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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 1999年09月21日(火)13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長
瀬戸雄三副代表幹事・企業経営委員長

記者からの質問に応える形で、(1)金融緩和論の評価、(2)為替水準、(3)新内閣への期待、(4)第2次補正予算、(5)台湾大地震等について出席者から発言があった。

Q.最近議論されている「金融緩和論」についてどのようにお考えか?

小林: 同友会では、国内で既に十分な資金が流通しているのに、さらに金融緩和を進めてこれ以上ジャブジャブにしてどうするのかという議論と、日本に資金が流入していることにより株価が支えられていると同時に円高要因にもなっているので、そのような流れを逆転させる必要があり、その為にも非不胎化は効果があるのではないか、という議論とがあり、必ずしも結論は出ていない。敢えて言えば、財政的手段にも限度がある以上、金融政策面で一つの考えうる手段ではある。

水口: 現在のゼロ金利政策で、少なくとも毎日一兆円ずつ資金余剰になっている。資金をジャブジャブにするということは、年越し物までゼロ金利にするということになり、(国内に)資金需要がないわけだから、こうした資金が有価証券市場ないしはニューヨーク市場に流れることで、双方のマーケットをしっかりさせるという意味では一つの方法かもしれない。

新聞報道の範囲では、サマーズ長官を始めとする米財政当局では、日本に対して金融緩和を要求するようなことは言っておらず、むしろ第二次補正を含めた内需振興策を進めるべきとの姿勢のようだ。日銀自身が(金融緩和が)効果があると判断するのなら、実行すればよいと思うが、歴史は繰り返すということにならないよう、悪い兆候が見えたら積極果敢に対応策を打つことが前提だ。非不胎化等のマーケット・オペレーションは金融当局が行うことであって、その後の効果を見て悪影響が出た場合は対策を打つことを前提とするのであれば、目先の経済をひっくり返す程の大問題ではないと考える。

瀬戸: 金融緩和とは言っても、ほとんど需要がないところに資金を投入しても、それがどう使われることになるのか。もっと内需拡大について真剣に考え、そのために何をなすべきか考えた方が良いと思う。

Q.金融緩和論が登場した一つのきっかけは、急激な円高の進行だと思うが、これに対する日米協調介入路線について、また今後の円の動きについてはどうお考えか。

小林: (政府が)きちんとした経済政策をとれば為替はそれに対応して動く、というのが米国の基本的なスタンスだとすれば、米国は明らかに日本に内需主導の政策をとることを期待しているのだろう。また、米国自身が協調介入に対して非常に慎重であると思う。一方で、米国は強いドルが必要とのサマーズ長官の発言からして、一時的とはいえドル安を招く協調介入はしない、その上、日本の内需主導政策も見えない、という観点から言えば、金融緩和も一つのオプションであろうし、そういう意見が出てきたのも不思議はない。しかし、現在の円・ドル関係から言えば特別に手を打つ必要もないだろうし、結果的に国内経済への強い影響もないだろう。

Q.自民党総裁選挙における小渕総理再選は確実と思うが、現段階で新内閣、新政権に望むことは?

小林: 過去一年を振りかえると、小渕政権に対しては、金融不安の解消を含め、日本の景気をある程度回復軌道に乗せたことへの評価と、財政の不健全性に関連した批判とがあるだろう。これ以上の財政手段による対応は問題だとの認識もあり、第2次小渕内閣は思い切った構造改革に重点をシフトし、それを前面に出した政権であってほしい。構造改革なしには本格的な日本経済の再建はありえない。また、個々の政策よりも当面の景気が腰折れにならないよう、第2次補正には内容を重視して取り組んでほしい。最大の課題は、勇気を持って日本経済の構造改革を進めることであろう。

Q.「金融緩和は一つのオプションである」との発言は、それもやむを得ないとの考えか?

小林: 日銀が政策委員会で決定すればそれは一つのオプションとして認めるということだ。しかし、金融緩和の必要性というのは、円高が急激に進行した場合の協調介入も、日本の内需主導政策も際立って表にでてこない場合、一つのオプションたり得るという程度である。

水口: これまでの日銀政策委員会政策決定会合の議事録を見てみると、ある時には一人の委員が金利上げを主張しては8対1で否決され、また別の委員が金融大緩和を主張して8対1で否決される、と言ったことを繰り返してきた(ので、今日の場合もどうなるかもわからない)。
また、株式市場、為替市場がこのようなことを織り込んで安定を保っているようであれば、中央銀行がその独立性を保ちつつ金融政策を行う上で一つのプロセスとしてどう考えるか、ということがある。諸条件に鑑みてどう判断するかが問題だが、その場合にも、悪い影響が出てきた場合には、果敢に対策を講じることが絶対に必要だ。

Q.現在の為替レートであれば日本経済への影響はあまりないとの意見だが、具体的にはそれは107円位と理解してよいか?

小林: 100円を割りこむ位になればさすがに大変だろうが、105円以上であれば大丈夫だろう。

Q.自律的回復基調に乗るためには、民間の設備投資が大きく作用すると思うが、どのようなきっかけがあれば民間設備投資がプラスに向かうのか?

