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提言一覧


「学働遊合(がくどうゆうごう)」のすすめ

いつでも学び・働き、その楽しさを感じられる社会を目指して、
企業は意識を変え、行動する

1997年3月24日






目次

はじめに

 1.人が育てば良い社会になる

 2.企業自ら意識改革し、行動する

第1章 「人生18歳確定説・年齢輪切り主義」−われわれの問題のとらえかた−

 1.ブランド大学・ブランド企業への「入った者勝ち」という「入り口文化」

 2.「入り口文化」の根底にあるもの「人生18歳確定説・年齢輪切り主義」

 3.「人生18歳確定説・年齢輪切り主義」社会における問題点

第2章 「学働遊合」−意識改革のための理念−

 1.新たな理念の提唱

 2.「学働遊合」とは

 3.意識改革をどのように実現するのか

第3章 企業は何を実行するのか

 1.経済同友会が実行すること〜時代の変化の予兆を社会に伝える

 2.企業が実行すること〜社内を変革し、社会に波及効果を及ぼす

 3.企業と学校・地域・家庭が協力しながら実行すること

おわりに

付言:提唱「学校から『合校』へ」について

《資料》

教育に関するアンケート調査の結果

経済同友会教育委員会活動経緯





はじめに



1.人が育てば、良い社会になる

 われわれは、次の世代を育てるという自覚を持っているだろうか。将来、どのような形であれ、日本だけでなく世界規模での課題の解決を、次の世代に委ねなければならない。われわれのやるべきことは、次の世代が歩んでいく道を決めることではなく、次の世代にさまざまな可能性を示し、幅広い選択ができるようにすることではないだろうか。
 大切なことは、次の世代が、自らの意志で、自らの行動を選択することにより、われわれを乗り越えていくことである。「豊かな人間性を持った人が育てば、良い社会になる」という信念と、「次の世代を大切にできない社会は自滅する」という自戒の念を持ち、決して企業のためだけに人を育てるのではないことを確認したい。



2.企業自ら意識改革し、行動する

 われわれは、教育改革に関し、「新しい個の育成」(1989年)と「『選択の教育』を目指して」(91年)において基本的な考え方を示し、さらに「大衆化時代の新しい大学像を求めて」(94年)と「学校から『合校(がっこう)』へ」(95年)においては、それぞれ大学と小・中学校の問題について提言してきた。われわれはこれらの提言で、企業の行動が教育に及ぼしてきた影響を十分認識し、教育改革のために企業が変わるべきこと、なすべきことも一貫して主張してきた。
 しかし、これらの提言において主張した具体策の多くは、いまだ実現していない。特に、「提言に書かれていることはもっともであるが、『学歴社会』の中で、一人一人が実行に移すには不安がある」という意見を数多くいただいている。このことは、教育の問題というのは、社会全体の問題であるということを端的に示していると考える。
 したがって、われわれは、これまでの「来たるべき将来像や求められる人間像を描き、これらを実現するために教育改革は必要である。そのために行政・学校・企業に行動を求める」という方向ではなく、「教育改革の実現を困難にしている過度の受験競争や学歴社会などの『ゆがみ』を是正するため、社会の意識改革をうながす」という方向で新たに提言をいたしたい。その発信は、企業の制度・行動が、社会の意識に大きく影響していると認め、「まず、企業自ら意識改革をし、行動する」という実行宣言の形で行いたい。




第1章 「人生18歳確定説・年齢輪切り主義」
−われわれの問題のとらえかた−

 教育改革の実現を困難にしている過度の受験競争や学歴社会などの『ゆがみ』と呼ばれる問題は何を主な原因としているのであろうか。



1.ブランド大学・ブランド企業への「入った者勝ち」という「入り口文化」

 若者は、ブランド大学への入学競争・ブランド企業への入社競争を繰り返し、社会には「入った者勝ち」という「入り口文化」が定着している。「入り口文化」の弊害は、@目標が、他人との入学・入社競争に勝つことになりがちなこと A職業の選択においても、ブランド企業に入社することに関心を持ち、「何をしたいのか」「何ができるのか」を考えなくなる傾向があることなどがある。



2.「入り口文化」の根底にあるもの「人生18歳確定説・年齢輪切り主義」

 ふりかえれば、戦後、大学進学は大衆化し、高学歴社会が実現、多くの人が大学を卒業し、企業へ入社するという人生をおくるようになった。企業の採用では新卒一括採用・就職協定、入社後は年功序列という制度が定着。また、採用において一部のブランド大学を重視するという傾向があった。その結果「人生18歳確定説・年齢輪切り主義」という考え方が定着してしまった。


「人生18歳確定説」 〜18歳において、ブランド大学に入学できれば、ブランド企業に入社することができ、その後の人生は保証されているという考え方。


「年齢輪切り主義」 〜小学校から大学までは学年で横割りになっており、企業においては、年次運用・年功序列で昇進していく。従って「同一年齢内で比べればどうか」ということを常に気にする考え方。


 この2つの考え方が定着したことが主な原因となって、年齢が人生の活躍する場を決めるようになり、「学生」「会社員」「退職高齢者」がハッキリ分かれてしまった。



3.「人生18歳確定説・年齢輪切り主義」社会における問題点


(1)「気力(意欲)」「体力」「生活力」「創造力」が失われる


 受験勉強の過熱化により、子ども・若者は入試のためだけの勉強に、多大な労力を費やしている。しかも、それは、ますます低年齢化する傾向がある。子ども・若者は時間的にも精神的にも「ゆとり」がなくなり、結果、気力(意欲)・体力・生活力(たくましく生きていこうとする力)を失い、ひいては創造力も失っている。


(2)人生における「寄り道」や「やり直し」という経験ができにくい

 同一年齢・同一年次内による競争であるために、年齢・年次が進学・昇進の基準となっている。また、一つの企業に勤め続けることが多く、人生における「寄り道」や「やり直し」という経験ができにくい状況にある。


(3)問題を解決するために必要な「多様性」「柔軟性」が身につかない

 「入った者勝ち」の競争は受験学力競争であり、暗記詰め込み学習が中心になりがち。しかも正解は1つである場合が多い。このような競争をしていたのでは、社会に出てから、さまざまな答があったり、明確な答がないという状況の中で、問題を解決するために必要な多様性と柔軟性が身につきにくい。


(4)子どもたちの教育の機会均等がなくなり、社会全体の活力が維持されない

 低年齢での教育投資が競争に勝つ決め手となる傾向がある。教育費の多寡が受験学力を決めるということにもなりかねず、高所得者層の子弟がブランド大学・ブランド企業へ入ることが多くなる。これでは子どもたちの競争ではなく親の競争の要素が強くなり、教育の機会均等は内容を伴わなくなる。結果、子どもたちに機会が平等に与えられない活力のない社会となる。



第2章 「学働遊合」

−意識改革のための理念−



1.新たな理念の提唱

 「人生18歳確定説・年齢輪切り主義」により過熱した18歳までの受験競争を解消するためには、18歳以上の社会のあり方を含めて変える必要がある。そのために、われわれは、企業と学校・社会の関係における新しい理念である「学働遊合」を提唱いたしたい。



