代表幹事の発言
第50回衆議院議員総選挙の結果をうけて
公益社団法人 経済同友会
代表幹事 新浪 剛史
代表幹事 新浪 剛史
- 昨日投開票が行われた第50回衆議院議員選挙では、連立与党が過半数割れし、野党が大きく議席を伸ばす結果となった。これは、国民の政治に対する不信の深まり、そしてその払拭のための説明や取組みが不十分であったことの証左である。とりわけ、政権与党はこの結果を真摯に受けとめ、まず何より、政治に対する国民の信頼を回復すべく、政治資金の問題を含めた政治改革に邁進すべきである。
- また、日本経済は、長きにわたるデフレからモデレートなインフレの定着へと極めて大きな時代の転換点にあり、国際情勢も大きく変容する中で、今回の選挙においては、政治改革のみならず、財政、社会保障、外交・安全保障など、山積する重要課題について国民にとっての不都合な真実も直視した議論が期待された。しかし、残念ながら選挙期間を通じてそうした議論が十分に尽くされたとは言い難く、課題が先送りされたと言わざるを得ない。
- 今、わが国が必要としているのは、加速する少子高齢化や人手不足といった構造的課題を抱える中でも、地域も含めて恒常的に可処分所得を向上させ、国民のwell-beingを高める国家ヴィジョンであり、またその実行である。具体的には、最低賃金の引き上げや成長分野への労働移動の活性化、健康をベースに働く意欲ある方に存分に活躍いただくための社会保障制度の抜本改革、原発の活用を含む低廉かつ安定的なエネルギー供給、そして、人口減少下での実を伴う地方創生等を進めていかなければならない。
- 今の日本にこうした課題への対処を遅滞させる余裕はない。緒に就いた転換を後戻りさせることのないよう、与野党問わず、現実を直視した上でしっかりと議論を尽くし、必要な政策を前に進めていただくことを期待する。
以 上