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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 1999年12月21日(火)13:30~
出席者 小林 陽太郎 代表幹事
水口 弘一 副代表幹事・専務理事・広報委員長
瀬戸 雄三 副代表幹事・企業経営委員長

記者からの質問に答える形で、(1)首都機能移転、(2)ペイオフ問題、(3)連結納税制度先送り、(4)2000年度予算大蔵原案、(5)衆議院総選挙、(6)消費税増税、(7)為替レート等について出席者から発言があった。

Q.首都機能移転に関する経済同友会のポジションはどういうものか?

水口: かつてキヤノンの賀来さんが検討されたことはあった。現在は、関連の委員会として都市問題委員会があるが、その議論はしていないため、同友会としてのポジションは無い。

小林: 賀来さんの時は遷都というニュアンスが強かった。首都機能移転については、都市問題委員会があるが、同友会としてポジションは作っていない。個人的にも明確なものは無いが、場所の議論は別として首都機能移転は理屈としてはあり得るが、首都機能を効率的・効果的にすることと、東京を街としてどうするかということとは、分けて考えるべきだろう。東京をどういう姿にするのかを考える前に、移転が先にありきというのはどうかと思うが、あまり確たる意見を持っているわけではない。

Q.ペイオフ問題について信組を除外するとの議論もあるが、こうしたことをどう受け止めているか?

小林: ペイオフについての同友会のポジションは変わらない。予定通り実施すべきだ。部分的に延期するとの話は、技術的にも可能かどうか疑問を持っている。この問題も、一度決めたことを予定通り実施できるかどうかといった類の問題だ。

水口: 11月に同友会が出したペーパーにあるとおりである。政治の問題として振り回されるのではなく、経済の問題はそれとして対処していくことが重要だ。特に一部の信組だけ実施しないなどは、危ないことを示唆するようなもので、かえって預金が逃げてしまい逆効果である。本当に大切な金融システムにかかわる場合は、政府がきちんと対応するのだから、決めたことは粛々とやることが大事だ。

Q.連結納税制度も先送りされたが、産業界における打撃をどのように思うか?

小林: 1999年から2000年にかけて日本経済全体が抜本的な構造改革を迫られており、企業がさらに効果的なあり方を探るなかで、連結納税制度は重要なポジションを占めていた。それが先送りされることは、構造改革を進める上でかなりの痛手だ。(企業の)組織作りに対して税制だけ遅れることの痛手もあるが、何より構造改革を前向きに思い切って進めるということに、水を差す結果になるのではないか。

瀬戸: 企業は公明性と透明性を問われる時代に入っており、来年4月からの連結決算導入を前提に連結経営を進めてきたが、そうした企業のグローバリゼーションに対応する動きに対してせっかく決めた税制が遅れることは、企業の対応と税制の不一致であり、極めて遺憾である。単に税収云々の問題で取り沙汰される話ではない。

水口: 大企業など各社とも連結を前提に経営を行っており、こうした動きに水を差す、遅らせることになると思う。

Q.2000年度予算大蔵原案について、(1)巨額な公債残高だが、一部財界人には、景気が回復し、税収が増えれば解消できるとの見方があるがどうか?(2)宮沢蔵相も積極財政を打ち出して、これで終わりにしたいと発言しているが、来年下期以降、本当に乗り切れると考えるか?

小林: (1)については、今の国債依存度は膨大であり、経済が拡大していくことだけで大丈夫だというレベルを越えている。従って、公共事業投資の中身や思い切った財政の健全化について、トータルな税制の基本的な見直しと、医療年金、保険など、少子高齢化社会にからむ財政支出についての抜本的な改革とを併せて行なう必要がある。税制については減らすばかりでなく、増税もあり得ると思うが、増税だけで帳尻合わせをすべきではない。今のうちから、抜本的な改革を進めることが必要だと思う。もう補正は無しにして欲しいし、また2001年度の予算についても、財政健全化を視野に入れて編成して欲しい。
(2)は、2000年度当初予算ベースでは増えているが、補正を含めて比較すると、1999年度予算に比べて減っている。また、一部には、途中息切れして補正せざるを得ないとの意見もある。宮沢蔵相も、(補正は)もう必要はないとの予測の上に言われているのであろうし、政府予測の1%、あるいはさらにプラスの成長を実現していかなくてはならない。民需の点では、これまで政府がやってきたことを積極的に活用して、経済復活のためにやっていかなくてはならない。公共投資については、発注量の関係で途中から減った場合にどうするのかといった問題はある。我々は、第二次補正の際にも言ったとおり、公共事業の質については、厳しく注文をつけていきたいと考える。