水口: アンケート等を見ると、昨年頃から経営者のマインドとしては「景気底入れ」と見て間違いない。消費者全体のパーセプションがその方向に向かえば設備投資も回復するだろう。とは言え、設備投資のトータルがGDPベースで20%も占める水準までは、当面は戻らないだろうが、内容を見ると半導体、通信といった新産業分野がどんどん伸びてきており、そこに注目するべきだと思う。

瀬戸: 4月以降、消費性向が70%台を維持している。これをどう見るかであるが、例えばデパートは悪いと言われているものの、経営者に聞くと入店者数は前年よりも増えつつあり、紳士服の受注も始まっているのだが、使う金額が以前より少ないのだそうだ。また、ホテルでも婚礼やパーティの件数は増えているのだが、人数や規模、単価が減ってきているので、金額ベースではなかなか好転しない。このように、現場で見てみると、少なくとも人は動き出しており、マインド的には明るく、将来への不安感が去りつつあるというのが実感ではないか。折角動きが見えてきた大切な時期であるので、ここで企業としても国としても、大きな刺激策を打つべきではないかと考えている。

Q.105円という数字の根拠とその水準が協調介入を招く可能性は?

小林: 特にはないが、かつて(日本の輸出産業は)80円台という水準を潜り抜けてきている。100円を超えるようなことがあれば確かに問題だが、それまでは大丈夫だろう。ただそれでは厳しいだろうから敢えて105円と申し上げた。
今週末のG7で議論の対象にはなる可能性はあるだろうが、それまでの間、現在位の水準で安定を保っていけば、敢えて議論する必要もなくなるだろうし、協調介入の必要もないのではないか。105円がそのポイントになるかどうかは不明だが、米国は基本的に協調介入に対して慎重だと思う。

Q.米国が協調介入に踏み込まない理由は、最終的に税金を投入することから慎重になっているのか、それとも日本の状況を見て必要ないと判断しているのか、どちらと考えるか?

小林: 二つあって、一つは日本が内需主導というポリシーをしっかり持っていれば、相応しい円のレベルになるということ。一方、ドルの側から見れば急激なドル安は米国も求めていないし、そういうサインが見えなければ敢えて介入する必要はないということである。

Q.先程、同友会内部で第二次補正予算について活発な議論があったとのことだが、不要という議論もあったのか? その根拠は何か?

小林: 従来型の公共投資で従来型の配分は、90年代に入って何回も実施しているが、効果は知れている。しかも、日本の財政状況はどうにもならないところに来ており、同じことを繰り返すべきではないというのが理由である

Q.(補正を)「やめてしまえ」という人も、「変えるべきだ」という人もいるということか?

小林: (補正を)「やろう」という人は、ここに来てせっかく上向きになっている状況を悪くしないためにという理由である。我々が言い続けてきているのは、従来型よりも新しい情報化投資などを中心に行なってほしいということ。ここでやった方が、やらないより、今の景気を下支えするという点で、効果があると考えている。

水口: 最後のひと押しということだ。

瀬戸: 後は企業の自助努力である。今度の補正が最後であるといった気持ちで企業家のマインドを統一しておかなければいけない。

Q.日本が内需主導の政策を打っていけば、それに相応しい円の水準になるというのが米国の見方とのことだが、第二次補正等によって景気が良くなるうちに円高が進み、それで急激にドル安になった場合、日米両国にとって不都合な一定のポイントに達した場合には介入するということか?

小林: つい先日、円高が進んだ際もそうした議論が出たが、この先、105円、100円と進んだ場合には、日本経済の先行きに水をさすということで、協調介入について改めて議論されることもあるだろう。また、極端な円安についても米国は求めていない。

Q.景気の回復過程での急激な円高には、日米協調して対応するといったアナウンス的ものにとどまるということか?

小林: 何とも言えないが、今まで米国のそうした発言に対して、日本側から明確な要求があったかどうかは別にして、結果論としてそうした表現になるのはなかなか難しいのではないだろうか。極端なドル安は好ましくないというのは当たり前なので皆が同意するだろうが、はたして声明として出すかどうかは分からない。

Q.政治資金について、政治委員会で中間報告を発表しているが、その際、6月に最終報告が出るとのことだったが、まだ発表されていないのは何か理由があるのか?

小林: 同友会としては、政治家個人に対する献金、すなわち附則9条の問題については、基本的に禁止ということでポジションは変わらない。一方、団体に対する献金、すなわち附則10条については、審議会を設けて検討していくことを要請しており、我々は、そこでの検討結果を受けてポジションを固めたいと考えている。

Q.最終的には、中間報告の4つの論点から結論を導き出すということか?

水口: ほぼ方向性は決まっている。委員会として、最終的にいつまとめるかというタイミングの問題もあるが、従来の路線と大きく変わることはないと思う。

Q.今回の台湾での地震災害に対して、同友会として何か支援する計画はあるのか?

小林: 現段階では、具体的に考えていない。

水口: 今朝、現地から入った連絡によると、被災状況も相当ひどく、まだ混乱している模様だ。これらを整理した上で考えたい。

以上

(文責:事務局)


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