採録記事|未来志向の政策トーク番組
『日本再興ラストチャンス』第12回「地域共創・地方創生」

第12回「地域共創・地方創生」

経済学者・中室 牧子氏と経営者・有識者の対話を通じて、日本を、経済を再興させるアクションプランを考える「日本再興ラストチャンス」。今回は、人口減少社会において日本の成長戦略の要とされている地方創生をテーマに議論しました。(この記事は、ビジネス映像メディア「PIVOT」で配信された動画を採録しています。)

  • 中室 牧子
    経済学者/慶応義塾大学 教授
  • 山下 良則
    経済同友会 副代表幹事/地域共創委員会 委員長リコー取締役 会長
  • 石丸 伸二
  • 野嶋 紗己子
    PIVOT MC

(所属・役職は出演時)

ビジネスで地域経済を活性化するには

野嶋 今回のテーマは、地方創生です。もう数年聞き続けているキーワードのように思いますが、どのようなキーワードを今、話し合うべきでしょうか。

中室 私自身は奈良の出身ですが、実家周辺はかなりの田舎です。そこにも最近はインバウンド観光客が増えているのに驚くばかりです。ただしあちこちの観光地で、インバウンド需要に対応できずに行列ができるなど、準備不足が目立ちます。これまでの地方創生には、ともすると「バラマキ」に近いような雰囲気がありました。それが企業の投資を妨げていないかという点も気になりますので、今日は深くてリアルな議論をしていけたらと思っています。

野嶋 まず地域政党を立ち上げたという石丸さんの活動から伺っていけたらと思うのですが。

中室 石丸さんがおやりになりたいことは、地方議会に参加する人の質を高めることではないでしょうか。もちろんよい方もたくさんいますが、本当に市民や県民のことを考えているのかと問いたくなる議論も少なくありません。人々の生活に一番近いところの意思決定者ですので、その質が悪いと人々の生活も悪くなってしまう。だからこそ、地方議会に参加する人の質を高めたいという思いに見えますが、いかがでしょうか。

石丸 その通りですね。最近の言葉で言えば、日本の政治をアップデートしたい。そのために地方議員のバージョンアップがいる。そのための仕組みを考えているところです。

野嶋 「再生の道」の募集を始めてから、手応えはいかがでしょうか。

石丸 手応えはあります。10日で300を超える応募が来ています。中身としても、かなり魅力的な方々が応募してきてくれている実感があります。

野嶋 それだけでも希望が感じられますね。ここで今回のテーマの1つ目、「ビジネスで地域経済を変える方法」に入っていきたいと思います。まず山下さんは「デジタル化により経済と生活の循環」を、と挙げていただきました。

成田 今後に向けて残る課題は何でしょうか。

山下 東京と地方とでマインドセットも価値観もずいぶん違うことはもうわかっていて、一方で世界に目を向けると、日本全体で団体戦をしないと勝てなくなっています。コロナ禍は不幸な出来事でしたが、ここでチャンスが広がったのがデジタルです。日本全体の経済活性化と生活の安定向上に向けて、デジタルによる経済と生活の好循環をつくりだすべき時に来ています。

地方にはイノベーションの種がたくさんある

野嶋 地域経済を伸ばすビジネスについては、どうお考えですか。

山下 ビジネスの基本は、一定のマーケット規模があることです。すると必然的に、人口が伸びる海外の方が魅力的に見えがちです。日本も地方にも収益やビジネスがあると透明化する事例を増やさなくてはなりません。地方が活性化することで、日本もこれから伸びる余地はあると思っています。

石丸 海外が儲かることを直視しながらも、いかに日本でそれを組み入れていくか、勝ち取っていくかが大事だと思っています。製造業の海外進出が一時期盛んでしたが、国内にいながらグローバルで稼ぐビジネスモデルも実際に出てきています。

中室 地方にはイノベーションの種がたくさんあります。たとえば移動難民という事象は、課題でありつつ新しいテクノロジーの出番です。ライドシェアやオンデマンドバスといったビジネスが構築できるチャンスかもしれません。「東京からもってくる」という発想ではなく、地域発でできることを考えるのが大事だと思います。

