代表幹事の発言

小林陽太郎元代表幹事のご逝去の報に接して

公益社団法人 経済同友会
代表幹事 小林 喜光

小林陽太郎元代表幹事のご逝去の報に接し、慎んでお悔やみ申し上げます。

小林さんは、1999年(平成11年)4月に代表幹事に就任され、激動の20世紀から新しい21世紀の幕開けという大きな転換期に、「市場の進化」「企業の社会に対する責任」という理念を唱え、経済同友会や企業経営者が目指すべき道を示されたリーダーでありました。

経済同友会設立発起人たちの思いをとても大切にされ、「設立趣意書にあるように、経済同友会は社会との関係を非常に重視していたところに最も惹かれる。そして青臭くても筋を通した深い議論を行うところが、経済同友会の真骨頂である」と述べられていました。「企業は社会の公器である」という設立当初からの志は、小林さんの活動の原点でした。

2000年12月の『21世紀宣言』では、市場機能の強化とともに、「経済性」のみならず「社会性」「人間性」を含めて評価する市場に進化させることで、社会の期待と企業の目的とが、市場のダイナミズムを通じて自律的に調和するとして、「市場の進化」という概念を提唱されました。これは、常に時代を先取りしてきた経済同友会の歴史に新たな一頁を刻むものであり、その後、2002年3月発表の『第15回企業白書-「市場の進化」と社会的責任経営』へとつながり、今日の「CSR」の推進・普及に大きな影響を与えました。

また、国際派経済人として知られる小林さんは、日米欧三極委員会アジア太平洋委員会委員長、日米経済協議会会長、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)共同議長、新日中友好21世紀委員会座長などを務められ、日本を代表するオピニオンリーダーとしての輝かしい足跡を残されました。

このように国内外で活躍された小林さんが、教養を備えた次世代リーダーの育成に心血を注がれてきた姿も忘れられません。古典を題材にした対話によるリーダー育成を目指した「日本アスペン研究所」の設立を主導され、グローバル人材を育成する国際大学の理事長としてその基盤強化にもご尽力されました。経済同友会においても、次世代経営者育成のための「リーダーシップ・プログラム」の初代委員長を務められ、その礎を築かれました。

偉大な先輩の訃報に、大きな悲しみと喪失感を禁じ得ませんが、私たちはその志を引き継ぎ、企業、社会、世界、個人のあり方を探求し、より良い社会の実現に向けて、全力を捧げて参ります。今は亡き、小林さんの誠実かつ温厚なお人柄、紳士としての佇まい、そして何よりも穏やかな笑顔を偲びながら、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

以上

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