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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2000年05月16日(火)13:30
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長
鳥海巖副代表幹事、生田正治副代表幹事

記者の質問に応える形で、(1)緊急雇用対策の閣議決定、(2)北海道庁が絡んだ土木談合、(3)石原都知事の政治手腕、(4)日経平均採用銘柄入替えと株価乱高下、(5)「インターネット文化振興協会」の創立、(6)パソコン普及やネット化拡大の具体策、(7)NTT接続料問題、(8)森首相の経済運営等について、出席者から発言があった。

Q:本日、閣議で「1年間で35万人の雇用創出を目指す」との緊急対策が決まったが、雇用責任を持つ経営者の一人として、現下の経済情勢・雇用問題についてどのようにお考えか?

小林: 雇用の安定と企業の収益構造改善の問題を如何にバランスさせるかは、個々の経営者が苦労しながら答えを探している。同友会は、企業や組織にではなく、個人に対策が打たれることを強く希望している。今度のような対策が打たれることは、企業経営者が自己責任でアクションを起こし易くするもので、歓迎すべきだ。一方、全体の雇用情勢については、日本経済のリストラは今後も進むことから、ここ2、3年で一挙に失業率が急激に減るような見通しは立ちにくい。新規事業創出へのアクションをより積極的に打っていかないと、雇用全体の改善はなかなか見えてこないだろう。

Q:北海道庁が絡んだ土木談合が発覚し、公取委の勧告を受ける事態に至ったが、これに関してどのようにお考えか?

小林: 結果的に公取委から勧告を受けるような内容であったことは残念だ。経済界全体として、こうした問題が起きないよう努力している中で、起こってしまったことについては、深く反省すべきだと思う。ただし、事実確認が十分ではないので、詳しいコメントは控えたい。

Q:石原都政発足1年になるが、石原知事の考え方や政治手法についての感想・意見は?

小林: 一部突出し過ぎているということはあるが、都民から見た場合、非常に強いリーダーシップを持った頼りになる都知事が久しぶりに出てきたという印象が強い。  一方、外形標準課税の時にも申し上げたが、東京都の大きさ、その長としての存在の大きさにもう少し配慮して、ご発言いただくことが好ましいのではないか。しかし、総じて言えば、この1年に強いリーダーシップを印象付けたと思う。

鳥海: 友人であるということを差し引いても、彼なりによくやっているというのが率直な意見である。都知事自身、今、非常にやり甲斐を感じているのではないか。外形標準課税など批判はあるかもしれないが、自らリーダーシップを発揮し、方向を決め、透明性を高めるためにマスコミ取材も断らず、自分の考えていることを形に表わしている。
民間企業と同様、まず都自身がしっかりしなければいけないと、自らの報酬や職員の報酬もカットしてやっている。現在は、特に第三セクターの問題に、民間の発想で歳出に歯止めをかけることに取り組んでいる。都知事自身も認識しているが、東京都は非常に大きな組織であり、これからがまさに腕の見せ所だと思う。時々失言もあるが非常にやる気満々であるし、しっかりやっているという印象を持っている。

Q:東証の日経平均株価採用銘柄の入替え後、米国NASDAQの影響もあり株価が乱高下した。これらを含めて株価ついてご意見はどうか?

小林: 日本経済のファンダメンタルズが如何にマーケットに反映しているかを見れば、基本的には問題無いと思っている。また、株価を離れて、他のデータから判断をしても、ファンダメンタルズは基本的に良くなりつつあると思う。銘柄入替えが株価乱高下の大きな要素になったことは事実だと思うが、日経平均以外の指標は「日本経済のファンダメンタルズが堅調に推移している」ことを示しており、経済が良い方向に向かいつつあるという基本的見方は変えていない。そうした見方に基づいて、今後の経済政策のあり方等についても発言していきたい。

Q:水口副代表幹事・専務理事は、先の日経平均銘柄の入れ替えについて、どのようにお考えか?

