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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年12月05日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で (1) 道路特定財源の一般財源化、 (2) 自民党造反議員の復党、 (3) 日豪EPA交渉、 (4) 談合による県知事の辞職・逮捕、 (5) 政府税調答申、 (6) 金融政策と景気認識、 (7) 銀行の政治献金再開、 (8) 税制改正の課税繰り延べ、について発言があった。

Q:道路特定財源の一般財源化の議論が山場に差し掛かっている。その中で、07年度予算で自動車重量税部分を一般財源化し、08年度で揮発油税を、法改正を経て一般化するという案が浮上している。その一方で、自民党内にも異論が多いようだが、代表幹事の見解を伺いたい。

北城: 基本的には、安倍総理が所信表明演説で、一般財源にしていくという話をされたので、その方向で暫定税率も含めて検討が進むことが好ましい。時期として07年度に重量税、08年度の法改正に合わせて(揮発油税)、というのは一つの考え方だと思うが、長期的な方針としては、特定財源はどうしても歳出が固定化するだけに、基本的には一般財源が好ましいと思う。道路建設については、必要な道路を作っていくことは、国の政策として方針はあるべきだと思うので、一般財源の中で必要な道路財源を確保していけばいいのではないか。そういう意味では、安倍総理のお考えでいいと思う。それが実現することを期待している。

Q:道路特定財源について、揮発油税については来年度ではなく再来年度以降に先送りされる。消費税もそうだが、重要な改革が来年の参院選後に先送りされている。経済財政諮問会議で内閣の試金石と言われている改革が先送りされ、安倍内閣の改革姿勢が後退しているという意見もあるが、どうお考えか。

北城: 消費税については、来年以降の議論でいいと思う。歳出削減がどこまで可能なのか、景気の回復に伴う税収確保がどこまで進むのかがはっきりしない段階で、消費税の引き上げは必ずしも好ましいものではない。我々は2011年のプライマリーバランスの均衡は歳出削減で可能だと見ているので、消費税を上げてしまうと歳出削減の努力が働かない、という観点からすれば、消費税の議論を来年にしたというのは、問題先送りだとは思わない。

道路特定財源については、安倍総理が施政方針演説で述べているので、その方向で検討が進むことが望ましい。当面の対策として、重量税の問題を対処すれば来年度には余剰になるだろうという歳出の規模からすれば、まずは重量税を対処し、08年に向けた暫定税率も含めた財源確保、一般財源化に向けて検討が進むことでいいのではないか。これから、党の中で色々議論があると思うが、安倍総理の基本的な方針が実現することを期待している。

小島: 先送りといっても、行革法との兼ね合いからいって、それより先にはできない。我々としては来年度からきちんと全て一般財源化して欲しいという気持ちはあるが、それが立法技術等との兼ね合いで難しいということであれば、もう一年先でも、とにかく一般財源化してくれればいいと思う。その点をうやむやにしないことが大切だ。

Q:自民党内では、本来一般財源化すれば自由に使えるはずが、道路に限定していくべきだ、道路関連に位置づけるべきだという議論が高まっているが、これについては、どうお考えか。

北城: 一般財源にしたうえで、どこに歳出として使うべきかについては、そのときの政策で議論すればいいことで、道路に使う必要があるという判断であれば、そこに使えばいい。最初から(使途を)規定する、特定財源的な位置づけにすることは好ましくない。やはり一般財源として、その中で公共事業にどう使うかを議論していただきたい。当然、財政再建は非常に重要な課題なので、歳出をどう削減するかという枠組みの中で議論していただく分には、配分がどう変わるかについては、そのときの政策の判断でいいのではないか。

小島: 特定財源というのは必ず道路に使うということになっているから問題なのであり、一般財源の中に入れて、本来道路はどのくらい作るかという議論から始めて欲しいということだ。

Q:いわゆる造反議員の復党問題について、昨日、自民党内では一応の決着を見たようだが、国民の間から、去年の総選挙は何だったのかという声が聞こえてくる。安倍政権の支持率もかなり下がっているようだが、この件について、見解を伺いたい。

北城: 元々経済同友会は政策について議論する団体なので、個別の政党の判断について良否を議論していないが、マニフェスト(政権公約)を掲げて選挙をし、自民党の政権公約として郵政民営化があり、それに反する人は公認しないということで、前回の選挙は行われた。政策中心の政党運営を考えると、政権公約の果たす役割はより大きいし、それを尊重して候補者を選んでいくのが、今後の方向ではないか。刺客という言い方もされたが、党の方針に反対する人を公認しないのは、本来あるべき姿だ。政権公約を守る候補を公認していくということを、今後の候補選びの中で、是非実現して頂きたい。また、政権公約の重要性を認識すべき(ということを示した)問題であったと思う。

