代表幹事の発言

新浪剛史経済同友会代表幹事の記者会見発言要旨

公益社団法人 経済同友会
代表幹事 新浪 剛史

冒頭、お詫びと経緯の説明を行った後、記者の質問に答える形で、以下の発言があった。

新 浪:まず、私から事実関係を申し上げる。 私は(当該CBDサプリメントを)適法な商品と認識しており、米国にてCBDサプリメントを購入した。これは市販されているものであり、日本においても同ブランドの同様(成分)の商品が販売されている。それを、本年4月の出張時に自ら持ち帰る予定であった。しかしその後、米国からドバイ経由でインド出張、そして日本へ帰るという旅程となっていた。これらの国々ではCBDに対して厳しく、持ち込むことが法的に難しいことをニューヨークの知人からアドバイスをいただき、同氏自らが(CBDサプリメントを日本へ)持っていくということになったのでお願いした。この方は大変著名で、私の身体、また著名な方々の身体の健康のアドバイスをされる方であり、このCBDサプリメントは、日本国内でも適法であると勧められた。そして、堂々とハンドキャリーでこれを自ら(知人が)日本へ持ち帰り、私の自宅に送る手配をしたと聞いている。私自身、海外出張が大変多いため、家族との取り決めをしている。それは、送り主がよくわからないものが送られた場合は、廃棄をすると決めている。私の手元には届いていないため、おそらく、家族が廃棄したものと考えている。しかし、事件発覚後にわかったことは、この方がハンドキャリーで日本に持ち帰ったサプリメントを私の自宅に送った後、先月、2回目(の郵送として)、サプリメントを福岡県在住の(知人の)弟宛に郵送し、その弟に私の自宅に送るようにという依頼を(知人が)していたところ、その弟が逮捕されてしまった。このまさに2回目の郵送については、私にとっては想定外であり、その方から私は全く知らされておらず、私が購入したCBDサプリメントであるかどうかも不明である。まさにこの2回目(に郵送された)のサプリメントについて疑義が生じている。この2回目のサプリメントを私の自宅に送るようにニューヨークの方(知人)が弟に依頼していたために、私に対して警察の捜査があったと理解をしている。以上の事実関係から、この私が想定していなかった2回目のサプリメントについては、以下のことが明確になった。1つ目が、私が日本国内で所持も使用もしてないこと。2つ目が、日本国内で輸入するよう指示したものではないということ。1回目のサプリメントについても結果的に私自身が日本国内で手にすることはなかった。(送られてきたサプリメントが)私が米国で適法と認定(認識)して購入したCBDサプリメントと同一であるかどうかもわかりかねる。手にしていないので(わからない)。私が適法と認識して購入したサプリメントと同一であるかわからないものについて、警察から私への捜査があったと理解をしている。ゆえに私は法を犯しておらず、潔白であると思っている。しかしながら、結果的に私がこのCBDサプリメントを購入したことに種を発して、このようなことになってしまったことは私の不注意であり、社会をお騒がせしたことに対してお詫び申し上げたい。私の行動についての評価は、真相が解明され、その中で皆様にご理解、そして納得をしていただけるものだと信じている。今は調査に全面的に協力をし、そしてその調査に影響がないようなコメントを申し上げたい。続いて、サントリーについて申し上げたい。 昨日、サントリーHDにおいて会見があったが、91日付けでサントリーHD代表取締役会長を辞任している。 サントリーHDから(は)サプリメントを販売する会社にも関わらず、国内での合法性に疑義が持たれるようなサプリメントを米国で購入したことは、不注意であり、役職に堪えないという認識を示された。捜査の結果を待つことなく、代表取締役会長として要職に堪えないという判断だったので、身の処し方に関して協議をすることとなった。私自身は法令に触れる行動をとった覚えはない。しかし、会社の判断に従い、手続き的な迷惑をかけないようにして、自ら辞することにした。なぜこのような判断をしたかというと、鳥井社長と話し(た結果である)。10年強、一緒になって本当に頑張って現場を回り、米国のビーム社をインテグレーションし、泣き笑い、そして米国でハイボールを広げる。このようなことも一緒に行った仲間の皆さんに迷惑をかけてはいけない。またお客様にこのようなことで迷惑をおかけしてはいけない。大好きなサントリーに絶対迷惑をかけてはいけない。私はそう思い、サントリーを辞することにした。なんといっても、社員の皆さんがよりサントリーを発展させてくれる。これを強く、強く、私は祈念をし、私が辞することがプラスになると判断した。さて、今後のことについて申し上げたい。私の本会における処し方も皆さんからいろいろご質問あると思うが、とりわけサントリー以外での身の処し方については、本会には会員倫理制度におけるしっかりとしたガバナンスの仕組みがある。(そのため、)私自身は潔白であると考えているが、この透明性の高い本会の仕組みに判断を委ねて、当面は自身の活動を自粛し、規定に則り、岩井筆頭副代表幹事に代理をお願いする所存である。