2. 「学働遊合」とは

 人は、年齢にかかわらず「学ぶ」「働く」「遊ぶ」が融合された生き方の中でこそ育ち、成長していく。新しい理念である「学働遊合」は、こうした考え方をもとに、以下の3つの要素から成り立つ。


(1)いつでも学び・いつでも働ける

 学校(特に大学(院))と企業は、意欲と能力ある人には、学び・働くための門戸を開く。学校と企業の垣根がゆるやかであり、出入りしやすく、そこでは、学校歴・年齢・性別・国籍と関係なく、意欲と能力を発揮する機会があり、学校と企業は活き活きとし、活力あふれる社会が実現する。
 その結果、学生・会社員・退職高齢者がハッキリ分かれてしまうという「18歳確定説・年齢輪切り主義」はなくなる。
 企業人も必要に応じ学校に行き、新たな知識を身につけ企業に戻ってくるようになる。学校卒業時の知識が速い速度で陳腐化する時代の中で、こうしたことは、望ましい姿と言える。


(2)個人も企業も価値観と目標が多元化し、それぞれが認め合う

 「いつでも学び・働ける」環境の中で、個人は、自らの価値観とやりたいことを明確にし、さまざまな能力を積み重ねながら成長する。企業も、企業自らの価値観・目標や、どのような能力を持った人材を求めるのかを明確にし、個人に活躍の場を提供する。その結果、個人も企業も価値観と目標は多元化し、能力もさまざまなものが認められるようになる。
 こうしたことによって、「何をしたいのか」「何ができるのか」を若者が考えようとしない「入った者勝ち」の「入り口文化」はなくなり、また、企業内部においても、学校歴・年齢・性別・国籍と関係なく、意欲と能力を発揮することが必要となる中で、一人一人は自らの価値観と能力を明確にしながら、それぞれの分野で競争していくことが求められる。


(3)「遊び」を見直し、「ゆとり」と「活力」を取り戻す

 競争が激しくなる中で、価値観を見出すために、「学校」「企業」という場の他に、「地域・家庭」での生活を重視し、「学び」「働き」だけでなく「遊び」の意義も見直すべきである。

 ここで言う「遊び」とは、「学び」「働き」の反対概念だけではなく、「学び」「働き」という活動の中に「遊び」の要素を見出し、一体化することにより「学びの中の楽しさ」「働きの中の楽しさ」という目的と活力を与えるものも含んでいる。個人(特に子どもたち)は、「ゆとり」の中で「遊ぶ」ことにより、気力・体力・生活力・創造力を養うことができ、その結果、「18歳確定説・年齢輪切り主義」社会で失った、こうした力を取り戻す。


【「遊び」を見直そう−われわれは、「遊びの効用」には、以下のようなものもあると認識している】

○「ゆとり」の中で人生を考える
 「学ぶ」「働く」から離れ、それ以外の時間を持つことは、気持ちにゆとりが生じる。このような状態でこそ人生をいかに生きるべきかを考えることができ、視野を広げ、異文化に対する受容力を持つことができる。「教養」というものは、こうした経験を通し、「一人一人がいかに生きるのか」を探索していくことではないだろうか。

○「基本的な人間関係」や「思いやりの気持ち」を学ぶ
 多様な集団の中でさまざまな友達と触れ合う中で、「仲間つくりの力」や「知らない集団へ飛び込む力」を身につけ、基本的な人間関係を学ぶ。その結果、自己中心的ではなくなり、思いやりの気持ちも身につく。

○「社会のルールを尊重する意識」を身につける
 遊びの多くには自然発生的にできたルールがあり、そのルールは自主的に守ろうとするものである。このような「自分達のルールを守ろうとする気持ち」が、そのまま社会でのルールを尊重する意識に結びつく。

○「自己責任の感覚」を知る
 子どもにとっての遊びは、大人によって「これが遊びである」と決められるものではない。子どもたちが自発的に自由な発想で選択しながら行うものである。人生の分岐点にあって自己責任で進路を選ぶ自律性は、このような経験から養われるものであり、受験学力だけからでは身につかない。

○「創造性」を発揮できる
 子どもたちは遊ぶ時、わくわくとした気持ちを持ち、エネルギーを発散し、疲れを知らない。われわれは、このような時こそが、その人に備わる才能を引き出し、人間性が発揮される純真な状態であると考える。子どもも大人も、創造性は、こうした時に発揮できるのではないだろうか。誰もが持つこの子どもの無心さの芽を摘みとらないようにしなければならない。

【「学働遊合」イメージ図】

3.意識改革をどのように実現するのか

 新しい理念により、社会の意識改革をしなければならない。しかし、社会の意識改革は一挙にできるものではない。また、企業だけでできるものでもない。そのためには、企業・行政・学校・地域・家庭がお互いを批判するのではなく、まず、自らの出来ることを実行し、社会に波及効果を及ぼすことが必要である。




第3章 企業は何を実行するのか



 企業は、社会の一員として、「人生18歳確定説・年齢輪切り主義」の意識を改革し、「学働遊合」の理念を実現するため、企業の制度・行動が、社会の意識に大きく影響していると認め、自らが意識改革をし、行動しなければならない。その結果、大学では学ぶ意欲と能力に応える環境が整い、大学が開かれた競争社会となる。また、こうしたことが波及することによって、子どもたちが、さまざまな経験を積みながら成長していくことを期待したい。そのための行動を具体化するにあたり、われわれの行動を3つに分類する。
 第1に、企業は既に理念に向けて変化しつつあり、その予兆を社会に伝えることである。これは個々の企業からの発信にも期待したいが、経済同友会がとりまとめて、本提言の中で発信をいたしたい。
 第2に、各企業が独自に実行できることにつき、現状より、1社でも2社でも多くの企業が改革を実行していくことである
。  第3に、各企業だけでは実行することができないことについて、学校・地域・家庭という関係者と共に、実行に移していくべきことである。その際、企業は、社員が地域・家庭の一員であることと、企業自身も地域の一員であることをしっかりと認識すべきである。



1.経済同友会が実行すること〜時代の変化の予兆を社会に伝える


(1)ブランド大学・ブランド企業重視の社会の意識を変化させる動きがあることを伝える


 現状、受験競争はさらに激しくなりつつあるが、企業においては、ブランド大学・ブランド企業重視の社会の意識を変化させる動きが見られる。
 具体的には、企業内では能力主義が徹底し、採用においても、「学校名は採用の基準とはせず、能力そのものを問う」という姿勢をさらに強めているということである。経営者の8割以上の人が「現在の学歴偏重の意識は将来是正される」と予想し、その理由として「企業内の能力主義が徹底し、社会にも能力を重視する意識が浸透する」等を挙げていることを認識いただきたい。
 こうした企業の変化が、社会全体を大きく変化させうるか否かは不透明な点もあるが、大切なことは、この事実を社会に伝え、意識改革の土壌をつくることである。



【データ:経営者の81%は、現在の学歴偏重の意識は、将来是正されると予想している(回答数308人)】

 その理由として、以下の理由を挙げている。(複数回答可)[97月1月調査]

