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今回の解散・総選挙は、小泉内閣の提出した郵政民営化関連法案が、「衆議院」では可決されたにもかかわらず、その後に「参議院」で否決されたことを理由として行われることとなった。このため「参議院での法案否決を理由にして衆議院を解散するのはおかしい」との批判が一部から上がり、「八つ当たり解散だ」とか、「憲法違反だ」という声まで上がった。
過去を振り返ってみると、新憲法施行(昭和22年5月3日)以降、これまで20回の衆議院総選挙が行われ、今回が21回目の衆議院総選挙である。21回のうち、任期満了による選挙は1回のみで、残る20回は全て「解散」による選挙だ。
更に詳しく見ると、その20回のうち、4回だけは内閣不信任案が可決されたことによる解散だが、今回を含めた16回は首相権限による解散である。
・これまでの衆議院選挙(PDF)
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内閣不信任案可決による衆議院解散(「憲法69条解散」)は分かりやすい。憲法66条3項に「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ」とあり、69条で「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」とある。つまり、内閣が責任を負っている相手方である「国会」、特に首相指名で優越権を持つ衆議院が内閣を不信任した場合には、自分(首相・内閣)が辞めるか、相手(衆議院議員)を辞めさせて選挙で国民の審判を仰ぐか、ということである。
一方、内閣不信任決議が無くとも「内閣の助言と承認に基づく天皇の国事行為」として、実質的に首相一人の権限で衆議院を解散することができる。これが「憲法7条解散」である。
憲法草案を作ったGHQは当初、「7条解散」は想定していなかったらしい。だからGHQ占領下にあった第2次吉田内閣は、新憲法施行後初の解散を行う時、7条解散をやりたかったが、GHQに遠慮して形式的に内閣不信任決議をし、69条解散の形をとって衆議院を解散した。この時の天皇の解散勅書には「憲法第69条及び第7条により衆議院を解散する」と書かれた(なお、「69条及び7条」としたのはこの時のみで、その後は、「69条解散」であっても詔書には「第7条により」とだけ書かれる)。
サンフランシスコ講和条約で独立を回復した後、再び「7条解散は違憲か合憲か」が論争になった。「7条解散違憲説」は、「天皇の国事行為を要求する『内閣の助言と承認』は、「形式・儀礼的な助言と承認」であり、解散の実質決定は憲法の別条文に根拠が必要だ。それが書いてあるのは69条のみである。よってそれ以外の解散は認められない」とした。一方「合憲説」は「69条だけを根拠にすると解散の機会は極めて限られる。首相権限による解散は、国政の重要課題について主権者である国民の意思をタイミングよく問うものであり、新憲法の謳う民主主義の精神にむしろ叶っている。『内閣の助言と承認』は「内閣独自の判断に基づく助言と承認」と積極的に解すべきだ」とした。
当時の政局における党利党略も絡んで論争となったが、権威のある有力な憲法学者、内閣法制局見解など、いずれも「7条解散は合憲」とし、それが定着して、現在に至っている。確かに今回のように、法案が衆議院通過後、参議院で否決されたことを理由に衆議院を解散した例が過去に無いので、政治的・道理的に見て様々な意見はあるが、法律論としては問題ないといえそうである。
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