岩 井:新浪代表幹事から話があった通り、本会はガバナンスの仕組みとして、仮にその会員、それから会員企業で、様々な事象が起こった際には、理事会がまず審議をするという形式になっている。それにより必要に応じ、会員倫理審査会というものを必要な場合に立ち上げるという決議をし、さらに検討をしていくということになっている。会員倫理審査会というのは都度、設定をすることになっており、理事が数名そして監事、いわゆる会社で言うと監査役が1名入り組成をすると規定で決められている。そこで審議をした上で最終的には理事会に審議結果を諮り、最終的にどのような処遇をするか(決議する)。本会として本件については、昨日まさに報道されたサントリーHDの記者会見の直前ぐらいに知り、今朝、正式な理事会ではないが、理事、監事でほぼ全員集まり、代表幹事から経緯について、私どもと共有をした。今後適切な形で、まさに捜査の進捗状況、様々な情報を総合的に勘案し、適切に対処したい。

Q:先ほど経済同友会の代表幹事の職について、「判断に委ねる」という発言があったが、経済同友会の代表幹事はそもそも会長・社長といった企業経営者がこれまで就いてきた。新浪代表幹事ご自身もサントリーHDの経営者ということが前提で、代表幹事に就任されたと認識している。(9月)1日の時点でサントリーHDの経営から離れたということになるが、この時点でご自身でもう既に(代表幹事の職についても)判断はできたのではないか。警察の捜査の状況は待たなければいけないのはよく分かるが、この通例と照らし合わせても、判断を委ねることなくご自身で決めることができたのではないか。それをしないのはなぜか。

新 浪:私も一時は辞めなければならないと思った。しかし、本会においては、まさにこのような時に何をすべきかという、先ほど岩井筆頭副代表幹事がおっしゃったような仕組みを持っている。また私自身は(他社で)社外取締役を務めており、経営の一部はやっている。その意味でそれ(代表幹事職)を遂行する要件はあるが、あくまでもこれは本会の私そして私達の仲間が作った仕組みに委ねることが非常に重要だと思い、本会が持っているこの透明性の高いガバナンスに身を委ねることが正しいと最終的に判断した。

Q:昨日のサントリーHDの会見で、会社側が違法・適法に関わらず、サプリメントを扱う会社としては適格性がないということを言われた。理解できないのは、新浪代表幹事という優秀な方が、適法だからこのサプリメントを買って良いという判断をしたことだ。なぜ適法だと思って買ってしまったのかという部分をもう一度お聞きしたい。

新 浪:まずCBDというこの商品に書いてある内容をきちんと読み、その中に違法性のあるものは入っているという表記もなかった。その意味で、私はこれは大丈夫ということと、身体の面倒をしっかり見ていただいている大変著名な方からもこれは大丈夫と(言われた)。また、その方の娘さんが飲まれている等といったこともあり、「この商品は大丈夫だ」という判断をした。この方が色々な方にお勧めし、飲んでいるという情報もあったため、そういった方々もおられるという事例をお聞きし、判断をした次第である。

Q: 4月に持ち帰る予定だったということだが、今回だけではなく、このサプリメントはこれまでにも使われていたことがあったのか。なぜ持ち込みが厳しい国があるにも関わらず、このサプリメントの購入に至ったのかを伺いたい。