91%
・企業内の能力主義が徹底し、社会にも能力を重視する意識が浸透する。
・企業間の人材の流動化が進み、企業は学歴にこだわらない採用ができるようになる。62%
・企業は、学歴に依存せず自分の能力に自信のある人材を採用するようになる。60%
・一流大学から一流企業へ進むことの評価が従来ほど高くはなくなる。34%
・個人の能力を活かした職業が増える。28%


【データ:学歴不問採用の現状と今後の方向性】(回答数315社) [97月1月調査]

 〜「学歴不問採用」を「採用にあたり、学校名を聞かずに面接・採用試験を行うこと」と定義してアンケートを実施。

全面的に導入部分的に導入導入していない (導入の方向)その他
学歴不問採用4%11%81%     (27%)4%

(注)アンケートでは、「学歴不問採用を導入しておらず、今後も導入しない」とする企業の意見として、「学校名を聞いても、試験の結果で決めているので関係ない」「現状でも、学歴は問うが、人物本位の採用をしている」という意見に代表されるように、「学歴不問採用という制度は導入していなくても、学校名だけで採用はしていない」という姿が確かめられる。



(2)企業が採用にあたり「一人一人が自分の言葉で自らを語ること」を求めている姿を伝える


 企業の求める能力は個々の企業により異なり、一つの企業でも職種・地位により異なり、時代によっても変化する。企業は採用の際、一人一人が入社後、「何を」「どこまで」できるのかという可能性に期待を寄せている。したがって、学生には、今まで「何を」「どこまで」やってきたのかを自らの言葉で語ることを求めている。



(3)企業が求める「ビジネスの基礎・基本の能力」をとりまとめて伝える


企業は、能力を発揮する場である。従来、「ビジネスの基礎・基本となる能力が何であるのか」や「企業の求める能力が時代とともにどのように変化しているのか」を、企業は必ずしも十分に社会に伝えていなかったために、受験学力偏重の意識を助長させたかもしれない。こうした能力を個別の企業がどう考えているのか、−−−例えば「従来から重要であり、今後とも重要である能力」として、受験学力とは必ずしも一致しない「人間関係を円滑にする力」が上位にあることなど−−−こうしたことを、経済同友会がとりまとめて社会に伝えることにより、「受験学力だけでいいのだろうか」と考えていただきたい。これが、意識改革の土壌をつくることにつながると考える。
 また、今後、重要性が増すビジネスの基礎・基本の能力としての「コンピューター活用能力」「異文化を受容する力」「情報を収集する力」は、これからのグローバル化時代においては、その前提として「語学力」、中でも、現在、国際語となっている「英語」が共通して求められていることを強調いたしたい。



【データ:企業は「ビジネスの基礎・基本の能力」の変化をどのようにとらえているか(回答数303社)】[97月1月調査]

○従来から重要であり、今後も重要である
 「ビジネスの基礎・基本の能力」
○従来重要ではなかったが増す
 「ビジネスの基礎・基本の能力」
1位:「行動力・実行力」1位:「状況の変化に柔軟に対応する力」
2位:「人間関係を円滑にする力」2位:「コンピューター活用能力」
3位:「常に新しい経験・知識等を身につける力」3位:「異文化を受容する力」
4位:「論理的に考える力」4位:「情報を収集する力」
5位:「問題を発見する力」5位:「語学力」



2.企業が実行すること〜社内を変革し、社会に波及効果を及ぼす



 理念に向けての企業独自の取り組みの現状は、それぞれの項目で、既に実行している企業もあれば、まだ検討すらされていない企業もあるという状態である。したがって、今、われわれに求められていることは「1社でも2社でも多くの企業が、具体策について1項目でも2項目でも多くの項目を検討・実行し、波及効果を及ぼしていくこと」である。


(1)企業内での能力主義を徹底するため、求める能力と個人の持つ能力を明確にする


 企業は「学働遊合」の理念を目指して、目標が多元化し、それぞれが認め合う場をつくらなければならない。企業内では、キャリアパスの複線化、職能・資格基準の明確化、明確なフィードバックのある評価制度、自己申告・自己評価制度を進めていくべきである。
 採用面では、能力を見極める採用やキャリア重視の採用をすべきである。また、職種によっては、新卒一律初任給を見直し、採用時から能力に応じた給与にすることも求められる。


(2)企業内にある「年齢輪切り主義」をなくす


 企業は年齢に関係なく能力を発揮できる場も提供しなければならない。企業内では、年次運用・年功序列を見直し、職種によっては、意欲と能力のある高齢者に活躍の場を提供するための職務開発が求められている。採用においては、通年採用制度を導入し、中途採用も増やし、いつでも・誰に対しても門戸を開けておくべきである。企業に入りたい人が相談できる場としての就職相談窓口を明示することも効果的である。
 今般発表された就職協定の廃止(1997年1月)も、企業のこのような採用方法の多様化の流れに沿っているものと考える
。  また、第14期中央教育審議会答申(91年)では「日本の青年は、学校卒業後1〜2年の極めて限られた時期に人生の方向を定め、選抜を受けなければならず、しかも途中で余り寄り道することも許されていない。年齢に対する企業のこの条件が学校教育を息苦しくしてきた」と指摘されているが、今後は新卒者の年齢制限の引き上げや撤廃を求めたい。



【データ:通年採用の現状と今後の方向性(回答数314社)】[97月1月調査]

全面的に導入部分的に導入導入していない (導入の方向)その他
学歴不問採用12%20%63%     (26%)5%



(3)高等教育機関と企業との出入りをしやすくする


 企業人が、自己啓発のために高等教育機関へ通学するために取得できる休暇制度、企業人の外部研修に対する融資・補助の制度等の支援制度を設けていくべきである。

 (注)高等教育機関の範囲は、大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専門学校・専修学校。


(4)地域・家庭の教育に企業人が参加しやすくする


 企業は、地域・家庭において「学働遊合」の理念を実現させるため、企業人(特に父親)が教育に参加しやすい環境をつくるべきである。具体的には、授業参観休暇の設置、子供を持つ社員の単身赴任を極力避けるような配慮、地域でのボランティアの奨励等である。これらは、一昨年、提言「学校から『合校』へ」においても主張したが、われわれは、今回の調査により企業も動き始めていると認識している。今後ともこうした動きは必要であるが、何よりも、多くの企業や社会全体にこの動きを知っていただくことが重要である。


【データ:企業は父親を教育に参加させようと動き始めた(回答数316社)】[97月1月調査]

やっている検討したいやっていないその他
子供を持つ社員の単身赴任を極力避けるような配慮24%13%46%17%
教育に参加するための休暇制度 3% 9%85% 3%
地域でのボランティアの奨励28%25%43% 4%


3.企業と学校・地域・家庭が協力しながら実行すること


(1)インターンシップ制度(大学生が在学中に企業において実習をする制度)を導入していく


現状、導入はその端緒が見られるだけだが、企業のインターンシップ制度に対する関心は高い。今後、さまざまなやり方が展開されるよう、検討・試行を始めるべきである。


【データ:企業はインターンシップ制度に関心が高い(回答数 文系316社、理系302社)】[97月1月調査]

