代表幹事の発言

経済3団体長 新年合同記者会見 経済同友会 山口明夫代表幹事発言要旨

小林 健 日本・東京商工会議所 会頭(幹事)
筒井 義信 日本経済団体連合会 会長
山口 明夫 経済同友会 代表幹事

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新年合同記者会見における山口代表幹事(右)

記者の質問に答える形で、2026年の日本経済の見通し、2026年の世界経済の見通し、米国によるベネズエラへの軍事作戦、2026年春闘の賃上げなどについて発言があった。

Q :2026年の日本経済をどう展望されているのか、加えて先ほど総理からのご挨拶にもあったように、「成長投資による強い経済の実現」を打ち出す高市政権に民間としてどのように呼応されるのかをお聞かせいただきたい。小林健 日本・東京商工会議所 会頭は常々「国内投資の重要性」をご指摘されており、筒井義信 日本経済団体連合会 会長は「経営者のマインドセットを、投資牽引型に転換する」というお話をされている。経済同友会は、「アニマルスピリッツ」を取り戻せと常々発信されていると承知している。成長型経済への本格移行に向けた、それぞれの決意、お考えをお聞かせいただきたい。

小林会頭 :(略)
筒井会長 :(略)

山 口:2026年の展望についてであるが、私の感覚としては、明らかに成長の兆しが出てきていると見ている。一昨年までは、企業がビジネスを行ってきた前提条件が大きく変化したことを、(多くの経営者が)実感した年であった。これまで企業経営は、人口増を前提としたビジネスモデル(の基)で行われてきた。また、国際秩序が安定している、よく(言う)「The World is Flat」。すなわち世界は1つであり、(インター)ネットでつながっているという(前提の)中でビジネスを展開してきたことも確かだ。加えて、(長期にわたる)デフレ(環境)の中でビジネスを行ってきた。しかし(現在は)、明らかに人口減少が進み、コロナ禍を経てその影響が顕在化している。さらにインフレに転じ、国際秩序についても、デカップリングを含め、安定という前提が崩れつつある。その中で、(これから)どのような経営を行っていくべきかを、それぞれの経営者が考えてきたのが、ここ1年であったと(感じている)。もちろん、企業によっては早い段階から様々な対応策を取り、どんどん成長を遂げている企業も多くある。そうした環境の中で、政府は素晴らしい成長戦略において成長領域を定義し、そこに力を入れていく(姿勢を示している)。また、テクノロジー(の分野)では、生成AIや量子(技術)などが、私たちの想像を超えるスピードで進化しており、それがビジネスにプラスの影響を与えていることは間違いない。さらに、コーポレートガバナンスの強化により、良くも悪くも企業は事業ポートフォリオを大きく変えたり、ファイナンス上の結果を対外的に明確に示したりすることができるようになってきた。こうした動きも、ここ最近の(大きな)変化である。その結果として、株価は堅調に上昇し、金利も徐々にプラスに転じてきている。実質賃金についても、本会会員を対象としたアンケート(経済同友会 『2025年12月(第155回)景気定点観測アンケート』2025年12月24日)では、昨年と同等もしくはそれ以上の賃金上昇を行うと回答した企業が全体の8割を超えていた。このアンケートがすべてを表しているとは言えないものの、少なくとも力強い賃上げに取り組む姿勢が読み取れる。さらに成長(を実現)していくためには、先ほど小林会頭や筒井会長も指摘されていた通り、国内投資が極めて重要であると考えている。テクノロジーの進化は、(すでに経済成長に)極めてプラスに功を奏していると思うが、(今後は)従来の一般的なAIにとどまらず、より細分化・専門化されたAIが登場してくる。これらがロボットと組み合わされることで、「ロボット+AI」という形の新たなソリューションを、日本は生み出すことができると考えている。さらにそれだけではなく、それらを活用したトータルな運用ソリューションを構築し、世界に発信していくことで、企業の力強い成長、さらには経済(全体)の発展に繋がると考えている。繰り返しになるが、テクノロジーを活用し、単なるコストカット型ではなく、価値ベースの高付加価値ソリューションを作り上げ、生産性を向上させていく(ことが重要である)。生産性が向上すれば、その分高付加価値のモノとして価格を定義でき、利益が生まれる。その利益を、給与(の引き上げ)や新たな(成長)領域へのシフト(に回すことで)、好循環を生み出すことができる。こうした循環を確立することで、今年、来年、再来年と(持続的な)成長軌道に乗せていくことが可能になると考えている。結論として、成長の兆しは(確実に)見えてきている。この変化のタイミングを好機と捉え、積極的にプラスのサイクルを回す経営活動を行っていくことが重要であると思う。

Q:世界経済について、地政学的なリスクなど念頭に展望を伺いたい。小林会頭の挨拶にあった米国の話や日中関係、新年のベネズエラについて等、世界で混乱が生じている状況だが、それぞれが考える今年の海外のテーマについてどう展望しているのかを教えていただきたい。