新 浪:以前にこのサプリメントを日本国内に持ち込んで飲んだということはない。なぜこの(持ち込みが)まずい国々があるのか。これはレギュレーション(規制)が色々な国によって違うためだが、少なくとも米国、そして日本において許されているという認識があった。よって、大丈夫であるという強い認識を持っていたため、購入に至った。そしてまた1回目に知人が持ってきた際は、きちんと通関をし、ハンドキャリーで持ってきているわけだ。その意味で、依頼した商品は適法であったと認識もできるのではないかと思う。

Q:新浪代表幹事は何のためにCBDを購入されたのか。また、米国ではなく日本国内で流通しているものをなぜお買い求めにならなかったのか。

新 浪: 私は出張が多いため時差ぼけがすごく多い。その意味で私の健康を守っていただいているこの知人から強く勧められたということが第一にある。そして、これは日本より米国の方が圧倒的に安い。大変高いものである。米国の方が安いからという経済的な意味合いである。

Q:今回のサントリーHD以外のサプリメントを購入したことについて、昨日の会見では「不注意であり、役職の任に堪えない」という話もあったが、このサントリーHD以外のサプリメントを購入したことについて、何かお感じになることがあるか。今回の(サントリーHD)会長の辞任について、ご自身としては納得のいくものであるのか。今の実感をお聞かせいただきたい。

新 浪: サントリーHDが全てのサプリメントを作っているわけではないので、買うということは大いにあることだと思う。ただ十分注意をしなくてはならないところで、結果的に私自身手元にも無いし、飲んでいないが、このようなことで世間をお騒がせするというのは大変問題があったと感じている。その意味で辞任は納得している。

Q:経済同友会については、透明性の高い仕組みでもって判断を委ねたいということで、組織の理屈に沿って判断してもらう(と説明があった)。一方で、サントリーHDの方でも、透明性が高い仕組みがあると思う。(そのため)サントリーHDでも同じような手続きを踏んで判断してもらうなり、もう少し事実関係を積み上げるなり、捜査が終わるまで待つのか、役職を少しお休みするとか、そういう選択肢もあったのではないかと思う。その辺りいかがか。

新 浪: 大きく違うのは、やはりサプリメントを作っている会社だというところの差があるのだと思う。本会は広く会員が勉強し、そして必要に応じて政府に対して提言するという(目的の組織であり)、この役割が違うということで私は認識している。やはりサプリメントという非常に重要な商材を扱っているという(点を踏まえ、)結果的にこれに関わる疑義が出てきたということであるため、そこが大きく違うのではないかと思っている。

Q:確認だが、新浪代表幹事としては、代表幹事の職を続投されたいという希望をお持ちなのか。また、これは岩井筆頭副代表幹事にお伺いするべきかもしれないが、一連の今後の手続きにはどの程度の期間が必要であるのかを教えていただきたい。

新 浪: 私自身は続投するかどうかについては、完全にこの透明性を持ったガバナンス機構に任せる。その上で本当に任にあらずということであれば、しっかりと代表幹事を辞するというつもりでいる。私の意思ではないと思っている。

岩 井: 時期について、先ほど申し上げた通り、私どもが事実を確認したのが昨日である。サントリーHDでは昨日の会見で、(8月)21日頃に第一報が入り、そこから様々なヒアリングや取締役会での議論を重ねられたと聞いている。非常に大きな組織でしっかりした体制の中で、その程度の時間をかけていらっしゃるということだ。私どもとしても、長引かせるつもりは全くない。私どもで分かりうる範囲の情報をしっかりと入手するということと、公益社団法人のあり方として今回の事象をどのように捉えていくのか、そういったところをしっかりと外部の弁護士の方にも入っていただき、検討した上で理事会に諮っていく。理事会に諮っていく部分というのは、これも定例ではなく、臨時で開催していきたいと思っている。そのような形で、可能であれば今月いっぱいで進めていきたい。

Q:新浪代表幹事は経済同友会の代表幹事以外にも経済財政諮問会議の民間議員など、色々な政府の主要会議の要職にも就かれているが、これらの就かれている職全般についての今後の方針を伺いたい。

