私の一文字
2025年5月号
会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。
今月は、𠮷松徹郎副代表幹事にご登場いただきました。
今月は、𠮷松徹郎副代表幹事にご登場いただきました。
「愛」は真髄
副代表幹事 統合政策委員会 委員長 𠮷松 徹郎
アイスタイル 取締役会長CEO
アイスタイル 取締役会長CEO
岡西
「愛」は人が歩きながら後ろを振り返る様を表した文字で、そこから「心にかけること」となり、現在の「愛」の意になったと言われています。真髄として大切なものだという思いで選ばれたと事前資料で拝見しました。
𠮷松
優しさと同時に強さのイメージを、この漢字には抱いています。「本当に人類は今、幸せに向かっているのか」という問いへの一文字でもあると思っているのですが、それを思ったのは7〜8年ほど前です。もともと僕は、技術進化で世の中は良くなると思っていました。しかしある人に、「はるか昔から人は愛し愛されることにずっと悩み続けてきた。AI がいかに進化しようとそれで幸せになるわけではない」と言われてはっとしたのです。そこから物の捉え方、考え方が変わりました。
岡西
私は現代アートも手掛けており、その世界でも愛をテーマにした作品は多くあります。歴史の中で愛だけが普遍なのではないかと思うこともあります。
𠮷松
「愛」にはパーソナルな関係性だけではなく、人類愛などいろいろな意味が包含されています。昨今は、愛することはしやすくなり、愛されると感じるのは難しくなってきていると思います。これから先、パーソナライズされたAIに愛情を感じてしまう人も出てくるでしょう。愛の形も技術の進歩や社会の変化とともに形を変えていくのかもしれません。
岡西
業界や会社のこれからを考える上で、「愛」はどのようにかかわってくるのでしょうか。
𠮷松
自社のサービスや商品を使ってくれているユーザーに愛を伝えることができるかが大事になってくると思います。感謝の連続が愛になるのかもしれません。社員との関係も、根っこに愛があるかどうかで大きく変わってくると思います。
岡西
私自身も口コミを見ることがありますが、サイトの信頼性は重要だと感じます。
𠮷松
@cosmeに集まるクチコミも、ユーザーからの温かい愛の形の一つです。何か意見を伝えてもらうためには、信頼がなければなりません。
25年もクチコミサイトとして続いているのは、その信頼をどう構築していくのか社内で議論し続けてくれているからだと思います。
25年もクチコミサイトとして続いているのは、その信頼をどう構築していくのか社内で議論し続けてくれているからだと思います。
岡西
経済同友会では今年4月から副代表幹事に就任されたと伺いました。今後の展望についてお聞かせください。
𠮷松
長い歴史を持つ団体ですが、ここ最近はベンチャー企業の経営者も増え、会員の多様性が増しています。業種・業態を超えた交流が進んできましたので、次は経験の共有や学びを深めていく段階に進めるとよいのではないでしょうか。個々の経営者の成長が、各社・各業界の強化につながっていけばよいと考えています。
書家 岡西 佑奈
1985年3月生まれ。23歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。