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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 1999年06月08日(火) 13:30~
出席者 小林陽太郎代表幹事
水口弘一副代表幹事・専務理事・広報委員長
鳥海?巖副代表幹事・欧州委員長

冒頭、水口副代表幹事から、1999年度(第14回)経済同友会夏季セミナー(7月15日~17日、軽井沢)の案内があり、第10回EU-Japan Business Forum(5月31日~6月1日、ウィーン)、第13回民間経済団体国際会議(6月3日~4日、ドレスデン)の2つの国際会議に出席した小林代表幹事、水口副代表幹事、鳥海副代表幹事から各々報告があった。その後、記者の質問に応える形で、(1)景気判断、(2)金融不安、(3)長銀問題、(4)金融政策、(5)産業競争力会議等について出席者から発言があった。

2つの国際会議についての報告

小林 :欧州全体と日本との民間のダイアログには主に二つあり、一つは経済同友会欧州委員会が日本側の窓口となって運営してきた「EU-Japan Business Forum」(以下EJBF)、もう一つは日本側が関本忠弘NEC取締役相談役、欧州側はソシエテ・ジェネラル・ド・ベルジクのダビニオン会長が議長を務める「日・EU産業人ラウンドテーブル」である。経済同友会側のフォーラムについては、このところドイツ、フランス等の大国の参加が芳しくなく、他方、ラウンドテーブル側もメンバーがメーカー中心である等の事情から、この2つを一本化しようとフォーラム側が発展的に解消し、EJBFはこのウィーンでの会議が最後となった。

ドレスデンでの民間経済団体国際会議では経済のサービス化がテーマで、特に製造業とサービス業の二つが両立するのかが議題となった。サービス化については二つの観点から議論され、一つは、かつて製造業が花形であったドイツと日本でのサービス化の遅れであり、もう一つは、サービス化は経済発展に不可避だが、単に雇用機会を増やすだけでなく、人間の生活全般に絡んでサービス業があり、それに関連してNPOの問題も考えていかなければならないという議論であった。

今回の会議で欧州とのダイアログが新たな形で発展していくことが決まったことを受けて、経済同友会もメンバーを出して協力していきたいと考えている。

鳥海 : 今回、EJBFで活発なディベートが行われたなかで一番印象に残ったのは、EUは米国一極では世界をコントロールすることは無理と考えており、EUがなんとしても強い極にならねばならないとの決意が見えたことである。同時に日本に対する期待も非常に大きく、日本とアジアが今後どうなっていくのかに強い関心が示された。特に、日本が(改革のため)次々と手を打っていることは認識しているが、政治や行政が、本当にきちんとやるのかと問われた。

また、日本は少し状況が良くなるとすぐに後戻りするのではないかとの率直な質問もあったが、小林代表幹事を始め日本側は、EUが後戻りすることがないのと同じように、日本は絶対に後戻りしないとはっきり申上げてきた。

日本とEUとの関係強化は益々重要であり、今後、更に強固な対話機関が作られることは良いことだと考える。特に、米国と欧州とのTABD(Trans-Atlantic Business Dialogue)に匹敵する対話機関を日欧間に作っていくことが必要だと思う。

水口 : 日本には危機感がないとの議論について、EJBFにおいて欧州委員会のブリタン副委員長も、欧州の統一市場は相当苦労をした結果であり日本もどんどん構造改革を進めることを期待する、と述べていた。

ドレスデンの民間経済団体国際会議もほぼ同じで、特にゲスト・スピーカーのイスラエル銀行のフレンケル総裁が、マーケットの力は大きくかつスピードが速いので、マーケットからの情報データの分析能力が重要になる、と述べていたのが印象的であった。これらを通して言えるのは、構造改革と規制緩和を中心にやらないとだめだということである。特に、欧州全体は、一時ユーフォリアということも言われたが、ようやく理想から現実に戻って着実に物事を進めて行こうという時期に入ったとの感じがした。今後、日本と欧州で民間同士の対話のパイプをどのように構築していくかが非常に重要になると思う。

Q.本日の月例経済報告で、民間需要の回復力は弱いものの景気は下げ止まりか概ね横ばいで、上方修正ともとれるような現状認識が示されたが、どう考えるか。

小林 :われわれも概ね同様に受け止めている。経済同友会の最新の景気定点観測調査の中間集計では、3月の調査結果と比較して「緩やかに拡大している」が3.1%から5.0%にわずかに増加、「横ばい状態が続いている」は、3月の67.3%から79.9%に増加している。昨年の12月の「横ばい状態が続いている」は23.1%であり、増大傾向であることが分かる。逆に、「緩やかに後退している」は3月の23.1%から12.3%へと減少、「後退している」は5.4%から2.2%に減少しており、概ね政府発表と似ている。