新 浪: 決めていただくのは政府であると考えているため、その判断を委ねていきたいと思う。

Q:新浪代表幹事に質問だが、国内では(サプリメントを)使用していないということだった。米国またそれ以外の国では、今回問題となった薬物が含まれているもの、製品に関しては使用されたことがあるのか。また、これまで本件以外で警察の捜査なり捜索なりを受けたことはあるのか。

新 浪: まず今回言われた商品は、私自身は飲用していない。飲用をしていないというのは、実は国内でこれを買っていた。その商品を投与していたということである。先ほど申し上げたように、米国の方が大変安いということが分かり、またその方からもその(米国で購入する)方が安い。そして同じもので問題がないと、このように言われ、かつ判断したということである。他のもの(事案)で警察にお世話になったことは全くない。

Q:岩井筆頭副代表幹事へ質問だが、今回新浪代表幹事の件を聞いて、率直にどう思われたのか。これまで二人三脚で一緒にやってきた仲間でもあると思うが、教えていただきたい。

岩 井: 昨日この件をお聞きして、正直まずはびっくりした。それから出てくる情報が非常に初めのうちは断片的なものだった。今お聞きした部分とは違う情報もあったため、まずはやはり新浪代表幹事の口からしっかりと経緯をお聞きしなければならないということで、実は昨日様々な予定を変更し、事務局に来た。そして、まず事実を把握しようということと、役員、理事、監事の皆様に早くこの件についてはお話をしなければならない。また事務局も含めて、皆さん動揺している部分もあるため、その対策を取った。今お聞きしている範囲で言うと、まさに潔白という認識を持たれて、何か悪意のあることをやっていたということではないと私自身は認識している。

Q:ドバイに持ち込めないかもしれないという話があったが、これは自身でグレー(ゾーン)の認識があったということではないか。薬物を自身で持ち込まず、他の人に持っていかせるということは、よくある(話だ)。よって、グレー(ゾーン)の認識があったのではないか。

新 浪: グレー(ソーン)の認識は全く無い。100%、このCBDは大丈夫だという認識であった。

Q:8月21日の夜、新浪代表幹事から(サントリーHDの)執行役員に対して、サプリメントの件で疑義を受けていると連絡があり、翌朝、自宅で家宅捜索を受けた。これは捜査情報が洩れていたのか。そして、証拠隠滅を図ったのではないか。

新 浪: 捜査情報は、全く私には入っていない。疑義を受けているという話をサントリーHD側にきちんとしていなかったため、早くしなければいけないと(思い、8月21日に連絡をした)。

Q:なぜ(疑義を受けていると)気づいたのか。捜査の日程を知っていたのか。

新 浪: ニューヨークの知人から(弟が逮捕されたと)連絡があった(ことで知った)。また、それ(強制捜査日程を知っていたということ)も無い。ただ、知人が弟に(私の)名前と住所を伝えていたため、(8月23日からの)海外出張前に捜査を受ける可能性があるのではないかと思った。そうであれば、やはり会社に伝えなければいけないと考えた。少しでも早めに伝えるべきだと思い、(8月21日の)夜に連絡をした次第だ。

Q:なぜ、サントリーHD(の会長職)を辞任せず、潔白を証明しないのか。なぜ戦わないのか。自身に弱みでもあるのか。また、サントリーHDは思い通りにできないが、経済同友会であれば一定程度自身の意見が通るから、潔白だと言って辞めないという面があるのではないか。新浪代表幹事ご自身は、経済界の既得権益層に対して厳しく意見してきた方だ。サントリーHDの会長を辞任した方が、経済同友会の代表幹事に居座るということは、唯我独尊的である。経済同友会はそのような不透明な組織なのか。そもそも、やはり経済同友会(の代表幹事)は(現役の)社長や会長が就く(べき)役職であるにも関わらず、継続することは納得できない。新浪代表幹事は、(これまで)潔さを実行してきたと思うが、この(今回の件との)論理矛盾(がある)。一般的に全く理解できない。なぜ居座るのか。

