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小渕新内閣への期待と提言

景気低迷は深刻である。本会の景気定点観測(7月調査)でも、8割以上が景気は「緩やかに後退している」「後退している」と回答し、また先行きについても7割以上が「年度前半の低迷が後半まで続く」と予測するなど、企業・経営者の実体経済に対する認識は極めて厳しい。

こうした中で発足した小渕新内閣には、わが国を覆う閉塞感、不安感を根底から払拭するよう、迅速かつ大胆に行動することを何よりも期待したい。とりわけ経済の活力再生は、わが国のみならず、アジアや世界経済にとって重要な鍵を握っており、新内閣はこれを当面の緊急かつ最優先の課題として取り組まなければならない。

もとより日本経済は構造改革の過程にある。官から民へ、小さな政府の実現、規制撤廃・緩和の実行、中央から地方へ、といった諸改革を着実に成し遂げなければ、21世紀の活力ある日本を創ることはできない。先の参議院選挙でも、国民は改革を否定したのではなく、むしろ改革が進まないことへの危機感から投票所に足を運んだといえる。したがって、新内閣が実行すべき経済の活力再生のための政策は、旧来の経済構造を温存するものであってはならず、構造改革の方向に沿って民間の活力を引き出し、経済の自律回復力を蘇生させるものでなければならない。

その、第1の柱は税制の抜本改革に向けた制度減税の実行であり、
   第2の柱は不良債権の早期・抜本的処理と金融システムの再生である。

以下、これら2つの最優先課題について具体策を提言する。

新内閣が内外の信頼を獲得し、市場の信認を回復できるかどうかは、今臨時国会中にどれだけ具体的な成果をあげられるかにかかっているといっても過言ではない。われわれは、新内閣が全力を集中的に投入して経済の活力再生に取り組むよう期待するとともに、経済界として自己責任原則に基づき自らの企業改革に邁進する所存である。

1. 国民・企業の意欲を引き出す税制改革の実行

税制改革は当面の経済再生のためのみならず、構造改革を推進するための重要な基盤である。したがって、ここで実施すべき制度減税は抜本的な税制改革の一環として位置づけられた、明確な理念に基づくものでなければならない。これからの税制の基本的要件は、(1) 所得に過重な負担をかけず、国民や企業の意欲を引き出し、民間の自律的な経済活動を活性化させること、(2) 受益と負担の関係をできる限り明確にし、納税者意識を喚起すること、(3) 国際的な整合性があり、わが国を事業活動の場として公正かつ魅力的なものとすること、の3点である。

そうした観点に立って、新内閣は、まずは緊急に以下の制度減税を先行実施すべきである。

(1) 所得税・住民税を合わせた最高税率を99年から50%に引き下げるとともに、累進構造をフラット化する。
(2) 法人所得に対する課税の実効税率を99年度から先行して40%に引き下げる。

これらの財源については、何にもまして歳出の削減と効率化に真正面から取り組むことが不可欠である。特に、規模・配分・コストの面からの抜本的な改革が急務である公共事業については、景気対策に名を借りた安易な事業実施は厳に慎まねばならない。その上で、当面の減税先行に伴う財源は国債によらざるをえないが、同時に、本格化する少子・高齢化社会を支えるための、さらなる税制改革にできるだけ早期に道筋をつけていくことが必要である。

そのためには、公正・簡素な税制の追求とともに、行き過ぎた所得・資源の再分配を是正する観点から地域・世代・個人・法人間の「受益と負担」のあり方を根本的に見直していくことが不可欠である。具体的には、課税最低限度額を構成する各種所得控除の見直し、政策目的を失いつつある税制優遇措置の見直し、総合課税の対象範囲の拡大と納税者番号制度の導入、個人・法人間の実効税率の格差の是正、法人事業税への外形基準の導入、消費税の制度上の問題点の解決、国民全体で広く薄く負担するための直間比率の見直し、などの課題について検討を進める必要がある。

2. 不良債権の早期・抜本的処理と金融システムの再生

金融システムの再生が経済の活力再生にとって不可欠の課題であり、最早これ以上の先送りが許されないことは言うまでもない。不良債権の早期処理と金融システムの再生については、既に政府・自民党において、いわゆるブリッジバンク構想によって強化された「金融再生トータルプラン」が示されている。今後、新内閣は臨時国会において関連法案を速やかに成立させ、不良債権処理を中心とする金融システムの再生を着実に進める必要がある。

その際、新内閣はありうべき事態に対しては、一貫した方針と準備された制度的枠組みに基づき迅速かつ果断に対処することが肝要である。また、ブリッジバンク構想の法制化に当たっては、公的資金投入についての国民の理解を求めるとともに、モラルハザードを排除するために、破綻金融機関の経営責任の明確化はもとより、破綻認定や健全な借り手に対する融資基準などについて、公正かつ透明な実施のための制度的枠組みの整備に十分な意を用いる必要がある。

こうしたことにより、金融機関の破綻に伴う経済的・社会的コストを最小限に抑えつつ金融システムの強化が図られることが期待されるが、その前提として、当の金融機関がそれぞれ抜本的なリストラに取り組むとともに、自らの特色を活かす将来像を自己責任によって確立すべきことは言うまでもない。

以上


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