水口: 一週間で急激に入れ替えを行なったのは、性急に過ぎたのではないか。米国では時代に合わせてUSスチールに替えて新しい銘柄を加えたように、産業構造の変革に合わせて行なうべきである。今ではニューヨーク・ダウとは言わず、ダウ工業株30種をとりあげ、そこには、マイクロソフト、インテルのようなNASDAQ銘柄が入っており、米国の産業構造を代表する銘柄に替えていっている。(日経平均は)ひとつの継続性ある指標ではあるが、機関投資家の間では別の指標を使うことが多いのも事実であり、私は、TOPIXができた時からこれを使うべきだという意見を持っている。しかし、TOPIXが1,700から50ポイント下がった場合、これがどの程度のことかという実感が湧かないので、どうしても日経平均を参照することになるのだろう。大蔵大臣までが継続性がなくなったと公言している以上、日本経済新聞社は、継続性があるという反証を紙面上でも分かり易く説明する必要があるのではないか。

今回の件は、インデックス・ファンドやそれに伴なう自己売買部門の先物投資と売買が相当あり、インデックス・ファンドだけで1兆円とも言われている。これを短期間で入れ替えれば大変なことになる。新しいものは入れる、古いものは売るとなったら、当然、それに対する思惑的・追加的な売買が起こるため、マーケットに対して相当大きな激動要因になったのは事実だろう。

一部エコノミストには、当分の間、新旧入替え銘柄を並行してやってはどうかという意見もある。1万7,000円割れになった時、ある新聞では、従来銘柄の場合、新しい銘柄の場合、TOPIXを比較して掲載していた。こうした方法もあるかもしれない。ここに来て(市場が)落ち着きを取り戻し、皆の認識がはっきりしてきたので、投資家を含め皆が理解できるような解説と説明をお願いしたい。

Q:本日、総理府の肝いりで「インターネット文化振興協会」という団体が創立され、小林代表幹事もその役員に入っておられる。就任の経緯について伺いたい。

小林: 小渕前総理時代にスタートした種々のプロジェクトの一つに「インターネット博覧会」がある。米国等と比較して立ち遅れているインターネットの普及を一挙に勢いづけるとともに、インターネットを活用した新しい企画等が出てくるような、良い意味での国民レベルのでの“お祭り騒ぎ”をやろうという目的で始まった。

今回は、これと並行して「協議会」を設立した。当面、「インパク」の成功が第一ではあるが、日本におけるインターネット、あるいはインターネットを含めたIT化が、健全かつ欧米に遅れないよう促進することがこの「協議会」の狙いである。実際、「インパク」も中央で企画を作って「こういう形でやりましょう」というよりは、ある程度大きなルールを作ったら参加者にアイデアから全てを任せる方向で進行しつつある。

Q:米国では申告納税を行っており、それにパソコンを利用すると税金の免除を受けられる等により個人にパソコンが普及した。日本でもパソコンが家庭に普及するために、「これをやればパソコンが普及し、ネット化が拡大する」という具体策はお持ちか?

小林: 税金の自己申告制は同友会も提言しているが、そのPCやソフトもできて、利用し易い方向に向かっており、それらを噛み合わせるのは一つの方法である。加えて、やはり教育分野が重要である。英語とPCを使うデジタル・リテラシーをどう上げていくかという観点からも、小学生が外国語とPCに触れるよう徹底していくことが重要である。馴染み、使うことによって、インターネットを含めたPCやデジタルの世界がどんどん拡がっていく。
また、元々デジタルなものには、明らかに年齢によるデバイドがある(高齢者はあまり使わない)が、米国での利用者平均年齢は40歳だという。若者だけでなく、中高年を含めた広い層に拡がっているが、これは、そうしたカルチャーが拡がっているだけでなく、現実に中高年が使い易いソフトが登場したことや、申告納税など自分にとって具体的なメリットにつながることに起因している。これらを上手にPRしていくことが、今後の重要な展開、目の付け所になって来ると思う。

水口: 99年度のPC出荷台数は、約1,000万台とテレビより多くなり、今後も更に普及するであろう。設備投資の中でも、昨年の今頃までは「設備投資の中でPC関係・IT関連の比率は15%であるから全体への波及力は少ない」という意見がエコノミストに多かったが、ここに来てその波及効果が非常に大きくなり、全体の設備投資を押し上げている。その意味で、設備投資は本格的に上昇に向かったと思う。実態から言えば、株価もそんなに大きく変わった訳ではなく、特に経済のファンダメンタルズは良いので、それ程に心配ない。PCについては、これから更にユーザー・フレンドリーで使い勝手の良いものが出てくることを期待している。熟年層に絞っていけば、少々高価なものでも売れると思う。

小林: IT投資は規模だけでなく、どういう分野かということもよく見ていくべきだ。IT投資のかなりの部分は、従来型産業に入っていって、そこでの効率化やニュービジネスにつながっている。現在の米国のGDPで、いわゆるE‐ビジネスはまだ2.7%程度である。E‐ビジネスの可能性については大きいだろうが、全体の中でのウエイトから言えば、従来型産業の生産性・創造性を上げることにより効果的に使われないと、IT投資全体の経済効果は少ない。その点をよく見ていく必要がある。