一方、来年3月までの見通しについて、「年度を通じて緩やかな回復基調」との回答が、3月調査との比較で4.6%から今回が3.3%とやや減少した。また、「前半低迷、後半良くなる」は36.4%に対して、36.7%とほとんど変っていない。「前半が少し低迷し後半までつづく」は、52.9%から48.3%と減っている。「前半低迷し後半は後退」は、1.5%から8.9%へと増加している。この調査結果は充分に分析したわけではないが、最近、識者が「後半」を懸念した発言をしており、それにも影響されているようだ。

鳥海 :2月頃の状況と比べて、商社から見ると良いところが見えてきた。問題は、ユーロ自体も良いことづくめではない等、いろいろな不安定要素を抱えている点である。米国のビジネスマンとの話でも、米国自身も後半はどうだろうか、との見方が多い。今年の後半、7~8月以降に何か起きた時には、日本もそれに即応して迅速な政策を取ることが必要となるが、明るさが増してきていることは間違いない。

水口 :「下げ止まり、概ね横ばいに推移している」との現状認識は、実にうまい表現だと思う。「横ばいに推移している」というのは、まだ、上昇の気配がないということでもある。自動車の販売台数は先月50%も増加しているが、金額は減少しており、100万円程の軽自動車の販売が急激に増加していることが分かる。すなわち、需要の回復に際しては良いものが出れば売れるということである。また、設備投資は良くないが在庫は急激に減少している。

問題は、後半どうなるかである。当面は雇用対策、補正予算の2段構えという話も出ているが、その内容と方法を間違えると高金利、円高となって景気に逆効果になりかねないため、これからの金融政策の運営は非常に重要と思う。

Q.補正予算について野中官房長官は国会会期終了後に臨時国会を早期に開催し、雇用対策についての予算を含めて検討したいと発言したが、この政府の姿勢についてどう考えるか。

小林 :臨時国会を開催して補正予算を組むということについては何とも言えない。しかし、仮に補正予算が必要となれば、その中身が重要となる。経済同友会は、補正予算をやるべきだと主張してはいないが、それが必要となった場合に、従来型の公共投資ではない雇用や新しいサービス業を中心とした分野に絞った中身であれば、充分にやる価値があると思う。

Q.景気は底打ちとは表現できない現状にあって、公共事業から民需へとバトンタッチするシナリオが描ききれていないようだが、これについてはどう考えるか。

小林 :民需と言った場合、消費と設備投資があるが、消費については将来の不安をどう排除していくかが重要である。設備投資については、産業競争力会議等で議論されていることもひとつの対処の仕方だと思う。

将来の不安については、雇用問題のセーフティネットを含めていろいろな議論がされている。こうした点が、補正予算その他で具体的な形で見えてくれば、将来に対する不安解消にかなりの効果をもたらし、消費についてもプラスになると考える。本日の月例経済報告の現状認識の根拠は、消費、生産が少し上向きに転じていることがベースと考える。まだ、完全に底を打ったわけではないが、こうした将来の不安への対応が今後の鍵となる。

Q.大手金融機関の状況は公的資金導入で良くなっているようだが、中小・地方銀行・第二地銀等では、先般の東邦生命を含めて問題が生じて景気への悪影響が懸念されているが、これについてどう考えるか。

小林 :中小・地方銀行・第二地銀の状況が、不安材料に輪を掛けていることは確かで、生保等も含めて政府もきちんとした対応策を出すことが必要である。生保関係については、現実に問題が生じた場合に対処するための金額が充分ではないとの指摘も出ており、必要以上に不安が広がるのを防ぐために銀行問題での経験に基づいてスピーディーに手を打つことが重要である。

水口 :既に60兆円の大枠ができ、法律もできたことで、金融の基本的不安問題は解消したと考えている。生保の問題、山一証券の債務超過については、投資家保護基金、契約者保護基金で賄えるかどうかであるが、これらが心理的不安となって再び株価の暴落を招くことはないと思う。むしろ、今後の再編成について、外資も含めて効率的にやっていくことが重要である。そして将来に対する展望を開くことが今、一番必要であり、雇用問題にしても小手先のことばかりでなく、労働三法をどう自由化するか等、構造改革を伴って展望を開くという基本的な姿勢が大切である。

鳥海 :リストラという話が各方面で出ているが、構造改革はそう簡単にできるものではないことは、米国で10年かかったことでも分かる。ただ、日本の場合、手を打つことが遅れているのは事実であり、例えば商社の場合、リストラの中で競争力をつけるために攻めていく部分をどうつくるかが一番重要である。

また、庭先のアジアが現在少し良くなったと言われるが、アジアは日本や米国を鏡に写したものであり、実体としては非常に脆弱である。先程申上げた欧州での会議で「日本もしっかりしてくれ」との発言が出たのも、アジアが将来の成長センターと認識されていることから、日本がおかしくなるとアジアもおかしくなるのではとの懸念からである。

いずれにしてもこの2年間が重要であり、どうやって柔軟でスピーディーな政策を打つかが政府に求められるだろう。また、企業は自助努力で、どこを攻めるかという方向性をこの2年間できっちりつけていくことが必要である。構造改革は各国とも長い時間をかけてやってきたが、現在は良い方向に向かっており、それほど悲観的に捉える必要はないと思う。

