代表幹事の発言

令和8年度(2026年度)予算案について

公益社団法人 経済同友会
代表幹事代行 岩井 睦雄

 本日、令和8年度予算案が閣議決定された。
 本会としての政府への期待や要望をここに提起する。同時に、企業経営者として、この積極財政を有効に活用し、経済の成長を実現させていくことは、経営者の役割であり責任でもあると認識しており、企業変革を含めた対応すべき諸課題に経営者も一丸となって取り組んでいく所存である。

  1. 一般会計歳出、国債費ともに当初予算として過去最大を更新した。「責任ある積極財政」のもとでの経済財政運営と理解しているが、財政規律への配慮が後退した印象は拭えない。国会審議においては、与野党が党利や立場を超えて、持続可能な国家財政の姿を真正面から論じることを期待したい。
  2. 社会保障関係費も過去最大となった。診療報酬改定においてOTC類似薬の保険適用除外が見送られるなど、持続可能な社会保障制度に向けた改革はなお不十分である。立ち上げが予定されている超党派の国民会議の議論が、抜本改革に向けた力強い第一歩となることを期待する。本会としても、速やかに医療制度改革を含む給付と負担の在り方に関する検討を進め、積極的に発信していく。
  3. 今後、プライマリーバランスを数年単位で確認する方向への見直しが検討される予定である。単年度の黒字化目標ですら繰り返し先送りされてきた歴史を踏まえると、財政規律の緩みに繋がらないかを憂慮する。今後高齢化による社会保障給付が増大していく点も踏まえ、世界最悪水準の債務残高対GDP比と金利上昇という厳しい局面下においても市場の信認を確保する観点から、プライマリーバランスの黒字化を引き続き重視する枠組みを構築し、財政健全化の道筋を示すことを強く求めたい。
  4. 本会は予てより単年度予算主義の限界を指摘し、複数年度・重要施策ごとの予算編成を求めてきた。今般の複数年度の視点で制度設計を行う方針は歓迎したい。EBPMを徹底し、中長期視点でより乗数効果の高い施策へと予算をシフトすることにより、歳出の質の向上が図られることを期待する。

以上

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