導入している導入していないが関心ある関心ないその他
文系 4%59%32% 5%
理系23%47%20%10%

(注)インターンシップ制度に関心のある企業の一覧を別添。(アンケート回答ベース)


(2)企業人の高等教育機関に求めるニーズを説明する


われわれは、企業人が学校と企業の出入りをしやすい社会を望んでいることと、企業人の高等教育機関に対するニーズを発信する。高等教育機関が企業人向けの講座を検討するための参考としていただきたい。
 特に、海外の大学を選択するニーズの最大のものが、外国語そのものの習得である等、全般的に外国語を学ぼうとするニーズが高いことは注目すべきことである。


【データ:20代・30代の企業人は、88%が再び学校で学びたいと思っている(回答数1,674人)】

希望する学校(希望者の比率)希望する学習内容支出できる金額/年
専門・専修学校 25% 1.資格取得 2.外国語 3.職業に関連した実務 24万円
国内大学 23% 1.職業に関連した教養 2.職業に関連しない教養 26万円
国内大学院 20%1.職業に関連した教養 2.職業に関連しない教養 37万円
海外大学 16%1.外国語 2.職業に関連した教養. 87万円
海外大学院 10%1. 職業に関連した教養 2.職業に関連した実務.126万円
その他とも計100%1. 職業に関連した教養 2.外国語 3.資格取得 47万円

[97月1月調査]



(3)企業の資源を提供する


 企業は、地域・家庭の教育に対し企業の資源を提供していく必要もある。具体的には、高校生・中学生・小学生への会社見学の機会や学習・研究に役立つ情報・資料の提供、企業の歴史的資料や最新の技術等を公開する施設の運営、企業の体育館・グランド・厚生施設の開放、企業人又はOBの教師としての派遣等である。この分野でも「1社でも2社でも多くの企業が、1項目でも2項目でも多くの項目を検討・実行していくこと」が求められる。


【データ:企業は地域・家庭の教育のため資源を提供している(回答数316社)】[97月1月調査]

やっている検討したいやっていないその他
企業の歴史的資料や最新の技術等を公開する施設の運営18% 6%73% 3%
高校生・中学生・小学生への会社見学の機会の提供39%10%45% 6%
高校生・中学生・小学生の学習・研究に役立つ情報・資料の提供21%13%62% 4%
企業の体育館、グランド等の厚生施設の開放33% 3%53%11%
企業が窓口になり、現役・OBの高等学校・中学校・小学校への非常勤講師としての派遣 8%11%78% 3%



おわりに


 最近、若者の中に、時代の閉塞状況を突破していく、新しい芽が着実に成長しつつある。例えば、日本からの青年海外協力隊は、1996年3月末現在、開発途上国55ケ国に派遣され、現地の人々と共に生活し、働き、途上国の経済・社会の発展に寄与している。その数はこの20年間に4倍の2,370人になっている。また、阪神・淡路大震災には、ボランティアとして数多くの若者が全国から駆けつけた。さらに、最近の哲学書ブームにおいても、読者の多くを若者が占め、自らの生き方を探索する姿がうかがえる。
 「学働遊合」の理念により意識改革が行われるとどのような社会になるのであろうか。意識改革後の社会は、さまざまな生き方があり、人々がそれを認めあっている社会である。「いかに生きるのか」という個人の意欲と能力が社会に満ちあふれ、社会全体として、変化対応力に富んでいる。そこでは、地域社会、企業が時間を分かち合って、学校だけに教育をまかせていない。親と子どもが本当に緊密なコミュニケーションをとっており、大人がいかなる期待を若者に抱いているのかが明確である。若者は、国際的に説明できる能力を身につけている。若者は世界中に友人を求め、一人一人が友人と親交を深めている。そして、その集積力が社会を支えている。
 われわれは、最善を尽くし、21世紀を次の世代に委ねたい。若者よ、自己の未来・自己の生き方についてはいかなる名著にも書かれていない。自分で一歩一歩生きてみなければならない。生きることが答になる。こうした生き方にこそ生きがいは見出されるのである。


付言 提唱「学校から『合校』へ」について


われわれは、学校・地域・家庭・企業の垣根を低くすることにつき、一昨年「学校から『合校』へ」の中において提言した。その考えは多くの方に賛同をいただき、文部省をはじめ教育現場の努力により、市民への学校の開放が進むなどの動きが既に見られる。  しかし、一部には、「『合校』はまず組織をつくることから」というような組織の議論ばかりになっている事例も見受けられ、われわれの考え方は、まだ十分には伝わっていないと認識している。「『学働遊合』という理念は、いわば『合校』を補足する考え方である。『合校』は組織を作るためだけの考え方ではなく、『学働遊合』の理念を持ちながら教育改革を進めていこうとする考え方である」ことを付言いたしたい。

以上



教育に関するアンケート調査の結果



○調査目的

  • 企業の行動が教育に及ぼしてきた影響を認識し、「企業の立場から、日本の教育の現状に対のような問題意識を持っているのか」と「企業・企業人の行動が今後どのように変化していくのか」を中心に調査。
  • その目的は、「企業の変化しつつある実態を伝えることにより、社会の価値観・意識が変わり、学校・地域・家庭・企業各々が役割と責任を自覚し、行動を始めること」である。したがって、「社会全体で変化しつつある方向性を確かめ合い、21世紀を生きる次の世代が育つことについて、幅広く議論する」際の材料となることを期待するものである。

○調査対象


アンケートA:経済同友会会員
(1社に会員が複数名いる場合は、その内の1名に依頼)
912名
アンケートB:経済同友会の会員がいる企業
(人事担当部署に回答を依頼)
912社
アンケートC:経済同友会の会員がいる企業の社員
(20代・30代の社員で、学歴・職種・地位・性別は問わずに依頼)
5,472名


○調査実施時期

 96年12月17日(火)〜97年1月10日(金)

○回収数


アンケートA:経済同友会会員912名中308名(回収率33.8%)
アンケートB:経済同友会の会員がいる企業912社中 316社(回収率34.6%)
アンケートC:経済同友会の会員がいる企業の社員5,472名中1,674名(回収率30.6%)



アンケートA(経済同友会会員対象) 質問・回答結果


問1.学歴偏重の社会や過度の受験競争が問題であるという意見がありますが、どのようにお考えでしょうか。

(回答数308人)

(1)問題である。=183人(59.4%)
(2)どちらかと言えば問題である。=113人(36.7%)
(3)どちらかと言えば問題ではない。 =  6人 (1.9%)
(4)問題ではない。=  4人 (1.3%)
(5)その他 =  2人 (0.6%)

     「その他」の意見:      ・企業社会は既に学歴偏重社会ではない。その実態が社会に伝わっていないことが問題。


[前問で「問題である」「どちらかと言えば問題である」と答えられた場合だけお答えください]


問2.学歴偏重の社会や過度の受験競争のどのようなところが問題だとお考えでしょうか、該当するものをお選びください。

(回答数295人・複数回答)


