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「改革実行への我々の決意」 - 1997年年頭見解 -

社団法人 経済同友会
代表幹事 牛尾 治朗

経済同友会は地球規模の市場経済化の流れを見据え、21世紀の我が国の経済・社会の構造改革を目指して、積極的な提言を行ってきた。第二次橋本政権成立後、我が国においてもようやく改革への気運が高まりつつある。我々は政府の提案する構造改革計画の速やかな実現を積極的に支援するとともに、我々も自らの改革に取り組んでいく決意である。

昨年末の税制改正や予算編成に対して、株式市場や外国為替市場は重大な警告を発している。もはや改革の先送りはできない。本年こそ改革元年としなければならない。

改革のスピードを加速しよう

改革の実行は、世界の動きに遅れを取るものであってはならない。

米国や英国の構造改革は70年代に始まり、本格的な規制緩和を実施したのは80年代であったように、我が国は改革の出発点においてすでに出遅れている。

さらに現在、世界各国は21世紀の世界経済における自らの地位確保を目指して、欧州は1999年の通貨統合、米国は2002年を目標とした均衡財政の確立と、それぞれ強い決意で取り組んでいる。アジア諸国も香港返還に象徴される歴史のうねりの中で、市場経済の深化を梃子に、さらに経済発展に邁進しようとしている。

我が国が遅れを取り戻し、世界の流れに伍していくためには、改革のスピードを加速しなければならない。我々は、21世紀までに残された4年間が、21世紀の日本の行方を決める重要な岐路であることを考え、重大な決意をもって改革推進にあたりたい。

改革は例外なしに進めよう

そのような改革は、総合的な視点で例外なく実行しなければならない。高齢化、サービス化、成熟化する日本社会に活力ある繁栄を築くために、さらに地球規模の大競争に勝ち抜くためには、戦後50年を経てあらゆる場面に定着してきた古い体制を全面的に見直すことが不可欠であり、改革は総合的でなければならない。改革への取り組みが旧来のままの縦割りの枠組みで行われるならば、意味ある改革はできない。例えば、財政構造改革は、歳出、歳入の一体的な見直しはもちろん、中央と地方、一般政府と公的企業や外郭団体を含めた公的部門全体の問題として、総合的に捉えなければならない。

次に重要なことは、例外を作ってはならないということである。これまでともすれば摩擦の少ない分野、手を付けやすい所から、改革と言いつつ実は単なる改善に終始する政治や行政の体質は改めなければならない。抵抗が大きい分野でも、難しい問題でも、もはや先送りは許されない。総合的な見地から、勇気を持って大きく決断し、実行する必要がある。例えば金融システムの改革は、郵貯や財政投融資の改革を含めないで済ませることは、事実上不可能である。

痛みを越えて

改革を進めるためには、我が国が置かれた状況の厳しさを、まず冷静に、そしてありのままに認識しなければならない。その上で、企業も、また国民各位も、改革の期間はかなりの苦しみと痛みに耐えることを覚悟する必要がある。痛み無しには改革を実現することはできない。戦後50年の間に形成された、歳出、歳入全般にわたる政府の施策への依存と既得権、あるいは地方自治体における既得権をまず白紙に戻すことが必要である。前回の選挙の消費税率引き上げの容認は、国民が既にその決意の一部を示したものと理解している。

改革は国民の理解を得ながら進められるべきだが、その本質は旧来の枠組みの創造的破壊であるだけに、個別の分野での合意がすべて整うのを期待することは事実上不可能である。改革は痛みを越えて進めなければならないからこそ、決定のプロセスをオープンにし十分な説得性を持つ説明を行うことが重要である。また、改革の実行には、国民、消費者、従業員に敢えて厳しさと痛みを訴え、共感を求めることが出来る指導力が必要である。その痛みを乗り越えた先に、新たな展望が開ける。

おわりに

経済同友会は改革の実行プランとして「市場主義宣言-21世紀へのアクション・プログラム-」をまとめた。市場メカニズムは、市場参加者に機会均等と自由な活動を保障し、その切磋琢磨によって効率的で競争力ある経済を創り出す。そのような経済基盤があってこそ、国民生活の豊かさと安全を確保することが出来る。

改革に伴う痛みは、従来よりもはるかに厳しいものがあるが、我々自身の責任において受け止め、我々自身の力で乗り越えていく。また、経済同友会は常に経済社会全体の立場に立って、21世紀の繁栄のために行動することを理念とし、個別の既得権擁護には一切組みしない。

「市場主義宣言」は、企業・経営者として公的規制や民民規制など、規制で守られた従来の枠組みから抜け出し、我々自身のイニシアティブによって自由で競争的な市場への再設計を行い、そうした市場に立脚して自らを律し、行動していくことの決意の表明である。

以上


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