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− 21世紀に向けた土地政策の転換 − 1997年7月31日 |
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目 次
1 いま何が求められているか
1 いま何が求められているか 戦後、地価の上昇を背景に成長してきた日本経済は、そのメカニズムにひずみを生じ、地価の乱高下や金融・資産デフレの到来という結果を引き起こした。そして日本経済は、この深刻な悪影響からいまだ脱しきれずにいる。それは、これまでの土地政策が長期的展望の下になされてこなかったことに大きな原因の一つがある。 私有財産に対する基本的な考え方や土地政策に関する基本理念は、憲法や土地基本法において明確にされている。しかし、これらの考え方に基づいて一貫した政策が行われてきたとは言い難く、急速に変化する経済環境下にあって多くの問題が生じている。これまで、土地は保有するだけではなく、利用することによって初めて価値が生まれるという考え方が徹底されず、逆に土地を保有することこそが最も値上がり益の大きい有利な資産運用になると見做されてきた。資産を有効に使って価値を生み出さなければ、資産としての意味をなさないことが、ほとんど見過ごされてきたのである。 しかし、土地の有効利用を徹底させることは必ずしも容易ではない。土地市場においても自由な経済活動が原則となるが、土地の利用にあたっては土地が持つ公共的な側面から、私財といえども公益性を求められることも多い。土地を有効に利用するための方策を考える場合、いかに公益性と私的権利とのバランスを取るかという問題に行き当たる。その際には、個人の権利を主張するばかりではなく、より良い社会、暮らしやすい町づくりを意識する視点が重要である。 このような観点から、これからのあるべき土地政策についての提言を行うこととする。ただし、我が国の土地に関する諸問題は、東京、大阪などの大都市において最も顕著に表れている。また、土地問題は日本経済及び国民生活の全般に広く関わっているため、これらを総花的に取り上げることはかえって問題を拡散させる恐れがある。したがって我々は、主として大都市を取り上げて提言することとした。 我が国の土地・不動産市場は、様々な主体が必要な情報を手にし自由に参加できる体制が十分に整っているとは、いまだ言い難い。また、市場そのものも、健全で活発であるとは言い切れない状態にある。 一方、特に大都市中心部においては、これまでの土地の利用規制が現状に適合しなくなっており、土地の利用が極めて非効率になっている。道路・公園などの基盤整備の立ち遅れや密集市街地における防災面での不安、あるいは教育・医療・文化などの公益施設や商業施設、駐車場の不足などが大都市において指摘されており、大都市内部の平面的過密状態が都市環境の改善を遅らせているといえる。高い生活水準を示す経済的指標とは裏腹に、大都市においては細分化された土地利用による狭い住宅や慢性的な供給不足による住宅価格の高どまり、あるいは無秩序な住宅地の外延化による遠距離通勤といった生活環境の貧困さも一向に改善されていない。 また近年、都心部における人口減少の進行や空洞化がもたらす都市の活力の低下により、急成長を遂げているアジア諸都市との間で激化する都市間競争にも後れを取りつつある。これは経済的な要因だけに起因するものではなく、我が国の土地政策・都市政策がもたらす影響も看過することはできない。 こうした視点から、特に大都市における都市構造や生活環境の改善を進めるためには、高度利用を阻む容積率抑制策、散在する農地など、市場の活性化を阻み、有効な土地の利用を歪めている政策の抜本的な見直しを行わねばならない。同時に、公益に優先して過度に保護される傾向のある私的権利の問題などについては、自治体は勿論、個人の意識も改めていくことが必要である。 我が国の土地に関する諸問題を解決するための重要な課題は次の二つである。