鳥海: PCは(普及率が)10%を超えると加速度的に増えていくと思う。米国では、確かに税金の自己申告制がPCの普及を更に加速しているが、日本でも今後、相当増えていくだろう。こうした変革には意識改革が必要だが、意外と日本人はそうした反応は早いのではないか。また音声認識など、もっと使い勝手の良いものがどんどん開発されてくるだろう。また、学校にPCを入れると、生徒がどんどん使えるようになるが、むしろ年輩の先生方にどうやってPCを普及させるかが、これからの大きな問題だと思う。

先ほどの株価の問題について、当社で調べたところ、日経平均銘柄の入替えは確かに大きな影響があった。銘柄入替えは僅か30社(13%)であったが、これら新規採用銘柄の指数全体への貢献度は51%であった。しかも日経平均が採用している225銘柄のうち、株価合計に占める電機セクターの割合は従来の20.1%から、入替え後42.9%になった(TOPIXは20.3%)。しかも上位14銘柄で、225銘柄の株価合計の5割を占めている。逆に言えば、これで間違いなく米国の株価が、そのまま日本側の株価にも反映するような仕組みになった。既に、米国の株式バブルは修正期に入っていると思うので、このままうまくソフトランディングしてくれれば、非常に良い形になってくると思う。

水口: PCについては、現在行っている家計調査等種々の手間のかかるサンプル調査に代えて、パソコン利用者に簡単かつダイレクトに答えてもらうようにすれば、もっとビビッドな消費関係の統計ができるのではないか。

Q:NTTの接続料について、亀井政調会長が政治決断の必要性を表明したが、これについて代表幹事はどのようにお考えか?

小林: 個人的には、政治的決断が必要な段階に来ているとは思わない。接続料の問題は、郵政省の決定事項であることから政府の問題であり、米国もG to Gの問題としていることから、政府の判断によるべき案件だと思う。今までのプロセスについては既に話しているとおりであり、日本が4年間で22.5%下げると言うのに対し、米国は2年間で41.1%下げろと言う状況をどこでおさめるかについては、サミットの関連で政府が判断することであろう。ただし、この問題について、両国政府がヒートアップしているといった印象はない。

Q:この問題は、日米首脳会談やサミットを通じて長引くと見ているか?

小林: 米国高官が『NTTは、接続料を下げる財源として東西NTTの事業領域を広げることを要求し、NTT法改正を求めているようだが、併せて競争政策に絡む問題を見直す必要がある』と発言したとの報道が一部であったが、これは大変に含みのある発言である。先般、宮津社長が要求を出したのだが、そうした方向の正当性を間接的に認めた発言と受け止められる。(NTTは)ユニバーサル・サービスを義務付けられ、価格決定権は自らになく、事業範囲も制限されているという状況自体がイレギュラーであることを米国側も認めたのだと思う。米国として基本的な問題を直視した、かなり重要な見解だと思う。

Q:代表幹事ご自身も、ユニバーサル・サービスの問題や価格決定の問題を含めて、NTT法の改正は必要だと思うか?

小林: 必要だと思う。

Q:森首相は同友会の通常総会懇親会で、景気回復優先で財政再建後回しという経済運営姿勢を示したが、これに対する同友会の意見はどうか?

小林: 積極財政など景気刺激を重点とした施策は、ゼロ金利政策を含めて転換の時期に来ていると思うし、予算の問題については、2000年度の補正は不要であり、来年度の予算編成は財政再建を視野に入れるべきと思う。従って、来年度あたりから(歳入・歳出を)ニュートラル化していくことを含めて、転換の起点と位置付けるべきと考える。
森首相は、我々がかねてからこうした発言をしており、かつ「森新内閣に望む」という見解をご本人に差し上げていることから、先日の通常総会懇親会で、『同友会は、もう財政再建を視野に入れて転換すべきと言われるが、小渕さんのお考えを踏襲して、景気についてはっきりとした目途が付くまでは、二兎を追うべきではない。個々の方とのお話しでは景気が大切であるとのご意見も多いようだ』と言われたのだと思う。

誰も景気は大切ではない、などと言っているのではないし、(景気が)元に戻ってしまうといった危機感があれば公共投資等についてもフレキシビリティをもってあたるべきと思うが、そうした時期はもう越したと思う。今年度末に630兆円も充てていることもあり、財政再建を視野に入れて経済運営を行なうことは、もう不可能ではないと思う。

以上

(文責:事務局)


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