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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2000年03月28日(火)13:30~
出席者 小林 陽太郎 代表幹事

記者の質問に応える形で、(1)景況判断と小渕総理の政策転換、(2)ロシア大統領選結果、(3)教育改革の論点、(4)NTT接続料をめぐる日米交渉等について小林代表幹事から発言があった。

Q.現在の景況をどう判断されるか。また、小渕首相が財政再建をにらんだ政策へ転換する時期を探るような意向が伝えられているが、これらについて如何か?

小林: 景気定点観測アンケート結果を報告した際にも述べたが、企業収益見通し、生産活動状況などを見ると、景気は上昇を続けていると考えており、株式市場も堅調に推移している。企業活動の活性化は利益増につながり、それがペイに反映し、ひいてはそれが消費増につながるだろう。小渕首相の政策は財政再建を視野に入れるというスタンスに変わってきており、補正予算についても、宮沢蔵相の意見の中に補正予算はやらないというニュアンスが出ていることから安心している。ただ、先行き景気が楽観出来るかは、なお慎重に見極めていかなければいけないと思う。

Q.政策転換はまだ早いということか?

小林: 2001年度予算については、積極財政からニュートラルになってもいい時期だということを既に申し上げており、その考え方は今でも変わっていない。

Q.ロシアが新体制となるが、日ロ関係の展望を含めた所見とともに、経済界としてロシアに言うべきことがあれば伺いたい。

小林: 大統領選一回目の投票でプーチン氏の得票が過半数に達したのはよかったと思う。ロシア経済は市場主義を標榜しているが、経済そのものをどう活性化していくかについては、エリツィン大統領時代からの課題であり、どのような手腕をプーチン氏が見せるのか、これから注目していかねばならない。47歳という若さに期待もあるようで、我々としても経済面でのサポートを積極的にしていくべきだと考えている。ロシアはG8の一員でもあり、スムーズに大統領が決まったのは良いことだ。

Q.昨日、総理の諮問機関である「教育改革国民会議」が発足したが、教育問題として議論すべき論点があれば伺いたい。

小林: 「教育改革国民会議」にはそうそうたるメンバーが揃っており、同友会からは牛尾前代表幹事、会員である東京海上の河野さんも入っておられる。ひとつは、1年を目処に提言されるということだが、教育のあるべき姿を方向付けし、それを実施していくというのは長期的な話である。1年先以降に小渕総理がどのような期待や抱負を持っておられるのか、仮に総理が代わられた時にそれをどう実施していくかについて、なるべく早い時期に総理自身の強いご決心を伺いたいと思っている。

もうひとつは、私も大学審議会のメンバーをしているし、既に解散したが、高等学校までのカリキュラム改革を審議した教育課程審議会にも参加していた。いろいろ不充分なところもあったとおもうが、こうした正式な機関内で進んでいる改革の議論にも見るべきものがあると思っている。今度の会議でも、これらの議論を具体的に実施に結び付けていく方策について触れて頂く必要があると思う。

総理の決意と、これまでの審議会等で進んでいるものとの関連をきちんとやっていただければ、これまで議論されてきた事項でカバーされていないことはあまりないと思う。これまでも、家庭における躾の問題や子供の頃から「公」について教育する必要性等は議論されている。例えば、(グレゴリー)クラークさんが6・3・3制よりは4・4・4制がいいのではないかと言っておられる。私にはその是非はよく分からないが、既に行われている中高一貫教育を増やしていくことが現実にはいいのではないかと考えている。教育基本法の見直しも視野に入れてということだが、検討すべきことをきちんとやって頂ければよいと思う。

Q.「21世紀日本の構想」の中で、英語教育についての指摘があったが、今のコメントでは、英語教育については触れられていなかったが?

小林: 英語教育の問題は、新しい問題ではなく既に教育課程審議会で決定しており、また文部省の議論でも出ているので、あえて触れなかった。「21世紀日本の構想」で、英語を第二公用語にすることも視野に入れて検討すべきとしたのは、実用的な英語をもっと多くの人たちが使いこなせるようにならないと、インターネットも含めてこれからの世界では生きていけないからである。

ひとつ加えるとすれば、子供の頃からパブリックな要素を身に付けていくことの大切さである。教育課程審議会で決定された「総合的学習の時間」は、こうした観点から重要な変化であり、学力低下の懸念もあるが、パブリックな意識を高める上では非常に効果があると思う。この点については、企業が人を派遣するなどやれることはあると思う。ジュニア・アチーブメントの活動も同一線上のものと言える。

Q.大きな方向として、どのような人物像を求めるのかはっきりしていない印象がある。一定の基礎学力をつけた上での“個性化”だと思うが、またテクニカルな話で終わってしまうとの懸念もあるのではないか?

