ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2000年10月17日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長
宮内義彦副代表幹事・米州委員会委員長

冒頭、水口副代表幹事・専務理事より、10月23日(月)から25日(水)にマレーシアで開催される「第26回日本・ASEAN経営者会議」について説明の後、記者からの質問に答える形で、(1)叙勲制度見直し論議、(2)米国の景気動向と大統領選挙の見通し、(3)Xerox Corporationの経営状況、(4)長野県知事選、(5)景気動向と物価安定、(6)千代田生命の破綻等について出席者から発言があった。

Q:先日、第一回の「栄典制度の在り方に関する懇談会」が行なわれたが、同友会としては、昨年、制度廃止の提言をしたと記憶しているが?

小林:同友会は"制度そのものを廃止すべき"と言っているわけではない。「新しい日本を考える委員会」が昨年6月に提言を発表したが、現在の叙勲制度をどう評価するかについて、"国が個人を評価する、あるいはそこに段階をつけることは好ましくない。褒章を広げることは必要だが、一般に言われているような官高民低あるいは官主民従ではなく、多くの国民が納得のいく制度になるよう抜本的に見直す必要がある"というのが趣旨であった。個人的にも同じ考えである。
第一回の懇談会は、(私は欠席したが)現在の制度に関する過去の経緯や他国での状況等に関する説明と、個人的な考えに基づいた意見交換が行なわれたようだ。何等かの制度があることについては悪いとは思わないが、誰が見ても片寄っていると思われる部分については、思い切って見直していく必要がある。

Q:経団連の今井会長は、"勲一等、二等といった序列をつけるべきではない"と発言されているが、小林代表幹事も同様のお考えか?

小林:もともと人間に等級を付けているわけではないが、一般的にはそう見られるということを踏まえ、本当に現在の形が必要なのかをきちんと考えるべきである。海外でも一等、二等のように数字はつけないものの、比較すれば格上と認められている勲章はあり、本当に全てが同じレベルでなければいけないかについても検討する必要があろう。奥田日経連会長は、"民間にはいらない"と発言されているようだが、そこまで割り切る必要があるかどうか。国が公の面で認めることに対して、素直に喜ぶ人も少なくない。ただし、官の人の方が、民の人よりも多いというのが一般的な印象であろうし、このように受け止められることは、好ましくないだろう。

Q:財界の中で意見が同じ人は連携し、声を大きくしていけないかという考えから、奥田会長が"小林代表幹事と話をする"と発言されていたが、組織だって議論し、その結果を小林代表幹事が参画している「栄典制度の在り方に関する懇談会」に叩き台として提出することは考えられないか?

小林:奥田会長と話をしたが、そうした主旨ではなかった。目的は、私が海外に出張していた間の発言であったので、その趣旨を分かって欲しいということであり、連携して云々という話はなかった。また、個人的にはそのように取り組むべき問題ではないと思う。「栄典制度の在り方に関する懇談会」には、経済界を代表して参画しているとは思っていない。

Q:懇談会には、個人として参画しているということか?

小林:個人と言っても、経済人であることはバックにはある。しかし、同友会を代表して参画しているわけではないし、経済界を代表して参画しているといった意識もない。

Q:宮内副代表幹事は、叙勲制度見直し論についてどのようにお考えか?

宮内:概ね小林代表幹事と同じ意見である。一つは等級が多過ぎるので、もっと簡素化する必要があると思う。また、元来パブリックに貢献した人を中心に称えようという考えの結果、官の人が多くなったのであろうが、今や国造りや社会造りといった場合、官も民も同じレベルで貢献していると思う。従って、現在の状況は偏重している。自分自身については分からないが、叙勲のために何かをするということが社会的にあるとすれば、これは逆転現象であり、こうした弊害はなくさなければいけない。また、我々もそうした自覚を持たなければいけない。

小林:二つ付け加えたい。一つは誰が選定すべきかについて、官ではなく第三者機関を作ってはどうかという意見もある。本来、官はシビル・サーバントとして国益を客観的に考える立場にあり、官が選定すると官高民低といった好ましくない結果になると受け止められることは、官としても反省に値するのではないか。また、最終的には個人の判断であるが、実態として、組織や会社の名誉として叙勲に取り組んでいるケースもあるようだ。一概に悪いとは言えないが、その実態を調べていく必要もあるのではないか。

水口:私自身は叙勲制度廃止論者である。民間においては必要ない。例えば、経済功労賞といったものはあり得る。勲一等や勲二等、あるいは大勲位といった等級は、本質的なものを表わしていない。

Q:経済功労賞については、どのようなお考えか? 文化功労賞のように序列をつけることなく、経済に貢献のあった人を国が称えるといったイメージか?