@健全で活発な土地市場・不動産市場の創造 健全で活発な土地市場は、実際の需要と収益還元価格による土地の合理的評価、それらに基づく活発な取引によって実現し、これが土地の有効利用に結びつくこととなる。特に大都市の土地の有効利用が実現し、土地の利用価値増大によって多様な収益性がもたらされるようになれば、市場は更に活性化する。 また、大都市において、土地の有効利用の結果として諸問題が解決の途に就くことは、都市の無秩序な外延化の防止や自動車交通量の削減など周辺地域の環境保護やエネルギー問題にも寄与する。大都市が抱える諸問題の解決は日本の土地問題の解決の一助となるのみならず、21世紀に向けて、我が国経済・社会の活性化の成否を左右する重要な要素の一つともなるのである。 土地は他の一般的な商品とは異なり、同一性がない上に量に限りのある資産であるが、公益性が強く求められる場合を除いた通常の土地取引は、健全で活発な市場において自由に行われるべきである。 市場を成立させる前提は、土地の有効利用から生み出される収益性であり、地価はこの収益性を市場が評価したものであると言える。市場が健全であれば収益性とかけ離れたところで地価が決まることはない。地価高騰時の地価は、土地の利用価値とは大きく乖離したものであった。今なお続く当時の価格形成への政策的な介入は、土地や建物の供給を抑制し、結果として市場の需給バランスを崩し、経済活動の自律的調整を阻害したまま今日に至っている。健全で活性化された土地市場・不動産市場を創造することは、地価の安定に寄与し、企業や個人が安定的な経済活動を進める上で大きな役割を果たすことになるのである。 加えて、これまでの日本の不動産市場は住宅や土地などの現物取引が中心であったが、より活性化した市場の構築のためには、投資家を含めた幅広い各層の市場への参加とさまざまな商品の流通が不可欠であり、これらの拡大を図るべきである。 一方、税制に目を向けると、取り易いところから取る税制であったり、一方的に地価を抑制することを意図した税制であるなど、土地市場の活性化を阻害している。それぞれの税の目的を明確にし、簡潔でわかりやすい税制に転換するべきである。 健全で活性化された市場を創造するためには、誰もが自由に市場に参加でき、必要とされる情報を入手、判断できるような情報開示が必要である。 土地は個別の商品であること、取引が相対であることから、全ての土地・不動産に対して株式取引のような情報開示手段を構築することは困難である。しかし、専門知識を持たない住宅取得希望者が、必要としている情報を自由に手に入れ、多様な選択肢の中から良質な商品を安心して購入できるための条件を整備することは重要である。最近ではインターネットによる物件紹介サービスなども行われているが、誰もが容易に必要としている情報を自由に入手できる状況までに至っているとは言い難い。民間レベルによる情報ネットワークの充実や*1 REINS(Real Estate Information Network System=不動産流通標準情報システム)の拡充が、なお求められる。 また、不動産証券化における投資家を対象とした内容の不動産情報の開示も、不動産市場全体の透明化を図る上での一助となるはずである。 *1)「REINS」 財団法人もしくは社団法人の4つの不動産流通機構によって運営されている不動産情報オンラインシステムで、平成2年5月より稼動している。宅地建物取引業法によって専属専任又は専任媒介契約を締結した宅建業者は、目的物件に関する一定事項を一定期間内に指定流通機構に登録しなければならず、その登録及び検索を行なう事ができる。 我が国の不動産市場の活性化を妨げている一因として、市場への参加者が限られていることが挙げられる。今後、土地・不動産の有効活用を進めるなかで、不動産の証券化を推進し、国内外に投資家の裾野を拡大することによって、新たな市場参加を促していく必要がある。 不動産の証券化は、良好な都市形成に必要な事業者側の資金調達需要と運用者側の資金運用の多様化の双方に資するものであり、市場を通じて様々な主体が参加することが出来る仕組みである。したがって、不動産の証券化は土地・不動産市場の健全化、活性化を促進させる有効な手段の一つと考えられる。例えば、アメリカで行われているREIT(Real Estate Investment Trust=不動産投資信託)は、証券(株式や信託受益権等)に対する投資を通じて不動産への投資を行うものである。そして、それらの証券をいつでも市場で売買できる仕組みによって、多数の一般投資家の市場参加を可能にし、不動産市場の活性化につなげている。このような不動産の証券化の普及に向けて、投資に対するリスクとリターンを合理的に判断できる情報が自由に入手できるような徹底した情報開示と、証券化された権利の自由な売買を可能とする流通の仕組みを確保する必要がある。その際、単に欧米の不動産証券化の手法をそのままあてはめるのではなく、我が国の状況に適合した不動産証券化のあり方を創出した上で、不動産証券化商品に対する取得、譲渡に関する不動産諸税の適用の廃止など、税制を始めとする法制度の整備が求められる。