石丸 だからこそ「育成・進化」が重要と考えています。たとえば山口県で日本酒「獺祭」を作っている旭酒造さんは、
ニューヨークで事業展開を始めています。広島県熊野町で作っている「熊野筆」は、化粧筆を世界に売って人気を博しています。これはまさに地域にあるものを研ぎ澄ませていった結果、世界に突き刺さるようになった事例と言えるでしょう。

野嶋 視聴者からの質問も取り上げていきたいと思います。まずは産業誘致に関してです。「半導体のように期待される分野が他にあるのでしょうか」というご質問が来ていますが、いかがでしょうか。

石丸 基本的に、企業誘致はもう望めないと思っています。国策として進むものがいくつかはあると思いますが、望める自治体は相当限られています。他にあるとしたら、核融合発電のような新分野の研究開発でしょうか。あるいは規制緩和による振興は有効でしょう。たとえば農地の規制緩和を進めると、より自由に土地が使えるようになります。今は土地規制があるので、民間で自由に使えないところがかなりあるわけです。

教育への投資が地域の未来を決める

野嶋 だいぶ緩和してきたものの、まだ土地の制約は大きい。法律の問題も影響している、という話を伺ってきましたが、何か明るい兆しはあるのでしょうか。

中室 インバウンドの増加は、明るい話題の1つではないでしょうか。観光地として名が通っていない土地にも、結構外国人の方が来られています。そこで経済も動きますし、海外から見たときに日本の各地が魅力的に見えているというのはプラスの側面だと思います。

山下 優秀な人材が多く地方にいるというのも、明るい話題の1つだと思います。その人たちが混ざれば人材の多様性も高まります。言い換えると、人材が育っている地域は魅力的に見えるはずです。

野嶋 「地域で世界に通じる人材は育成できるのか、そして育った人材は地域に根付いてくれるのか」という質問があるのですが、いかがでしょうか。

石丸 たとえば秋田県にある国際教養大学はよく知られていますが、まさに世界に通じる場所となっています。徳島県の神山町で高等専門学校「神山まるごと高専」が新たに開講されたのも、注目すべき動きです。

山下 当社は「神山まるごと高専」のパートナー企業の1社として参画しています。教育への投資は、自治体だけではなく企業としても考えていってよい領域だと感じます。2つ目の育った人材が地域に根付くというのは産業がないと難しいですが、地域に人がいるから産業が拡大していくという流れは、大事なことだと思っています。

石丸 人材育成については「産業が先か、人材育成が先か」というジレンマが起こりがちなのですが、中室先生はどう見ていらっしゃいますか。

中室 「土地が先か、学校教育の質が先か」という論文は、結構発表されています。地価が高いところに所得の高い人が集まり、結果として子供の学力が高くなる場合と、学校教育の質が良いから良い人が流入してきて、結果的に土地が高くなる可能性もあるわけです。最近の実証研究では後者、つまり教育の質が先だと言われています。ですので自治体の長として、教育に投資していくのは賢い選択だと思いますし、お会いした時にはそういう話を結構しています。

石丸 教育の質が突破口になるということを改めて思いましたし、その結果をうれしく聞きました。

野嶋 教育の大事さを踏まえたうえで、ビジネスと地域経済というところを再度考えていきたいと思います。

中室 スキルと賃金のミスマッチが一番起きるのは、子育て世代の女性だと言われています。リモートワークは、そうした人をもっと掘り起こすきっかけになります。それがスキルと賃金ギャップを埋めるきっかけになるし、女性活躍の文脈にも通じるとも思います。

野嶋 石丸さんはいかがでしょうか。

石丸 フランスでは地域の企業間で教育をしていくシステムがあると聞きます。それは日本も親和性が高いような気がしますね。日本企業は入社後にきちんと育てる仕組みを長く続けてきましたので、その裾野をもっと広げていくことかもしれません。そこに地域性を加味すれば、日本オリジナルの教育システムができると思います。

野嶋 各地域の商工会議所が大学を運営する、グランゼコールという仕組みですね。

石丸 とはいえ文部科学省の意向が日本はどうしても強いですよね。すでにできあがっている教育の仕組みを守りたい意識が働きますから、変えていくには政治の力も必要になってきます。

