私の一文字

2025年12月-2026年1月号

会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。
今月は、大島 眞彦地経学委員会委員長にご登場いただきました。

「眞」摯な姿勢を貫く

地経学委員会 委員長 大島 眞彦
アレス・マネジメント・アジア・ジャパン 取締役会長

岡西

今回、「眞」を選んだ思いをお聞かせください。

大島

海外ビジネスに長く携わり、さまざまな国で多国籍の人たちと働いてきましたが、肩書ではなく私自身を信頼してもらうには何が必要か、をずっと考えてきました。その問題意識から、ある、尊敬する米国人経営者に「経営者として重要な資質は何か」を尋ねたところ、「インテグリティ」と即答いただき、「誰も見ていなくても正しいことを貫く」姿勢だと聞き、深く腹落ちしました。日本語で表すと「真摯(しんし)」が一番語感が近いかと。自分を律する姿勢そのものだと思い大切にしている言葉です。文字の持つ力にひかれて、今回はあえて旧字体表記を選びました。

岡西

私も旧字体の方が、文字から湧き起こるエネルギーがあると感じます。今回は自分を律しながら立つ姿をイメージして書きました。大勢の方々を率いる立場として、「真摯さ」をどのように意識し、実践されてきたのでしょうか。

大島

組織には共通の精神的軸が必要だと思っています。私自身はここ10数年、自分の軸を明確に示すことを意識してきました。明確な軸を共有できれば、組織としての判断が大きくぶれることはなくなります。

岡西

グローバル金融市場の変化に長年触れてこられたと思いますが、印象的な出来事をご紹介いただけますか。

大島

数多くありますが、NY駐在中のリーマン破綻は忘れられません。臨戦態勢で週末フルに働いた翌月曜、早朝の電車では多くの乗客が皆、これから起きる未知への恐怖と向き合っているがごとく無言で新聞を読んでいました。NYの邦銀も張り詰めた状況で、統括部長だった私は日に3回、米国全体の資金繰りを直接確認しました。底なし沼に徐々に沈んでいくような感覚は忘れようがありません。

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岡西

厳しい状況を乗り越えての現在ですが、この先、日本の金融業界に必要な変化は何だとお考えでしょうか。

大島

日本は世界屈指の経済規模、安定した金融システムを持つことが強みですが、米欧比で資金の動くスピード、リスクの取り方には改善の余地大です。それには、お金がよりアクティブに回る仕組みを整えることが必要です。変化のスピード・規模が高まる中、相当数の企業が先延ばししていた課題に真剣に取り組み、ビジネスポートフォリオ見直しなどの改革に注力しています。それを金融がしっかりサポートし、幅広い資金を活用してリスクを取って変革を支援する動きがより広がれば、日本再成長の可能性がより高まるでしょう。

岡西

最後に、経済同友会で委員長を担われている、地経学委員会の今後についてお聞かせください。

大島

どんな事業においても、世界の動き・地経学を理解しておかないと判断を間違えてしまう時代になっています。ぜひ会員の皆さまと一緒に活動を続け、日本経済の再成長に資する場にしていきたいと思っています。
書家 岡西 佑奈
1985年3月生まれ。23歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。
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