Q:今回、一種の踏み絵のような形で、郵政民営化に賛成するかどうかを個別に聞いているようだが、国民から見ると、一度政権公約に反対して自民党から出て立候補した人たちが復党する、という分かりづらい構図になっていると思う。これについては、どうお考えか。

北城: 個別の選挙区で、候補者がどのような意見を出されたのか、郵政民営化反対というが、審議のプロセスに反対したのか、民営化のいくつかの仕組みに反対したのか、個別の候補についてはよく分からない。しかし基本は、政党が掲げる政権公約を支持する人を候補者に選ぶ。政権公約を作る段階では、党内で賛否両論、色々な議論があってもいいと思うが、最終的に決まった後は、政権公約を守る人を候補者にしていくべきだ。小選挙区制が政党の代表を選ぶ選挙であり、総理候補を選ぶという選挙のあり方からすれば、政権公約と違う(考えの)人が立候補、あるいは公認すること自体がおかしい。そういう意味で、前回の選挙は政権公約を守る人を候補者にする初めての選挙だったかもしれない。

Q:日本とオーストラリアがEPA交渉に入ることが決まった。オーストラリアは農業大国であり、農水省や大臣、農業団体が、EPA交渉で関税が撤廃されると日本の農業が大打撃を受ける、重要品目、農産品を外せというようなことを言っている。今回のEPAをどう進めるべきとお考えか。

北城: オーストラリアに限らず、EPAやFTAは日本の政策として推進すべきだし、安倍政権にとっても経済成長を重視し、それによって財政再建が可能になるという政策の大きな柱だ。したがって、オーストラリアに関してもFTA、EPA交渉を進展させていただきたい。その過程で、農業をはじめいくつかの産業に影響が出るとすれば、移行措置は必要だと思う。しかし、日本の農業の場合には、関税による保護政策から、直接支払いを通した農家の支援、それも未来永劫ということではなく、ある移行期間を通しての政策が好ましい。やはり競争力を強化する、付加価値の高い農業に転換していく、関税による保護を変えていくという政策が必要だ。農水省も基本的にはその方向だと思うので、これを契機に日本の農業の競争力強化が実現することを期待している。

かつて自動車産業等でも保護政策を取ることはあったが、保護政策を取っている産業は強くならない。国際競争の中で、付加価値の高い、国際的に通用する商品を開発することが、それぞれの産業を強めることになる。ただし、急には無理だと思うので、例えば5年なら5年の(一定期間の)移行措置があってもいいと思う。

Q:日豪EPAについて、ある期間の移行措置が必要とのことだが、段階的に関税を下げるなどのイメージか。

北城: 関税ではなく、農家への直接補助にする必要があると思う。直接補助も、5年か10年かの議論はあるにしても、ある程度期限を区切り、その間に、例えば規模の拡大や生産品目を高付加価値に変えるなど、競争力強化の農業政策に変えていただく方向が良い。これまで関税で保護されてきた産業なので、来年から急に変えることは無理だと思う。基本的には、関税による保護ではなく、直接支払いによる所得保障の方向に変えていくべきだ。高い関税で消費者に高い農産品を買ってもらう制度から、価格は国際競争力のある水準にし、そのために影響を受ける農家の所得保障をする制度を作るべきだ。どのくらいの規模でやるかはこれから議論していくべきだが、関税による保護政策から変えていただきたい。

Q:日豪EPA交渉において、米や小麦など重要品目を外して欲しいというような議論があるが、こうした方向は好ましくないとお考えか。

北城: 交渉の過程でどのような議論をしているかについて、交渉の戦術まで議論するつもりはないが、基本的な方針としては、できるだけ質の高いEPAやFTAをして欲しいと思う。日本は先進国なので、例外品目をたくさん残すのではなく、できるだけ例外のない貿易・投資の自由化を実現して頂きたい。農産品や労働問題も入るし、一部例外もあるが特定品目の産業をできるだけなくして、質の高いEPAやFTAをして頂きたい。質の高いEPAやFTAを推進することが、日本の国内産業も強くするし、日本国内の構造改革の問題でもあるため、このようなEPAやFTA推進の過程で構造問題を解決し、それによってWTOも進展できるような仕組みを作ることが、日本にとっては望ましいと思う。交渉の過程でどのような議論をするかは交渉担当者に任せたい。

Q:今日にも宮崎県知事が逮捕されるという話もあるが、福島、和歌山と、各地で不祥事が相次ぎ、知事の逮捕、辞職が続いている。この原因はどこにあって、これを絶つためには、どうすべきとお考えか。

