2026年度4月通常総会後の記者会見発言要旨
伊達 美和子 前副代表幹事(退任)
玉塚 元一 前副代表幹事(退任)
安田 結子 副代表幹事(新任)
渡辺 治子 副代表幹事(新任)
松江 英夫 副代表幹事(新任)
武藤 真祐 副代表幹事(新任)
北野 嘉久 副代表幹事(新任)
伊達 美和子、玉塚 元一各前副代表幹事より退任の挨拶を行った。次いで、安田 結子、渡辺 治子、松江 英夫、武藤 真祐、北野 嘉久各副代表幹事から新任の挨拶を行った。
退任挨拶
伊 達:まず率直な感想は、4年間あっという間であった。主に私は地方の産業のテーマを取り扱っていた。特に観光について取り組んできたが、私が就任した頃は、ちょうどコロナ禍を経てV字回復していく局面であった。このとき、観光というテーマを、短期的なものとして目の前の事象だけを見るのではなく、日本経済の中で重要な役割を担う地域の経済・産業の1つの大きな担い手になるであろうという認識のもと、未来を見据え、持続可能な観光産業の基盤を構築していくことに徹して、約3年間、委員会の運営を行ってきた。特に、宿泊税を導入することによって地域経済の地盤・財源が確保され、(それが)今後の成長に資することになるのではないかと考えている。現在、そのような動きが(実際に)起きていることから、1つの貢献ができたのではないかと認識している。また、先日、全国経済同友会セミナーにおいて企画委員長を務めた。テーマはウェルビーイングであったが、これを経営や地域の中にどのように落とし込むかについて、事例をもとに議論を行い、全国44の経済同友会で共有することができたと考えている。これも私自身にとって大変勉強になった。ここで(副代表幹事は)卒業となるが、今後については、地域未来創造委員会において、観光に限らず、例えば農林水産や精密機械など、地場産業が今後どのように成長していくのか、そのポイントを整理しながら、山口代表幹事を支える一翼を担うような活動をしていきたいと考えている。
玉 塚:私も、山口さんと伊達さんと3人同期で(副代表幹事に就任したが)、山口さんを置いて、伊達さんと私が先に卒業ということとなった。私が本会の会員となったのは、2012年ぐらいで結構長い間所属しており、前半戦はサービス産業の生産性向上やマイナンバーなど、様々なことを行った。ここ数年の副代表幹事の立場では、構造改革委員会など、本会内の会員エンゲージメントをどのように高めるか、といったことに取り組み、非常に勉強になった。また現在ロッテHDに所属しており、日本と韓国をまたいで事業をしている関係で、日韓連携強化といったテーマでも(委員長を)務めさせていただいた。山口代表幹事のもと、今大きく本会の雰囲気が変わってきており、様々な可能性を感じている。引き続き微力ながらサポートをさせていただきたい。
新任挨拶
安 田: 私は2003年5月に本会に入会し、ここにいらっしゃる皆様の中で最も長い活動歴を誇っている。この度副代表幹事を拝命し、大変光栄に感じるとともに、その責任の重さを身にしみて感じている。率直に申し上げて、これまでの活動が十分であったのか自問するところもあるが、今後はその期待にしっかりと応えていきたい。これまでは、新入会員向けの創発の会や、次世代経営者に向けたリーダーシップ・プログラムなどを通じ、会員相互の交流や学びを促進することに取り組んできた。また構造改革委員会や会員の入会審査などにも携わっている。今後は、山口代表幹事が掲げる「異彩の結合」の理念のもと、多様な価値観や経験を持つリーダーが集う本会の強みを活かし、テクノロジーを生きる力に変えていく「共助成長社会」の実現に貢献できたらと思っている。
渡 辺: 私は2015年に本会に入会し、これまでアジア委員会、人材活性化委員会の副委員長などを務めさせていただいた。今後は副代表幹事として、会員の多様性を経済同友会の強みとする山口代表幹事のもとで、引き続き労働関係のテーマを中心に取り組みたいと考えている。ご承知の通り、人口減少やAIの進化を受け、労働市場が大きく変わろうとしている。我々経営者はそれに翻弄されるのではなく、主体的に向き合うことで、この変化を経済も個人も成長する機会としていきたいと思う。そのためにはどうすればよいか、皆様とともに考え行動していきたい。