(1)受験勉強が低年齢化し、時間的・精神的にゆとりがなくなり、意欲・体力・生活力がなくなること。=242人(82.0%)
(2)人生における「寄り道」や「やり直し」という経験ができにくいこと。= 68人(23.1%)
(3)受験競争により他人との競争を最優先にし自分は「何をしたいのか」を考えなくなること。=194人(65.8%)
(4)一流大学へ入れば、一生、生活が保証されているという考え方を持つこと。=121人(41.0%)
(5)視野が狭くなり、日々の生活とは関係の薄い国際情勢等に関心を 持たなくなること。=117人(39.7%)
(6)暗記・詰め込み学習が中心であり、自分で考えることが少なくなる傾向があること。=250人(84.7%)
(7)その他=15人( 5.1%)

「その他」の意見:
・受験勉強では「問題解決能力」のトレーニングはできても、「問題発見能力」は養われない。
・実験・体験などで学ばず、書物等、頭で学んでいること。
・経済的にゆとりのある家庭の子弟に有利な状況であること。
・受験勉強により、自分のことしか考えない人間になってしまうこと。


問3.学歴を偏重する社会の意識は、今後、どのようになると予想されますでしょうか。

(回答数308人)

(1)学歴偏重の意識は是正される。=250人(81.2%)
(2)学歴偏重の意識は現状のまま変わらない。 = 48人(15.6%)
(3)学歴偏重の意識は現状より強くなる。 =  3人( 1.0%)
(4)その他=  7人( 2.3%)

[前問で「学歴偏重の意識は是正される」と答えられた場合だけお答えください]
問4.学歴偏重の意識が是正される原因として、該当するものをお選びください。

(回答数250人・複数回答)


(1)企業内において能力主義が徹底し、社会にも、学歴より能力を重視する意識が浸透する。 =228人(91.2%)
(2)企業間の人材の流動化が進み、企業は年功序列終身雇用のもとではできなかった学歴にこだわらない思い切った採用をするようになる。=156人(62.4%)
(3)企業は、学歴に依存する人材より、学歴に依存せず自分の能力に自信のある人材を採用するようになる。=149人(59.6%)
(4)一流大学から一流企業へ進むことが社会において、従来ほど高く評価されなくなる。= 86人(34.4%)
(5)受験競争をせずに、個人の能力を活かした職業へ進む若者が増える。= 70人(28.0%)
(6)その他  9人( 3.6%)

「その他」の意見:
・社会と大学の間において、人材の流動化が進む。
・有能な外国人の採用が多くなる。




アンケートB(経済同友会会員がいる企業の人事担当部署対象)質問・回答結果


問1.「学歴よりも能力を問う」ための採用制度が増えつつあるという見方がありますが、以下のような制度等につき、貴社での導入状況・今後の方向性をお教えください。


(1)春期・秋期の年2回採用 

(回答数313社)

1.導入している。= 23社( 7.3%)
2.導入していない。=269社(85.9%)
3.その他 = 21社( 6.7%)


[前問で 2.と答えられた場合だけお答えください]

(回答数256社)

1.今後、導入すべき。= 60社(23.4%)
2.導入すべきではない。= 33社(12.9%)
3.その他=163社(63.7%)

「春期・秋期の年2回採用を導入」し、良かった点
 ・国際的な企業であるが、海外の大学卒業者を採用できる。
 ・専門性の高い人材の採用ができる。
 ・様々なキャリアの人材が入り、刺激となっている。
 ・人員計画が立てやすく、人件費の削減にもなっている。

「春期・秋期の年2回採用を導入」し、悪かった点
 ・人事部スタッフの負担が増加。
 ・新入社員研修の重複化。
 ・同期入社社員の連帯感の希薄化。

「春期・秋期の年2回採用を、今後、導入すべき」と考える理由
 ・雇用形態の多様化、人材の流動化という世の中の流れに対応するため。
 ・大学におけるセメスター制の普及等により、今後、秋期の卒業者数の増加が想定されるため。
 ・海外の大学卒業生(留学生・帰国子女等)の採用のため。

「春期・秋期の年2回採用を、導入すべきではない」と考える理由
 ・採用・教育・実務研修の流れを年2回作ることはできない。
 ・帰国子女、留学生等の採用の必要がない。
 ・同期入社の社員の仲間意識が育たない。

その他「春期・秋期の年2回採用」に関する意見
 ・今後、通年採用を導入する。
 ・当社の業態では導入するメリットがない。
 ・秋期卒業の学校が増えない限り必要性はない。


(2)通年採用

(回答数314社)

1.全面的に導入している。 = 38社(12.1%)
2.部分的に導入している。 = 63社(20.1%)
3.導入していない。=197社(62.7%)
4.その他 = 16社( 5.1%)

[前問で 3.と答えられた場合だけお答えください]

(回答数189社)

1.今後、全面的に導入すべき。= 10社( 5.3%)
2.今後、部分的に導入すべき。 = 73社(38.6%)
3.導入すべきではない。= 25社(13.2%)
4.その他 = 81社(42.9%)


「通年採用を全面的に導入」し、良かった点
 ・事業ニーズに対応した即戦力となる人材の確保ができる。
 ・面接等に時間をかけることができ、相互理解が深まる。
 ・多様な価値観を持った人材を獲得し、組織の活性化につながる。

「通年採用を全面的に導入」し、悪かった点
 ・採用に多大な時間と労力が必要だが、多忙な割に成果が少ない。

「通年採用を部分的に導入」し、良かった点
 ・必要な時期に必要な人員を確保できる。
 ・優秀な中途採用者・海外大学卒業者・留学生等をタイムリーに採用できる。
 ・様々な学歴・経験を積んだ人材の確保が可能となった。
 ・海外、法務、技術の専門能力を補うことができる。
 ・常に窓口を開くことにより、要件に合う人材をじっくりと探すことができる。

「通年採用を部分的に導入」し、悪かった点
 ・採用活動が長期にわたるため、非効率な面もある。
 ・各々の採用機会に人材のレベルを揃えるのに苦慮する。
 ・初期の教育にばらつきがでる
。  ・入社後の定着率が相対的に低い。

「通年採用を、今後、全面的に導入すべき」と考える理由
 ・世の中の流れ。
 ・採用の機会が増えることは、企業にも学生にも有益。

「通年採用を、今後、部分的に導入すべき」と考える理由(部分的にとどまる理由)
 ・業務の変化・拡大に合わせて即戦力となる人材を採用するため。
 ・海外の大学卒業生を採用するため。
 ・コアとなる人材以外の専門分野の要員の採用のため。
 ・経験者の中途採用の必要性が増大する。
 ・高度な専門性・能力を有する一部労働市場は、今後、流動化することが予想される。
 ・外国人の採用に導入を検討中。
 ・新卒者の定期採用も現状では人材確保の点から捨てがたい。

「通年採用を導入すべきではない」と考える理由
 ・同期意識が育たない。
 ・予想される効果に比して効率が悪い。

その他「通年採用」に関する意見
 ・入社後の受け入れ等の問題から、現状では考えあぐんでいる。
 ・現行の採用で充足している。
 ・労働市場等の変化を見て判断。
 ・制度として設けていないが、必要時に適材採用はある。
 ・中途採用は通年採用であるが、新卒は春採用のみで充足。
 ・就職協定の廃止、新卒者の定着率の悪さから通年採用を検討せざるをえない。


