野田新政権への期待
代表幹事 長谷川 閑史
民主党代表選挙を経て、野田佳彦衆議院議員が内閣総理大臣に指名された。清新なリーダーが誕生したことを歓迎する。
わが国が数多くの困難に直面しているにもかかわらず、政治の停滞が続いてきた。国際社会で日本が政治・経済面でのリスクになりかねない状況は、まさに国家的危機である。2年前の歴史的な政権交代において、国民は政治のリーダーシップによる国の変革を期待したが、これまでの政権はその期待に応えることなく短命に終わった。野田新政権には、民主党政権にとって信頼回復の最後の正念場であるとの覚悟を持ち、この国難に立ち向かって欲しい。
1.持続的な成長に向けて、あらゆる政策の総動員を
新政権には、次の衆院選(遅くとも2013年秋)までの間に優先的に実現すべき重要政策を明示し、その実現に全力を尽くしていただきたい。特に、経済成長の実現は、震災復興や財政健全化などにも通じる重要課題であり、「政策推進の全体像」で掲げた「2020 年度まで平均で名目3%程度、実質2%程度の成長の実現」に向けて、あらゆる政策を総動員すべきである。現下の危機的状況から脱却するという強い意思を政治が示し、必要な政策を大胆に実行していくことを望む。
<新政権が取り組むべき重要課題--成長戦略を中心に>
(1)成長戦略の実行
- 新成長戦略の早期実行(規制改革の推進、TPP交渉への即時参加、EPA交渉の加速など)
- 脱デフレと円高是正に向けた機動的な経済運営
(2)震災復興と原発事故・エネルギー問題への対応
- 復旧・復興の加速(復興庁の早期設置、復興特区の制度設計、一括交付金の拡充など)
- ストレステストの迅速な実施、安全性の確認された原発の再稼働
- 新エネルギーや原発の安全技術などに関する技術革新の加速
- 実現可能性のあるエネルギー基本計画の策定
(3)財政健全化
- 財政健全化の道筋の明確化
- 税・社会保障制度改革の実現
2.政策実現に向けた「実行力」を求める
こうした重要政策を実現するために、新政権には何よりもまず「実行力」を求める。内閣総理大臣が真のリーダーシップを発揮し、実行力のある内閣をつくり、官僚を活用し、民間や市場との対話や国民への十分な説明を重ねながら、課題解決を成し遂げることこそ、目指すべき真の政治主導の姿であり、国政を担うリーダーとしての責務である。
また、実行力のある政権運営の基盤として、挙党一致体制の確立が必要であることは言うまでもない。野田総理には、国家の危機的状況からの脱却に向けて必要な政策課題を実現していくために、最適な人材による組閣と党幹部人事を期待する。
3.野党との協力体制の構築を
いわゆる「ねじれ国会」の状態が続く中で、この国難に立ち向かうためには、野党との協力体制の構築が不可欠である。与野党には、党利党略や党内勢力争いよりも国民の利益を最優先に考え、重要政策課題について協議を行い、合意形成を図ることを求める。
以上