松 江: 私は、4月から設立された経済同友会インスティチュートを管掌させていただく。大きく2つの柱があり、1つは独自のコンテンツである。経営者の生の感覚、一次情報をしっかり集約し、そこから様々な発信、提言に結び付ける。これは全国44の経済同友会とともに実行していきたい活動である。もう1つが、対外的なエンゲージメント強化である。政府や政党、そしてメディア、アカデミアを含め、社会の様々なアクターとしっかり繋がっていく。このような環境を強化することによって、より社会に実効性のある提言と実装をしていく、そのような触媒になれればと思っている。本会に入会して10年になるが、これほどにしがらみもなく、本当に日本を良くしたいという思いを持ち、正論を言える団体は貴重だと考えており、非常に存在意義を感じている。経済同友会インスティチュートを通じて、メディアの皆様とも実施に対話をさせていただきながら、日本を前向きにする提言と発信をしてまいりたい。
武 藤: 私自身は、現在も患者を診察しており、医療の現場、応用化学もしくは公衆衛生学、経済学といったアカデミアの分野(を専門としており)、そしていくつか(の団体で)代表を務めており、経営者として、(さらに)政府の委員会等の政策の立場、最後にITなど5つの分野でこれまで活動をしてきた。ご存じの通り、少子高齢化、人口減少、昨今の物価の高騰などを踏まえ、今日本の医療制度は大変な危機に陥っている。医療機関の経営が非常に困難である、地方において医療が本当に足りなくなっている、最近の(中東情勢によって)注射器なども手に入りにくい、といったことが起きている。コロナ禍を経て、経済と医療が不可分であるということは、皆様もご理解いただけたかと思う。健康な人がたくさん居ないと、経済も回らない。他方、ワクチンなどが開発されないと医療もできない。このような背景を踏まえ、副代表幹事という重責を担わせていただくこととなったと考えている。医療、社会保障そして日本全体のために尽力してまいりたい。
北 野: 本会が日本社会、日本経済、さらには地域発展に多大に貢献できるよう、微力ながら尽力してまいりたい。 2026年度はエネルギー政策委員会の委員長を務める予定だが、昨今の混迷する中東情勢を見ると、日本においてエネルギーの自立が一層重要なテーマになっている。このエネルギー自立というキーワードについて、国とともに国民へ力強く発信していきたいと思っており、それを果たすことが脱炭素に繋がると考えている。資源の無い国がどのようにエネルギー自立を果たすのか、国、地方、民意、各団体、さらには各企業など、しっかりと多方面の意見を聞きながら、政策を提言していきたい。本会の最大の特徴は、組織の垣根を越えて、民意をしっかりと聴き、熟議とラーニングを重ねることである。それらを活かしながら良い提言を発信できればと思っている。
Q:今回の人事で事実上の山口代表幹事体制がスタートしたと言えると思う。改めてどのような経済同友会にしていきたいか、人事の狙いも含めて意気込みを伺いたい。足元では物価高や中東情勢による原油供給不安など、日本経済の先行きが不透明感を増しているが、日本経済にどのように貢献していきたいかも併せて伺いたい。
山 口: 1月から代表幹事に就任し、改めて経済同友会がどのような趣旨で設立されたのか、今までどういう活動をしてきたのかを色々な方々に伺いながら、また資料も見ながら考えた。やはり、経済成長を介して、この日本社会の発展に役に立つという本来のミッションがある。それには企業変革、投資、そしてそこから生まれる日本社会の基盤の安定化、そのサイクルをしっかり回していきたいというのが1つだ。それから経済同友会の強みは、企業経営者だけではなくNPO、アカデミア等、個人として本当に社会を良くしていきたい、日本を良くしていきたいという思いを持った人たちの個の集まりであることにある。その強みをしっかりと生かして活動して参りたい。具体的な活動については時間の都合上、割愛させていただくが、(代表幹事所見で申し上げた)七本の懸け橋の内容を、しっかりと短期・中期・長期という形で整理して実行してまいりたい。
Q:官邸との向き合い方について伺いたい。提言等をいかに政策実現していくかという点でトップとの向き合い方も重要になってくると思う。今の高市政権について新体制でどのような付き合い方をしていきたいか。