(3)学歴不問採用(採用にあたり、学校名を聞かずに面接・採用試験を行うこと)

(回答数315社)

1.全面的に導入している。= 13社( 4.1%)
2.部分的に導入している。= 36社(11.4%)
3.導入していない。 =256社(81.3%)
4.その他= 10社( 3.2%)

[前問で 3.と答えられた場合だけお答えください]
  

(回答数247社)

1.今後、全面的に導入すべき。= 20社( 8.1%)
2.今後、部分的に導入すべき。= 66社(26.7%)
3.導入すべきではない。 = 64社(25.9%)
4.その他 = 97社(39.3%)


「学歴不問採用を全面的に導入」し、良かった点
 ・面接官に大学名による先入観が排除でき、本人重視となった点。
 ・多数の応募者を集められ、採用実績校が増えた。
 ・人材の幅が広がった。

「学歴不問採用を全面的に導入」し、悪かった点
 ・年度によっては、結果的に同一大学の人数が多くなった場合がある。

「学歴不問採用を部分的に導入」し、良かった点
 ・学校名にとらわれず、応募者自身の能力・適性を判断することが可能。
 ・これまで以上に応募者のコミュニケーション能力を測ることができた。
 ・学生に好印象をもたれる。
 ・過去に採用実績のない大学から採用できた。

「学歴不問採用を部分的に導入」し、悪かった点
 ・結果的に入社者が一部の大学に偏る可能性がある。
 ・基礎能力の判断が難しい。

「学歴不問採用を、今後、全面的に導入すべき」と考える理由
 ・先入観を排し、能力で採用可否を判断するため。
 ・一流学校出身者は、すべて良い人材とはいえない。

「学歴不問採用を、今後、部分的に導入すべき」と考える理由(部分的にとどまる理由)
 ・多彩・異質な人材の確保のため。
 ・職種によっては学校名不要である。
 ・採用は、能力本位に移行していくから。
 ・技術系については学校学科により判断する場合があるので。

「学歴不問採用を導入すべきではない」と考える理由
 ・学校名を聞いても、試験の結果で決めているので関係ない。
 ・現在でも学校名で採用が左右されることはないので、学歴不問採用する必要はない。
 ・自分に自信があれば自分の経歴をかくすことはない。企業も外面を気にして避けることはない。
 ・特殊技術分野の基礎を学んだ者を欲しており、学校推薦が基本となる。
 ・やはり学校間で能力・素質にはっきりした差が認められるので、何も知らずに採用するのは問題。
 ・学歴は基礎学力であり、採用選考の重要な要素の一つ。
 ・学校による特色もあり人柄もわかる。学歴不問の本来の意味を間違っているのではないか。
 ・どこで、何を学んできたかを知ることは重要。
 ・大学を選んだ理由を聞くことは重要。
 ・学歴が良い悪いではなく、その人の情報として受けとめる必要がある。
 ・特定の大学に偏らないようにするために必要な情報。
 ・筆記試験と面接だけでは、本人を見定めるには限界あり。

その他「学歴不問採用」に関する意見
 ・大学改革等の変化もあり、必ずしも不要とは思えず静観したい。
 ・どこで何を学んだかは個人の一つの経歴であり、あえて学校名を聞かないほうが不自然と考える。
 ・一次筆記は学校名と関係なく行う。二次は学校名と専門課程、活動状況を聞く。
 ・大学生活全般の中から、本人の能力・適性等を面接で判断するための学校名は聞いている。
 ・当社では、入社後の人事オペレーションに学歴によるものがないので学歴が問題にはならない。


(4)新卒採用における年齢制限の引き上げまたは撤廃

(回答数310社)

1.年齢制限はない。 =164社(52.9%)
2.部分的に年齢制限はない。= 43社(13.9%)
3.年齢制限あり。 = 71社(22.9%)
4.その他= 32社(10.3%)


[前問で 3.と答えられた場合だけお答えください]

(回答数71社・複数回答)

1.今後、年齢制限を撤廃すべき。=  5社( 7.0%)
2.今後、部分的に年齢制限を撤廃。= 10社(14.1%)
3.今後、年齢制限を引き上げるべき。=  4社( 5.6%)
4.今後とも、年齢制限は変えない。= 45社(63.4%)
5.今後、年齢制限を引き下げるべき。=  0社( 0.0%)
6.その他 =  8社(11.3%)

(5)新卒一律初任給の見直し

(回答数314社)

1.一律初任給ではない。= 15社( 4.8%)
2.事務系・技術系の違いはあるが、それぞれの中では一律である。 = 32社(10.2%)
3.一律初任給である。 =240社(76.4%)
4.その他= 27社( 8.6%)


「新卒一律初任給は見直すべき」と考える理由
 ・能力に応じた初任給でよい。
 ・勤労意欲の向上につながる。

「新卒一律初任給は見直すべきではない」と考える理由
 ・格差をつける根拠が見当たらない。
 ・何をもって格差を設けるのかの尺度が新卒の場合はない。
 ・最初は一律で当然。
 ・ビジネス経験を最低一年経ないと本人の能力は分かりにくい。
 ・事務系のみなので、特に専門的な差がそれ程ない。

その他「新卒一律初任給の見直し」に関する意見
 ・見直しも含めて検討要。但し、入社時の能力の正確なプロットは難しい。
 ・各人の能力評価を入社前に厳格に行うことは難しいため。


問2.「学歴よりも能力を問う」ための以下のような制度の設置・変更につき、日本企業全体ではどのようになると予想されますか。〜質問の中の「一般的」という言葉は「上場企業の半分以上が部分的ではあれ、導入すること」というイメージで解釈をお願いいたします。


(1)通年採用

(回答数314社)

1.5年後には一般的になる。=127社(40.4%)
2.10年後には一般的になる。=103社(32.8%)
3.一般的にはならない。 = 76社(24.2%)
4.その他=  8社( 2.5%)


(2)学歴不問採用

(回答数315社)

1.5年後には一般的になる。= 48社(15.2%)
2.10年後には一般的になる。 = 78社(24.8%)
3.一般的にはならない。 =178社(56.5%)
4.その他 = 11社( 3.5%)


(3)新卒採用における年齢制限の引き上げまたは撤廃

(回答数313社)

1.今後、年齢制限は撤廃または引き上げの方向に向かう。=205社(65.5%)
2.年齢制限は変わらない。= 94社(30.0%)
3.その他= 14社( 4.5%)

(4)新卒一律初任給の見直し

(回答数313社)

1.5年後には一般的になる。= 72社(23.0%)
2.10年後には一般的になる。= 54社(17.3%)
3.一般的にはならない。=164社(52.4%)
4.その他 = 23社( 7.3%)


問3.インターンシップ制度について。

《文系》

(1)導入していますか。

(回答数316社)

1.導入している。= 12社( 3.8%)
2.導入していない。=287社(90.8%)
<3.その他/TD>= 17社( 5.4%)