小林:叙勲の問題とは別に、いろいろな功労賞があってもおかしくはないが、今のところ無くては困るとは思っていない。水口副代表幹事・専務理事は、経済人が叙勲を受けるのであれば経済功労賞があってもいいのではないか、という趣旨で発言したのだと思う。

水口:例示として挙げた限りであり、提唱するつもりはない。

Q:米国に出張されていたが、米国の景気動向と大統領選挙の見通しはどうか?

小林:今回の出張の目的は、サンフランシスコでの富士ゼロックスの取締役会をはじめ、ニューヨークでの外交問題評議会の諮問委員会、ワシントンでのジャパンソサエティーの総会、Xeroxの取締役会、カナダで日本政府が催したアクセス・ジャパン、そしてJPモルガンの国際諮問委員会への出席であった。

景気については、第3四半期の数字が悪くなった、あるいは見通しよりも下回ったという企業が、ハイテク関連を中心に多く見受けられた。一言で言えば、景気が急激に悪くなるという見方はないものの、段々とセンシティブな状況になってきている。特に最近の原油問題によって、慎重さはますます高まってきており、少し慎重にウォッチする必要がある。

大統領選挙については、「接戦」という言葉に尽きる。外交問題評議会での議論や政治評論家の発言を聞いていると、最終的には、フロリダ、オハイオ、ペンシルバニア、ミシガンでの結果如何とのことであった。個人的な印象としては、ディベート前はゴア候補がリードと言われていたが、現時点ではブッシュ候補がリードしているのではないか。理由は、これだけ経済状況が良いにも関わらず、現職の副大統領がディベート前にあれだけしかリードできていないのは、ある意味で異常だと思う。さらに、ブッシュ候補については選挙戦を繰り広げる中で、当初抱かれていた不安感が徐々に薄れてきた。副大統領同士のディベートの影響が、かなり大きかったのではないか。結果的には、ブッシュとチェイニーというコンビネーションの方が、ゴアとリーバーマンというコンビネーションよりも信頼できるという印象を強めたのではないか。現在の中東情勢も最終結果には影響を与えるかもしれないが、いずれにせよ、最終週まで分からないというのが現状のようである。

Q:米国のゼロックス社の経営が苦しいとの海外からの情報があるがどうなのか。

小林:報道されている以上にお話しすることはない。米国のゼロックスは去年の後半から業績が悪くなった。幸い日本の富士ゼロックスは比較的順調で、欧州もまあまあである。米国のゼロックスの株価は本日も下がった。先日Chapter11(米連邦破産法11条)の適用を申請するのではないかという噂がとんだが、それはゼロックスも否定をしているようにキャッシュは問題がないわけではないが、70億ドルの与信枠などがあり、それほど心配はない。一言で言うと、ゼロックスの業績悪化の非常に大きな原因の一つは営業組織のいじり方について失敗したことである。2年半前に就任したIBM出身の前CEOトーマン氏の下でソリューションビジネス本位に変えていくために営業組織を地域型から産業別に変えたが、移行のスピードを急ぎすぎた。それに合わせて行った国内のバックルームのシステム合理化がトラブルを起こした。この原因について現在対策を打っておりそれは成果を上げるだろう。

Q:先般の長野県知事選挙において経済人が果たした役割には、注目すべきものがある。同友会の夏季セミナーでも、提言を実現する主体である政権を抜きにして提言することは、ある意味で無責任ではないかという議論があった。そうした流れから見て、今回の選挙での八十二銀行茅野實頭取の動きは、非常に大きな影響力を持ったと思う。経済人と政治との関わりの問題として、どのように考えるか?

小林:個人的には存じ上げないし、報道を通じてのご発言しか知らないが、今までの長野県政のあり方に対する大きな不満が蓄積されていて、何とか変えなければいけないという"マグマ"が膨れ上がった結果と受け止めている。また、経済人が反体制を支持することについては、地方においては大いにあり得ることであると思う。本当の結果についてはこれからだが、経済人としてこうした動きをすることには勇気が要ったと思うし、行動を起こしたことには敬意を表する。

