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平手 晴彦 氏
(武田薬品工業 コーポレート・オフィサー)

平手 晴彦 (武田薬品工業 コーポレート・オフィサー)

東京の素晴らしさを世界に発信

1970年の東京―。それは公害で汚れた街だった。東京湾にはヘドロがたまり、光化学スモッグ注意報が発令されると児童は屋内学習を強いられ、魚のすめない川には生活排水から発生する泡が舞っていた。

しかし、日本は徹底した環境対策に乗り出す。自動車の排出ガス規制は米国が一度は法制化をあきらめたマスキー法を導入。下水道の完備も進み、工場からの廃液、排ガス、煙突のフィルターなど公害対策を一斉に行った。自分勝手にゴミを捨てない日本人のモラルの高さも相まって、環境対策では世界に誇れる技術を練り上げてきた。

次第に空気はきれいになり、都内から100キロ離れた富士山を仰げる日が増えた。それも冬の澄んだ日ばかりでなく、夏にも見ることができるようになってきた。空気中の汚れが減り、街に霧が出ることはまれとなり、太陽がまぶしいと感じる日が増えた。国際化した羽田に飛来する飛行機の機長たちの目には世界一美しい夜景が見えると聞く。東京湾は海の底まできれいになり、生物多様性が再生され、そこに生息する生物の種類では世界一の海となった。かつてカビ臭いときもあった東京の上水道水は、いまやそのままボトル詰めして売れるほどにおいしくなった。

私たちが当たり前のように甘受する東京の素晴らしさは、水や空気、土壌などの浄化技術など世界最先端の日本の環境技術のショーケースでもあるのだ。

前置きが長くなったが、2020年のオリンピック・パラリンピック招致に当たっては、華やかな演出やイベントも結構ではあるが、これらの東京が誇る環境技術が支えているきれいな夜景、澄んだ空気、多くの生物が生きる東京湾などを大いにアピールする絶好の機会ではないか。

人口1,000万都市は世界に多くあるが、歴史に彩られた文化を持ち、空気や水がここまできれいな都市は他に見当たらない。環境技術がオリンピック種目なら東京は金メダルだと心から思う。

各国からの来日者たちが、まず到着機の窓から見る東京の夜景に目を皿にし、当たり前のように飲めるタップ・ウオーターに驚き、東京湾の江戸前の寿司ネタに舌鼓を打つ。その感激に、実は日本の環境技術である最先端のフィルター技術や品質管理のノウハウがあることを、会場で、ホテルで、街で徹底的にアピールしていく。

さらには、数分おきに発着する新幹線が秒単位で正確に運行されていることに驚き、ホテルでの心からのおもてなしに感激するだろう。東京にぜひ来てほしいものである。

昨年東京で開催されたIMF総会に来日した各国幹部たちは、皆東京の素晴らしさを再認識して帰られたと聞く。オリンピック・パラリンピックでもぜひ、魅力たっぷりの東京を見せ、成熟した日本の技術で驚かせたい。

(「経済同友」 2013年2月号より)

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