中室 たとえば新規学校の設置が停止されている自治体が結構あるのですが、本来は新規参入と健全な退出がないと競争も起こっていきません。行政が過度に介入するのは、本来あってはいけないと思っています。

山下 企業も評価する側が変わる必要があります。女性で在宅で子育て中の優秀な人材を評価する中間管理職を育てないとまわらなくなります。いろいろなところに改革課題があります。

地域にとって最も大事なものを選ぶ必要が出てくる

野嶋 もう1つのキーワードに話題を移したいと思います。「地方をどう経営すべきか」というテーマに対して、それぞれお考えを伺えますか。

石丸 どうしたんだと思われるかもしれませんが、やはり「愛」ですね。自分が所属するコミュニティを大事にするところが出発点だと思います。ただし「博愛」ではありません。ここで言いたいのは、優先順位をつけるということです。人口減少が加速し、今の行政体はなくなるかもしれない。その時に、自分たちのアイデンティティを後世に伝えるにはどうするか。本当に大事なものを選び抜く「きわ」にきているという認識を持っています。自分たちにとって最も大事なものを選ぶときに、最後は「愛」が欠かせません。市長職にあるときも、そのつもりで向き合ってきました。

野嶋 大局的に考えたときに、短期的には支持されない政策でもやるべき場面が出てくるのでしょうね。

石丸 はい。覚悟を決めないといけない。たとえば学校統合というのは必須の局面になってきていますが、ほとんどの自治体は後手に回っています。自分の出身校を残したいという気持ちが関わってくるからです。でも、そこに通う子供の未来は誰が保証するのか。それであれば、集約してよりよいカリキュラムを備えた学校をつくるという選択肢も出てくるわけです。

野嶋 山下さん自身は、今回の問いに「人経営」という言葉を挙げてくださいました。

山下 これは私自身がずっと考えてきた経営哲学であり、石丸さんの言葉でいう「愛」と基本は同じだと思います。自治体の経営は住民への愛が必要ですし、企業経営は社員や顧客に対する愛が必要です。組織を運営するときの基本だと思っています。

石丸 1点、民間と行政が違う点が前提条件の部分です。営利を目的とするのが民間で、儲からないところを扱っていくのが行政の役割です。そこで市場原理が使えないという悩ましさが出てきます。最近は職員の能力評価を導入する自治体も増えてきましたが、頑張っても頑張らなくても給料が変わらないとなると、奮い立たせる別の何かがいります。僕が語っていたのは「矜持」です。職員の皆さんのプライドによって今が成り立っている。ただこれは伝える難しさがあります。僕自身は、いついかなる時でも絶対立ち向かうという姿勢を見せることでしか伝えられませんでした。

野嶋 視聴者からこんな質問も来ています。「行政サービスに創意工夫が必要なのはわかりますが、地域の価値を向上するために行政職員が持つべき信念や覚悟とは何でしょうか」と。中室さん、この質問はどこから考えたらよいでしょうか。

中室 難しい質問ですね。私は地方の行政職員として働いたことはないのですが、今、デジタル庁の非常勤職員をやっています。そのデジタル庁の職員として考えると、まず大事にしているのは利用者目線です。この行政サービスを利用する人たちの立場で考えていくこと。当たり前だと思われるかもしれませんが、行政が思った以上に縦割りで動くということを、デジタル庁に関わって痛感しました。縦割りが強くなると、つい利用者の目線を忘れて、自分たちの部署にとって有利か不利かという話になってしまいます。そうならないように徹底すること、自分たちの仕事の先に国民がいるという感覚を忘れないようにすることを、私自身は一番大事にしています。

危機感を持って独自の工夫を進める自治体が強い

野嶋 「再生の道」ではどういう人たちに来てほしいと考えているのでしょうか。

石丸 政治に関係していなかった人にも来てもらいたいという意味で、間口を広げています。これまでビジネスをバリバリやっていた人にこそ政治に入ってきてほしい。そういう人たちが行政に関われば、変化が起きるはずです。

野嶋 「石丸さんのように行動力のあるリーダーはどうしたら呼べるのでしょうか」という質問も来ています。いかがでしょうか。

石丸 リーダーはどの地域にも必ずいます。1億2000人が全国津々浦々にいるわけですから。地元を出ていたとしても、呼び戻すことができます。地域政党「再生の道」を立ち上げたのも、そうしたきっかけの1つになればと考えたからです。「よい人は近くにいる」というのが答えだと思っています。