北城: 知事に限らず、組織のトップに立つ人間の倫理観、健全に組織運営を行うことの重要性を認識して、知事の職にあたるべきだ。その過程でお金がかかるという問題があれば、お金がかからない選挙の仕組みをどうするかが必要だ。いずれの事情を見ても、入札制度の改革が無いと、どうしても癒着が起きるし、いわゆる天の声が入札の中で生かされるという仕組みが残ることは、こうした不正を起こす背景になりかねない。入札制度の改革が必要であり、競争入札にしていくべきで、随意契約や指名競争入札というのは基本的になくしていくことが必要だ。これに関する、住民、県議会、市議会の監視機能も重要だということを示している。

一方で、地方自治にこうした問題があるから分権を進めるべきではない、地方に主権あるいは財源を移譲した場合に、こうした問題が起きるのではないかという議論があるが、これはニワトリと卵の議論だ。やはり、地方に権限を移譲して、知事や議会が責任を持って県政の運営を行うという体系に変えていかないと、問題があるから地方に権限を移譲しない仕組みでうまく機能するかといえば、そうではない。これだけ大きな国で、中央集権で政策、特に住民サービスに関する政策を、一律に決めるという仕組みは機能しないと思う。従って、各地域が特色ある発展を目指して努力する仕組みは推進するべきだ。

Q:道州制が今後導入された場合には、こうした癒着は少なくなるとお考えか。

北城: 道州制の議論とは別だと思うが、できるだけ権限を地方に移譲するという仕組みであるだけに、市なら市長の健全な行動を保証する仕組み、特に入札と議会の監視に関する仕組みは必要だと思う。基本的に道州制は、どの県を、どの州にまとめるかということが問題ではなく、人口約30万人程度の基礎的自治体と言われる市に、住民サービスの中心を移すということが重要だ。従って、お互いに痛みの分かる範囲の中で優先順位を決めていく、その中には公共事業も入る、という仕組みに変えていくべきだ。そういう意味で、道州制といったときに、道州の区切りや州都の権限に関心が行きがちだが、そうではなくて、基礎的自治体をどのように強化していくかということが重要だ。国の権限が道州の首都に集まるようでは、問題は解決しない。国のすべきことは何か、基礎的自治体にはどのような権限を移すか、という仕事の役割を明確にした上で、市(基礎的自治体)に権限を移譲する仕組みを推進すべきだ。

Q:政府税調の答申が出て、経済同友会の要望であるエンジェル税制が取り入られたりしている。既にコメントを頂いているが、改めてお考えを伺いたい。

北城: 基本的に、企業の競争力を高めることが日本の経済成長のために重要だ。税制についても国際競争力の視点が必要だということを取り上げていただいたことは、適切な方向付けだったと思う。特に、減価償却については100%の減価償却を認める方向でまとめていただいたことも良かったと思う。法人税については今後の議論だと思うが、長期的には法人税も国際競争力を高めることが必要だ。それから、大企業等の既存企業の技術革新とともに、ベンチャーがイノベーションの担い手となるという点で、ベンチャーへの投資が促進されるようなエンジェル税制について一層の強化を図ったことは、一歩前進だと思う。しかし、この制度も米国や欧州(イギリス、フランス)と比較すると、事業を起こすときの創業時の資金調達に関する税制としては不充分な点があるので、一層の拡充を期待したい。これから党で議論が始まるようだが、特に創業時に民間が資金を出す仕組みを強化する制度はもっと拡充すべきだ。

米国のシリコンバレーのようにベンチャーが技術革新の担い手になる、ITだけではなくバイオテクノロジー、医薬品、ナノテクノロジーの分野で、ベンチャーが新たなタネを作り出しているということが、米国の競争力になっている。残念ながら日本で医薬品のタネになるような開発が、なかなか行われていない。こうした先端分野の研究開発におけるベンチャーの役割をもっと重視すべきだ。科学技術の振興ということで、国が資金を出すことは必要だが、あまりお金を出しすぎると、研究の成果を事業化する意欲が働かない面もあると言われている。事業化に努力しなくても、国から研究費が潤沢に出されると、研究者が自分の関心のある研究だけにお金を使ってしまうので、国として投入したお金が産業の発展に貢献しない、というリスクもある。本当に必要なところに資金が集まる、イノベーション促進税制的な色彩をもっと強めるべきだ。今後、党で議論が始まるので、こうした点にも焦点を当てていただきたい。

Q:政府税調の答申の内容や、党税調で始まっている議論の中身について、企業優遇ではないか、定率減税の全廃や社会保障費の負担増など個人に対してバランスを欠いているのではないかという意見が出ているが、どうお考えか。

