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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2000年02月29日(火)13:30~
出席者 小林 陽太郎 代表幹事
水口 弘一 副代表幹事・専務理事・広報委員長
茂木 友三郎 副代表幹事・政治委員長

冒頭、小林代表幹事から2000年度の副代表幹事人事について、ならびに水口副代表幹事・専務理事からE-エコノミー委員会の発足について報告の後、記者からの質問に答える形で、(1)副代表幹事人事関連、(2)アラビア石油採掘権失効、(3)NTTアクセスチャージ問題、(4)E-エコノミー委員会等について出席者から発言があった。

報告

2000年度副代表幹事人事について

小林: 昨日午後、役員選考委員会を開催し、2000年度の新任副代表幹事候補者として、生田正治商船三井社長、北城恪太郎日本アイ・ビー・エム会長、河野栄子リクルート社長の3名を推薦、了承され、理事会でも了承を得た。今後は幹事会に報告、4月26日の総会で決定することになる。新任副代表幹事の人選は、前代表幹事や水口副代表幹事・専務理事とも相談しながら決めたことであるが、その際のキーワードは、国際性、情報通信、女性、年齢であった。理事会をこれに沿った方向に持っていくという意味で、新任の3副代表幹事を迎えられたことは非常に喜ばしい。
あわせて、任期を迎える副代表幹事については、宮内義彦オリックス社長、水口弘一野村総合研究所顧問、千速晃新日本製鐵社長を再任することとした。なお、香西昭夫住友化学工業社長からは、今期をもって退任したいというお話があり、また、成田豊電通社長は、70歳を超えて再任しないという年齢にかかる規則により退任されることとなる。

E-エコノミー委員会の発足について

水口: 情報化の問題は、数年前に「情報化社会を考える委員会(坂本春生委員長)」で検討したことはあるが、当時は総論段階にとどまっていた。しかしながら、情報化は今まさにビジネスそのものになってきている。国際会議にしても、昨年、ジュネーブで行なったテレコム99、あるいは今年、ダボスで行なったワールド・エコノミック・フォーラムでもこの問題に議論が集中したこともあり、E - エコノミー委員会で、ネット時代のビジネスモデルなど国内外の企業の先進的事例研究を行なうとともに、情報化時代における経済社会の変貌を展望し、必要な対策を考えることとした。したがって、一般の委員会のように政策提言が目的というよりは、まず、現実がどうなっているかを見て、必要があればそれから考えることとしたい。

期の途中ではあるが会員に参加募集を募ったところ、275名という経済同友会発足以来の多数の参加者を得ることとなった。しかも、特徴的なのは、各企業のトップが多い本会幹事が81名も参加していることである。経営トップあるいは第一線で活躍している方を含め、改めてこの問題に対する関心の強さがわかった。委員長は福川伸次電通総研研究所長であり、副委員長は大江匡プランテック総合計画事務所代表取締役、金丸恭文フューチャーシステムコンサルティング社長、立花佑介日本電信電話副社長、ジョン・マックブライド ニューズ・コーポレーション・リミテッド・ジャパン社長、宮原秀彰トヨタ自動車常務にお受けいただいた。正副委員長会議は先週開催しており、第1回委員会を3月31日に開催して、今後の活動をどうするかということを決定したい。

当面は、国内外企業の先進的ビジネスモデルをケースとして取り上げ、実際のネット上の動きを見ながら検討するが、検討項目として、経営改革(ビジネスモデル、SCM:サプライ・チェーン・マネジメント、ERP:エンタープライズ・リソース・プランニング、決済、ナレッジ・マネジメントなど)、ルールの構築(国際的整合性、知的所有権、税制、暗号、規制改革など)、情報革命の社会に与える影響と対策(意識改革、プライバシー、生活がどう変わるかなど)、技術革新の課題、など数多くあるので、その中からある程度絞りながらやっていきたい。

Q.新体制のもとで新しい経済同友会が何を目指すのか、敷衍していただきたい。

小林: 一つは、新しい世紀が始まる前に、新しい経済同友会をイメージしながら、企業・企業人のあり方や、きちんと市場経済を生かすということを前提に、どういう点に視野を広げていくべきかということを考えるために、「経済社会思想を考える委員会(南直哉委員長)」を立ち上げ、将来の本会のレゾンデートルを確認することとした。その結果は、夏季セミナーでの議論を経て年内に発表したい。また、これとも関連するが、21世紀早々には新しいミッション・ステートメントをきちんと発表したいと思う。