山 口: 官邸や政党、その他の各種団体でも、自分たちが実現したいと思う施策やゴールに向けて、どのような形でコミュニケーションを取るか、支援いただくのか、こちらから提言をさせていただくか、それによってしっかりと個別に対応していきたいと考えている。「Open」というキーワードも(代表幹事所見に)入れているが、私達の基本的な姿勢として、政策や個別の事案ごとに同じ目的を共有できるところは徹底的に組み、実現に向けてどうすればいいかを考えていく。全く異なる意見、スタンスのところは、オープンに議論し、何が正しいのかをさらに深めていく。そのような活動をしてまいりたい。官邸も同様に極めて重要な場所であることは間違いないが、同じようなスタンスでオープンなコミュニケーションを取らせていただく形で、継続して活動してまいりたい。
Q:経団連が直近、国会に独立財政機関を設けてはどうかという趣旨の提言を発表した。経済同友会でも近い趣旨のことは以前から提言されていると認識しているが、技術の進展や政権のあり方、姿勢など、状況も日々変わっている中で、現時点における国会への独立財政機関の設置提案について、どのようにお考えかを伺いたい。
山 口: 本会としては、以前から(独立財政機関の)設立は行うべきというスタンスである。確かにご指摘の通り、その中身については変化していくかもしれない。ITなどが進化する中で、従来のようなアセスメント手法とは異なる方法が出てくる可能性がある。EBPMで十分に管理していく等々の話はあるが、まず、独立財政機関については設置すべきである。
Q:情報技術の革新が進むことで、情報の非対称性が薄れ、平準化していくものと認識している。国民の誰もが財政についての(情報)を閲覧できる仕組みの導入というのも、イメージしやすくなるものと推測しているが、その点についてのお考えを伺いたい。
山 口: 誰でも、というより、基本的にはどのような情報が公開されているか(ということが重要)だと考える。これは財政だけでなく、他の領域でも同様に、基本的には多くの情報が公開されている。一方で、それを咀嚼し、理解することが容易ではなかった。今は、生成AI等々の能力を活用すれば、非常に難しい論文であろうが、非常に複雑なデータで表された統計指標であろうが、ある程度シンプルに理解できる形で入手できる環境が整いつつある。その結果、あらゆる領域において、理解が広がってくると思う。それをベースにどのような行動を取るべきかが、次の段階であると考える。(現在は)大きな潮目にあり、(今後、)様々な変化が見込まれる。先ほどの総会で、ITを完全に駆使することで、様々な情報に基づいて活動できる経済同友会にしていきたいと申しあげたが、これもこうした背景によるものである。
Q:今回の(副代表幹事の)人事について改めて伺いたい。新しい副代表幹事を(迎えた)この体制をどのように評価するのか、またその狙いを改めて一言いただきたい。
山 口: (新任副代表幹事からの)ご説明を聞いていただいた通り、私達が取り組むべき重要な項目に関連する経験者や、その領域において知識を有する方々に(就任の)お願いをした。決して過去だけにこだわらず、新しい視点を柔軟に取り入れた発言、そして実行する方々だと私は確信をしており、そのような方々にぜひお力添えを(と)お願いしたところ、ご快諾をいただいた次第である。
Q:昨年来、経済同友会のガバナンスや会員間の分断、そもそも経済同友会の存在意義など厳しい目が向けられた面があったと思う。これらをどのように感じ、この新体制で山口代表幹事をどう支えていこうと考えているか、副代表幹事に伺いたい。
北 野: 一人ひとり個人がしっかりとガバナンスを考えていく(ことが重要だ)。(経済同友会は)個の集団であるため、それが基本だと思う。自社においても「インテグリティ」という言葉が、コンプライアンス問題を起こさないための一番のキーワードであると勉強し、やはりそれは一人ひとりが正しいことを貫くという考え方で、これがやるべきことだと感じている。本会は、本当に優れた個の集団であるため、それを呼びかければ間違いなくコンプライアンス体制ができていくのではないかと思う。組織としてどのようにガバナンスを効かせていくかは、山口代表幹事と共に、正副代表幹事陣で議論してブラッシュアップしていけばよいのではないか。
以上
(文責: 経済同友会 事務局)