固定資産税は、土地の保有に関する最も基本的な税であるにもかかわらず、地価の乱高下によってタイムラグが生じた課税評価額に関連する負担調整制度などによって複雑化されてしまった。そのあり方を抜本的に見直し、評価額に税率を掛けた簡素なものに変えるべきである。そのためには収益還元価格をベースとした地価評価をタイムリーに実施する必要がある。 また、主たる地方財源の一つである固定資産税は、地方自治体のサービスの対価と位置づけることができる。したがって、その税率は自治体ごとに異なるはずであり、税率設定は自治体が自由に行うべきである。 一方、都市計画税は、本来、都市計画事業、土地区画整理事業のための目的税であるが、これが必ずしも明確になっていない現状においては、簡素な税制とするために、固定資産税に一本化すべきである。 なお、地価高騰が終焉している現在、特別土地保有税及び地価税はその導入目的を終えており、廃止すべきである。
取得に関する税は、不動産取引の活性化を妨げる要因の一つとなっている。不動産取得税を廃止するとともに、登録免許税については、その性格から不動産登記1件ごとに事務手数料相当額を徴収することが適当である。 また、土地取得に関する借入金の利子について、法人税における損金算入の制限措置及び所得税における損益通算の禁止措置は撤廃すべきである。
所得税・法人税における土地譲渡益への重課措置など、地価高騰時の懲罰的な税制措置は撤廃すべきである。
将来の優良な社会的ストックの形成や不動産市場の活性化のために、ニーズに合った良質な住宅への転換の促進を図らなければならない。例えば、現行の買換え特例の適用要件の緩和を図るとともに、個人の居住用財産の譲渡損失についても、法人同様の繰越し控除を実施するべきである。 限られた資産である土地には、公益的な利用を円滑に実現することが必要とされる側面もあり、個人の権利は無制限に保護されるべきではない。特に大都市においては、その都市が果たすべき役割を前提とした土地の有効利用を促進する必要がある。そして、そのための諸政策を速やかに実施すべく社会的コンセンサスを形成していかなければならない。
例えば、東京都の住宅一戸当たりの床面積は約62uで、イギリスやドイツの約3分の2に過ぎず、アジアの代表的な国際都市と比べても狭いと言える。また、東京都において*2誘導居住水準を満たしている住宅はわずか27%程度であり、全ての住宅が誘導居住水準を満たした場合の6割弱程度の広さしか達成していない。我が国の大都市の居住環境、生活環境を豊かでゆとりあるものとするためには、これまでの土地利用や都市計画の基本的考え方を大胆に転換しなければならない。土地の一体的利用や建物の高層化などによって平面的過密状態を解消し、居住やオフィスを含めた生活空間、都市空間の倍増を目標とした新しい都市環境を創造する大都市のグランドデザインを創り上げるとともに、これを速やかに実現するための方策が必要である。 大都市のグランドデザインは、高齢化社会への対応、産業・就業構造の変化、個人の生活スタイルの変化などを踏まえた上で、21世紀に向けた我が国の都市のあり方を提案するものでなければならない。そのためには、生活空間倍増に伴って増加する容積の適正な配置、街区単位や敷地利用単位の統合・拡大誘導策等の都市構造の改善など、土地利用計画の基本事項を定める必要がある。 このような大都市における土地利用の基本計画ともいえるグランドデザインは、地方自治体が主体となって策定しなければならない。ただし、大都市の果たす国際的役割など一自治体にとどまらない広域的視点も求められることから、官民横断の委員会を設置して審議するなど幅広い議論が必要である。 *2)「誘導居住水準」 建設省が住宅ストックの質の向上を誘導する上での指針として定めたもの。