野嶋 山下さんはいろいろな行政の長に会ってきたと思いますが、必要な資質として感じるものはありますか。

山下 一概には言えないですが、基本的に必要なことは率先垂範でしょうね。自分の背中を見せられることは、企業経営者も含めて必要なことだと思っています。

野嶋 リーダーはどの地域にも必ずいます。1億2000人が全国津々浦々にいるわけですから。地元を出ていたとしても、呼び戻すことができます。地域政党「再生の道」を立ち上げたのも、そうしたきっかけの1つになればと考えたからです。「よい人は近くにいる」というのが答えだと思っています。

野嶋 中室さんのお考えはいかがでしょうか。

中室 選挙データを分析した研究論文があるのですが、これを見ると、ギリギリの線で若い人が市長になった場合は、教育や子育て世代に対する投資が起こる。逆にギリギリの線で高齢の人が市長になった場合は医療費側の支援が増えるという結果でした。先の社会を考えると、若い人がなるほうがよいと私自身は感じましたね。

野嶋 なるほど。

中室 どうすれば若い人が政治に関心を持つのかと考えていくと、大きく2つのパターンがあると思っています。1つは親と政治の話をするような家庭環境だった人、もう1つは若いころに実際に政治家に会ったという人です。ですので石丸さんのような方がどんどん前に出て、若い人たちとも話をしていくのは重要なことだと思っています。

野嶋 今の話を聞いて、石丸さんはいかがでしょうか。

石丸 今のご指摘には納得します。一方で、必ずしも年齢で分けたくはないという思いもあります。年齢は高くても非常に鋭い感性で動かれている方は、たくさんいらっしゃいますので。ただ下の世代の方が確実に長く生きるので、未来に対する責任を持てる人として託したいという思いもあります。

野嶋 「私の地元は北海道の人口1万人弱の田舎です。地元に住み続けたくても学ぶ場所、働く場所がないと感じていますが、仕方のないことなのでしょうか」という質問も来ています。こちらはいかがでしょうか。

石丸 ある意味、受け止めないといけない現実だと思っています。ただし、諦めようとはまったく思わない。むしろ覚悟が決まってくるので、その中で何を残すかということを選ぶべきだと思います。たとえば小学校や中学校がまだ分散しているのであれば、早く集約してよい教育環境にすることです。そこに人が集い、再度盛り返す起点になる可能性はあると思います。

山下 デジタルネットワークを使って仕事もできるし学べる環境があるということには、もっと目を向けてよいと思います。圏域で見ると 5万人くらいいるかもしれませんし、データで繋ぐと遠隔地とも連携できるわけです。過去よりは非常に多くの可能性があることを、危機感とともに自分自身が感じたほうがよいと思っています。

受益と経費のバランスはきちんと周知していく

中室 関連して伺いたいのが、コンパクトシティや居住誘導に関する議論です。自治体から見たときにインフラの維持が重いのが現実だと思いますが、強力に進めていくべきだと思われますでしょうか。

山下 結局、「ここに私は住みたい」という意向を無視しては進まないわけです。それを踏まえると、受益と経費のバランスをきちんと説明していくのがまず重要だと思います。「ここに住みたいならこういう経費がかかる」ということをきちんと説明していくことです。

石丸 国が進めると、最終的に市町村民のところでものすごく反発が生まれます。だから基礎自治体レベルのところで選ぶことが妥当なことだと思います。他方、原則として、健康で文化的な最低限度の生活というのは憲法25条で定められています。ですので電気や水道を民間に任せるとしても許認可制になりますし、政治による合意形成はある程度必要になってくるでしょう。ただ1点、災害を機に出てくる居住誘導に関する議論は最悪です。そうではなくて、平時にきちんと国策として議論し、それに基づいて基礎自治体で議論を重ねていくのが民主的な姿だと思っています。