また、本会の会員は現在1400名余りだが、若い会員、若い業種の会員、外国人や女性も従来以上に目の見えるところで活躍してもらうためにどうしたらよいかということを、運営の問題として今年中にきちんとしたい。本会の設立時にならって、“若さ”や“新しい時代性”が外部から明確に見えるようにしていきたい。再任の副代表幹事はもちろん、新任の生田、北城、河野の3氏には特にこの点を期待し、役員選考委員会に強く推薦したところ、了承されたので、喜ばしく思っている。

Q.香西昭夫副代表幹事が退任されるとのことだが、具体的にはどのようなやり取りがあったのか?

小林: ご本人から申し出があり、今年度限りで退きたいとのことだった。いろいろ報道されていることも理由としてあるのだろう。

水口: コーポレート・ガバナンス問題についてのレポート発表や、アジア委員会での活動など精力的に務めてこられたが、社業のこともあるとのことで、退任のご意向を受け入れた。コーポレート・ガバナンスや市場経済の分野では、はっきりとしたお考えをお持ちであり、新天地でのご活躍を期待している。

Q.アラビア石油問題に関連して、自主開発原油の問題などわが国のエネルギー政策について如何に判断し、また、今後どのようにすべきだと考えるか?

小林: わが国が原油を非常に大きなウェイトで海外、それも中東に依存している観点に立てば、原油についての戦略性が、かつてほどではないにしても、長い目で見て必要だと個人的には思う。自主開発のソースを今後、どうしていくかということについて、あきらめずに考えていくべきではないか。

また、日本の立地を考えても、あまり安直に市況性で割り切ることには少し慎重であるべきであろう。アラビア石油の件も、当事者は十分考えたうえで結論を出されたと思うが、今度の経験を、他の地域に当てはめるかどうかは別にしても、自主開発計画に生かして欲しい。先方(サウジアラビア)に対する直接投資やインフラ支援などいろいろやりようがあったのではないかという意見もあるが、当事者も考えた上での判断であり、結果が出てから批判するのは避けたい。

水口: オイル・ショック時とは異なり、石油は市況商品になっている。いま重要なのは、市況商品化、コモディティー化と安定性のバランスをどうするかということである。自主開発も含め、供給元を広く確保すること、あるいは備蓄をどうするか、といった問題を総合的に考える必要がある。前向きかつ全体的に、原子力の問題も含めた総合エネルギー対策を検討すべきである。

茂木: 海外との交渉は非常に厳しいものだと思う。かなり前から交渉していたようだが、先方の考えは硬いうえ、日本のように最後は妥協ということがなく、厳しいものだと感じた。

Q.NTTの接続料の引き下げ問題について、どのように考えているか?

小林: 根本には、日本のIT産業が、健全な形で、かつ海外での急激な発展の邪魔にならず、できればその先に進むことを考えた場合にどうあるべきか、という問題がある。接続料というのは、単純に言えば業者のコストの問題である。接続料についてはNTTが他の業者の“喉元を押さえている”ことから、いくら末端市場のコストを安くしようとしても、その分が邪魔になり競争を阻害しているというのが、国内の業者側の言い分である。

それに加えて、日米の協定では接続料を下げることに同意がなされており、その方式は、将来のコスト見通しをベースに算定するスタンダード・コストのような方法を採用することになっているが、それを一年でやれという米国の言い分と、四年間をかけて下げていくという審議会答申との間に大きなギャップがある。米国はこれを日米間の大きな問題にしようとしており、場合によってはサミットにこの問題が出てくるかもしれない状況になっている。この日米の問題については、今度、二国間のアグリーメントに日本側が審議会に提出した内容が盛り込まれることになっており、(協定に)違反しているかどうかは議論のあるところだが、個人的には違反しているとは思わない。

重要なことは、NTTが接続料を下げていく際に、東西NTTの業績、株価へのインパクト、政府の収入へのインパクトといったことであり、これは、NTT分割という大元に戻って考えなくてはならない基本的な問題である。また、日米間の問題を離れて、NTT全体の経営、突き詰めればNTTの雇用をどうするかといった問題である。日米経済協議会の合同運営委員会で、アームストロング氏が、米国は日本における雇用の問題を十分に承知しており、日本全体として雇用の流動性を高め、結果的にNTTでも過剰雇用を吸収できるようにすべきという要求を出したとも聞いた。