例えば標準的な構成の4名家族(夫婦と個室を持つ二人の子ども)が都市において居住する場合、寝室・LDK・便所・浴室・収納スペース等を含んだ住戸専用面積(壁芯)は91uが望ましいとしている。 地方自治体は、土地利用計画に関してその責任と権限を負わなければならないが、現在の自治体は、土地の有効利用を促進し、住みやすい都市づくりを実現するための役割を必ずしも十分に果たしていない。自治体がその責任を果たすための早急な条件整備が求められる。例えば、都市計画に関する権限は地方自治体に委譲するべきである。また、大都市の位置づけの重要性に鑑み、これまでの国と地方の財政のあり方を見直すとともに、地方自治体による起債については、自治体自らの責任と判断で行うことを保証すべきである。しかしながら、まず何より自治体に必要なものは、決定した計画を責任を持って速やかに実施する強い意志と実行力である。 地方自治体が、大都市のグランドデザインに基づいた都市計画やその地域におけるより詳細な土地利用計画を策定する際には、地方自治体、住民、民間事業者などが十分に討議を尽くすことができるよう、その計画審議過程の情報が常にオープンになっていることが必要である。 大都市における土地利用規制の目的は、効率的で住みやすい都市づくりにある。これを阻害している規制を見直すことにより、土地の有効利用を実現し、ゆとりある居住空間の整備を促進していかなければならない。 大都市、特に東京の中心部においては、日影規制や斜線規制中心の規制体系を改め、求められている居住条件を評価検証した上で、スペースの広さ、プライバシー確保、緑の確保、駐車場の設置、生活支援施設の充実、省エネルギー、ごみ対策といった総合的視点での新しい基準を作らなければならない。 先般、都市計画法及び建築基準法の一部改正が行われ、容積率を大幅に引き上げ、斜線制限などを緩和する「*3 高層住居誘導地区」が創設されることとなった。東京都を始めとする自治体は、こうした制度を積極的に利用していくべきであるが、この制度自体、対象地域の範囲が限定されているなど必ずしも十分とは言えないため、今後、その適用要件のさらなる緩和が必要である。 また、容積率の割増しや建物にかかる固定資産税の割合の引き下げなど、土地利用の共同化・統合化にインセンティブを付与する制度を検討することも必要であり、土地の高度利用を促進し、優良な都市資産の形成を図るための政策が求められる。 一方、大都市市街化区域内における農地は、生産緑地制度によって宅地化すべき農地と生産緑地とに区分されている。しかし、現実問題として、市街化区域内に散在する農地が、土地の有効利用を阻害している面は否めない。有効利用を推進する必要のある大都市、特に東京においては、農地を保護する政策をとるべきではない。 更に、大都市近郊では、開発可能な住宅適地が少なからず市街化調整区域に指定されているため、有効利用を阻害しているケースが散見される。従って、市街化調整区域の線引きの見直しは、その決定過程を住民に対してオープンにした上で、早急に進めなければならない。 これらの観点に立って、各自治体は、良好な居住環境形成に資する開発計画を積極的に推進するべきである。 *3)「高層住居誘導地区」 本年6月の都市計画法及び建築基準法の一部改正において創設された。第1種住居地域など5つの用途地域で400%の容積率が指定されている地域を対象とする。当該地区では住宅割合が2/3以上の建築物の容積率を最大600%までとする他、斜線規制が緩和され、日影規制が適用除外となる。 収用は、公権力により個人の権利を強制的に取り上げる制度であるため、適正な補償と収用権の発動の際の慎重な手続が必要である。しかしながら、全ての関係者の同意成立時に初めて執行することの多い現行の制度運用では、土地収用制度の存在意義が失われてしまう。 都市計画道路など既に計画されているインフラの整備が遅々として進まないことは都市環境の改善が進まないことだけでなく、大幅な時間経過による経済的な損失の面から見ても問題であり、所定の手続きを踏んだにもかかわらず滞っている計画の早急な実施が不可欠である。そのためには事業認定を早期に行うことは勿論、一定期間内に収用を義務づけることなど収用手続を迅速に進める方策が必要である。 