いことなので、そのような意味で「経済界代表」という表現を使うことはあり得るだろう。政策中心の政治が望ましい、政策で勝負できる人を政治に送り込もう、そういう人を選ぼうという方向性は、経済界に限らず日本全体が求めているものであり、大変な政策マンである近藤氏は我々の希望するプロフィールを備えた方だと思う。現実の政治の場や選挙では、それだけで勝ち負けは決まらないのだろうが、従来のような「企業ぐるみ」の行動は好ましくなく、最終的には個人が決めていくのが政治であるということが、徐々にはっきりしてきている。冷戦体制の崩壊以前は、極端に言えば左か右か、自由主義か全体主義かという大きな体制の中で、民主主義、市場主義、社会主義等の選択肢が存在した。そのような枠組が失われた現在、個人個人が判断していくべきであり、それが企業の姿勢の中でも見えるようにしていかなければならない。日本が求める政治のあり方,民主主義のあり方に逆行することは問題だと思う。

Q:今井会長に実際にどのようなやり方で支援するのか伺ったところ、経団連会長名で推薦人に名を連ねたいと言われていたが、経済同友会代表幹事としてはそれはしないということか?

小林:代表幹事という公的な肩書を使うことで、財界代表だからサポートしているという誤解を与えてはいけないので、富士ゼロックス会長という資格で行いたい。財界を挙げて、経済界を挙げてというよりは、経済界を代表するに足る資格を持った有力な方が出てきたので支援するということであり、その点に異存はない。しかし、何らかの体制として全体で支援するということは、表現は微妙だが実際には大きな違いがあると思う。

Q:そもそも、自民党の要請を受けて経団連など経済界が候補者の人選にあたるという経緯については、どうお考えか?

小林:かつて、経済界の意見が政治に反映されないから独自に党を作ろうという話を盛田(昭夫・故ソニー名誉会長)氏らがしていたこともあった。経済界から政治に良い人が出て行くのは結構だと思うし、近藤氏もその意味で良い候補だと思う。しかし、経済界挙げてというやり方については節度があるべきだと申し上げているのであって、今回のプロセス自体に不明瞭なところがあったとは思っていない。(政治において)政策が重視される中で、あれだけの政策マンが政治に出て行くのだから、是非それが活かされるような政治であってほしいと期待している。

Q:従業員と雇用という面で、経営者・企業というのは特殊な存在であると思う。富士ゼロックス会長として推薦にあたることで影響力を行使することについて、その是非はどうお考えか?

小林:確かにそこまで純粋に考える必要もあるだろうが、敢えて申し上げれば、富士ゼロックスの社員はそこまでちゃちではないと思っている。個々人で判断するだろう。先般の長野県知事選挙において、八十二銀行の茅野頭取が田中現知事を支持したのはあくまでも個人でなさったことだろうが、行員や地元の方にとってはそれなりに影響もあったのだろう。しかし、茅野頭取は、それをご存知の上で敢えて支持されたのだろう。そこは割りきるより仕方ないところであり、私も自信をもってやりたい。

Q:株価が低迷しているが、政治が信頼を得ていないからか、それとも経済的な要因によるものか?

小林:2つポイントがあり、これらは従来から変わっていないと思う。一つは、政治の問題を含め将来に対する見通しがはっきりしないままにあること。二つ目は、経済界からも「まだまだ」という発言が出過ぎることにある。景気とはかなりの部分ムードである。四半期ごとにある程度の上下はあるが、99年4月以降は、一部を除けばコンスタントに良くなってきている。それは、本日の景気定点観測アンケートの結果にも現れている。しかし、企業業績に良い見通しが出ているにもかかわらず「まだまだ」という発言が多く、最終的に何を求めているのかはっきりとしない。何となくムードを引きずっている感があることと、将来に向けて財政、年金、社会保障などの見通しがはっきりしていないことが大きな要因だと思う。

また、構造改革をハードランディング方式で行なっているわけではないので、進展はあるものの時間がかかる。その間、企業がリストラをすれば、どうしても失業者が出るし倒産も出てくる。良いことではないが、リストラが進んでいる証拠であり、長い期間をかけて改革を進めている時には、ある程度の失業率の高止まりもやむを得ないと思う。これが、一般の報道になると、「まだ大変だ」「まだ良くない」というトーンになってしまい、「まだ」がメインで、企業業績が良くなってきても、どちらが主役か分からない状況になっており、将来に向かってムードを暗くしている。

これは、株価にも影響を与えていると思う。とりわけ海外との関係については、NASDAQとの関係を含め直接連動型になってきており、米国も徐々に収まりつつあることは間違いないようなので、米国との影響で大きく振れて必ずしも抜けきれていないというのが実感である。

水口:まずは21世紀の展望をはっきり示し、その展望の中で、今はこうした段階にあるという説明がなされていないことが根本的な問題である。(株価は)見通しがなくても上がる時は上がる。良くなると予測しているから、上がるわけである。今はそれがないが、基本的要因は需給関係にあると思う。日本の株式市場は主体性がなく、出来高の4割は外国人投資家によるものである。しかも、上げ下げがNASDAQと相似形になっている。日本の景気実勢がこれだけ良いのだから、もっと買われて当然という研究機関のストラテジストの考えは間違いである。米国が安い、NASDAQが暴落する、ネットバブルが弾けることによって、相似形になってきてしまっているのである。

もうひとつは、日本には「評論家」が多すぎる。先進国の中でGDPが井戸端会議の話題になる国はない。そうすると、皆が同じ方向に行ってしまうので、様々なアンケートでどれも同じような(回答)結果が出てくることになる。今年度3月決算では、20年ぶりに30%以上の増益になると予測している。また、バリュエーションから見ても、現在マイナス2%であり、普通の金利より株式が割安であることを意味している。これは30年ぶりの割安である。一部では、持ち合い株の売却を止めさせようといった意見もあるが、こうした時こそ個人金融資産を株式市場に導入していくことが重要である。そうした点では、打ち出し方があまりにも遅すぎるという問題はあるが、キャピタルゲイン・タックスの先延ばしについては、それなりに意味があると思う。従って、これ以上心配することはないし、勇気をもって買いに出ることが正解と考える。

大体、株式市場が悪くて凍結機関を作るという時が「ドン底」である。共同証券保有組合の例を見ても、5千億円近いの株式を凍結したが、昭和43年には好況になって全てを売却し、800億円くらいの売却益を産んだ。本来なら、これは個人投資家に帰すべき利益である。株式市場の担当証券会社や銀行は、自身の役割が非常に大きいということを強調したい。私は、株式市場について、さほど心配していない。

Q:来年度のGDP成長率の見通しを1.7%にしたことに対する感想は?

水口:さほど大きな意味は感じない。特にGDP統計というものは遅れに遅れるわけで、あまり意味がないと思う。例えば、7 - 9月について確定値が出るのは来年に入ってからである。その時に、もし景気実勢がまだ不透明であり、株式も3月決算を控えて低迷しているという時期にぶつかると、97年と同じようなことになりかねない。数字ではなくて、実際に経済に携わっている人達の実感を踏まえる、あるいは実情を良く見て物事を判断することが重要である。

小林:今回、輸出が少し減ったようだが、米国経済については引き続き要注意ということであろう。もちろん、クラッシュ・ランディングは起こらないだろうが、足を引っ張った一番大きな要因が輸出ということであれば、注視する必要がある。下がったこと事態については、一喜一憂することはないと思う。

以上

(文責:事務局)


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