利益や株価が下がること、合理化をどの程度思い切って進めるか、雇用の吸収をどうするかなどは、NTT自身の経営の問題であり、NTT法で要求されているユニバーサル・サービスのミッションと効率化とのバランスをとれるかどうかにある。個人的には、ユニバーサル・サービスについては割り切って、効率化を進める上で、あえて切ってもしかたがないといった決定をしないと、本質的な解決にはつながらないと思う。

茂木: NTTの接続料について、先般の日米財界人会議の合同運営委員会で集中的な議論になることはなかった。しかし、記者会見の時に、国際電話の接続料についての指摘がアームストロング氏からあった。おそらく、話が進展しなければ、7月に予定されている全体会議で、何等かの発言が出る可能性がある。

水口: 米国は、この問題については執拗で、ダボスでもサマーズ財務長官からそうした指摘があった。96年に経済審議会から六分野の構造改革として、金融、高度情報通信等について提言を発表した。金融については、その後、金融ビッグバンが起こり、通信については、通信ビッグバンということで競争を導入するということであった。接続料の問題は、NTTが日本のために、国際競争に対してどのような段取りで対応していくかということであり、そのタイミングを誤るとNTT自身が国際競争から脱落することになりかねない。その判断が、非常に重要な時期になってきている。

Q.E - エコノミー委員会では、NTTの接続料金の問題など情報コストについてもテーマとして扱っていくのか?また、提言はいつ頃になるのか?特に税制については、非常にホットなテーマであり、早目に提言していかなければ、いろいろと決まってしまうし、日米財界人会議でも議論されていたのではないか?

水口: (個々のテーマについては)第1回委員会で議論し、決定していく。現在、提言は予定していないが、国際的なルールや知的所有権の問題、ビジネス・モデル、特許権の問題などについては、提言として纏めることもあり得る。

茂木: (税制については)サンタバーバラで行われた日米財界人会議でも議論された。既にタスク・フォースが組まれており、行政に対しても発言している。日米間では、ルールは民間で決定し、関税は課すべきではないという考え方である。

Q.E-エコノミー委員会を立ち上げるとのことだが、ITの急速な展開が働く者の職場を奪うといった問題も考えられる。経営者としてはいいツールかもしれないが、社会全体にとっていいツールになり得るのかどうかは、経営者の使い方次第と思われる。この点については、どのように考えられているか?

小林: 経営者にとってはいいツールだが従業員にとって果たしてどうかといった問題は、一時的にはあるかもしれないが、長い目で見れば、米国を含めた海外の状況からその効果を推察することはできる。すなわち、IT化は、経済の新しいレベルの生産性向上に大きく貢献し、クリティカル・マスのレベルを超えるとニュー・エコノミーのレベルに達するということであり、日本でもそのように進展するだろう。確かにそこに達するまでに、日本の場合は、雇用に対するインパクトが他国よりもシャープに出てくることも考えられる。日本は欧米より雇用維持を大切にする傾向があるので、これらのバランスをいかにとっていくかに尽きると思う。

しかし、ドット・コムと言われる企業は、ゼロから始める企業が大半なので心配ないが、日本においてドット・コープ化する企業は、最終的には生産性を上げ、利益率をどこまで一挙に高めていくのかというスピードと、それによるインパクトとのバランスを、欧米企業よりも穏やかにとっていくと思う。バランスのとり方については、個々の企業、産業によって異なるが、生産性を上げていくことは間違いなくプラスになるし、長い目で見れば、経営者だけでなく、働く人達にとってもプラスになると信じている。

Q.NTT接続料金に関連して、離島や山間部へも通信回線を張り巡らせることによる経営コストの問題があるが、インターネットの時代になり、この負担を誰がどう負うべきと考えるか?

小林: 企業側からすれば、パフォーマンス、生産性、収益性を徹底しろというプレッシャーがかかれば、パブリック・サービスとは認知していても、ある程度は割り切らなければいけないことが出てくると思う。NTTの場合は、一般企業のように自由に決定することはできないので、政府の問題、国民の問題として、この点をきちんとしていかなくてはならない。
米国では、ユニバーサル・サービスなどパブリックな部分については、ファンドを作ってカバーするなどしている。基本的には、NTTの経営合理化の問題を自身で徹底的にやることは当然だが、結果として出てきた“隙間”のようなものは、NTTだけに留まることなく議論していく必要がある。

(文責:事務局)


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