新 浪: まず、居座るという趣旨が無いことは、先ほどご説明申し上げた通りだ。そして、サントリーHDを辞任するのは、サプリメントを販売している会社だからであるということも、ご説明申し上げた。では、警察から何か事情聴取などを受けた会長や社長は皆、辞めなければならないのか。サントリーHDと本会では、どちらのガバナンスが強いのかということではなく、その目的とするものに合ったガバナンスがしっかりあるかということだと思う。サントリーHDのガバナンスにおいては、やはりサプリメントを扱っていることに重きを置いた(ものであり、その結果)今回の取締役会の辞任勧告であった。それについては十分に理解をした。では、経済界としてどうかと考えた場合には、私は法を犯しておらず、潔白であると考えている。まず(本会の)ガバナンス機構でしっかり審査される(ことが重要である)。警察から何か尋問をされたということ(だけ)で(即座に)会長や社長を辞めないといけないのか。私は、そのような事例を絶対に造ってはならない(と思う)。今回の件について、本会が(ガバナンス)機能を持って、是非を侃々諤々で議論していただき、私はしっかりと応じていきたいと考えている。

Q:事情聴取を受けているのか。

新 浪: (事情聴取ではなく)捜査に協力したということである。

Q:事業会社で非上場のサントリーHDよりも、経済同友会のガバナンスの方が緩いということと理解したが、そうなのか。

新 浪: そのようなことは、全く申し上げていない。ガバナンスのあり方は、それぞれ異なるのではないか。本会におけるガバナンスは、本会の目的に合ったものである。サントリーHDは、サントリーHDの目的に合ったもの。それぞれに適合させるべき。そして、決まった勧告に対して自らが判断をしていくということだと思う。

Q:昨日のサントリーHDの記者会見において、他の記者が鳥井社長に「新浪会長はどのような貢献をされてきたのか」と質問した。それに対し、鳥井社長は「数字は確かではないが、(社長に)就任以来、10年間で売上を・・・」と言いかけて、副社長と司会に数字を教えてほしいというサインを送った。しかし、(サインを送られた)2人は答えなかった。このことが昨日の会見で一番衝撃を受けた。海外を中心に激務をこなしてきた新浪代表幹事にとって、数字は最も大事だと思うが、新浪代表幹事にとってのサントリーHDでの10年間は何だったのか。

新 浪: この10年間は、大変な激務であった。しかし、日本で培われたサントリーという文化、商品、そしてサービスが世界で戦い、世界に通じる、世界に評価されるということが、私自身に課せられた課題であり、それを実現した。数値以上に、サントリーの文化が米国に入り込み、それが根付いた。そして、欧州にもアジアにも根付いた。オセアニアにも工場を建てた。サントリーの文化が世界で根付き、今後もっと花開いていく基礎を作ったと思っている。(会見中にサインを送られた)2人が数値のことを答えられなかったかもしれないが、私にとって数値以上にサントリーの文化が世界で根付いた(ことが重要である)。(いわば)サントリーイコール日本丸である。一緒に働いてくれた社員に対し、本当に感謝している。

Q:長年にわたり、サントリーの企業価値、ブランド価値を向上させるために努力されてこられたと思うが、最終的には自身がサントリーのブランドリスクとなってしまった。サントリーのブランドを守るために辞めざるを得なくなってしまったことについて、どのように受け止めているのか。また、サントリーに引き入れた佐治会長とこの件について何かやり取りはあったのか。そして、鳥井社長が辞めるべきと言ってきたことに対し、当初新浪代表幹事は納得できなかったが、最後には応じたという理解で良いか。

新 浪: 会社に傷がつく前に辞めること(が重要)だと認識した。大きな騒ぎになる前に私が辞めることで、傷がつかないようにすることが良いと思ったから辞めた。(会社に)傷がつかないということであれば、(そのまま)残った。鳥井社長からは、今後何か起こるかもしれないという話もあり、起こる前に辞めたらどうかと勧められ、傷がつく前に辞めることとした。築いてきたものを自分自身が壊すことはできない。佐治会長からも「自分も大変辛い」ということを言っていただいた。辞することは非常に辛いが、サントリーとそのブランドを強く愛する心を理解していただいたと思っている。

