代表幹事の発言
令和7年度(2025年度)予算案について
公益社団法人 経済同友会
代表幹事 新浪 剛史
代表幹事 新浪 剛史
- 本日、令和7年度予算案が閣議決定された。今般の予算案では、一般会計歳出は115.5兆円となり過去最大を更新、社会保障関係費、国債費も過去最大となり、「3つの最大」を記録した。今、国民生活に求められることは、「消費者物価指数以上に賃金が上がる」というノルムの定着と可処分所得の向上を図り、民主導の経済成長につなげることである。この実現には、財政の在り方も、デフレ時代の延長ではなく、よりワイズスペンディングを重視したものへと転換する必要がある。こうした観点において、年明けからの予算案・税制改正案の国会審議の先行きは、日本経済の動向にとって極めて重要なものであり、インフレ時代に即した成案のとりまとめとなるよう、まずは十分に議論が尽くされることを望む。
- 今般の予算案においては、何より、その執行を通じて、民主導の経済成長の実現を国民に届けることを期待する。AI・半導体分野やGXの国内投資促進策等も盛り込まれたが、賃上げや地方経済の活性化、それらの鍵を握る中小企業の生産性向上など、民間需要や民間成長力の強化を図っていくことが肝要である。そして、その成果を国民が実感できるものとしていくために、EBPMの徹底・実効性向上を図っていただくことを求める。
- また、社会保障関係費も過去最大となる中、現役世代の社会保険料負担を軽減するためにも、医療・介護分野の徹底した歳出改革や全世代による応能負担などを通じた、令和モデルの社会保障制度を構築することも急がれる。税や社会保険料に関する年収の壁や高額療養費制度などの見直しの議論を契機に、人口減少時代における医療・介護・年金制度の構築に向けた議論をより深化させるべきである。
- 国債費も過去最大となったが、国債に対する市場の信認が得られなければ、民間の資金調達にも影響が及ぶ。この点、今回の税制改正では議論が国民に見える化されたことは評価できる。一方、先日成立した令和6年度補正予算を含め、財政の「正常化」や令和7年度プライマリーバランス黒字化の目標に向けてどのような努力を行ったのか、中長期試算も踏まえ、今後の経済再生と財政健全化の道筋をしっかり説明すべきである。高齢化ゆえこの先も財政需要の増加は避けられないという前提に立ち、これまで以上に財源論にもしっかりと向き合っていかなければならない。
以上