[前問で 2.と答えられた場合だけお答えください]

(2)関心ありますか。

(回答数285社)

1.関心あり、検討している。= 11社( 3.9%)
2.関心あるが、まだ検討していない。 =174社(61.1%)
3.関心ない。 = 95社(33.3%)
4.その他 =  5社( 1.8%)

《理系》

(3)導入していますか。

(回答数302社)

1.導入している。= 68社(22.5%)
2.導入していない。=203社(67.2%)
3.その他= 31社(10.3%)

  [前問で 2.と答えられた場合だけお答えください]

(4)関心ありますか。

(回答数200社)

1.関心あり、検討している。=  8社( 4.0%)
2.関心あるが、まだ検討していない。 =134社(67.0%)
3.関心ない。= 49社(24.5%)
4.その他 =  9社( 4.5%)


問4.「「学歴よりも能力を問う」という企業の変化の中で、ビジネスの基礎・基本の能力として従来から重要なものと従来重要ではなかったが、今後、重要性が増すものに分けてお教えください。(複数回答)


(従来から重要な能力)

(回答数303社)

1.問題を発見する力。(102社:33.7%)
2.論理的に考えられる力。(110社:36.3%)
3.常に新しい知識・経験・学力を身につけようとする力。(113社:37.3%)
4.情報を収集する力。( 42社:13.9%)
5.人間関係を円滑にする力。(138社:45.5%)
6.人脈形成力。( 12社: 4.0%)
7.自己表現力。( 27社: 8.9%)
8.交渉力。( 32社:10.6%)
9.状況の変化に柔軟に対応する力。( 61社:20.1%)
10.異文化を受容する力。(  0社:   0%)
11.語学力。( 14社: 4.6%)
12.コンピューター活用能力。 (  2社: 0.7%)
13.熱意・意欲を維持する力。( 76社:25.1%)
14.行動力・実行力。(175社:57.8%)
15.その他(  1社: 0.3%)

(今後重要となる能力)

(回答数302社)

1.問題を発見する力。( 75社:24.8%)
2.論理的に考えられる力。( 35社:11.6%)
3.常に新しい知識・経験・学力を身につけようとする力。( 63社:20.9%)
4.情報を収集する力。( 95社:31.5%)
5.人間関係を円滑にする力。(  4社: 1.3%)
6.人脈形成力。( 14社: 4.6%)
7.自己表現力。( 51社:16.9%)
8.交渉力。( 28社: 9.3%)
9.状況の変化に柔軟に対応する力。(161社:53.3%)
10.異文化を受容する力。( 99社:32.8%)
11.語学力。( 76社:25.2%)
12.コンピューター活用能力。(148社:49.0%)
13.熱意・意欲を維持する力。( 13社: 4.3%)
14.行動力・実行力。 ( 27社: 8.9%)
<15.その他/TD>( 17社: 5.6%)

問5.大学・大学院等と企業との出入りがしやすくするための社内制度がありますか。


(1)企業からの派遣制度(例:国内外の大学院や語学学校への派遣)

(回答数315社)

1.あり。=168社(53.3%)
2.なし。=147社(46.7%)


(2)自己啓発のための休暇制度

(回答数315社)

1.あり。= 49社(15.6%)
2.なし。=266社(84.4%)


(3)資金面の援助

(回答数315社)

1.あり。=137社(43.5%)
2.なし。=169社(53.7%)
3.その他。=  9社( 2.9%)



問6.地域・家庭の教育のため次のようなことをされておられますか。


(1)企業の歴史的資料や最新の技術等を公開する施設の運営

(回答数314社)

1.やっている。= 56社(17.8%)>
2.やっていないが、検討したい。= 20社( 6.4%)
3.やっていない。=229社(72.9%)
4.その他=  9社( 2.9%)


(2)子供を持つ社員の単身赴任を極力避けるような配慮

(回答数315社)

1.やっている。= 76社(24.1%)
2.やっていないが、検討したい。= 42社(13.3%)
3.やっていない。=144社(45.7%)
4.その他= 53社(16.8%)


(3)教育に参加するための休暇制度(例:授業参観休暇制度)

(回答数316社)

1.やっている。
2.やっていないが、検討したい。= 29社( 9.2%)
3.やっていない。 =267社(84.5%)
4.その他= 10社( 3.2%)


(4)地域でのボランティアの奨励

(回答数316社)

1.やっている。= 88社(27.8%)
2.やっていないが、検討したい。= 78社(24.7%)
3.やっていない。 =136社(43.0%)
4.その他= 14社( 4.4%)


(5)高校生・中学生・小学生への会社見学の機会の提供

(回答数316社)

1.やっている。 =125社(39.6%)
2.やっていないが、検討したい。= 31社( 9.8%)
3.やっていない。=141社(44.6%)
4.その他= 19社( 6.0%)


(6)高校生・中学生・小学生の学習・研究に役立つ情報・資料の提供

(回答数315社)

1.やっている。 = 67社(21.3%)
2.やっていないが、検討したい。= 41社(13.0%)
3.やっていない。=195社(61.9%)
4.その他= 12社( 3.8%)


(7)企業の体育館、グランド等の厚生施設の開放

(回答数316社)

1.やっている。=103社(32.6%)
2.やっていないが、検討したい。=  9社( 2.8%)
3.やっていない。=169社(53.5%)
4.その他= 35社(11.1%)


(8)企業が窓口になり、現役・OBの大学・大学院等への講師としての派遣

(回答数314社)

1.やっている。=120社(38.2%)
2.やっていないが、検討したい。= 32社(10.2%)
3.やっていない。=144社(45.9%)
4.その他= 18社( 5.7%)


(9)企業が窓口になり、現役・OBの高等学校・中学校・小学校への非常勤講師としての派遣

(回答数314社)

1.やっている。= 26社( 8.3%)
2.やっていないが、検討したい。= 35社(11.1%)
3.やっていない。=244社(77.7%)
4.その他=  9社( 2.9%)





アンケートC(経済同友会会員がいる企業の社員対象)質問・回答結果



問1.あなたは、再び学校で学びたいと思いますか。

(回答数1,674人)

1.思う。=687人(41.0%)
2.条件次第。=780人(46.6%)
3.思わない。=207人(12.4%)


 [前問で「思う」「条件次第」と答えられた人だけ以下の設問にお答えください]

問2.学びたい学校はどこですか。

(回答数1,467人)

1.国内大学院=288人(19.6%)
2.海外大学院=148人(10.1%)
3.国内大学=344人(23.4%)
4.海外大学=229人(15.6%)
5.短期大学=  2人( 0.1%)
6.高等専門学校=  3人( 0.2%)
7.専門・専修学校=368人(25.1%)
8.その他= 85人( 5.8%)


問3.どのような学習内容を希望しますか。

(回答数1,409人)

1.外国語=274人(19.4%)
2.職業に関連しない教養(例:哲学・歴史等)=173人(12.3%)
3.職業に関連した教養 (例:法律・経済等)=466人(33.1%)
4.職業に関連した実務学習(例:人事管理等)=166人(11.8%)
5.資格取得に結び付く学習=206人(14.6%)
6.専門技術=101人( 7.2%)
7.その他= 23人( 1.6%)