Q:鳥井社長と長年二人三脚でやってこられたが、今回の件で鳥井社長との関係性や友情のようなものは終わってしまうのか。

新 浪: 全くそんなことはない。今回辞したことで、鳥井社長にはサントリーに対する私の思いを十分ご理解いただいたのではないかと思う。

Q:週刊文春の報道について伺いたい。CBD商品に関して、サントリーアメリカの社長から紹介されたマッサージ師経由で、健康サプリメントを紹介され、大丈夫かを聞いたところ、その方の15歳の娘も服用しているので大丈夫だと言われたことから、購入して服用したという認識で良いか。また、サプリメント名と服用していた理由は何か。

新 浪: まず、この(マッサージ師は)有名な方であり、(サプリメントを)紹介されるのはごく自然なことだった。これについては、別に大きな問題ではないと認識している。紹介された商品は日本にもあり、ウェブサイトやデパートでも販売されている。そのため、日本で購入し、日本で服用していた。理由は先ほど申し上げた通り、睡眠を取るうえで非常に役立つということで買っていた。商品名については、捜査上の関係があるため、控えさせていただきたい。

Q:日本で購入できるCBD商品は問題なかったということだが、知人の親族を経由して購入したものは違法なTHC成分が含まれているのではないかという捜索だったと理解している。これは、国内では入手できないものだったということか。

新 浪: 国内で入手できるものなのかは、わからない。おそらく(国内では入手)できないものだと思う。先ほど少し申し上げたが、私が持ち帰ろうとし、結果的に(他者に)依頼した商品は、きちんと通関をしている。よって合法であると認定できる。1回目はそれが私の家に送られたが(家族の廃棄によって)所持はしなかった。今回の捜査対象となったのは、2回目であり、これは私の(依頼した)ものではない可能性が高いと認識している。1回目で全て送ることができた認識のため、2回目は私のものであるわけがない。よって、どのような疑義で何が起きたのかということを私は知らない。(その後、)問題が起き、弟が捕まったということを彼女が教えてくれた。なぜ、どのようなことで捕まったのかという詳細について伝えられたわけではないため、それ以上は理解していない。

Q:(知人女性の)弟は逮捕されたが、起訴はされていないという理解でいいか。 また、1回目に送られたものについては、ラベルにTHCの記載もないということだったと思うが、警察による違法性についての認定はできていないということでよいか。

新 浪: 警察がどう認定しているのかは、全くわからない。(知人女性の弟が)起訴されているのかどうかも知らない。私はその方を存じ上げていない。憶測で話すことはいけないため、お話をすることができない。

Q:先ほど送り主が分からないものに関しては、破棄するように家族で取り決めをしているとおっしゃっていたが、その家族での取り決めというのは、いつ、どういう理由でできたのか。

新 浪: 私は海外出張することが多く、たくさんのものが届く。私がいないときにたくさん様々なものが来るため、なまものもある。そして、送り主の名前がわからないものが来た場合、大変危険な可能性があるため、こういう取り決めを従来からしている。よって、今回に限った話ではない。

Q:家族は中身を見ずに、それを処分したという説明をしていたのか。

新 浪: まず(家族は)そういうものが来たかどうかも記憶にないということだ。私は、向こうの知人が送ったと言っているため、来たのだろうなと想像している。ただ本人は開けると危険なものもあるかもしれないということで、(且つ)送り主のことは知らない。家族はこのニューヨークの知人は知らない。また九州におられる(知人の弟という)方の名前も当然知らない。そうすると、合理的に考えると廃棄したのだろうと想定する。そして私の手元にないため、家族の取り決めで中身を見ずに捨てたのだろうと想像している。

Q:米国の商品が安いから購入したとおっしゃっていたが、結果的に捨てられてしまったということはそれが無駄になってしまったということになる。なぜ送り主からこういうものが送られてくるということを家族に伝えなかったのか。

新 浪: 直接送ってくれれば、何か(家族に)言っていた可能性もあるが、送る手筈について私には(送り主から)何も伝わっていなかった。(具体的な)コミュニケーションはなかった。2回目に関しては全く知らない。私が知らないため家族に伝えることも当然なかった。1回目についても、何が(送られて)来るというコミュニケーションはしておらず、これが事実である。私もニューヨークの知人の名前を家族には言っておらず、結果的に(廃棄することになった)。そういったケースは、実は多々ある。捨ててしまうことがあり、あれはどうしたのかということが場合によっては起こることもある。ただそのほうが安全であるという認識を我々家族は持っている。

