代表幹事の発言

2023年度予算案について

公益社団法人 経済同友会
代表幹事 櫻田 謙悟

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  1. 本日、2023年度予算案が閣議決定された。一般会計歳出は114.4兆円と、初めて110兆円を超えた。
  2. 社会保障関係費については、年金スライド分を除き、実質的な伸びを高齢化による増加分におさめるという方針は達成した。一方、少子化の進展が加速するなか、子育て支援にかかる費用の安定財源確保や勤労世代の負担適正化といった観点では踏み込み不足と言わざるを得ない。全世代型社会保障構築会議の報告も踏まえ、応能負担の徹底や働き方に中立な社会保障制度の構築など、受益と負担のリバランスにかかる抜本的な制度改革を遅滞なく進めるべきである。
  3. 大きく増額された防衛関係費については、執行の実効性という面での妥当性も含め、5年間で43兆円という規模や各々の負担に関し国民の理解を得られるよう、予算案および財源確保法の審議を通じ、説明を尽くす必要がある。また、従来、補正予算の財源の一部に充当されてきた決算剰余金を防衛財源に回す結果、補正予算編成に伴う公債発行が増加しては意味がない。執行やアウトカムにこだわったKPIの設定や予算編成、透明性の高いPDCA等による歳出の質の向上を急ぐ必要がある。
  4. コロナ禍からの経済・社会活動の正常化が進み、欧米のインフレ率もピークをつけるなか、今回も計5兆円の予備費が計上された。財政民主主義を改めて徹底するとともに、補正予算にかかる規律の強化を含む危機対応財政からの正常化を求めたい。

以 上

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