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政府情報システム改革における
「政府共通プラットフォーム」の整備について

公益社団法人 経済同友会
代表幹事 長谷川 閑史

政府の「世界最先端IT国家創造宣言」(2013年6月14日閣議決定)では、政府情報システム改革について「クラウドの徹底活用により、大規模な効率化と縦割りを打破したシームレスな連携、変化への迅速かつ柔軟な対応力の向上を図り、効率的な行政運営と徹底したコスト削減を実現」という目標が掲げられた。本年1月には「政府情報システム改革ロードマップ」が策定され、「政府共通プラットフォーム」(各府省の情報システムのクラウド化、統合・集約化)の整備が今後本格的に進められていくことになる。

政府は6月に「第2弾成長戦略」を公表する予定である。昨年の第1弾成長戦略、すなわち、「日本再興戦略」(2013年6月14日閣議決定)においては、国民・利用者を中心とした電子行政サービスの構築が掲げられたが、第2弾成長戦略においても、政府情報システム改革を更に加速させる内容が盛り込まれることを期待する。

その際、こうした意欲的な目標を達成するためには、過去の政府におけるIT調達での失敗事例も踏まえた上で、政府全体のIT政策を統括する政府CIOが司令塔機能を十分に発揮し、以下の点に留意することが不可欠である。

本会としても、政府情報システム改革の重要性については、繰り返し意見を発信していたものであり(注1)、この改革の進捗を注視していく。

(注1) 2013年6月5日付「『世界最先端IT国家創造』宣言(案)に対する意見(パブリック・コメント)」、2013年5月24日付「マイナンバー関連法案の成立について」、2012年3月21日付「次世代へ誇れる番号制度システムの実現を~ 国益 > 国民益 > 政治家益・省益・企業益 ~」、2011年4月21日付「わが国の電子政府推進政策の検証と今後の取り組むべき課題」、2010年3月3日付「ICT利活用による次なる成長のための5つの提言~横串機能による経済・社会システムの再構築を~」など

1.オープンスタンダードな技術要素の全面的採用

政府共通プラットフォームに関し、その整備・活用において大胆なコスト削減を実現するとともに、名実ともに「世界最先端」の情報システムとして活用されるためには、オープンスタンダードな技術要素を全面的に採用し、コストメリットおよび技術進化メリットを最大限に享受すべきである。

その点については、総務省「政府情報システムの整備の在り方に関する研究会」の最終報告書(2010年4月16日発表)においても、「同プラットフォームが特定の製品・技術等に依存する仕様であった場合、統合・集約化される情報システム全体の仕様が当該製品・仕様に依存することとなるほか、同プラットフォームそのものの改修・保守等においても柔軟性が損なわれる」ことを指摘し、「マルチベンダ対応可能な標準的な仕様」の採用を提言している。

したがって、同プラットフォームのシステム整備にかかわる様々な要件定義や機器・ソフトウェアの開発・調達等について、こうした観点が十分に踏まえているかどうかについて、技術情報の公開や決定プロセスも含めて徹底的に検証し、国民に対して説明責任を果たしていくべきである。

2.「ITダッシュボード」でのコスト・調達情報の開示による透明性の担保

日本再興戦略では、IT投資管理のPDCAサイクルを確立するために、日本版「ITダッシュボード」(各府省のIT投資の状況等をインターネット経由で一覧性をもって国民が確認できる仕組み)を整備が進められることとなった。

このITダッシュボードは、本年7月の運用開始をめざして既に整備が進められているが、上記1.の検証を徹底する上でも、これまで行政が不得手としてきた「PDCAサイクルの確立」に真に資するものとしなければならない。

その意味では、ITダッシュボードで公開されるデータについては、予算関連情報、政府情報システムの状況等に加え、調達関連情報、特定製品・技術等への依存度、IT先進国との比較によるベンチマークなどをわかりやすく示し、透明性を担保すべきである。また、IT投資予算については、会計検査院による費用・便益に関する包括的な検査によって、無駄を徹底的に排除すべきである。

3.政府共通プラットフォームの強力な推進

いわゆるマイナンバー制度の導入など、政府における、ますます効率的なIT利活用が期待される現状において、政府共通プラットフォームの整備は非常に重要な取り組みである。政府共通プラットフォームが、仮想化によるサーバー統合に留まらず、効率化を更に進めるために、各省庁共通のAPI(注2)やサービスも含め統合的なクラウド基盤を提供することなどを期待する。

他方で、政府共通プラットフォームを強力に推進していくためには、政府における人的基盤を強化することが不可欠である。そのために、民間からの出向者の受け入れや公務員の民間企業への出向など、官民の人材交流をより一層行うことで、専門的な知識を高めることも重要である。

最後に、各府省の情報システムをクラウド化、統合・集約化する政府共通プラットフォームは、行政コストを削減する一つの手段ではあるが、当然のことながら、それだけでは、真の業務プロセスの革新(BPR)を実現することはできない。

情報システムの見直しを行うと同時に、総括的な視点から各府省や地方自治体など、行政全体の権限や業務フローなどを見直すことによって、効率的かつ信頼性が高い行政を実現することを期待する。

(注2) API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス):OSなどのソフトウェアが、自身の機能の一部をほかのプログラムで利用できるように公開する関数や手続きの集まり。一般にOSでは、入出力の処理やファイル管理、メモリー管理、ウインドウ管理などのAPIを規定する。アプリケーションソフトの開発者はそれらを利用することで開発作業を効率化し、同じOS上で動作するほかのソフトとの連携を容易にする。(出典:「日経パソコンデジタル・IT用語辞典」)

以上


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