水口 :日本的なやり方においてはターゲットを決めると良いと思う。例えば、連結決算や時価会計等の問題も、タイムリミットが決まれば迅速に対応する等、良い方向に進むと思う。ただ、その間に苦しみを味わうことなく、良いことばかりということはありえない。正しいディスクロージャーと実態認識は是非必要であり、そうした時期に来ていると思う。

鳥海 :欧州でも感じたが、官僚が変ってきたのもこの2年ではないか。それから、政治が変ったのはこの1年で、それくらい日本は遅れていた。会社を経営して分かることだが、人間の意識には温度差があり、それを変えるには時間がかかる。

Q.長銀の旧経営陣に対して出頭命令が出され、午後にも逮捕の運びになりそうだが、一連の金融機関の問題が経営者の犯罪という形で問われていることについて、コーポレート・ガバナンスの観点からどのような印象を持たれているか?

小林 :内容については分からないので、具体的なコメントは避けたいが、コーポレート・ガバナンスに関連して、特に経営内容の透明性の問題と、マネジメントがボードに対して如何に責任を負うかについての厳しさと重要性が、今回、あらためてクローズアップされたという意味でのインパクトは、金融業界を越えて大きな意味がある。

水口 :公開企業の経営者の責任、まして従来は最も基幹産業であった金融業の経営者の責任は、正しい実態を把握し、ディスクロジャーしていくことであり、仮に検察の調査の通りであったら、責任は免れないと考える。

鳥海 :“隠す”ということは、右肩上りの時代には一定の結果をもたらすことができたのかもしれないが、今はそういう時代でないことは、多くの経営者は分かっている。透明性がなければ社員も付いてこない。透明性を高めることは、会社経営にとって重要なことであり、会社自身を良くしていくことに不可欠だと思う。今回の出来事は、変革の時に起こるひとつの現象ということだろう。ただ、経営者の倫理観は、当然、問われるべきであり、透明度を高めなければ変革の時代には生き残っていけない。

Q.14日に日銀の政策決定会合があるが、現在、補正予算含みで長期金利が1.6%台と少し上がって来ている。日銀に対して、金融政策は今のまま継続すべきか、あるいは一段の金融緩和が必要か等について伺いたい。

小林 :経済同友会としてどうすべきかの議論はしていないが、現時点で日銀の政策を変えなくてはいけない客観的な事情があるとは思っていない。一方、グリーンスパン氏の発言などを聞いていると、米国金利の動き、これからの連銀自身の金利政策そのものが重要な要素になると考える。

Q.米国は、利上げの動きが強いが、仮に利上げされた場合、日本としては、どのように対応すべきか。

小林 :利上げ幅にもよると思う。放置してどちらに動くかは為替の問題で、やや円安に動くことを許容するのか、あるいは日本も少し金利を上げたらどうかという意見は前からある。動く幅にもよるが、基本的には大きな政策変更を余儀なくされることはないと思っている。

水口 :日米の場合は重要な相関関係があり、仮に米国が金利を上げそれが日本に影響するということは、ニューヨークの株価にも響くことになる。従って、日米は協調的な政策を取り得るものと期待している。

Q.産業競争力会議には、牛尾特別顧問も参加されているが、経済同友会はこの会議についてどのような見方しているのか。

小林 :我々は牛尾さんが発言されているように、前向きに新しい市場や産業をつくることが重要と考えている。特にサービス産業を中心に如何に新しい産業を創出していくのかについて、今月末頃を目処に案を練っている。

水口 :従来から若干、批判的に重厚長大型企業の設備廃棄や有休土地の買い上げ等が取り上げられてきたが、同友会は前向きな産業構造改革の具体案を提示すべく、現在、検討中である。

Q.日本の構造改革に対する米国の認識をどのように受け止めているか。

小林 :知っている範囲では2つのポイントがある。民間財界人と小渕総理とのワシントンでの懇談会では、まず、構造改革による前進を希望しているのは情報通信関連等であり、その他の分野は前向きに受け止めた発言が多く、特定の分野で具体的なネガティブな発言は無かった。

もうひとつは、米国政府の次官補クラスの何人かは日本の雇用問題の重要性を知っているので、再雇用やセーフティーネットなどに政府支出を集中させることが、構造改革そのものを進める上で効果的との意見であった。リエンプロイメントやエンプロイアビリティー等に焦点を当てたアクションを具体的に説明できれば、米国側から見ても我が意を得たりと受け止められると思う。情報通信を除けば、特定なセクターでの進捗遅れについての指摘は、今後もさほど出ないと思う。

水口 :今、米国では、日本批判はしないだろう。それは米国の言う通り日本は良くやってきたということと、これ以上言うと反米感情が高まり、米国にとってマイナスという考えである。その両面から日本に対しては何も言わないというのが大勢のようだ。

以上

(文責:事務局)


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