Q.ペイオフを巡る迷走劇について、(1)自自公で、全面延期、部分延期といった議論が出てくる今の動きについてどう思うか?同友会のポジションを再度、教えていただきたい。(2)もともと自己責任を全面に出してきた自由党が、全面延期を唱えている。こうした現在の政治状況について、どう思うか?

小林: 選挙を視野に入れて、懸念されていたモラルハザードにつながっていくのではないかと危惧される。
(1)のペイオフの一部延期については、現実的に無理だと思う。同友会は、決済性預金についても区別せず、予定通り行なうべきと主張している。今、全面的にせよ部分的にせよ延期の議論が出てくることは、当初から懸念されていたモラルハザードを呼び起こすのではないかと考える。
(2)の自自公関連については、ペイオフや介護保険の問題など、結びつきの根拠が外から分かりにくくなってきた。どこかで決着をつけなければいけない時期が、国民から見ても近づいているという感じがする。

水口: ペイオフの問題は、夏頃から地方出身の国会議員を含めていろいろな議論があるので、金融審議会への影響、マスコミを通じて世論を喚起したいということで、同友会として遅くとも11月末までには意見を出したいと考え、先般、発表した。その点を、ご理解いただきたい。

Q.「国民から見ても、どこかで決着をつけなければいけないのでは」とのことだが、自自公でねじれが出るのは仕方ないが、枠組みを保った上で、まず予算を成立させるべきか。あるいは予算成立が遅れるにしても、早く民意を問うべきと考えるか。二者択一とは言えないが、どちらの考えに近いか?

小林: どちらかと言えば、前者である。支持が不支持を下回ったとの報道もあるが、自自公については、不満や不安がはっきりしてきており、一般にも、選挙によってきちんとすべきとの空気が高まって来ていると思う。しかし、現実には、景気は重要なことであり、まずは予算をはっきりして欲しい。

水口: 目前に迫った来年度予算を成立させることは、政権与党の責任である。それを放棄して解散することは、あり得ないことだ。

Q.消費税率引上げの答申が出ているが、同友会として、消費税率引上げについて、どう考えているか?税制の抜本改革、直間比率の是正などについてはどうか?

小林: 直間比率の問題を機にして消費税率を上げていくというポジションを同友会として出した時期があった。現在の税制について、抜本的な税制改正のフレームワークについては、未だ結論に至っていない。将来の視野の中には、消費税率を上げていくという選択肢は入っているが、歳入を増やすだけでなく、トータルな税・財政改革の中で考えるべきで、単独で上げていくという問題ではないと思う。

Q.大蔵省などでは、税収がかなり落ち込むのではないかとの危機感がある。経済界は、言いたいことを言うばかりで、いざ消費税ということになると将来的な課題といった発言に終始している印象があるが?

小林: 今の財政状況が、このままでは立ち行かないという認識は一致している。歳出面で、公共投資やエンタイトルメント、社会保障関係などについて幾つかのシナリオがあるようだが、実際には、どれか一つだけを選ぶということはあり得ない。歳入については、消費税を含めてやらなければいけないが、歳入だけ増やすということは、政治的にあり得ないと思う。
国民の立場から考えて、年金を含めた社会保障関係については、将来に向かって現在の仕組みを直し、歳出を減らすことを、全体のプログラムの中で考えていかなければならない。であれば、当然、消費税を上げるというシナリオを、経済界から上げることもあるし、同友会の見解として出て来ても不思議ではない。

