私の一文字
2024年12月-2025年1月号
会員の方が思いを込めて選んだ一字に、書家の岡西佑奈さんが命を吹き込む「私の一文字」。
今月は、池田潤一郎中国委員会委員長にご登場いただきました。
今月は、池田潤一郎中国委員会委員長にご登場いただきました。
「共」にいる、つながりを意識する
中国委員会委員長 池田 潤一郎
商船三井 取締役会長
商船三井 取締役会長
岡西
「共」は、両手で神様に捧げものをする様子からできた文字です。今回は、両手を大きく広げて支え合うことを意識して書かせていただきました。この漢字を選ばれた思いをお聞かせください。
池田
いくつかの文脈に共通する文字として、今回選びました。当社は海運事業を通じて、世界の人々を結び付ける仕事です。間接的かもしれないが、常にあなた方と「共」にいますという思いを根に今まで歩んできました。また経済同友会の「共助資本主義」に含まれる漢字でもありますね。委員会でこの言葉の重要性を認識してから、思いを強く持つようになりました。世界の分断が進んでいる昨今の時代に、よりつながりを意識したいという思いがあります。
クレオール語で「私たちはあなた方と共にいます(NOUAVEC ZOU)」という言葉も今回選んだ理由の一つです。モーリシャス沖で当社チャーター船の座礁事故を起こしてしまったことがあり、その後現地での社会貢献活動*を続けています。そのモーリシャス共和国でよく挨拶に使われる言葉で、シンプルながら力強さを感じています。さらにコーチングという手法からの学びもあります。コーチはクライアントと共にある存在です。難しいですが、非常に大事なマインドだと感じ、少しずつですが実践しています。
クレオール語で「私たちはあなた方と共にいます(NOUAVEC ZOU)」という言葉も今回選んだ理由の一つです。モーリシャス沖で当社チャーター船の座礁事故を起こしてしまったことがあり、その後現地での社会貢献活動*を続けています。そのモーリシャス共和国でよく挨拶に使われる言葉で、シンプルながら力強さを感じています。さらにコーチングという手法からの学びもあります。コーチはクライアントと共にある存在です。難しいですが、非常に大事なマインドだと感じ、少しずつですが実践しています。
岡西
モーリシャスでの出来事は海を愛する者としてとても心配になりましたが、その後の活動や同国とのつながりについては今回初めて知りました。
池田
現在では油で汚れた所は跡形なくきれいに戻り、訪れると本当に美しい海が広がっています。ただ、座礁の時にサンゴ礁も一部損傷してしまいました。養殖を通じた回復支援などを継続する中で、同国の名誉領事を務めております。今後もこの縁を大切に、友好関係を育んでいきたいと思います。
岡西
コーチングは若い人に対して実際に行っているとのことでしたが、何かそこで気付かれることはありますか。
池田
クライアントが自ら考えられるように、その状況を想像して問い掛けていくのがコーチの役割です。かかわった相手が自ら答えを見つけていく姿を見ると、充実した時間を感じられます。同時に、自分も成長していかないといけないと思わされます。
岡西
最後に、中国委員会委員長を務めていらっしゃいますが、今後の展望をお聞かせください。
池田
中国市場や中国企業との関係はとても重要ですし、継続してウィンウィンを模索していくべきだと考えています。一方で、日中関係にネガティブな若者の声が表れたアンケート結果もあり、そうした風潮には危機感もあります。経済界だけではなく、文化交流などが減っている様子も見られます。今の中国の姿を理解する努力は必要で、双方の交流が進むような後押しを継続していきたいと思っています。
* 2020年手配した貨物船がモーリシャス沖で座礁し燃料油が漏れた事故を巡り、法的責任が直接問われる船主ではないが、社会的な責任を重視。その後「モーリシャス自然環境回復保全・国際協力基金」を設立
* 2020年手配した貨物船がモーリシャス沖で座礁し燃料油が漏れた事故を巡り、法的責任が直接問われる船主ではないが、社会的な責任を重視。その後「モーリシャス自然環境回復保全・国際協力基金」を設立
書家 岡西 佑奈
1985年3月生まれ。23歳で書家として活動を始め、国内外受賞歴多数。