現行では、都道府県知事又は建設大臣から収用事業として事業認定を受けた後、再度収用委員会において収用に関わる裁決が行われる。収用手続の迅速化のためにも、収用委員会は事業認定を前提として、その収用に関わる補償に関する裁決のみを担当すべきである。 被収用者への損失補償の内容は、収用により発生する土地に関わる損失はもちろん、営業上の損失や移転費用、仮住居の使用料、残地の補償などについても、前述の時間経過による経済的損失を防ぐために相応な補償を速やかに行うべきである。 平成4年8月に施行された現行の借地借家法では、所定の期間の到来によって借地関係を終了できる定期借地権の導入が図られた。しかしながら、一般定期借地権の最低期間が50年であることがより多くの借地供給を阻害している状況や、平成4年8月以前の既存の借地契約に対して現行法は適用されないことなどから、都市開発に対する寄与度においては限界がある。一方、借家については、現行法においても、契約期間満了の際、*4正当事由なくしては建物所有者は借主に明渡しを求めることができない。このため、特にファミリー向けの広くて良質な賃貸住宅の供給を妨げる結果となっている。良質な賃貸住宅の供給と適正な市場の形成を図り、不動産証券化の推進にも資するべく借地及び借家における自由な賃貸借契約を保証することが必要であり、借地借家法は将来的な廃止を目指すべきである。しかし、その廃止に対しては、現行法施行前の旧法に基づく借地権の取扱いなど課題も残っている。当面の必要最小限の措置として、現行法において特定の借家に対して認められている期限付建物賃貸借とは別に、いわゆる*5定期借家権の創設を図るべきである。 自由な賃貸借契約が保証された不動産市場においては、社会的弱者への対策を考えなければならないが、これについては政府や自治体が家賃補助などの社会福祉政策をとるべきである。 *4)「正当事由(制度)」 借地契約の更新に際して貸し主が更新を拒否する場合、貸し主側の理由の必要性や借り主側の背信行為の度合いなどが更新拒否に値する「正当な事由である」ことを言う。現在の正当事由制度においては、貸し主側からの更新拒否は非常に難しい状況にある。 *5)「定期借家権」 期間満了により正当事由が無くても借家関係が消滅する形の借家契約のことをいう。 担保権が設定されている土地の整理促進のためには、競売手続をスムーズに行わなければならない。最低売却価格を決める鑑定評価手続や現況調査の手続の簡略化などにより、競売手続全体の時間短縮を図るべきである。また、競売物件に関する情報開示は、裁判所による公告を中心とした現状では不十分であり、必要に応じて物件の情報を自由に入手できる仕組みが必要である。 更に、競売手続を遅延させるための意図的な抗告や、立ち退き料を意識した物件の占有など競売妨害を排除する方策が求められる。 今後、土地政策を効果的に推進していくにあたって、土地利用計画に責任を持つべき地方自治体に対する権限委譲や地方財政のあり方を始め、土地税制の見直しなど解決すべき課題は多い。 税制や諸規制に関して直ちに改め得るものについては、可及的速やかな実施が求められることは論を待たないが、土地問題の中には、前述のグランドデザインに基づいた町づくりなど、その解決までに相応の時間を要するものもある。それらについては、問題を解決するために例えば30年間という期間で全体スケジュールを定め、これに沿って着実に実行できる具体的なアクションプログラムを早急に策定すべきである。その上で、一定期間ごとに進捗状況を確認しつつ、確実に実行していくことが重要である。 我が国は、社会・経済構造の大きな変化の中で、戦後の経済発展を支えてきた官民一体の協調重視の既存システムと決別し、グローバル経済に対応した、自己責任に基づく効率的な新しいシステムへと転換していかなければならない。 今求められているのは、健全で活発な土地・不動産市場の創造と大都市における土地の有効利用を基本とした将来をしっかりと見据えた土地政策である。この推進により豊かな生活空間が創造され、国民の生活・居住環境の充実が図られる。それらは同時に、健全な金融システムの維持に資するばかりか、大都市を中心とした経済活動の効率化を促し、新しい経済・社会システムへの転換を円滑に進める際の大きな力となるのである。 我々は豊かな21世紀を拓く土地政策への大胆な変革を求める。
以 上 |