小林: そうした懸念もあるが、その場合は総理に対して積極的に注文をつける、あるいは総理の決意を聞かせていただく必要があるだろう。「21世紀日本の構想」でも義務教育週三日制といった議論もあった。また、戦後、本来家庭の問題である躾を学校に負担させ過ぎたという意見があったが、私もそう思う。

違いを認めあう、子供の時から自分の意見を言うといった点では、従来からの典型的日本人像とは違うかもしれないが、抜本的に違う人間像が求められているわけではない。我々の時代と現代とで顕著に違うとすれば、他の国、異なった歴史を持った人たちとフェース・トゥ・フェースの接触を持ち、お互いの違いというものを認めあって、考え方の違いを議論できることが、さらに必要であることだ。

一方、日本の戦後教育は、子供の時から大学を出るまで、ある意味ではテクノクラートを育てることに効果を上げ過ぎたと思う。もう少し、トータルな価値判断ができる人の育成をこれからの教育の中で考えていく必要があると思う。

Q.NTTの接続料問題について交渉が難航している。日米双方の主張が出揃っているわけだが、どちらが正しいと考えるか?

小林: NTTの役員という立場を別にお話しすると、重要な点がいくつかある。まず、日米関係から見ると、交渉の前提となっている合意と照らし合わせた場合に、米国が不満かどうかは別として、今回日本政府が出した案が違反しているかどうかである。私がNTTから聞いている限りでは、違反しているとは思わない。

二つ目は、国内の問題であるが、IT化、情報通信は経済活性化の重要なタネであり積極的に活用するべきだが、現在の接続料のレベルが健全な市場の発展を阻害しているのかどうかである。NTTが競争を阻害していると(他の企業が)考えるのであれば、公正競争や市場の発展という点から公正取引委員会に判断を仰ぐという選択があると思う。

もうひとつは、仮に米国が主張している方法で業者に対する接続料を下げた場合、NTTの利益に与えるインパクトを合理化によって如何に吸収するかであるが、その合理化策は雇用問題を避けて通ることはできない。その規模がどの程度になるのか、その合理化策が株価にどのような影響を与えるのかについては、冷静に判断する必要がある。(接続料金を)いくらにするかについては、米国がどうこう言うべきことではなく、二つ目のポイントに関連して考えることだ。

Q.二つ目のポイントで、公正取引委員会に判断を仰ぐというのは、大上段に振りかぶった感があるが。

小林: 市場で非常に根強い需要があり、それに応えないことが健全な競争を阻害していると他の業者が考えた場合、それに対してどのような手段があるかと言えば、ひとつは競争のプロセスを通じてNTTを叩くということである。しかし、いま議論になっているのは、接続料がコスト的に負担になっていて、これが競争上フェアではないのではないかということと理解している。フェアではないことがポイントであれば、それを判断するのは公正取引委員会であり、大上段かどうかという問題ではないと思う。

Q.経済同友会では、会員の声を反映して提言していくと理解しているが、十分に反映しきれていないのではないのか?

小林: そうは思わない。また、接続料については、少なくとも先程の三つの問題についてきちんとした答えを持った人でなければ、意見を述べるべきではない。本会ではそうした問題も含め、「E-エコノミー委員会(福川伸次委員長)」で議論していくが、接続料問題も委員会の判断を踏まえて指摘していくべきと考える。会員の声ということだが、“安くしろ”という声だけを汲み上げるのが正しい意見の反映であるとは思わない。本委員会で検討した上で、“NTTは思い切った合理化をすべきである”という結論に達したということであれば、私がNTTの役員であることとは関係なく、経済同友会として発表していく。コストの算定方式など、細かい点ではいろいろあるが、いずれにせよ前述の三つのポイントが重要と思う。

Q.昨日、経団連が報告書を発表したが、“接続料を下げるべき”とだけ書かれていた。これには(NTTの役員である)今井会長が論陣を張っていて、いつまでに、いくらに下げるべきというところまで具体的に踏み込めない事情があるという声も聞こえてくるが?

小林: そうした事情が経団連の中にあるかどうかは知らない。下げた方がいいにせよ、どの辺まで、どのくらいのスピードで下げるべきかについては、三つのポイントに絡んでくる。誰も公正取引委員会で問題になることを望んではいないし、日本政府が日米で決定した内容に違反していることを推し進めるとも思っていない。またNTTが、まだ合理化できるということも関係者は分かっている。いずれにせよ、そこでは責任ある答えが求められている。

インターネット接続料を下げて(NTTの)最終消費者のベネフィットは確保されたが、全体の問題を考えた場合、業者に対してもすぐに値下げすべきか否かについては、三番目のポイントと絡めて慎重に判断すべきだと思う。これは、NTTの取締役として発言しているわけではない。

以上

(文責:事務局)


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