代表幹事の発言

米国大統領選挙の結果を受けて

公益社団法人 経済同友会
代表幹事 新浪 剛史

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  1. 米国大統領選挙においてドナルド・トランプ氏の勝利が確実となった。今回の大統領選挙は、最終局面まで結果を見通すことが難しい接戦になると予想されていたが、ふたを開けてみれば、トランプ氏の圧勝に終わった。また、米国議会選挙も上院、下院ともに共和党が過半数をとる勢いである。仮に、両院とも共和党が奪取することになれば、強権をもつ大統領が誕生する。その結果、米国は自国を優先した更なる内向き思考が加速する可能性が高く、我が国には、それを前提とした新たな外交政策が必要である。
  2. 今回の選挙結果には、インフレ、移民、ロシア・ウクライナ戦争、中東情勢などの混乱した現状に対し、国民が大変強い不満を抱き、状況を改善できない現政権に憤ると同時に、現状を肯定する候補を否定し、大きな変化をもたらすことのできる強いリーダーを渇望したと考えられる。
  3. トランプ氏の就任により、多国間の枠組みや安全保障政策、貿易などの面において各国に大きな影響がもたらされるだろう。日本としては、如何なる状況でも対処できる体制を早急に構築しなければならない。まずは、石破総理には、トランプ氏と早期に面会を行い、関係構築を図っていただくことを期待する。その上で、地域の安全保障政策面では韓国との連携を強化していただきたい。また、中国との交流を促進し、貿易や投資を互恵的に活性化すべき。加えて、インドなどのいわゆるグローバルサウス、ASEAN諸国との関係強化や、CPTPPの加盟国拡大を目指していくことが肝要である。なお、トランプ氏が選挙戦を通じて訴えてきた政策がどう具体化されるかは、閣僚人事などの今後の動向を注視しつつ見極めていきたい。
  4. 米国の国内情勢も地域の地政学的状況も不透明な中、企業経営者としては、引き続き、米国の政治情勢、国際関係に対してアンテナを高く保ち、様々な状況への備えを講じる必要がある。本会では、代表幹事ミッションとして、来年2月、新政権発足後に訪米し、政策関係者や米国経済人との対話を行う。これに限らず、情報収集や民間交流を徹底的に行いながら、持続的・互恵的な二国間関係に貢献していきたい。

以 上

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