Q:新浪代表幹事はダボス会議に20回も参加するなど、世界的に著名な経営者だと思う。なぜ欧米では問題にならないような事案で、今回(サントリーHDの会長を)辞められるのか。(国)内外のギャップが少々大きいのではと思うのだが、英語で海外向けの説明をネット配信するお考えはあるのか。あわせてサントリーの海外展開の顔として、10年にわたりトップセールスを担った中で、その穴を埋める人材が今サントリーに育っていると思うか。突然の辞任は不本意だろうが、仮にサントリー側から引き継ぎを含むサポート依頼があったら、何らかの形で協力するということはお考えか。

新 浪: 私は今回の件を、海外のメディアに対して説明しようと思っている。私が今まで行ってきたのは、日本が異常な国ではないと(いうことを海外に説明し)、(もし)異常に見られるのであれば、それを説明(するためである)。また、日本においても、普通の国になっていくために、LGBTQを始め(とした活動を)続けてきたつもりだ。そのため、ぜひ海外のメディアに、今回の件をきちんと英語で(説明)していこうと思う。本会も海外との接点を非常に増やしており、海外メディアに対してしっかり話をしたい。サントリーにおける海外の人材は育っている。そういう人材が増えているのも事実で、その中で引き継ぎ等協力(依頼)があったらぜひサポートさせていただきたいと思う。

Q:代表幹事をこれまで続けてこられるにあたり、出身企業のサントリーHDから、様々な人的サポートがあったと思うが、(9月)1日付で今回(サントリーHD会長職を)辞職したということで、サントリーからの人的支援などは今後どうなるのか。

新 浪: 鳥井社長には、私はサントリーを辞するものの、サントリー以外の社外活動を必要に応じて引き続きしっかりサポートいただきたいとお願いしている。(鳥井社長)ご本人も(本会の)メンバーであるため、支援をしていただけると考えている。

Q:今朝オンラインで幹部を集めた会議をされたということだが、その際に代表幹事の職について、例えばその職を辞するべきといった懸念の声はあったのか。

新 浪: 辞するべきというお考えを持った方はどなたもおられなかった。皆さん異口同音に賛同されたのは、ガバナンス機能がしっかりあるため、そこでしっかりと議論をしようという意見で一致した。この件は岩井筆頭副代表幹事からもご案内いただきたい。

岩 井: 今、新浪代表幹事がおっしゃっていただいた通りで、今すぐ(代表幹事の職を)辞めるべきだといった話は一切出ていない。まずは新浪代表幹事から、様々に報道されている今回の経緯(の説明があり、)それをしっかりと受けとめ、今後の進め方として理事会での議論、必要があれば会員倫理審査会を立ち上げるといった手続きについて。そしてもう1つは新浪代表幹事が冒頭の発表で申し上げた、しばらくの間、代表幹事の活動を自粛されるということで、規程に従って私が代行をすると(いうこととなった)。代理で様々なことをやっていく。特に経済同友会は様々な委員会を立ち上げており、多様な活動をしているため、今回の件を理由に(活動を)止めてしまわないよう、しっかりとやるべきことをやっていく。そういった確認をしたということである。

Q:先ほど新浪代表幹事のお話の中で、捜査対象になっただけで辞めるという前例ができてしまうのは大変なことだというお話があった。そうすると、サントリーHDを辞めたことには忸怩たる思いがあるのではないかと思う。これを防ぐために、海外出張に本当に行く必要があったのか。8月の海外出張に行かなければ、しっかりとサントリーHDの取締役会にも関わりながら議論できたのではないか。なぜ出張に行ってしまったのか。そういった捜査対象になっているということがあるかもしれない、ということをサントリーHDに報告したのであれば、重大なことだという認識がおありだったと思うので、出張を取りやめ、サントリーに残って議論した方が良かったのではないか。このあたり、軽率だったのではと思う。