問4.どのような受講形態を希望しますか。

(回答数1,423人)

1.講義=489人(34.4%)
2.ゼミナール=457人(32.1%)
3.パソコン通信= 27人( 1.9%)
4.通信教育= 32人( 2.2%)
5.留学=384人(27.0%)
6.その他= 34人( 2.4%)


問5.どのような時間に学ぶことを希望しますか。

(回答数1,425人)

1.平日の昼間=353人(24.8%)
2.平日の夜間=461人(32.4%)
3.土曜日=197人(13.8%)
4.日曜日
5.留学=386人(27.1%)


問6.予算的にはいくら支出できますか。

47万円/年

【各学校別の希望する学習内容・受講形態・受講時間等】

(%、万円/年)

国内大学院海外大学院国内大学海外大学専門専修学校
学習内容
(%)
外国語2.27.08.952.823.6
職業に関連しない教養17.38.426.25.12.3
職業に関連した教養50.254.543.824.111.7
職業に関連した実務学習16.218.97.77.412.5
資格取得に結び付く学習4.76.37.76.036.5
専門技術8.72.85.43.711.7
その他0.72.10.30.91.7
受講形態
(%)
講義26.00.053.70.058.2
ゼミナール69.10.041.50.028.5
パソコン通信2.32.72.10.91.9
通信教育0.80.72.10.04.4
留学0.096.60.098.71.9
その他1.90.00.60.45.0
受講時間
(%)
平日の昼間46.80.036.30.424.3
平日の夜間32.72.041.40.952.2
土曜日20.20.019.30.017.4
日曜日0.41.43.00.03.6
留学0.096.60.098.72.5
予算     (万円/年)37126268724





経済同友会 教育委員会 活動経緯



88年12月
91年6月
94年4月
新しい個の育成
(求められる人材像)
小林陽太郎委員長
「選択の教育」を目指して
(教育改革の基本理念)
小林陽太郎委員長
大衆化時代の新しい大学像を求めて
(大学改革)
櫻井修委員長
(総論:教育目標)
(総論:教育制度)
(各論:高等教育)

(副題)


世界に信頼される日本人をめざして。


【「新しい個」〜求められる人材像】


1.自己の価値基準を明確に認識。

2.他者をも独自の価値基準をもつ者として尊重。

3.自他とのかかわりのなかで、新しい価値を創造することができる。

(「新しい個」に求められる資質】)

・社会への貢献、自己表現能力、異文化の理解・尊重。

【学校への要望】

1.大学の個性化。

2.相互交流(単位互換、サマージョブ等)。

3.異文化教育の充実(英会話の重視)。

【企業の課題】

1.経営者は企業の採用が教育に大きな影響を与えることを認識する。

2.採用方法、評価制度の多元化。

 (通年採用、キャリアパスの複線化)

3.グローバルな視野をもった人材育成と企業行動。(国際機関への派遣等)

4.トップマネジメント育成施策の実施。



(副題)


転換期の教育改革。


【「選択の教育」〜教育改革の理念】


「新しい個」の育成は、学校側の「選択」の自由と、生徒・学制側の「選択」の自由を基本とした教育の中で実現されるべき。

【学校への要望】

1.大学入学選抜の改善。

2.カリキュラムの変革(開かれた大学)。

3.通年(学期毎)卒業への改革。

4.外国語、徳に英語教育の質的改善。

5.社会活動の正課への導入。

【企業の課題】

1.就職協定の廃止。

2.通年採用制度の導入。

3.キャリア重視の採用の拡大。

4.学生のジョブインターンへの支援。

5.従業員のリカレント(再就学)支援。


(副題)


学ぶ意欲と能力に応える改革を。


【「新しい大学像」〜大学改革の姿】

A.学ぶ意欲と能力に応える仕組み

1.入試は、学力試験の点数より学ぶ意欲と潜在力を評価すべき。センター試験は資格試験に。

2.転部、編入学の弾力化、相互互換の拡大。

3.教官と学生の相互評価。

B.大学を開かれた競争社会にする

1.大学に対する規制の実質的な緩和。

2.大学と社会の人事交流の促進。

3.自己点検・評価等の情報公開。

4.大学の運営体制の整備。

 (学長がリーダーシップを発揮しやすくする)

【企業の課題】

1.「大企業神話」や「学校歴神話」が崩れつつあること等、産業社会の変貌の実態を社会に伝える。

2.採用に当たって「学校歴」よりも 「学習歴」を重視することを示す。


95年4月
97年3月
学校から「合校」へ

(新しい学校のコンセプト)
櫻井修委員長

残された課題
「学働遊合」のすすめ

(意識改革の理念と企業の実行宣言)

渡辺滉委員長

(各論:初等中等教育)
(総論:生涯学習と企業の役割)

(副題)

学校も家庭も地域も自らの役割と責任を自覚し、知恵と力を出し合い、新しい学び育つ場をつくろう。

【「合校」〜新しい学校のコンセプト】

1.学校を「スリム化」しよう。

2.教育に多様な人々が参加できるようにしよう。

3.子供たちが多様な集団のなかで成長できるようにしよう。

4.学校のコンセプトを考え直そう。

「合校」:

「学校(基礎・基本)」「自由教室」「体験教室」が子供たちの教育という共通の目的のもとにネットワークの形で緩やかに統合されたもの。



【企業の課題】

1.企業の経営資源を活かす。

2.親としての社員に配慮する。


《問題意識》

1.「既に教育に関するビジョンは描かれており、いかに実現させるのかが課題ではないか」

〜過去の提言の具体的項目を分析、検証。

2.「提言に書かれていることはもっともであるが、学歴社会の中で、一人一人が実行に移すには不安がある」という意見を数多くいただいている。

《課題》

1.受験競争過熱の原因である学歴偏重社会の意識を変えなければビジョンの実現は困難。そのための企業の役割は重要。

2.「教育制度のビジョンを描き、誰かに物を言う」のではなく、 「社会の意識改革のため企業から行動する」べき。

《検討項目》

1.社会の意識改革のための学校歴主義に代わる、学習・学問への意欲を引き出す理念。

2.その実現のための企業の具体的な行動。


(副題)

いつでも学び・働き、その楽しさを感じられる社会を目指して、企業は意識を変え、行動する。

【「学働遊合」〜意識改革の理念】

「人生18才確定説・年齢輪切り主義」 社会を意識改革するための理念。

1.いつでも学び・いつでも働ける。

2.個人と企業が、価値観と目標が多元化し、それぞれが認め合う。

3.遊びを見直し、「ゆとり」と「活力」を取り戻す。

【経済同友会が実行すること】

1.時代の変化の予兆を伝える。

【企業が実行すること】

2.能力主義の徹底。

3.企業内の年齢輪切り主義をなくす。

【学校・地域・家庭と協力すること】

1.インターンシップ制度の導入。

2.企業人の教育ニーズの検討。

3.企業の資源の提供。

[特色]

1.データの発信をアクションと位置付ける。

2.イメージ図、データ等で発信力をつける。




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