私の一文字

2025年8-9月号

会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。
今月は、田中良和次世代共創委員会委員長にご登場いただきました。

何事にも「挑」む

次世代共創委員会 委員長 田中 良和
グリーホールディングス 取締役会長兼社長 最高経営責任者

岡西

「挑」は「兆」の音と「てへん」が組み合わさり、前へ進む、仕掛けるという意になったといわれています。この文字を選ばれた思いをお聞かせください。

田中

私自身、会社を創業し経営しているわけですが、目標を持って挑んでいくことの連続です。私が経営するグリーグループも、創業以来、インターネットとエンターテインメントの未来を信じ、常に未知の領域に挑戦してきました。そうした背景から、この文字を選びました。

岡西

さまざまな困難もあったと思いますが、どのように乗り越えてこられたのでしょうか。

田中

設立当時は、会社を始めること自体が珍しく、大きな挑戦でした。ただ私の場合、成長期のベンチャー企業で仕事をしていたので、創業をかなり身近に感じられた環境が良かったと思っています。

岡西

創業しても誰もがうまくいくわけではないと思いますが、挑み続けてきた理由はどこにあるのでしょうか。

田中

やはり好きな仕事ができているのが一番の理由です。また、始めたからには責任が伴いますので、それを全うしなければならないとも思い続けてきました。

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岡西

好きなことを仕事にすると、時にそれが苦しみになることはないでしょうか。

田中

そういう時期もありました。もともと「好きなことを仕事にするのが当たり前」と思い込んでいましたが、ある時、「人がやりたくないことをやるからお金が儲かる、好きなことでお金を稼ぐのはすごく困難なこと」と人に言われ、当時、衝撃を受けると同時に納得したのを覚えています。以来、自分は難しいことに挑戦しているのだと捉え、困難は当然という気持ちで何事にも向かえるようになりました。

岡西

事業環境の変化はどう捉えていらっしゃいますか。

田中

事業フェーズごとに変化の必要性を痛感し続けています。変わりたくないと思うのが人の常ですが、リーダーとは時に皆が反対しても必要な方向に旗を振るのが仕事です。例えば、古代ローマ時代の将軍の話を聞いたことがあります。難しい戦いに打ち勝つために、楽だが敵に先手を取られる可能性のあるルートを取るか、脱落者が出る恐れがある雪山を越えて敵の意表をつくルートを取るか。究極の判断も誰かが責任を持たなくてはなりません。将軍は困難な雪山ルートを取り、相手の不意を突いて勝利しました。決断はどのような社会でも必要で、それを行うのが仕事だと思っています。

岡西

経済同友会では次世代共創委員会の委員長を務められていますが、今後の展望をお聞かせください。

田中

日本経済界の発展に貢献できればと思い、経済同友会に参加しています。発展には、若い経営者が増えていく環境が欠かせません。経済同友会の活動を積極的に発信し、若手経営者の参画につなげていきたいです。
書家 岡西 佑奈
1985年3月生まれ。23歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。
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