水口: 直間比率の是正について、四団体で合意してから数年経つ。しかし、具体的に外形標準課税については同友会はやると言っているが、他団体は反対であったりする。総論賛成各論反対という時期は過ぎたと考えている。個人的には、タブーへの挑戦ということで、税制の問題は直間比率是正をはっきりさせなければいけないと思う。消費税率、間接税を上げるということと、直接税の公平さを高める、個人については課税最低限を引き下げるといった検討が必要になる。昨年、民間シンクタンクとの共同研究で税制のグローバリゼーションという問題を取り上げたが、これをもとに具体的な問題を提示していく時期と考える。

Q.日商、経団連は圧力団体だが、同友会は具体的にきちんとしたものを出していくべきではないか?

水口: 現在、準備している。外形標準課税については、意見が違うということがはっきりしている。

瀬戸: 個人的な意見だが、景気回復は最重点課題であるが、同時に財政を改善していかなければいけない。また、そのタイミングが、難しい。そのタイミングを探るのは政治の問題でもあるし、経済界の問題でもある。
間接税について言えば、直間比率で見た場合、日本はEU諸国よりも間接税のウエイトが低い。間接税のうち消費税の割合は私のデータでは49%で、今後、景気が回復しても消費税を上げないと財政は改善しない。そうしたシナリオを、きちんと政治が示さなければいけない。今は景気の回復を目指していろいろやっているが、いずれツケは来るわけで、そのツケが来る時はこういうことがある、ということを政治が示すアカウンタビリティーが必要だ。それにより国民が納得して痛みを分つ時代が来るということを今から覚悟しておくことが必要だ。税制については、不公平税制をきちんと取り上げなければいけない。納税するほうが納得できる仕組みが必要である。

Q.景気を回復するためという論拠ではあるが、国債に頼らざるを得ないのが実状であり、これは、今年だけではなく90年代ずっとそうであった。100兆円を越すそのツケを景気の回復による税収増で解消できればいいが、その過程において、直間比率の見直しを理由に消費税率を上げるということになると、国民は、その尻拭いをさせられるという思いを持つのではないか。

小林: そうした理由で消費税率を上げることは、政治的にもできるとは思わない。経済界からも、うまくいかなかったから消費税でいきましょう、といった意見が出ることはないだろう。もともと、消費税、間接税の問題は、直間比率の問題もあり、税制の体系全体の中で議論されてきた。短期的に景気が回復しないとなった時に、消費税率を上げて、さらに景気に水を差すさすようなことをするかというと、そうした単に税収のつじつまを合わせることはしないだろう。むしろ、これからあり得ることは、何等かの補正を財政状況が悪化してもやらざるを得ないという議論の方が、可能性としてはあるのではないか。

水口: コーポレート・ガバナンスの分野で、ステーク・ホルダーズ・キャピタリズムと言われるが、企業と国民とは相対立するのではなく、経営者がステーク・ホルダーの利益を考えながら行動するのは当たり前のことであり、常に一体であるという認識にある。我々も、企業だけが、あるいは経済界だけがよければ良いという考えではないことは、ご理解いただきたい。
国債の問題は大変で、例えば、95年度末で地方と国の一般政府債務は410兆円であり、5年の間に6割も増えている。これは、少々、景気が回復して税収が増えても、元本を返していけない状況である。従って、歳出の内容をよくする、歳入をどうやって増やしていくかを真剣に考えなければいけない。財政制度審議会は、12年度予算への建議の中で、財政構造改革法が凍結されていることを見直して、至急、検討すべきと述べている。こうした考えは、識者の間では一般化して来ており、後は、どのように実行していくかにある。

Q.大蔵省は円が強すぎると言っているが、自立した景気回復の兆しが出ており、今の行き過ぎた円高も企業にとって危険ではないのではないか?

小林: 今の102円台といったレベルは高めだと思うが、どうにもならないという水準ではない。日本経済には円高に対する抵抗力がついてきており、景気回復に水を差すといったほどのレベルではないと思う。

以上

(文責:事務局)


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