小林会頭 :(略)
筒井会長 :(略)

山 口:結論から申し上げると、2025年比で横ばいもしくはプラスに転じていくのではないかと見ている。米国の関税政策の影響はあるものの、当初想定されたものよりも軽微だった。また、国際情勢への不安が継続することが予想されるが、各国・各地域の利下げ効果が少しずつ出てきている中で、AIに関する投資も極めて旺盛である。昨年までは、AI稼働に(必要な)半導体・プロセッサー・ハードウェアにかなりの投資が回り、その結果として株価が上昇し、経済がプラスとなった。その際、ソフトウェアの世界はそれほど必要ないのではないかと言われた。AIについては、作る側と利用する側の二つの観点で考えなければならない。昨年まではAIを作る企業が非常に成長した。今年は、それを利用する、もしくはそこから出てくるデータを活用する企業に成長の可能性がある。それは世界中のあらゆるところでその可能性が出てくると考えている。そのため、昨年比で横ばいもしくはプラス(に転じる)と申し上げた。他方、多国間の経済連携は、サプライチェーンを見れば必須であり、(サプライチェーンの)どこかが途切れてしまってはビジネスが成り立たない。(さらに、)政治情勢や災害など、さまざまなリスク要素が増えている。意思決定をする際は、それらのリスクを織り込んだうえで、コンティンジェンシープランも含め、どのようなビジネスモデルやサプライチェーンが良いのか(を考えていく)。何かが起きた際、どのような対応を取るべきか、各企業はこれまで以上に真剣に考える(べきだ)。それがプラスの原動力になるのではないか。変化、もしくは前提条件が変わったことをとやかく言っても仕方がない。それを冷静に受け止め、リスクなのかオポチュニティなのかを考えて経営していくことが肝要。その結果として、世界がプラスになっていくのではないか。希望も込めて、このように申し上げた次第である。

Q:米国によるベネズエラへの攻撃について、経済への影響をどのように考えているか。事実関係が明らかになっていないことも多いが、この事態を受けて、企業経営の観点からどのようなリスクが顕在化され、どのような対応が必要かを伺いたい。

小林会頭 :(略)
筒井会長 :(略)

山 口:お二方(小林会頭、筒井会長)もおっしゃった通り、法に基づく国際秩序をベースに考えていく必要がある。ベネズエラや他の国のことをスペシフィックに申し上げているわけではなく、これ(国際秩序)が担保される世界が極めて重要であると考えている(ということだ)。一方で、(仮に)重大なことが発生したケースにおいて、企業経営の観点から(申し上げると)、第一(に優先する事項として)は、そこ(発生した地域)で影響を受ける(事象への対応)。もしくは、そこに住んでいる社員、家族、そしてお客様の安全をどのように担保していくかということを、経営者はまず考え、対応策を講じるのが通常の優先順位である。第二に、そこを起点とした直接的、もしくは間接的なビジネスリスクが発生する中で(の対応である)。ビジネスには常に(事業の継続が)困難になるリスクが存在するため、コンティンジェンシープランに基づき、冷静に対応策を講じ、実施していく(ことが重要)。影響を極力小さくするための方策がないかについて、柔軟に判断して対応する(ことが求められると考えている)。

Q:賃上げについて、ここ数年賃金引き上げの流れが続いてきた。まもなく2026年春闘が始まるが、賃上げの取り組み方針と今年の意義についてどうお考えかお伺いしたい。

小林会頭 :(略)
筒井会長 :(略)

山 口:ネガティブな答えになるかもしれないが、賃上げの取り組み方針については、人材不足が賃上げせざるを得ない1つの要因であることは間違いない。ただし、それ以上にテクノロジーの進化により、生産性を著しく向上できる策が様々な分野で出てきている。人手不足の部分だけを生産性を上げてカバーするのではなく、それ以上に生産性を上げることが可能になってくれば、そこから利益が生み出すことができる。それを賃金に展開していくことができる(ような)企業変革(を進めていくこと)が極めて重要なポイントだと思う。もう1つは価格だ。価値のあるものはその価値に応じた値段(をつけ)、価値がなければ安く(なるというのは)仕方がないと思う。こういった価値ベースの価格の考え方へ、企業はどんどん変革をしていく必要がある。高付加価値のものを世の中にどんどん発信できれば、その分利益が出て、それを賃上げの原資として使うことができるほか、新しい投資にも回すことが可能となる。当たり前のことを申し上げて大変恐縮だが、いかに企業がそのような変革にチャレンジしていくかが一番重要なポイントだ。賃上げの意義については、「賃上げできる・する=(イコール)企業が変革できる・する」というように相関するものと考えている。しっかりと市場において価値のあるものをより生産性高く作り上げ、それを日本で作って世界で展開していく。これができれば、高市政権が推奨されている様々な経済政策と相まって(日本経済は)プラスに転じていくのではないか。

以 上
 (文責:経済同友会 事務局)

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