野嶋 基礎自治体レベルで維持できないということになったらどうするのでしょうか。

石丸 最終的には選ぶことになります。たとえば私が市長のときに、「落とす橋を決めましょう」ということは言いました。過疎地域の端の方に、ある集落だけが渡る生活の橋があるんですね。それが老朽化して、架け替えるのに何千万円とかかる。これは諦めていただこうという議論はしました。生活は不便になるけれども、少し先に行けば渡れる橋がある。この選択が町全体のためになるという話をしてきました。

野嶋 こういう話が20-30年後にはもっと増えると思った方がよいでしょうか。

石丸 そうだと思います。参考までに比較すると、安芸高田市と東京23区の人口密度は約300倍違います。つまり、インフラを維持するのに安芸高田市の方が1人あたり300倍の負担がかかるわけです。高齢化社会におけるインフラ維持を考えたときに、選ぶ道は自動的に決まってくるのではないかと思っています。

野嶋 我々国民レベルの会話の質も、高めていかなくてはいけないのでしょうね。

中室 そう思います。地方の状況をよく理解し、国の置かれている状況をよく理解し、そのうえでどういう選択をしたいかをよくよく考えながらやっていくことが1人ひとりにも求められます。

野嶋 人口減少が極端に進む地域は、自治体が移住を推奨すべきなのでしょうか。

石丸 全国的にはまだこの議論が本格化していません。考えないといけないのは、道路や水道、電気、橋やトンネルというインフラは1960年代から70年代にかけて多くが整備され、ちょうど今が改修時期になってきているということです。言い換えると、いつ壊れてもおかしくないような時限爆弾が各地にあり、そこへの対応が各自治体に課されている状況です。

中室 デジタル庁の財政改革会議でも、まさに議論している最中です。特に水道管の老朽化は優先度の高い課題でしょうね。地中に埋まっているものを外からモニタリングするための技術、部分的な補修のあり方などをちょうど議論しているところです。

石丸 上下水道はまさに基礎自治体の管轄です。安芸高田市でも近隣市町と一緒に水道事業団をつくり、みんなで進めようとしています。しかし、そこに全部の市町が入っているわけではないというのが現状です。

野嶋 そうした話の中に、希望はあるのでしょうか。

石丸 この危機が察知できているということ自体、希望と捉えてよいと思いますよ。不意打ちが一番怖いですからね。自然災害と違い、人工的な現象なので、まだ対応できる範囲だと思っています。

激変する国際社会を意識しながら自分事で考える

野嶋 本日は地方創生という大きなテーマの中から、様々な角度でお話いただきました。改めてお三方に本テーマについてまとめの言葉を頂きたいと思います。

山下 経済同友会も人の集まりのうえに動いています。それぞれの国民が今の状況をきちんと理解し、それぞれの行動を変えていかないといけないと思います。他人ごとではないという覚悟が必要ですね。地方の問題も他人ごとにせず、同じ国民として理解して協力していく必要があると思います。

石丸 都市と地方とそれぞれに攻めと守りの部分が必要だと感じています。あえてもう一つ足すとするならば、外の視点ですね。激変する国際社会において、日本が名誉ある地位を占め続けるためにどうすべきかという視点は、やはり大事にしたいと思います。それがひいては自分たちの幸福に繋がると僕は信じており、常に外を意識しながら国内地域を考えていきたいと思っています。

中室 デジタルで地方創生というのは、最もポテンシャルがあると思っています。私の両親は奈良に住んでいますが、ネットスーパーを利用して、動画サービスを視聴し、ネットバンキングでお金をおろしています。高齢の人でも、それを利用することに決して後ろ向きではないわけです。単に補助金を増やすだけではなく、地方が自分の力で成長していくことを大事にするべきでしょう。各地で人を育てる力をつけるところに、国の投資が増えていけばと思っています。

野嶋 国や自治体に矛先を向けるだけではなく、一度自分に矢印をあててみるのも大事だと思いました。本日はどうもありがとうございました。

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「日本再興ラストチャンス」
経済同友会とビジネス映像メディアPIVOTがコラボレーションし、YouTubeで配信する未来志向の政策トーク番組。「失ってしまった」30年を経て、これからどのように日本を、経済を再興すべきか。毎回1テーマを設定し、経済学者と経営者・有識者との対話を通じて、解決に向けたアクションプランを提案します。配信一覧はこちらから

動画はYouTube PIVOT公式チャンネルから

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