代表幹事の発言

2010年度政府予算案について

社団法人 経済同友会
代表幹事 桜井 正光
  1. 厳しい財政状況の下、新政権発足後100日余りで、概算要求、事業仕分けを経て、新規国債発行を約44兆円に抑えた来年度政府予算案を閣議決定されたことに敬意を表したい。
  2. しかしながら、(1)一般会計予算が国債発行と税外収入に過半を依存して過去最大、(2)社会保障関係費が一般歳出の5割を占めるまで膨張、(3)地方交付税が地域主権の理念に反して増額など、わが国が直面する財政構造問題はむしろ深刻化・顕在化したと言える。中長期的な道すじを示して財政再建に取り組むことが喫緊の課題であり、改めて財政健全化法(仮称)の早期制定を求めたい。
  3. 民主党がマニフェストに掲げた、子ども手当、公立高校の実質無償化、農業の戸別所得補償は概ね実現したとはいえ、暫定税率、診療報酬などの扱いも含めて、政策の優先順位が見えず、バラマキ感も否めない。さらに、与党による「重点要望」など、政策決定の政府への一元化を懸念せざるを得ないことがあった。したがって、政府・与党は、今回の意思決定について十分説明するとともに、今後に向けて決定プロセスの透明化を図る必要がある。
  4. 本来の自律的な経済成長を実現するためには、まず目指すべき「国のすがた」を示し、民の活力発揮を促すことが極めて重要である。来年夏の参議院選挙に向けて、国民への説明責任を果たしつつ、マニフェストに掲げた政策を改善・見直し、新しい国づくりを大きく前進させることを期待したい。

以上

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