宮内:経済人というものは、基本的には経済活動で社会に貢献すべきだと思う。しかし、現在の社会は、政治との結び付きが非常に強いので、政治によって経済活動が左右される。従って、こうした中では、自分の思いを託せる政治家や政治団体と結び付いていく。これは利益誘導的な考えではなく、かつて資本主義と共産主義があった場合に資本主義を支持したように、今であれば大きな政府と小さな政府であれば経済人としてどちらを支持するかといったように、あるいは市場経済に片寄った経済運営と配分に片寄った経済運営のどちらを支持するかといったように、ひとりの経済人として、自分の思いを実現してくれる政治家や政治団体と意思の疎通を図りたいと思って動く場合は大いにあるし、そうした活動は許されるべきだと思う。私が規制改革委員会委員長を務めているのも、そうした思いの一端である。

今回のケースは、経済人のそうした思いと県政とが、あまりに乖離していた結果ではないか。そうした意味で、その勇気を称賛したい。ただし、本当に成果が上がるかどうかはこれからであり、経済人はそこに関わっていく責任を背負い込んだということだと思う。

Q:企業の組織票をどうするかという点で、今回は個人として応援演説もしたとのことだが、個人といいながら八十二銀行の看板をバックにしたものだと思うが、例えば企業における締め付けのあり方等もう少し上品にやるべきではないか?

小林:締め付けを上品にとはどういう意味か?

Q:かつて票を集めるための企業ぐるみ選挙ということが言われたが、今回、参院選での改革を巡って、全国的な企業が知名度をバックにして云々という懸念もあるがどう思うか?

小林:質問を正確に理解しているか分らないが、茅野氏は社員に影響を与える気はないだろうし、自身も"頭取がそんなことをされたら困る"と社員から責められることもあり得るのに、そういうことを踏まえ考えた上で、敢えてあのような行動をとられたのは勇気あることだ。全行員に田中氏に投票しろと言われたはずもないし、有力経済人が野党を支持した例も皆無ではない。これからの県政に良い成果が出てくれることを願う。

Q:日銀の物価見通しに関連して、一つの節目は物価安定だが、インフレ・ターゲットは慎重に考えるべきかどうか、また、政府は緩やかな景気回復が続いていると主張しているが、原油高や株価下落等心配な面もあるがどう考えるか?

小林:原油問題やアジア経済のかげりといった点で、トーンとしては慎重な見方という要素は入っているだろう。同友会の景気アンケートを今度実施すれば、前回より慎重な見方が出てくるだろうと考えている。悲観することはないが、警戒要因が出てきたので、それは正しい見方だろう。日銀が政策委員の見通しを出すということについては、従来より一歩も二歩も進んだと思う。

水口:日銀がインフレ・ターゲットに関して数値を挙げなかったのは弱腰との意見もあるが、ゼロ金利解除後の状況を見守っているなかでは(数値を挙げるのは)時期尚早であり、妥当な措置だったと思う。

Q:インフレ・ターゲットを緊急に考えるべきではない状況か?

水口:デフレ・スパイラルではないことは明確だ。ものの見方として、経企庁は物価下落は良くないとする一方、日銀は良い物価下落であるとしており、今後、政策論として詰めていくべきと理解している。

Q:デフレ・スパイラルに入っていないと言うが、4-6GDPや個人消費をみればデフレ圧力が存在するのではないか?

水口:そういう意見もあるし、IT革命等を要因とした生産性向上による良い物価下落であるとの意見もあり、今後を見ていく必要がある。

宮内:デフレにもっと注目しないといけない。GDPの発表数値は実質であるが、個人も企業も名目で生活しているなかで、名目で良いデフレ、悪いデフレがあるのか。物価が下がることは経済の活力をそぐことになり、"失われた90年"の大部分は"資産デフレ"と"名目で伸びないGDP"とに悩まされてきた。小康状態にはあるが、デフレ懸念がなくなった訳ではない。"実質"で緩やかな景気回復と言っても、"名目"で生活している企業・個人には実感がわかない。

Q:千代田生命の破綻やダイエー経営陣の不祥事等、こうしたミクロの問題についてどう考えるか?

小林:千代田生命の破綻は青天の霹靂ではなく、金融機関に関してこうした問題が出ることは、勿論良いことではないが、ある程度予想されたことだ。日本経済の陥った底の深さと、不良債権問題等に関する透明度不足により、表面化するまでに時間を費やしたことで(金額も)巨額なものとなった。今後、短期に一挙にハードランディング・シナリオでやっていく訳ではないので、暫くはこうした問題が出てくることは覚悟しなければならない。個々には大変な問題であり、日本経済を再編するなかでの"痛み"のプロセスが続いているが、その先はプラスになるように規制改革等を思い切って進めていくべきだ。

以上

(文責:事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。