北城: 減価償却については、来年度を考えると減税になるが、全く税収がなくなるわけではなく、将来、設備を償却したときの税収を確保できるので、長期的に見れば減税ではない。税が早く国に収められるか、長期的に収められるかということだ。特に半導体や液晶といった最先端産業では、設備の償却を早くしないと次の設備更新が競争力に結びつく。日本の国際競争力を維持しないと日本経済は発展できないので、企業を優遇しているとは見ていない。増税が無くても税収が増えているということは、日本の財政再建にとって大変好ましいことなので、その果実を財政再建に使うべきか、企業の競争力に使うべきか、という視点で見ればいいのであって、決して個人に不利になる税制にしているというわけではないと思う。

Q:日銀・福井総裁は景気が拡大しているとの見方を示し、金融政策では追加利上げのタイミングが注目されているが、現在の景気認識と利上げについての見解を伺いたい。

北城: 景気については、多少減速感があることと、来年は2006年ほど強くないという認識をもつ経営者は多いが、後退するとは見ていない。景気は、多少減速するが拡大しているという認識だと思う。いまの日本の金利は非常に低いので、それによって土地や設備投資等において、景気の実態以上の投資が進むバブルのような状態は、持続的発展には望ましくない。金融政策は、景気の状況を見ながら日銀に判断いただくことでよい。バブルを作ってしまうと後で景気後退局面に入るし、国際的に見ても日本の金利水準は非常に低いので、絶対に低金利で進めるべき、ということでもない。景気が健全に発展し、バブル等の問題が起きないような金融政策を、日銀が独自の判断でとっていただくことで結構だと思う。

Q:代表幹事の認識として、いまバブルであると感じられているか。

北城: 一部、都心の土地の値段やマンション価格が上がっているが、今のところバブルが起きているとは見ていない。景気も多少踊り場的なところがあり、特にアメリカ経済の減速を懸念しているため、景気が順調に回復しているともいえないので、もう少し様子を見ながらというのもひとつの考え方だと思う。しかし、ずっと今のような低金利を続けることが正常かというとそうではないので、然るべきタイミングで金利の引き上げがあってよいと思う。

Q:代表幹事は、年内の利上げは時期尚早とお考えか。

北城: これは日銀の判断であるが、バブルが起きているとか、いま引き上げなければバブルが起きるリスクが高い、とは見ていない。

Q:銀行業界が政治献金再開の動きを見せている。この動きについて、どのようにお考えか。

北城: 銀行業界や個別の銀行の経営者の判断で決めることである。経済同友会は、基本的には、個人献金や党費を主体に政治資金が賄われることが好ましいと考えている。ただし、急に企業の政治献金をなくして今の政党運営ができるわけではないので、暫定的な措置が必要になるだろう。国としてお金がかかるということであれば、国が支給している政治資金の拡大も一つの手段となる。急に企業献金をなくすということにはならないと思うが、個人献金や党費の拡大が行われることが望ましいと思う。個別の金融機関については、それぞれの経営者の判断である。良いか悪いかは我々が個別に言うべきではない。

Q:銀行の場合は、通常の企業献金とは違い、政党に対して債権を持っている団体である。融資をしているのに献金を受けるのは、タダ貸しのような形になってしまうが、これについていかがお考えか。

北城: 個別の金融機関の経営者の判断であり、それを株主がどう判断するかという問題である。周りで良い悪いを議論する話ではない。例えば、国の資金が入っている法人がそれに対してどうするかという時には国民として意見があるとしても、個別企業の献金の仕組みについては、国民が決めるというよりは株主が決めることである。

Q:税制改正で、経済同友会でも三角合併での課税繰り延べについて主張されている。政府税調の方針では課税逃れのところで対応した方がいいのではないかと議論されているし、党税調でも乱用防止措置を考えた方がいいのではないかと言われている。課税繰り延べについて、どうお考えか。

北城: 基本的には、課税の繰り延べがなければ、株式を利用した三角合併が難しくなることからすれば、国内企業間の株式交換で認められているように、課税の繰延が必要である。これが脱税等に結びつくなど乱用の懸念があるが、もしそうであれば、それに対する対策が必要である。基本は、課税の繰り延べは必要であると考えている。

脱税の仕組みがよくわからないが、あるのであれば、守る仕組みがいる。例えば、タックスヘブンを使って脱税する可能性があれば、それを防ぐ仕組みがあっていい。しかしそれは、三角合併のときに課税繰り延べを認めないという話ではないと思う。不正が起きる可能性があれば、それを防ぐ手段をとればいい。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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