新 浪: 私自身は、本件に関しては、法を犯しておらず、自分自身は潔白であると思っていた。そして十分取締役の皆さんにはコミュニケーションができると(考えていた)。むしろ海外出張の目的を実現するほうが、サントリーにとって重要だと、その時点では判断した。米国における販売が大変厳しくなっている中で、それをどうするかということを取引先の皆さんを集めており、また今後(事業を)行っていく上で様々な方向性の話を私がしなければならないと認識をしていた。事の重要性の判断を、その場でした。よって、8月の(海外)出張はどうしても必要なことだと認識をしていた。

Q:これからの経済同友会のガバナンスの審査プロセスについて、新浪代表幹事の希望や意向が出てくると思うが、それについてはどうお考えになっているのか。また月内に判断結果が出るということであれば、捜査が継続している中で代表幹事として活動される状況が生まれてくると思うが、経済同友会という政策提言などを行っていく組織の発信するところについて、世間から提言の説得力がないと思われるのではという懸念もあるのではないか。

新 浪: まず、私の意向は何も伝えることはないと理解をしている。私がどうしたいということを言ってはならない。まさにそれが本会のリベラルなガバナンスだと捉えている。

岩 井: 若干私からも補足したい。先ほど月内ぐらいにという目途をお示ししたが、もちろん捜査の進捗の状況といったことは、しっかりと私達も見ていかなければならない。捜査はどこ(の時点)で終わった(と判断する)のかというのは、正直私どもがわからない部分があるが、そういった外部の状況ということも見ながら、中ではしっかりと議論をしていく。あくまでも月内と申し上げたのはそれぐらいのスピード感を持ってやりたいということで把握していただければと思う。

Q:捜査が継続しているうちは、代表幹事として復帰する可能性は低いということか。

岩 井: 公益社団法人の代表としての資格要件的なものと、捜査状況を総合的に勘案しなければならないと思う。基本的に捜査の目途をどこで判断するかといったことも、これから議論をしたい。できれば、それがはっきりしていた方がいいと思っている。

Q:一部の報道で周囲にクーデターにはめられたという発言をしたという旨が出ている。実際にそのような発言をされたのか、またそのような認識が過去にあったのか、また現在はどういう認識なのかうかがいたい。

新 浪: 全くそんな発言はしていないし、そのようには思っていない。先ほど申し上げた通りサントリーが発展することを常に願っている。

Q:先月末サントリーに、捜査対象になるということを連絡され、その後米国出張に行ったということだが、米国出張先でその知人の方とはお会いされたのか。またやり取りなどがあったのか。

新 浪: 全くない。もう知人とは接点を持ってはいけないと思っている。

Q:新浪代表幹事はサントリーHDで真のグローバルカンパニーになるとリーダーシップをとられてきたと思うが、新浪代表幹事がいらっしゃらなくなるということで、どんな影響がサントリーHDの業績や組織作りに対してあるか、特に海外事業についてお伺いしたい。また、サントリーHD(会長)を辞任されることは納得されているとのことだが、取締役会から解任ではなく辞任でお願いしたいという話を初めて聞かれたとき、率直にどのように感じられたか伺いたい。

新 浪: 今後の海外事業は、鳥井社長が必死になってやってくれるだろうと期待をしている。何事においてもどんな事業であれ、心配ではある。また、自分自身がやってきたことでもあるため、もっと様々なことをやりたかったという(思い)は大変ある。その中でも一応種をまいてきて、そこに意志を持った人たちがいるので、ぜひその人たちがより種を最終的に大きな木に花が開くようにしていってもらいたいと強く思っている。そして、2つ目の質問については、辞任をすることによって、私の意志を示してくださいということだと思った。解任だと意志と反することになる。なぜ辞めなければならないのかという意思を統一して、ある意味では(辞任であれば)取締役会全員一致ということになる。そういう会社なのだと思う。外から来た社長として皆と一緒に最後は同じ方向を見る、それが会社の発展に繋がるということだと思う。

Q:今月まだ代表幹事定例記者会見が予定されている。先ほどの代表幹事への復帰の話とも絡むが、今後は当面、岩井筆頭副代表幹事が代行していくということか。

新 浪: その通り。

以 上
(文責: 経済同友会 事務局)

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